晴天
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「あの、すみません」
南次郎が振り向くと、そこには制服を来た男子が立っていた。
南「何か用か?」
「越前りんさんはおりますか?」
りんと聞き読んでいたエロ本を落としそうになった。
目の前の青年を見据えれば、りんよりかは年上に見える。
南「…悪いが、うちの娘とはどんな関係で?」
ここで恋人ですなんて言われたら、自分は間違いなく失神するだろうと思った。
青年が口を開けた時ー…
『白石さん…?』
買い物袋をぶら下げたりんは、白石の姿を見て目を大きく見開く。
南「…白石くんと言うのかね」
白「はい。白石蔵ノ介言います」
深く眉を寄せる南次郎に、白石は礼儀正しく頭を下げる。
『どうしたんですか?』
白「不二くんに住所聞いてな。明日の部活の時でも良かったんやけど、」
これと差し出されたのは、薄い花柄のハンカチ。
『これ…』
白「金ちゃんの代わりやけど、あの時はおおきにな」
焼肉バトルをした日、服にタレをこぼしてしまった金太郎に貸していたことをりんは思い出した。
ハンカチを受け取ると、綺麗にアイロンがかけられているのかシワ1つなかった。
白「ほな、俺はこれで」
お邪魔しましたと南次郎に小さく一礼し、去ろうとする白石。
『あ、あの…っ』
ギュッと拳を握り、呼び止める。
『良かったら、夕食食べていきませんか?』
南「え?」
突然すぎるりんの発言に、白石ではなく南次郎が聞き返した。
『えと、この前のお礼もしたいですし…』
自分で誘ったことに今更恥ずかしさを覚え、りんは顔を赤くしながら言う。
自分はとんでもないことを言ってしまったのではないか、と思ったのだ。
白「でもなぁ…家族の人に悪いし」
『大丈夫です。お兄ちゃんも桃城先輩と食べてくるって言ってましたし…
良いよね?お父さん!』
くるっと振り向き南次郎に同意を求める。
『だめ…?』
南「………っ」
背が低いため自然と上目遣いになるりんを見て、南次郎が断れるはずもなく…
南「白石くん!ゆっくりしたまえ」
半ば強引に家に招き入れたのだった。
『今作るんで、ちょっと待っててくださいね!』
エプロンを身に付けながら言うりん。
白「いつもりんちゃんが作っとるん?」
『いつもはお母さんと一緒にしてるんですけど、今日は茶道教室がある日なので帰りが遅いんです』
白石が納得していると、足に何かが当たった。
その感触に足元を見れば、一匹の猫が甘えた声で自分を見つめている。
『よし、後は煮込むだけ』
フゥと息を吐いたりんだったが、ふと白石の姿が見えないことに気付いた。
『?』
キョロキョロと首を動かしていると、ほぁら~と鳴くカルピンの声がした。
その方向に歩いていくと、縁側に座っている白石の後ろ姿。
『しら「ははっ自分くすぐったいって」
カルピンの肉球をギューっと押したり、頭を撫でる白石。
その笑顔は今までに見たことのないものだった。
白「ああ、りんちゃん」
ほぁら~とりんを見て鳴くカルピンに気付き、白石は後ろに立ち尽くすりんに笑顔を向けた。
『あ、あの、ご飯もう少しでできます。お待たせしてすみません』
白「いや、大して待ってへんし、気にせんでええよ」
白石の横にちょこんと座るりん。
気恥ずかしさから、微妙な距離になってしまう。
白「この猫、名前は?」
『あ、カルピンって言うんです。ヒマラヤンって言う種類の…』
白「へぇ」
かわええなぁーと言いながら、白石は膝の上に座るカルピンの頭を撫でる。
『猫好きなんですか?』
白「うん。家にも一匹おるで」
それからも、たわいのない会話をした。
学校のこと、家族のこと。些細なことでも楽しいと感じていたりんだったが、
「ただいまーあら?誰か来てるの?」