お祭り
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『これ…』
はいと差し出されたのは、白地に朝顔の模様が可愛らしい浴衣。
菜「りんちゃんにあげようと思って直したの。お下がりで悪いけど…」
『私に…?』
菜「絶対に似合うと思うわ」
ニッコリ微笑む菜々子を見てりんは浴衣を握りしめた。
『…ありがとう』
嬉しくて微笑むりんだったが…
菜「さぁ、」
『?あの、』
掴まれた腕に疑問を抱き首を傾げながら菜々子を見れば、さっきよりも楽しそうに微笑んでいた。
菜「せっかくだから、徹底的に可愛くしなくちゃ」
『ふぇ??』
この後、オシャレってものすごく大変なんだと身を持って実感するのであった。
リョ「りん、準備でき……」
階段を降りて来たりんを見てリョーマは抱いていたカルピンをストンと落とした。
ほぁらと痛そうに鳴いたが、当の本人は前だけを呆然と見つめている。
『…お、お待たせ///』
頬を赤く染めるりんはあの浴衣に身を包んでいた。
普段2つに結わいている髪は高い位置に綺麗にまとめ、花が付いた簪をつけている。
薄らと化粧もしているせいかいつもより可愛らしく、少し大人っぽく見える。
『あの、ど、どうかな…』
リョ「…………」
固まってしまったリョーマを心配そうに見つめていると、ハッと気付いたかのようにリョーマは背中を向けた。
リョ「…行くよ」
『は、はい!』
素っ気ないリョーマと何故か敬語口調のりんは、待ち合わせ場所へ向かった。
「「「……………」」」
数分後、リョーマと同じ反応を見せる皆。
『あの…(そんなに変なのかな)』
だんだんと落ち込んできてしゅんと肩を落としていると、
菊「可愛い~!」
菊丸が素直な感想を述べれば、皆ハッと気付いたように頷き始める。
桃「似合うなー」
焼きトウモロコシを食べていた手を止め、ぼぉっとした様子の桃城。
海堂と手塚は完全に固まってしまったらしく、瞬き1つしていない。
『あの、不二先輩と白石さんは?』
2人の姿だけが見えないのでキョロキョロと辺りを見渡す。
河「ああ。もう着いたってメールがあったから、多分そろそろ…あ、来た」
りんがその方向に目を向けると浴衣姿の不二が手を振って歩いて来た。
不「お待たせ……あれ?りんちゃんすごく可愛いね」
ナチュラルかつ違和感のない不二の言葉を聞き、感心している者が数人。
白「………」
不「…白石?」
後から来た白石は、りんを一目見て固まってしまった。
りんはというと…
『(浴衣だ…)』
浴衣に身を包んだ白石を、気付かぬうちにじっと見てしまっていた。
白「……りんちゃん、」
『は、はい!』
ゆっくり近付いて来る白石に対し思わず身構えていると、
白「かわええな」
『!!』
そう言って笑う白石を目の前にして、りんはボンッと顔を赤くした。
『ありがとう、ございます…///白石さんも、に、似合ってます……』
小さくなりながら俯いて言うと「…おおきに」と微笑まれた。
不「(…面白いなぁ)」
面白い玩具を見つけた子供のように不二はそんな2人を観察?していた。
菊「不二達ずっるーい!俺も浴衣着たかったよぉ」
不「ああ、由美子姉さんが無理矢理着せるから…
白石、何か悪かったね」
白「いやいや、まぁ俺の分があるのには驚いたけど、泊めさせてもらっとる訳やし」
不「姉さん、君のこと気に入ってるからね。(買ってきたんだろうな)」
それを聞いたりんは菜々子が頭の中に浮かんだ。
この前白石が帰った後、母と一緒になって「礼儀正しい」だの「美形」だの「可愛い」だの(←主に母)褒め称えていたのだ。
『(…白石さん大人っぽいもんね)』
きっと、2人並ぶと絵になるんだろうな…と考えたらズキンと胸が痛くなった。
『(ゔ~痛い…)』
顔を歪ませるりんだったが、お祭りを楽しむためにあまり気にしないことにした。