バトル
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
*りんside*
どれくらい経ったのだろうか。
ただ、二人の試合を見守ることしか出来なかった。
真剣なんだよね…
二人の表情は本当に真剣で、見ている私まで緊張してくる。
…とその時、鼻先に何かが当たった。
(?)
変な感触に恐る恐る顔を上げると…
みのむしと対面した。
『…ひ、ひゃわぁっ!』
変な声を上げてしまってから、後ろに倒れ尻餅をつく。
頭はパニック状態だ。
跡「…りん?」
白「どないした!?」
その悲鳴に気付いたのか、白石さんと跡部さんが血相を変えて駆け寄って来る。
『…む、むむ虫が…っ』
白「虫?」
跡「…これか?」
近くに落ちたみのむしを軽々手で持ち、近付けて見せる跡部さん。
その行動に驚き、『ひっ』と叫び固まってしまった。
白「……ふ、」
白石さんが、急に口元に手を添えて笑い出す。
それにつられるかのように、跡部さんも喉を鳴らすように笑い出した。
跡「虫はないだろ」
白「ホンマや。急に叫ぶから驚いたっちゅーのに」
アハハと可笑しそうに笑う二人をポカンと見つめ、訳がわからず首を傾げるばかり。
でも、試合を中断させてしまったことにはたと気付いた。
謝ろうと思った瞬間、頭に触れる優しい手。
驚いて顔を上げれば、優しく微笑む白石さんと目が合った。
白「もう平気やで。ごめんな、昼飯食べんの遅れて」
『い、いえ…っ』
『こちらこそ』と頭を下げると、ふわり、また笑みが返って来る。
何だか顔を直視出来ない。
自分でも顔が赤く染まっていくのを感じ、恥ずかしくて俯く。
その時、ぐいっと腕が引っ張られた。
跡「…早く戻るぞ」
『は、はい!』
その手は私の手を強く握り締め、急かすように歩き出す。
白「…跡部、もう一試合やるか?」
跡「あん?いいぜ」
バチバチと頭上で火花が散り始めようとしたので、慌てて先を促し、食堂に戻って行った。
合宿四日目、新たな組み合わせに別れ、各自練習を開始した。
ドリンクやタオルを配り終え、テニスコートの中にある人物の姿を探す。
結局昨日は、白石さんに謝れなかった。
何だかそれどころじゃなかったし…
『いないな…』
ハァと溜め息を吐きそうになった瞬間、
白「誰が?」
『!ひゃあっ』
突然、背後に現れた張本人に驚いて飛び跳ねる。
白石さんは「そんなに驚かなくても、」と少しだけ寂しそうになり苦笑した。
『あ、ごめんなさい…』
白「いや、こちらこそごめんな。ボール取りに来たらりんちゃんおったから」
白石さんの手にはテニスボールがあり、そうかと納得した。
白「越前くんなら、隣のコートやないか?」
『え、』
私がお兄ちゃんを探してると思ってるんだ。
違うと言うように、小さく首を振った。
『あの、白石さんを探してて…』
白「俺を?」
キョトンと目を丸くする白石さんを見つめ、コクンと頷く。
『…話し、したくて』
『迷惑じゃなければ』と付け足して呟く。
そっと白石さんを見ると、驚いていた顔は、ふわっと嬉しそうな表情に変わった。
白「ええよ。…俺もりんちゃんと話したいって思うてたし」
その言葉にドキンと胸が鳴る。
その意味を考える隙もなく、草むらに腰を下ろす白石さんに合わせて、慌てて隣に座った。