晴天
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*りんside*
玄関からお母さんの声が聞こえて、慌てて立ち上がった。
『菜々子さん、おかえりなさい』
菜「ただいま」
お母さんより一足先に居間にやってきた菜々子さんに微笑みかける。
倫「お客さん?」
白「白石蔵ノ介言います。お邪魔させてもらっとります」
ペコリと一礼する白石さん。
倫&菜「「…………」」
『あのね、夕食一緒に食べることになったんだ』
白「なんや申し訳ないです…」
倫「……りん」
『?はい』
わなわなと体を揺らすお母さんを不思議に思っていると、ガッと肩を掴まれた。
倫「こんなかっこいい知り合いがいたのね?」
『へ…』
倫「いつもお兄ちゃんお兄ちゃん言ってるから将来心配してたのよ。良かったわぁー男の子の友達がいて」
お母さんは本当に安心したように肩を落とした。
…私、そんなに心配させてたんだ。
自己紹介も程々にして、夕食を食べることにした。
お兄ちゃんの席には白石さんが座る、つまり私の正面。
今晩の夕食であるシチューをお皿によそっている時、白石さんはお母さんや菜々子さんに質問攻めを受けていた。
1つ1つ丁寧に答えていて、そのたびお母さんは目を輝かせていた。
いただきますと声を合わせ、白石さんがスプーンを口元に運ぶ姿をじっと見てしまう。
『あのっど、どうでしょうか…』
恐る恐る聞いて見る。
白「…おいしい」
『!』
「めっちゃ美味い」とニッコリ微笑む白石さんにつられ、嬉しくて私も笑った。
その光景をじっと見つめる視線にも気付かず…
白「今日はご馳走さん」
『いえ!私の方こそ…急に誘ってしまって、』
少し先の曲がり角まで2人並んで歩く。
お母さんの強い勧めにより、不二先輩の家に帰る白石さんを送ることになった。
もう日は落ちているのに、夏だからかまだ微かに明るい。
『何か、すみませんでした。色々騒がしくて…』
お母さんがあんなに興奮?するなんて。
白「楽しかったで?りんちゃんがここで育ったんやなぁって、な」
『え?』
白石さんは楽しそうに小さく笑う。
それを見つめながら、私もゆっくり口を開けた。
『…幼い頃、お母さんが言ったんです。な、仲良くなりたい人と、ご飯を一緒に食べると、もっと仲良くなれるって…』
それにお礼もしたかった。あの時、白石さんがいたから…行動できたの。
『今日は…ありがとうございました』
そう言って笑うと、白石さんは少しキョトンとして嬉しそうに微笑んだ。
白「りんちゃんって、女子校なんやな」
『はい。だから、男性の方が家に来たことってあまりなくて…』
だからあんなに、お母さんも菜々子さんも嬉しそうだったのかな?
白「そうなんか…」
『?はい』
何やら考え込むように口元に手を添える白石さん。
どうしたのかな?と顔を覗くと、急に目が合った。
ふわり微笑んで、「良かった」と一言。
ドキン、鼓動が鳴く。
やっぱり、
白石さんが笑うと…
白「りんちゃん?」
『な、何でもないです!』
今度雪ちゃんにでも聞いてみようかな。
明日から白石さんに会える喜びと、
もうすぐお別れだという悲しみと、
この、ドキドキの理由。