第弐武将「騒がしさは終わりの近づき」
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海月(みつき)
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翌朝、お母さんにもミニ武将達にも起こされることなく起きると、制服に着替え朝食を食べていた。
お母さんに「起こさなくても起きてくるなんてどうかしたの」なんて心配されたけど「自分から起きることだってあるんだよ」と言い学校へ向かう。
本当は、あれからずっと考えてしまい、起きたり寝たりを繰り返していたから眠れなかっただけ。
前世での私の事や手紙のこと。
そして新たに現れた才蔵という信長に仕える忍び。
色々な事を一度に知り、何も考えないなんてできるはずがない。
佐助やミニ武将達は、今の私には関係のないことだと言っていたけど、すでに関わってしまった以上関係のないことではなくなっている。
それに、ずっと気になっていることがある。
最初に届いたメールの『時を越え会いに行く』という文。
その翌日、戦国時代で命を落としたミニ武将達が何故か私の前に現れた。
教室に着いた後もそんなことを考えていると、後ろから肩をつつかれ振り返る。
そこにはいつの間にか来ていた美海の姿があった。
「ちょっと海月、どうかしたの? なんかずっと上の空って感じだよ」
「何でもないよ。ちょっと寝不足なだけ」
お母さんや美海に心配をかけないようにしなければと思い、一度考えることをやめる。
だが、授業が始まった後も集中できずにいた。
気づけばお昼時間。
一緒にお弁当を食べようと言い、美海は私の腕を引き中庭のベンチへと行く。
二人座って膝の上にお弁当を広げ食べていると、不意に美海が真剣な表情で、何か悩みがあるなら相談してねと言ってきた。
やはり友達だ。
どんなに隠そうとしてもわかってしまうのだろう。
美海になら話しても大丈夫かなと思い言葉を発しようとした時、昨日の才蔵と佐助の事が脳裏に浮かぶ。
もし話すことによって、美海にまで危害が及んだらと思うと手が震えそうになり、一度話しかけた言葉を飲み込むと、大丈夫だよ、ありがとうと美海に伝えた。
それから特に変わったこともなく、帰宅時間となり帰路を歩いていると、耳元で佐助の声が聞こえた。
どうやら誰かにあとをつけられているらしく、私は佐助の指示に従い気付かない振りをして歩く。
そして曲がり角を曲がろうとしたその時、佐助の走れという言葉で勢いよく駆け出す。
何とか家に着き、慌てて玄関の扉を開け中に入ると鍵をかける。
乱れた呼吸を落ち着かせていると、肩に乗っていた佐助が床にスッと降り、私に向き直る。
「一体なんだったの? まさか、また才蔵とかいう忍び?」
「ああ。教室に入ってしばらくしてから気配はあったが、人の気配が多くて才蔵が何処に潜んでいるのかまではわからなかった」
まさか、朝からずっと才蔵に見られていたなんて気づかず、学校という沢山の人がいる中でそんな気配に気づけてしまう佐助はやはり凄い忍なのだと改めて思う。
佐助は何か考えるような素振りをすると、信玄達に報告しておかなければならないと言い、私も一緒に部屋へと行く。
扉を開ければ、またも人のベッドの上に、お菓子のカスと眠っている3人のミニ武将。
大変な思いをして帰ってきた私は怒りマックス。
起きやがれと怒鳴り、布団をバサリと持ち上げると、ミニ武将達を床へと落とす。
転がり落ちた衝撃で起きたミニ武将達に、佐助が耳打ちをすると、信玄は頷き佐助に何かを命じている。
何を命じたのかはわからないが、とくに変わった様子もなかったため、気にすることなくその日は眠りにつく。
そして翌日のお昼。
美海と一緒にお弁当を食べようと、中庭に向かう途中佐助の声が聞こえた。
内容は、美海と一緒に人気のない場所に行けというものだ。
理由を聞くが、直ぐにわかるとだけしか答えてくれず、仕方なく美海に、今日は屋上でお弁当を食べようと誘う。
屋上は眺めはいいのだが、わざわざお弁当を食べに上まで行く者はいないため、基本人はいない。
屋上にはつき、一体佐助は何を考えているのだろうかと思っていると、突然佐助は地面に姿を現した。
それも、美海の目の前に。
「佐助、何やってるの!?美海、これはね――」
「姿を現したらどうだ、才蔵」
なんとか誤魔化そうとしていると、佐助の才蔵という言葉で私は佐助に視線を向ける。
突然吹いた風と共に地面に現れたのは、この前の忍び、才蔵だった。
佐助だけでなく才蔵まで現れ、私と美海の目の前で会話をしている。
この状況を誤魔化すなど考えても思いつかずにいると、佐助の言葉が耳に届く。
才蔵は美海といたというのだ。
佐助は昨日私の後を追ってきていた人物が才蔵だけでないことに気づき、護衛中に学校で感じていた違和感が気になっていた。
そして佐助はある考えに行き着いた。
それは、私の身近にいる存在の美海。
私の情報を得るのなら、身近な人物についていた方のがいい。
勿論それだけでは、美海と才蔵が繋がっている確信にはならない。
だからこそ、人がいない場所に連れ出すように私に指示を出し確信した。
美海の傍に才蔵が潜んでいることを。
「よく気づいたな」
「ああ。人が多く絞り込めなかったが、その女からは何らかの気配を感じていたからな」
話しは淡々と進んでいくが、私の頭は追い付かない。
つまり話を整理すると、佐助は美海を疑っていた。
でもその根拠がなく、私に人気のない場所に連れ出すように言った。
佐助の思った通り、美海は才蔵と繋がっていたということらしいが、つまり美海は信長とも繋がっているわけで、私のことを騙していたということになる。
美海は全てを知り、私を心配する振りをして才蔵と共に監視をしていた。
こんな話信じられるはずがない。
そもそも美海がそんなことをする理由はないはず。
「美海、嘘……だよね?」
少しの沈黙の後、美海は悲しげな笑みを浮かべごめんねと言うと、風と共に才蔵と姿を消してしまった。
教室に戻った後も、美海は姿を現すことはなく、私は未だに現実を受け入れられないまま帰路を歩く。
友達だと思っていたのは私だけだったのか。
美海はずっと私を騙していたのか。
聞きたいことはあるのに、それを聞くのが怖くてできない。
そもそも私は美海の家を知らないため、聞くことすら叶わないのだ。
「海月、現実を受け入れろ」
「わかってるッ!! わかってるけど……」
佐助の言ってることはわかるが、そう簡単に受け入れられるような事ではない。
戦国時代なら、騙し騙されなんてこともあったかもしれない。
現代だってそういったことはある。
でも、騙された方の傷は簡単には消えてくれない。
今だって信じられない。
美海が私を騙していたなんて。
そんなことを考えながら家へ帰ると、制服のままベッドに倒れ込む。
ミニ武将達は佐助から話を聞いたらしく声をかけてきたが、今は誰とも話す気分になれず放っておいてと言う。
するとミニ武将達は静になり、私は一人現実を受け入れようと考えるが、肝心の美海本人からは何も聞いていない。
騙されていたなんて思いたくないだけなのかもしれない。
それでも、美海がどうして才蔵といたのかなどの理由を聞きたい。
「私、明日美海と話そうと思う」
「危険だ」
佐助が止めるのも無理はない。
相手は佐助と同じ忍びであり、私では気配すら気づけない相手だ。
それでも美海と話さなければならない。
話したところでもっと傷つくことになるかもしれないが、この胸の苦しみを残し続けるよりはいい。
そんな私の覚悟を感じた信玄は、お主のしたいようにしてみよ、と許可を出した。
私だけでは危険なため、護衛として佐助もいつも通り同伴。
こうして平日は波乱の幕開けとなった。
翌日、教室に美海の姿はなく。
先生の話しでは風邪で欠席らしく、会うことはできなかった。