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りんがコートに着いた頃には、こっちでも既に試合が始まっていた。
渡「ドリンクか?」
『は、はい!』
オサムにドリンクを預けコートに目を向けると、財前&謙也と、菊丸&大石のダブルス。白石とリョーマのシングルが始まろうとしていた。
『あの、私もここで見てていいですか?』
渡「おーええよ!」
りんはオサムの横に座り、試合を見ることにした。
白「(りんちゃん?)」
リョ「(あ、りん…)」
ベンチに座るりんに気付き、声をかけようとした瞬間…
千石「あれ?君、りんちゃんだよね!」
『?はい』
千石「(うわ!間近で見ても可愛い!ラッキー)
俺、山吹中三年千石清純。仲良くしてね!」
千石は満面の笑みでりんに手を差し出す。
『はい。こちらこそ!』
その手をギュッと握り返し、りんもふわり微笑んだ。
千石「(か、かか可愛い!)」
ドキドキと胸が高鳴りつつ、千石はりんの隣に座った。
その光景を静かに見ていた二人はというと…
リョ「…絶対負けらんないっスね」
白「…せやなぁ」
ゴォッと火が燃え上がり真っ黒なオーラが放たれていた。
試合はタイブレークまで及んだが、リョーマの勝利だった。
『お兄ちゃん、お疲れ様!』
リョ「サンキュ」
りんは素早く駆け寄り、リョーマにタオルとドリンクを渡す。
『白石さんも、お疲れ様です』
白「おおきに」
ニッコリ笑い受け取る白石の顔から、パッと視線を外した。
―モテそうだもんね
―彼女いても可笑しくないか
昨日の夜の会話が頭を過り、ズキズキとまた胸が痛み出した。
『(だから、なんなの?)』
いたって、可笑しくはないのに。
自分には関係がないことなのに。
『あ、の…私、夕飯の仕度しなきゃいけないので…そ、それじゃあ…!』
ペコリ頭を下げ、逃げるように走りだす。
白「りんちゃ…」
白石の声も耳に届いていなかった。
『(うう…絶対変だと思われた…)』
でも、ズキズキと痛むのが嫌で、あんまり近くにいたくなかった。
歩調を緩め乱れた息を調えて、肩を落として宿舎に戻って行った。
夜、なかなか寝付けず、白石は一人建物の周りを走っていた。
白「不二?」
草むらに座って上を見つめている姿を見付け名前を呼ぶと、不二はゆっくり振り向いた。
不「…やあ、」
白「何見とるん?」
白石が尋ねれば、不二は空に手をかざした。
その方向に目を向けると、空に満面の星が輝いている。
不「星見てたんだ。東京ではあまり見れないから」
白「ホンマや、珍しいな」
こんな星の数は滅多に見れない。
白「(…そや、)」
あることが頭に浮かび、不二に一声かけると、白石は宿舎に戻っていった。
『…よし、これでいいかな』
明日の朝食の仕込みを終え、りんはフゥと息を吐いた。
女子部屋に戻る途中、明かりのついている部屋を見付けた。
『(誰かいるのかな…)』
そっと扉を開けると中には沢山のトレーニングマシーンがあり、腕を鍛える跡部の姿があった。
扉の前に立ち尽くすりんに気付き、跡部は目を見開く。
跡「…りん?」
『あ、ごめんなさい!』
反射的に謝ってしまい、慌てて言葉を探す。
『朝食の準備をしてたら、通りかかって…こんな時間までトレーニングですか?』
跡部は手を止め「ああ」と短く呟いた。
跡「あんな筋トレだけじゃ、体が鈍るからな」
そう言ってタオルで汗を拭く跡部に対し、感心して言葉が出ないりん。
『あ、それじゃあ…』
邪魔しちゃいけないと感じ、出ていこうとする。
跡「…別にいい。休憩しようとしてたところだ」
『えと、』
りんは少し考えたが、近くのベンチに座る跡部に合わせ自分もその隣にちょこんと座った。
『………』
跡「………」
暫く沈黙が続き、りんはチラリ隣を見ると、跡部も微かに戸惑っているように見えた。
『…ふふ、』
跡「何笑ってやがる」
その姿が何だか可笑しくて、思わずクスクスと笑ってしまう。
そんなりんを見て跡部は眉を寄せた。
『でも、跡部さんって努力家ですよね』
跡「あ?」
『すごくテニスが上手で、それが当たり前のようなのに、影で誰よりも練習してるんですよね』
何が言いたいんだ?と目を向ければ、りんは『だから、』と呟く。
『私は、跡部さんのそういうところ…すごく好きです』
ふわり微笑み、目を合わせる。
跡「………」
『?跡部さん?』
黙ってしまった跡部を不思議に思い、顔を下から覗くと、
跡「…お前は本当に、」
ぐいっと腕が引き寄せられ、跡部の胸板に頭が触れる。
『あ、跡部さん…?///』
抱き締められてる…そう気付くには、暫く時間がかかった。
ギュッと回された腕に力が入ったことがわかり、りんの体はビクンと跳ねる。
跡「…俺は、」
跡部の言葉が、静まり返った部屋に低く響いた。
白「………」
瞳の中に映る二人。
静かに足の向きを変え、白石はゆっくり歩きだした。