鬼退治
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高野 千良(たかの ちよ)
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「って、可笑しくない!? 何で三人でデートなうえに私が判定するわけ。そもそも勝った方と付き合うなんて言ってないし」
なんて今更言ったところで遅い。
すでに私は学校が終わり家へと帰ってきて自室なのだから。
こうなってしまった以上、二人に連絡をして断ろう。
と思ったが、スマホを開いて思い出した。
二人の連絡先を知らないことを。
今まで勾玉を通して通話みたいに会話をしていたが、プライベートでの連絡は一切したことがない。
学校で会っているのだから必要がなかったのだ。
勾玉で連絡を取ればいいだけではないかと思うかもしれないが、勾玉は鬼が出没した際にしか使えない。
つまり私は、明日デートに行くしかないということになる。
仕方がないと諦めて、明日直接言おうと思いながら着ていく洋服を姿見の前で悩む私は、明日が楽しみなのかもしれない。
相手は誓と軾武といえどデート、少しくらい浮かれてしまう。
初めてのデートがこんな形でいいのかと思ってしまうが、これはノーカウントだ。
そんなことを考えながら服を選んでいると、鏡鬼に反応が現れた。
勾玉を通して二人に連絡をし終えると、私は直ぐに鬼退治の衣装に着替え現場へと向かう。
その途中二人と会い、三人で目的の場所へ向かう。
「鬼はどこかなー」
「誓、真面目にやれ」
「ほら二人とも、何処に鬼がいるかわからないんだから集中して」
静寂の中、私はいつものように瞼を閉じる。
すると、何かの音が聞こえる。
これは間違いなく、鬼が人を食べている音だ。
私は音の聞こえた方へと走り出し、その後を二人も追う。
行き着いた先は人気の無い薄暗い場所。
私は鬼の姿を確認すると切り捨てた。
「流石、千良さんですね」
「全然凄くないわ。だって……」
視線の先には助けられなかった人の姿。
私には何もできない。
警察に通報してあげることさえも。
鬼のことは誰にも知られてはいけない。
私達がすべき事は鬼を退治して、犠牲を増やさないようにすることだけ。
決して関わってはいけない。
それが警察に通報することだけだとしても、関わりは最小限におさえるべきだ。
そんな私の気持ちを知っているから、表情一つで気付かれてしまう。
頭をぽんぽんと撫でていく二人の背についていく。
私達は前に進むしかないのだから。
そして家へと帰ったとき、私は激しく後悔した。
何故二人にデートを断ることを伝えなかったのかと。
鬼退治に集中していたせいですっかり忘れてしまっていた。
だが、鬼退治や学校以外では初めて会うのだと思うと、デートというよりも友達と遊ぶという感覚になり嬉しくなる。
私は姿見の前で服装選びの続きをし、決まった洋服をハンガーにかけると眠りへつく。
翌日。
可愛らしい服装に、いつもと違う髪型の自分が姿見に映っている。
なんだか楽しみにしてました感丸出しで恥ずかしくなってきたが、今から服装などを決めていたら約束の時間に遅刻してしまうためこのまま家を出た。
約束の時間の10分前だが、少し早いくらいがいいだろうと思っていると、待ち合わせ場所にはすでに二人の姿がある。
まさか時計が壊れてるんじゃないかと思ったが、私が確認したのはスマホの時計、そう簡単に壊れたり狂ったりはしない。
それよりも、すでに来ている二人を待たせてはいけないと走って二人の元へ行く。
「あれ、早いね」
「うん、少し早めについちゃって」
もしかして楽しみだった。
なんて聞かれてギクリとしたが、先程から黙ったままの軾武が気になり声をかけるが反応がない。
不思議に思い首を傾げると、ニヤリと笑みを浮かべた誓が何やら軾武に耳打ちすると、みるみる軾武の顔が耳まで真っ赤に染まる。
「えっと、どうかした? あ、もしかしてこの着物似合ってないかな……」
「ち、違います!! ただ美しすぎて」
そんなことを言われたら私まで真っ赤になってしまう。
二人顔を伏せてしまっていると、俺のこと忘れてない、と拗ねた表情の誓の姿があり、私は慌ててどこに行こうかと話題をふる。
そして三人で話して決まった行き先は映画館。
土曜日ということもあり混んではいたが、いつとったのか誓がすでにチケットを持っていたためすんなり入れた。
私は二人の真ん中に座らされ、これはデートであることを意識しだしてしまう。
それも始まったのは恋愛映画。
意識しないように映画に集中していたその時、突然右手に手が重ねられる隣を見ると、ニコリと誓が笑みを浮かべてきたため私は慌てて顔を前に戻す。
だが、今度は左手に手が重ねられ、もう映画どころではなくなっていた。
その後の記憶は自分の鼓動の騒がしさしかないまま映画は終わり、三人映画館を出るとカフェへ行く。
紅茶をのみ心を落ち着かせていると、誓は不意に私達が出会った頃の話をし始めた。
私の家は昔ながらの歴史ある家。
服装は着物。
礼儀作法に剣術なども全て習ってきた。
それは、鬼退治という使命があるからなのだが、同じ鬼退治をする仲間でも、誓と軾武は違った。
私の家は代々鬼退治をする使命を受け継いできたが、二人の家は今や普通の家であり、二人の家族は鬼退治のことを知らない。
私は小さい頃から自分の使命を知っていたため二人に声をかけたときは驚いた。
使命の存在すら知らなかったのだから。
だが無理もない。
この使命というのは、私の家に代々あった鏡鬼が反応したのを合図に、鬼退治をすることだったのだ。
何代もの先祖達の時は鏡鬼は反応しなかった。
その理由は、鏡鬼に選ばれなかったからだ。
鏡鬼が選ぶのは、沖田 総司、斎藤 一、土方 歳三、この三人の血を濃く継いだ者。
そして選ばれたのが、私と誓、軾武だった。
「刀すら触れたことのない二人で大丈夫か不安だったけど、流石あの新選組の血を濃く継いでるだけあるわよね。刀の腕なんて今じゃ二人とも私以上なんだもの」
なんだか昔のことのように思えるが、まだ半年しか経っていない。
鬼について私の家には何の手がかりもなく、この鬼退治に終わりがあるのかさえわからない。
それでも、鬼を斬ることを辞めてはいけない。
それが私達の使命なのだから。
「思ったのですが、何故私と誓は浅葱色の羽織で、千良さんは袴なのでしょうか」
「私もよくわからないのよね」
結局のところ、私達は何も知らないまま鬼退治をしている。
一体鬼とは何なのか。
何故その使命に新選組である三人の先祖が関係するのか。
知らないことは山積みで、もっと知らなくてはいけないのかもしれない。
だとすれば、もしかしたら家の蔵に何かあるかもしれない。
「って、もうこんな時間」
長く話し過ぎていたらしく、気づけ14時。
鬼達が活動しだすのは夕方からが多いため、今から家に帰っていつでも鬼退治に出れる準備をしなくてはいけない。
取り敢えず今日はこれで帰ろうと、二人にまた後でと挨拶をして去ろうとすると、両手が二人に捕まえた。
「千良ちゃん、大事なこと忘れてない」
「まだ勝敗を聞いていません」
真剣な表情の二人。
このデートで楽しかった方と付き合うということをすっかり忘れていたが、今はそれどころではない。
私は二人とお出かけができて楽しかったよ、と言い残し今度こそ去った。
早く家に帰って袴に着替えなくては。
「あーあ、行っちゃった」
「千良さんは、今は色恋より鬼退治のようだな」
複雑な気持ちの二人だが、恋も鬼退治も必ず決着をつける。
そう心に誓った二人だった。
《完》