近づく鈴の音
私の傍には猫がいる。
名前は無いと言いたいところだけど、ブルーという名を付けた。
毛は紺色。
瞳は青く美しい事から、ブルーと名をつけたんだけど、あまりに安直だなと自分でも思う。
ブルーは不思議な猫で、私以外の人には見えていない。
最初は幽霊かなにかなんだろうかと怖くもあったが、今ではとくに気にしていない。
ただ、首に付いた鈴でリンリンと奏でながら着いてくるだけの存在に、幽霊だとか怖いという感情は無くなっていた。
そんなある時、ふと思う。
ブルーの首には鈴が付いている。
なら、飼い猫だったんだろうか。
今まで心地良い音色にばかり気を取られ考えもしなかった。
「にゃー」
私が考えていることがわかるのか、ブルーはいつもタイミングよく鳴く。
今もそうだ。
「アナタ、本当に何者なの?」
その問に応えるように、ブルーは私のそばを離れると歩き出す。
立ち止まってこちらを見るブルー。
ついて来いと言っているみたいで、私はその後を追う。
離れすぎない微妙な距離を保ちながら歩くブルー。
しばらく歩いてついた先は、私が通う学校。
ブルーは校門を通り過ぎ、校舎の中へ入ると階段を上っていく。
着いたのは屋上。
まだ十七時過ぎの夕暮れ時のこの場所には、部活中の人達の声が聞こえる。
一体ここに来て何をするんだろうかとブルーを見ると、私の方を向き座ったその口がニッと笑う。
初めて見る猫の、ブルーの笑顔に背筋がゾクッとするのを感じる。
何故かはわからない。
だけど私の中で危険を知らせるサイレンが鳴っている。
この場から逃げ出せと警告するように。
先程まで眩しいくらいに照らしていた夕陽は一瞬にして消え。
聞こえていた生徒たちの声も聞こえなくなる。
闇が私を包む中。
ブルーの姿だけはハッキリと見えていた。
「ブルー……?」
震える声でその名を口にした瞬間、ニッと笑ったブルーの姿が瞳に映る──。
翌日。
朝のニュースで、屋上から飛び降りた生徒の話が流れた。
最近よく、色々な学校で飛び降り自殺が起きていた。
立て続けに起きたことから、自殺ではなく殺人じゃないかと捜査がされたものの、亡くなった生徒に接点もなく、最終的には自殺として扱われた。
「何か最近自殺のニュースばっかだよね」
「そうね。望結 、アナタは悩みとかないわよね?」
「あるわけないよー。じゃあ、行ってきまーす」
私に悩みなんてない。
明るさだけが取り柄なんだから。
なんて思いながら学校に向かっていたら「リンッ」と鈴の音が聞こえた。
いつの間にいたのか、私の足下には猫がいた。
瞳が青い、綺麗な猫が──。
《完》
名前は無いと言いたいところだけど、ブルーという名を付けた。
毛は紺色。
瞳は青く美しい事から、ブルーと名をつけたんだけど、あまりに安直だなと自分でも思う。
ブルーは不思議な猫で、私以外の人には見えていない。
最初は幽霊かなにかなんだろうかと怖くもあったが、今ではとくに気にしていない。
ただ、首に付いた鈴でリンリンと奏でながら着いてくるだけの存在に、幽霊だとか怖いという感情は無くなっていた。
そんなある時、ふと思う。
ブルーの首には鈴が付いている。
なら、飼い猫だったんだろうか。
今まで心地良い音色にばかり気を取られ考えもしなかった。
「にゃー」
私が考えていることがわかるのか、ブルーはいつもタイミングよく鳴く。
今もそうだ。
「アナタ、本当に何者なの?」
その問に応えるように、ブルーは私のそばを離れると歩き出す。
立ち止まってこちらを見るブルー。
ついて来いと言っているみたいで、私はその後を追う。
離れすぎない微妙な距離を保ちながら歩くブルー。
しばらく歩いてついた先は、私が通う学校。
ブルーは校門を通り過ぎ、校舎の中へ入ると階段を上っていく。
着いたのは屋上。
まだ十七時過ぎの夕暮れ時のこの場所には、部活中の人達の声が聞こえる。
一体ここに来て何をするんだろうかとブルーを見ると、私の方を向き座ったその口がニッと笑う。
初めて見る猫の、ブルーの笑顔に背筋がゾクッとするのを感じる。
何故かはわからない。
だけど私の中で危険を知らせるサイレンが鳴っている。
この場から逃げ出せと警告するように。
先程まで眩しいくらいに照らしていた夕陽は一瞬にして消え。
聞こえていた生徒たちの声も聞こえなくなる。
闇が私を包む中。
ブルーの姿だけはハッキリと見えていた。
「ブルー……?」
震える声でその名を口にした瞬間、ニッと笑ったブルーの姿が瞳に映る──。
翌日。
朝のニュースで、屋上から飛び降りた生徒の話が流れた。
最近よく、色々な学校で飛び降り自殺が起きていた。
立て続けに起きたことから、自殺ではなく殺人じゃないかと捜査がされたものの、亡くなった生徒に接点もなく、最終的には自殺として扱われた。
「何か最近自殺のニュースばっかだよね」
「そうね。
「あるわけないよー。じゃあ、行ってきまーす」
私に悩みなんてない。
明るさだけが取り柄なんだから。
なんて思いながら学校に向かっていたら「リンッ」と鈴の音が聞こえた。
いつの間にいたのか、私の足下には猫がいた。
瞳が青い、綺麗な猫が──。
《完》
1/1ページ
