地区予選決勝戦
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「試合続行だー!!」
誰かの呼び掛けで再び試合が始まった。
左目に大きな眼帯を張ったリョーマがコートに立つ。
『…お兄ちゃん…がんばって』
ツイストサーブが決まる。
ケガをしたとは思えないほどの動きだった。
リョ「あと3分で、アンタを倒さなきゃなんないんだから」
そう宣言したリョーマは、既に勝利したかのような瞳だった。
「ゲームセーット!
ウォンバイ青学 越前!」
わぁっと歓声の声が沸き起こった。
『すごい…』
約10分で試合は終了してしまった。
青学は優勝。都大会では第1シードだ。
相手校の不動峰と握手をして、地区予選は幕を閉じた。
*りんside*
「桜乃!」
ぼーっとコートを眺めていたら、桜乃ちゃんが名前を呼ばれた。
桜「おばあちゃん!」
駆け寄る桜乃ちゃんにつられて目を向ける。
竜「悪いね、今からリョーマを病院に連れていかなきゃなんないんだよ」
会話から、桜乃ちゃんと一緒に帰る約束をしていたことがわかる。
桜「…私も行かせて!
りんちゃんも、心配だもんね」
そう言って桜乃ちゃんは私を見た。
私が落ち込んでたから、気にしてくれてたんだ。
優しいな…
竜「ん?お前さんは…」
おばあちゃんと呼ばれた人が私に目を向けた。
『越前りんです。はじめまして』
頭を下げると「お前さんが」と納得されたように頷かれた。
竜「あいつにこんな可愛らしい娘がのう…」
『?あの、』
あいつ、って誰のことだろう…
桜乃ちゃんが、「スミレおばあちゃんは男子テニス部の顧問なの」と耳元で囁いて教えてくれた。
竜「それじゃあ、りんちゃんも一緒においで」
桜乃ちゃんと竜崎先生につられるように、車のもとへ歩いて行った。
車の中には、制服に着替えたお兄ちゃんが座っていた。
うう~…さっきの事もあって気まずいよ…
私の姿を見たお兄ちゃんは、何か言いたそうだったけどすぐに視線を反らした。
もしかしたら本当に嫌われたのかもしれない…
来るなって言われたのに来ちゃって、おまけに試合中に入ってくるなんて…
お兄ちゃんにしたらすごく迷惑だよね。
車が走り始めても、お兄ちゃんは窓の外を見てずっと黙っていた。
桜乃ちゃんも気をきかせてか静かだ。
(このままずっと口聞いてくれなかったら、どうしよう…)
泣きそうになりながら、渡し忘れたお弁当を握り締めた。