トンネルの中

 私は今、友達と心霊スポットに来ていた。
 よくある怖いもの見たさ、面白半分の悪ふざけ。
 男二人と女二人。
 訪れたのはトンネル。
 近くに車を止めて降りると、一人の男が「幽霊出て来ーい」と叫んだ。
 こんなことで呼べるわけないと笑うもう一人の男と「本当に出てきたらどうするの」と少し怖がる女二人の四人でトンネルの中へと入る。

 ガヤガヤ騒ぎながらスマホのライトで真っ暗なトンネルの中、足下を照らし進む。
 一体どこまで続いているのか、前は真っ暗闇。
 怖がる女二人は「もう帰ろうよ」と言うが、男二人は「折角だしトンネル抜けようぜ」と足を止めない。

 怖くなった女二人は「先に車まで戻ってるから」と言って引き返す。
 それでも奥へ奥へと進む二人は、ふと私の方を見る。



「お前は戻らなくていいのか?」

「怖いなら戻っててもいいんだぜ」



 ケラケラと笑う二人に、私は何も答えず首を横に振る。
 更に歩き続けること一時間。
 一向に出口どころか明かりすら見えない状況に男の一人は疲れて座り込み、もう一人はスマホでトンネルの中の写真を撮る。
 座り込む男をパシャリ。
 私の方にもスマホを向けてパシャリ。
 その写真に何か写ってたらなんて考えているんだろうけど、写りはしないだろう。

 少しして座っていた男が「もう帰ろうぜ」と言い出し、もう一人の男もこれ以上先の見えないトンネルを進むのは面倒になったのか頷く。
 こうして引き返しトンネルを抜けたのだが、先程一時間もかかったはずのトンネルはあっという間に元来た出口に出た。



「あれ、アンタらも引き返してきたの?」

「平気なふりしてたくせにダサーい」



 先に戻っていた二人の女がこちらを見るなりケラケラと笑う。
 一時間もトンネルを歩き続けたのに何言ってるんだか。
 そう思ったのも束の間、先程トンネルの中で写真を撮っていた男がスマホを見て固まる。
 どうしたんだと覗き込めば、時間は女二人と別れた直ぐを示していた。

 血の気が引く二人。
 そんなはずがないと、先程撮った写真を確認すると、そこには真っ暗なトンネルと地面に座る男の姿。
 撮った時刻を見ると、女二人と別れてすぐの時刻が表示されている。
 そして最後に撮った写真を見て、更に男二人はゾッとする。

 もう一枚、女を撮った筈の写真には真っ暗なトンネルだけが写っているだけ。
 確かに、トンネルの中と、地面に座る男、そして最後に女を撮った筈だ。



「なあ、そういえばさ。あの女、誰だっけ……」



 心霊スポットに来たのは男二人と女二人。
 なのに何故、男二人は不思議に思わず存在を受け入れていたのか。
 そしてあの女は一体何だったのか。
 もしかした、幽霊を呼んだから本当に出てきたのかもしれない。

 男二人の背筋に冷たい汗が伝い、四人は車でその場を離れた。
 一刻も早く、あの場所から逃げ出したくて。


《完》
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