戦国ライフはいかが?
名前変更
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高野 千良(たかの ちよ)
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「何を言っておられるのですか。祝言をあげたくないからとそのようなことを……」
「勝手に決められた者となど、俺は最初から認めてはおらん。それも、このようなつまらぬ姫などと」
本人がいる前だというのに、二人は何やら言い合いを始めてしまった。
二人の会話を聞く限り、どうやら信長は勝手に決められた相手、つまりはこの国の姫と結婚をさせられるようだ。
だが信長は、その結婚を認めていないらしく、今も嫌がっているようだ。
自分の事ではないとはいえ、今は千良が姫であり、目の前でこんな言い合いをされて腹が立たないわけがない。
「ッ!!なんなんですか、本人がいる前で!!私だってこんな結婚お断りです!!」
怒りに立ち上がり、思ったことを口に出した後にハッとする千良だが、すでに手遅れだ。
千良は再びその場に座り込むと、顔を伏せてしまう。
「フッ……最初は退屈な女だと思っていたが、どうやらそうでもなさそうだな」
何てことを言ってしまったのだろうかと自分を責める千良だが、そんな千良の耳に届いた言葉に目を丸くする。
信長の口許には笑みが浮かんでおり、どうやら千良は信長の興味を惹いたようだ。
「これから俺と共に城へ来い」
「…………え?」
何がどうなったのかわからないまま、蘭丸は部屋を出ていくと馬の用意をし、千良はその馬に信長と乗せられると、馬は走り出す。
「え!?ちょ、どうなってんのよこれーッ!!」
そして着いた先は、千良の城よりも大きな城だ。
あれよあれよというまに連れてこられたこの城こそ、信長の城だ。
城に着いた後は、信長は何処かへと行ってしまい、千良は蘭丸に案内され、これから千良が使うことになる部屋へと案内された。
「突然の事で申し訳ありません。ですがご安心ください!信長様は天下を取るお方ですから」
「いや、そんな心配はしてないけど……。それよりも、私を此処へ連れてきてどうするんですか?」
「姫様は、これから信長様と夫婦になられるお方。ただ姫様は、お好きなようにこちらでお過ごしくだされば大丈夫です」
お好きなようにと言われても、この時代で何をすればいいのか等わかるはずもない。
外には出られるのか千良が尋ねると、信長の許可なく外出はできないと言われ、尚更なにをしろというのかわからなくなる。
「ご安心ください!必要な物は僕にお伝えくだされば用意致しますので」
用意すると言われても、部屋でできることなど限られており、何をしたらいいかなど思い付かない。
「そういえば、信長様はどちらに?」
「信長様でしたら、天守閣にある自室にて仕事をしておられます」
「そっか、じゃあ蘭丸くん・・、私のお話相手になってくれないかな?」
驚きの表情を浮かべる蘭丸を見て、こんなこと頼むのはよくなかったかなと千良は気にする。
「蘭丸くんなんて、初めて呼ばれました……」
「あっ!ごめんなさい、つい……。くんなんてよくないですよね」
苦笑いを浮かべる千良に蘭丸は、くんでいいですと口にする。
くん付けで呼ばれたのがよほど嬉しかったらしく、瞳をキラキラとさせ嬉しそうだ。
「じゃあ蘭丸くん、少し私の話し相手をお願いできますか?」
「はい、勿論です!」
その後千良は少しと言う時間を疾うに過ぎ、部屋が暗くなるまで蘭丸との会話を楽しんでいると、女中が夕食を運んできた。
「もうそんな時間でしたか。では、姫様は夕餉をお取りくださいませ。僕はこれで失礼致します」
「はい、蘭丸くん、ありがとうございました」
「いえ、僕の方こそ楽しかったので……。では、失礼致します」
蘭丸が部屋を出ていくと、なんだか一気に部屋の中が静かになった気がし、少し寂しさを感じる千良だったが、夕食を済ませると、一人窓から夜空を眺めていた。
すると、襖越しに声をかけられ返事をすると、女中が信長に頼まれ千良を呼びに来た。
一体なんの用事だろうかと思いながら女中に案内され、天守閣にある信長の部屋に通されると、千良は信長の前に座る。
「お前、姫ではないだろう」
「ッ……!?」
千良は今日同じことを信長から言われていることを思い出す。
今は、信長と千良の二人きりであり、誰に邪魔をされることもない。
信じてもらえないとしても、話すだけ話してみようと千良は自分のことを話す。
そして、それを聞いた信長は口を閉ざしたまま何も言おうとはせず、やはり、信じてもらえなかったのだろうかと千良が肩を落としかけたその時、やはりなと信長の声が聞こえた。
「え……?」
「別の世界から来たというのは考えもしなかったが、お前が姫でないことは直ぐにわかった」
何故わかったのかと千良が尋ねると、信長は千良の顎を持ち上げ、お前は姫とは違って面白いからだと答えた。
近い距離に話どころではなくなり、千良の鼓動は早鐘を打つ。
「フッ……ははは!やはりお前は見ていて飽きんな」
スッと顎を掴んでいた手が放されると、信長は吹き出すように笑いだす。
そんな信長の笑みに、この人もこんな風に笑うのだなと、千良も笑みが溢れる。
これからどうなるのかわからない戦国ライフだが、何とか上手くやっていけそうだ。
「お前なら、妻とするのも悪くないかもしれんな」
本気なのか冗談なのかわからない信長は、ちょっと危険な存在なのかもしれないと思う千良だった。
《完》