兄の記憶
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*りんside*
(お兄ちゃん、大丈夫かな…)
桃城先輩達が迎えに行ってくれてるけど、なかなか戻って来ないお兄ちゃんが心配でしょうがない。
(でも、信じて待ってるしかないよね)
自分1人で大きく頷く。
菊「桃ー!おチビっ」
菊丸先輩の声で振り返ると、桃城先輩と…お兄ちゃんがこっちに向かって歩いて来ていた。
大「心配したじゃないか。でも良かったよ、帰って来てくれて」
桃「そ、それが…その、帰っては来たんですが…」
様子が変な桃城先輩を不思議に思った。
リョ「…あの、人がいっぱい居るけど…何かやってるんですか?」
『へ…』
お兄ちゃんの言葉に周りは一瞬凍り付いた。
「「き、記憶喪失!?」」
お兄ちゃんが…記憶…
菊「わー!りんっ大丈夫?」
くらっと後ろに倒れそうになったら、菊丸先輩が慌てて支えてくれた。
不「軽井沢で一体何が…」
大「し、仕方ない!今は試合中だ。試合を見てたら何か思い出すかもしれない」
混乱する中で、ダブルス2の試合が始まった。
『お兄ちゃん、本当に忘れちゃったの?』
記憶喪失何て信じられないよ。
リョ「…はい。俺はただ連れて来られただけで…」
『……』
口調も変わってしまったみたい。
でも今は、お兄ちゃんに何としても思い出してもらわなきゃ!
自分の中で納得し、お兄ちゃんに今まであったことを話すことにした。
今までどんな人達と戦って来たのか、先輩達のこと、家族のこと。
お兄ちゃんはただ首を傾げるばかりで…気付いたら、シングルス2の不二先輩の試合も終わろうとしていた。
『それでね、皆で全国大会まで来てー…』
リョ「あの…」
『!何か思い出した?』
気付いてたけど、気にしないようにしてたことがある。
リョ「さっきからお兄ちゃんって…俺、君のこと知らないんだけど」
そう
記憶喪失になったってことは、きっと、私のことも忘れてるだろうって。
『わ…私は、』
お兄ちゃんの妹だよ
そう言いたかったけど言えなかった。
私を見るお兄ちゃんの目が、知らない人を見る目だったから。
菊「おチビ!りんのことも忘れちゃったの?!」
リョ「…りん?」
言わないで
リョ「……えっと、」
これ以上、
傷つきたくない
お兄ちゃんは探るように私を見据えた。
それからゆっくりと口を開く。
リョ「…すみません、本当に覚えてなくて」
『……っ』
泣いたら駄目。
でも
゙りん゙
いつも、呼んでくれてたんだよ。
お兄ちゃんに名前を呼ばれるのが一番好きだったんだよ。
『…わ、私、飲み物…買って来ますね』
そう言い捨てるのが精一杯で、素早く席を立つ。
桃「りん、気にするなよ。皆のことも忘れてんだから」
『…はい。大丈夫です』
心配そうに言う桃城先輩に小さく笑い返し、逃げるようにその場から離れた。