第参武将「想いは時を越え」
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海月(みつき)
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翌朝。
目を覚した私は、学校についてからも夢のことばかり考えていた。
本当に私が見たのは夢だったのか。
図書室で見たのも夢で見たのも、ミニ武将ではなく普通の人のサイズの武将達。
もしかしたら、私が見たのは武将達が生きていた頃に本当にあったことなのではないだろうか。
確信はない。
だが、確かめる方法ならある。
それは、夢に出ていた信玄、もしくは佐助に聞いてみれば直ぐにわかるということ。
授業が終わると私は家へと帰り、早速聞いてみようと部屋の戸を開けると、酔っぱらいミニ武将達が出来上がっていた。
まだ夕方だというのに、すでに武将達の顔は赤く、秀吉に至っては酔い潰れている。
信玄は、信長、光秀、謙信、政宗と飲みくらべをしていおり、これでは聞くのは難しそうだと溜息を漏らす。
仕方なくミニ武将達は放って、私は夕食とお風呂を済ませるため下へとおりていく。
自分で作った晩御飯を食べ終えると、お風呂に入る。
そういえば、部屋に才蔵と佐助の姿がなかったが、何処へいったんだろうか。
信玄があんな状態では佐助に聞くしかないため、私はお風呂から出ると一度部屋へと戻る。
扉を開ければ酔い潰れた武将達の姿。
やれやれと思いながらも箱で作った寝床に寝かせていると、音もなく肩に佐助の姿があった。
「どうかしたのか」
「え?」
「なんか話したいことがあるように見えた」
そんなにわかりやすかったかなと思いながらベッドに座ると、私は夢のことを確認するために、見たことを佐助に全て話した。
「ああ、アンタの考えてる通り実際にあったことだ」
それは、まだミニ武将達も姫も生きていた頃に遡る。
アプローチを受けていた姫は、武将達に招かれよくお城に招待されていた。
そしてこの日は、甲斐の国に向かっていた。
長い道のりをえて見えてきたのは、信玄のいるお城。
呼ばれた理由は信玄が姫にアプローチするため。
「姫の心はわしが貰う」
文の件の話もあるため、それまでに姫の心を掴もうと武将達はあれやこれやと手を尽くす。
信玄もだが、武将達みんなが自分のものになると思っているようだ。
その後、部屋の一室を用意され、信玄から開放された姫が部屋に一人いると、襖が開かれ佐助がやってきた。
いつも通り、佐助が姫の護衛としてつけられたが、姫はある人物の姿がないことが気になっていた。
普段なら、姫がお城に来ると護衛につく佐助と共に何故か引っ付いて才蔵も来るのに今日はいない。
「才蔵の姿がないけど、どうかしたの?」
「知らねえよ」
この時才蔵は信玄達の前から突然姿を消しており、後に知ることになる。
才蔵が裏切ったことを――。
私が見た光景はこのときのものだった。
実際にあったことを少しずつ思い出してるんだとしたら、手紙のことも思い出せるかもしれない。
少しだけミニ武将達を成仏させられる方法が見えた気がする。
「そういえば才蔵は?」
「あんな奴知らねえよ」
才蔵にも聞きたいことがあるため、私は一人部屋を出るとリビングへとおりていく。
今日一日佐助の護衛もなく久しぶりに自由な時間が味わえたが、家に帰った途端非現実的な世界に引き戻される。
自由といってもミニ武将達のことを考えたり、図書室で調べたりしてたから、結局今ではミニ武将中心な生活の気がする。
「ようやく静かになったみたいだな」
声が聞こえた方に視線を向けると、肩に才蔵が乗っていた。
「才蔵、私、才蔵に聞きたいことがあって。才蔵はなんで――」
「信玄達を裏切ったのか、だろ」
私の言葉を遮り言った言葉。
何故わかったのか聞くと、わかるに決まってるだろと、ニッと笑みを私に見せた。
それがどこか懐かしくて、心が穏やかになるような気がする。
「残念だが、その理由は教えねえよ」
そう言い姿を消してしまう才蔵。
やはり裏切ったことには理由があるようだ。
その理由を知るすべは今の私にはない。
でも、このまま少しずつでも前世の記憶が思い出せたとき全てのことがわかる。
もしかしたらまた夢が見れるかもと思っていたのだが、翌朝目を覚した私はなんの夢も見なかった。
時計を見ると今日は余裕を持って起きられたため、着替えるとリビングへとおりて朝食を作る。
昨日は時間がなくて食パン一枚しか食べられなかったが、今日はお味噌汁と焼き魚、玉子焼きを作り食事をとる。
考えてみれば昨日、時間がなくてミニ武将達に何も食べる物を用意していなかった。
だから勝手に動き回ってお酒などをキッチンから持っていったのだろう。
また勝手に宴会騒ぎをしないように、適当に食べる物を持って2階へと上がる。
「みんな起きてる?」
扉を開けると、昔の自慢話をしている武将達と、ギラリと光らせた視線を才蔵におくる佐助の姿。
今の所は問題もなさそうなため、私は武将達にこの部屋で過ごすことと、宴会を勝手に開かないように伝え、持ってきた食料を置くと鞄を持ち家を出た。
その日の学校でのお昼時間。
私は美海に自分が見た光景や佐助から聞いたことを話した。
結局今日は夢を見ることがなく、どうしたらいいのか相談してみる。
すると美海が一つのことを思いついた。
私が前世のことを思い出したり夢を見たりしたのは、図書室で資料を見てから。
つまり、前世で見たものが記憶を呼び起こさせている可能性が高い。
だとすれば、資料などではなく実物がある場所に行くのが一番だ。
「ありがとう美海!」
「いいわよ。それに、武将といえば私。丁度冬休みにもなるし、歴史巡りの旅に行くよ」
すっかり忘れてしまっていたが、美海は武将好き。
今まで武将や歴史に興味がなかった私には頼もしく見える。
こうして美海と前世を思い出すための手がかりを探す旅行をすることに決まった私は、その日家へ帰ると武将達にその話を伝えた。
美海と話し合って2泊3日の小旅行に行くことになったが、その間家にミニ武将達だけを残してはおけず、鞄に入れて連れて行くことに決まった。
それから数日が過ぎ、いよいよ明日から冬休みとなり旅行に行くわけだが、ミニ武将達と一緒になんて不安でしかない。
鞄の中で大人しくしているようにこの数日言い聞かせてはいたが、守るとは思えない。
とくに信長軍。
私は旅行の前日、リビングに佐助と才蔵を呼び、二人にミニ武将達の見張り役を頼んだ。
「その心配はねーよ」
「一応あれでも名の知れた武将達だからな。下手に騒ぎを起こすことはしねーから安心しろって」
その言葉に安心し、私は明日のために早く眠りにつく。
翌朝。
着替えなどを入れたキャリーバッグと、財布やミニ武将達を入れる少し大きめの鞄を持つと、待ち合わせの駅へ向かう。
美海も来たところで電車に乗り、武将達のお城をその日は一日見て回った。
中にはお城自体残っていなものもあったが、何だか懐かしいという気持ちになる。
ミニ武将達のお城を巡り、美海の熱い武将話を聞いていたのだが、とくに何かを思い出すことはなかった。
そして1日の限られた時間とお金では行ける範囲も限られてくる。
全てのお城を見ることはできず何も思い出せないまま、一日目の旅館に向かう。
「元気だしなよ。そんな直ぐになんて思い出せないだろうし、まだ明日もあるんだから」
「うん、そうだよね」
その日の夜は温泉に入り、旅館で出された料理を食べていたのだが、その時ミニ武将達の存在を思い出し鞄を開けた。
中では何故か、ぐるぐるに縛られ身動きが取れない状態のミニ武将達。
そのうえ声も出せないように布で口を塞がれている。
静かだとは思っていたが、これは一体何が起きたんだと思っていると、才蔵が説明をしてくれた。
どうやら出かけていた途中で何度かミニ武将達が鞄から出ようとしたり喧嘩を始めたりとしたため、昨日私が頼んだことを思い出した結果がこうらしい。
流石有名な武将達。
予想を裏切らない。
「ま、俺に任せとけば大丈夫だから安心しろよ」
「何自分だけがやったみたいに言ってんだ。おい、こんな裏切り者より俺に任せろ」
佐助はやっぱり才蔵の裏切りが許せないみたいで、何かしらあると対抗したがる。
でも、今回は家の中とは違う。
人に見られる可能性もそうだが、何より勝手にいなくなられては探しようがなくなるため、佐助と才蔵二人にミニ武将達の見張りを頼むと、取り敢えず今は縛られていた皆の縄を解く。
まだ今日は何も食べさせていなかったため、武将達は痩せこけているように見える。
佐助や才蔵はさすが忍び。
このくらい食べなかったくらいなら平気のようだ。
「はい、みんなも食べて。佐助と才蔵もね」
小皿に料理を乗せ武将たちの前に置くと、余程お腹が空いていたらしく飛びついて食べる。
才蔵も食べているのに佐助だけが食べず、才蔵が食べるように勧めるも拒否。