予感
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*りんside*
合宿には、立海のレギュラー全員が参加すると聞いた。
(お兄ちゃんに、聞かなきゃ)
決心するようにギュッと拳を握り締め、家へと駆け足で向かった。
パァンパァンとボールを打つ音が響く。
寺にあるテニスコートの方へ行くと、お兄ちゃんが一人壁打ちをしていた。
(…お兄ちゃん、テニス上手になったなぁ)
前から上手だと思っていたけれど、青学に入って更に強くなった気がする。
静かに見入っていると、その視線に気付いたお兄ちゃんは手を止めゆっくりと振り返った。
リョ「……何?」
『あ、えっと…た、ただいま!』
慌てて返事をすれば、「おかえり」と素っ気なく返ってくる。
『…お兄ちゃん』
リョ「何、」
『合宿のこと、何で教えてくれなかったの?』
お兄ちゃんは一瞬目を見開き、それからハァと溜め息を漏らした。
リョ「誰に聞いたの?」
『朋ちゃんと、桜乃ちゃん…』
ゆっくり近付いて来たお兄ちゃんは、私と視線を合わせる。
リョ「俺が、先輩達に言ったんだ。りんには言うなって」
『!どうして?』
リョ「だって、言ったら絶対行きたがるから」
『も、もちろん!』
納得できないでいると、お兄ちゃんは急に真剣な表情になる。
リョ「俺達は、アメリカ代表と戦うんだ。…そのメンバーの中に、あいつもいるって記者の人から聞いた」
『………』
゙あいづ
お兄ちゃんが誰のことを言っているのか、すぐに理解できた。
あの人がいても、可笑しくない。
試合の話を聞いた時、薄々気付いてた。
『お兄ちゃん、心配してくれてるの…?』
ふいっとばつが悪そうに視線を逸らす姿を見れば、何も言われなくてもわかった。
リョ「…りんは行くな」
『お兄ちゃん…』
やっぱり、お兄ちゃんは優しいな。
嬉しいよ。すごく嬉しい。
…でも、
『私、行きたい…』
リョ「!」
この決意に、迷いはないから。
『だって、マネージャーだもん。少しでも皆の役に立ちたい』
リョ「だけど『あとね、』
眉を寄せるお兄ちゃんを真っ直ぐに見つめる。
『お兄ちゃんがいるから、恐くないよ!』
そう、大丈夫。
恐れる気持ちより、皆といたいと言う気持ちの方が、ずっとずっと大きいから。
リョ「…わかった」
肩を落として微かに微笑むお兄ちゃん。
優しく頭を撫でられ、嬉しくて私も微笑んだ。
明後日の朝。
思ったより早く起きてしまったので、昨夜に準備をしておいた合宿の荷物の確認をした。
それも終わったので、同じく早起きなカルピンを膝にのせ縁側に座る。
『…今日から五日間いないけど、カルピン寂しくない?』
ほぁらと鳴くカルピンの頭を撫でながら、ふと頭の中に浮かんできたこと。
―この猫、名前は?
―へぇ、かわええなぁー
ここに、白石さんが座ってたんだよね。
きっともう、そんなことはないと思うけど。
少しだけど色んな話をして、楽しかった。
手料理を美味しいと言ってもらえて、嬉しかった。
『早く会いたいな…』
ぽつり呟いた瞬間ハッと気付き、カァァと顔に熱がたまる。
わ、私何言ってるの!?
あたふたと慌てる私を、カルピンが不思議そうに見上げていた。