第壱武将「休日は地獄」
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海月(みつき)
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それからどのくらい経ったのか、時計を見るとお昼になっていた。
どうりでお腹が空くわけだと思い立ち上がると、何か食べようとキッチンに行く。
「パンでいいかな。あとはミニ武将達に水でも持っていこう。あ、でもコップが――」
「コップならここにある」
「うわっ!?」
突然の声に驚くと、すっかり存在を消していた佐助の姿があり、手には3つの小さなコップ。
よく見るとそのコップも、小さい頃に私がおままごとに使っていた物の1つだ。
佐助からコップを受け取るとそこに水を入れ、二人2階へと向かう。
扉を開け中に入ると、またもミニ武将達の姿はなく、もしかして部屋から出たのだろうかと考えていると、私の心が読まれたかのように、部屋からは出ていないと佐助が言う。
だが、部屋にいないのなら出たとしか考えられない。
「もし部屋から出たのなら、俺がその気配に気づく」
「なるほど。なら、ミニ武将達は何処へ行ったんだろ」
佐助の忍びとしての腕は確か。
その佐助が気配で気づくといっているのだから間違いないだろう。
だがそうなると、ミニ武将達はこの部屋にいることになるわけだが、あれだけ騒がしい武将達の声はどこからもしない。
またも消えたミニ武将達。
この部屋にいるのだといたら何処にいるのだろうかと考えていた時、微かに何かが聞こえた気がして耳をすませる。
やはり聞こえる小さな音。
聞こえる方へと近づいていくと、どうやらベッドから聞こえているようだ。
そっと布団を捲ってみると、何故かミニ武将達は布団を被って眠っていた。
どうやら、酔った挙げ句に私の布団を被りそのまま寝てしまったようだ。
「全くしょうがないんだから」
手に持ったままのコップを一度机に置くと、武将達を一人ずつ起こさないように箱の布団へと寝かせる。
眠っているときは静かで可愛く、寝顔を見ていると口許が緩む。
これで煩いミニ武将達は静になり、気にすることなく休日を過ごせるというものだ。
このとき私はすっかり忘れていたことを思い出す。
今この家にいるのは、ミニ武将達だけではないことを。
視線を向ければそこに佐助の姿があり、リビングへ降りていくと佐助も後を着いてくる。
理由もわからない護衛をつけられ正直迷惑。
ミニ武将達も寝ているのだから佐助も休むように伝えてみるが、自分には任務がある、と却下されてしまう。
「正直に言うわ。私はゆっくり過ごしたいの。だから、学校が休みのときくらいは一人にさせて」
思っていたことをハッキリ伝えてみるが、どうせ無理だろうと心の中では諦めていた。
だが、返ってきた返事はわかったという了承の言葉。
それだけ言うと佐助はスッと姿を消してしまい、リビングは静まり返る。
誰もいない、誰の護衛もない久しぶりの一人の時間。
ソファに座りテレビをつけると何かの視線を感じ振り返るが、そこには誰の姿もなく首を傾げる。
気のせいだったのだろうと思い再び視線をテレビへと向ける。
だが、それから何回も同じことがあり、流石に可笑しいと思い始めた。
やはり誰かに見られている気はするものの、何度視線を感じ振り返っても誰もいない。
何だか気味が悪くなり、ソファに横になると瞼を閉じた。
最近のことで疲れていたのか、そのまま私は意識を手放した。
それからどのくらい経ったのか、何かの視線で目を覚ますと、ソファの背もたれから私を見下ろす佐助の姿があり、驚きで一気に目が覚め起き上がる。
一体いつからいたのか聞くと、最初からだと言われ、何となくわかってしまった。
「もしかして、ずっと監視を続けてたの?」
「当たり前だ」
どうやら予想は的中。
ずっと感じていた視線の正体は佐助だった。
ゆっくりさせてくれるんじゃなかったのかと怒ると、眠ってたんだからゆっくりできただろ、とこれまた無愛想な態度。
これ以上怒っても疲れるだけだと思い、佐助を無視して時計を見る。
そろそろお母さんが帰ってくる時刻を指していた。
慌てて佐助に姿を消しておくように伝え、あとは二階で眠っているミニ武将達。
あれから時間は経っているため起きているに違いないと、階段をかけのぼり部屋の扉を開けると、やはり起きていたミニ武将達がワイワイと騒いでいる。
一階に声が届かないとはいえ、万が一に備え私が戻るまでは絶対に部屋から出ないようにと約束をさせた。
朝のように勝手にうろつかれて、リビングの物を物色なんてされたら絶対にそのうちお母さんにバレてしまう。
それだけは阻止しなければ。
そんなことを考えている間に、階段の下から私を呼ぶお母さんの声が聞こえる。
どうやら帰ってきたようだ。
私は再度ミニ武将達に言い聞かせ、リビングへと降りていく。
それから何事もないまま時間は過ぎ、お風呂に入り、お母さんと二人ご飯を食べていると、お母さんの後ろで何かが横切った。
気のせいだろうかと味噌汁を飲んでいると、ミニ武将達が床を走っていく姿が見え、驚きで吹きそうになるのを堪え、お椀をテーブルに置く。
お母さんがいる前ではどうすることも出来ず、チラチラと気にしていると、ミニ武将達はキッチンへ向かった。
私の座る位置からでは様子が見えず、あれほど大人しく部屋で待っているように言ったのに、とイラつきが隠せない。
そんな私の様子に気づいたお母さんに、どうかした、と尋ねられ、慌てて何でもないよと誤魔化していると、母の後ろを再びミニ武将達が横切り、私の顔は引きつる。
その後、何とか夕食も済ませ部屋へ戻ると、ミニ武将達はキッチンから持ってきた食べ物やお酒で宴会騒ぎ。
「あんた達ねぇ……!!」
お母さんには大丈夫か心配され続け、散々な日だった土曜日の夜、私はミニ武将達に雷を落とした。
翌日の日曜日。
お母さんが買い物に出掛ける日であり、今日こそはゆっくり過ごすぞと思いながら朝食を食べる。
昨夜はキッチンから持ってきたお酒で宴会をしてくれたお陰で、ミニ武将達は今もぐっすり。
そのせいで、私は寝不足な訳だが。
このまま眠っててくれれば、今日は平和な1日を過ごせる。
「じゃあ、行ってくるわね」
お母さんが出掛けたのを確認しソファで寛ぐが、佐助は通常通り私の護衛をしているためやはり視線が気になる。
だからといって姿を見せた状態で護衛されるのも、それはそれで気になりそう。
佐助はミニ武将達と違い、煩くもなければヒヤヒヤするような行動もしない。
特に気にしなければ問題ない。
そう思っていたのだが、珍しく佐助が目の前に姿を現すと「何者かが侵入した」と一言。
まさか泥棒だろうかと思い周りを見るが、特に誰の姿もない。
一体どこにいるのか尋ねようとした時、佐助が懐から出した苦無を私の背後に投げ付ける。
何かとぶつかったような金属音を響かせ苦無が床に落ち「おはよう」と耳元で聞こえた声に視線を向けると、肩の上には、佐助ではない小さな忍びが乗っていた。