二つの思いと一つの想い
もし二次元の世界に行けたら、好きなキャラと恋がしたい、魔法を使いたい、モンスターと戦いたい。
そんな考えを一度でもしたことがあるのなら、間違いだということに気づくべきだ。
現実が甘くないように、二次元の世界だって甘くはない。
魔法が使える世界に行けたとしても、コントロールなどの技術が必要になる。
モンスターと戦いたい、なんて論外。
本物を前にすれば、そんな世界とは無縁で生きてきた人は足が竦み、直ぐにあの世行き間違いなし。
好きなキャラと恋がしたいという考えも甘い。
二次元の世界に行けたからといって、好きなキャラが自分を好きになるかなどわからない。
こんな風に言い切れるのは、私の目の前にある現実がそう結論付けているから。
「おい、俺様の為に茶を淹れろ」
「自分で淹れなさいよ。この居候が」
「人間風情が、俺様によくもそんな口が聞けるな」
偉そうに命令するこの男は、アニメに登場する敵役の魔王。
勇者と恋に落ちた姫を拐い、二人の仲を裂くのがアニメ内での魔王の役割。
最後は、勇者が魔王から姫を取り戻しハッピーエンドを迎えるという王道パターン。
アニメ内容はありきたりすぎて興味はなかったけれど、魔王の顔が私好みという理由だけで見ていた。
そんな二次元のキャラが突然リアルに現れて、驚きよりも先に、これから魔王との恋が始まるのではないかという期待が膨らむも、現実は違った。
私好みの顔であることにかわりはないが、性格は俺様。
全てに対して偉そう。
知っていたはずなのに、リアルでされるとイラッとする。
これではただの俺様現代人。
正直追い出してやりたいところだけど、魔王がこの世界で知ってるのは私だけ。
必然的に厄介事は、私に降りかかると予想できる。
選べる選択肢はないまま一緒に暮らし始めた訳だが、俺様態度を取られ続け、バチバチと火花を散らす二人の間には、恋どころか友情すら芽生える気配はない。
「何度言えばわかるのよ。ここは私の家なんだから、偉そうに命令しないで」
「小娘の分際で、俺様に楯突くきか?」
お怒りモードの魔王に、私は必殺何もしないを発動する。
私が何もしなければ、魔王がこの世界でできることなどあるはずもない。
「いいのー? 私が何もしなくなって」
「くッ……今回は許してやるから、茶を淹れろ」
まだ態度が良くならない魔王に笑みを浮かべ「聞こえませんね」と一言いえば、悔しそうな表情を浮かべながらも重い口が開く。
「すみ、ま、せん……お茶を淹れて、いただけ、ますか」
「よろしい。最初からそういえばいいのよ」
「くッ、何故この俺様がこんな小娘ごときに……」
好きなキャラが現れて期待したこともあったけれど、この俺様の性格はアニメだから許せたんだと現実を知り、今では魔王を脅すまでになってしまった。
前に怒った私が何もしなくなったら、魔王はかなり困っていた。
それ以降、私がこの必殺技を発動すると不服ながらも従うようになったので、たまに発動している。
あまり使いすぎると効果が薄れたり、魔王の怒りが爆発するかもしれないので程々に。
お茶を淹れた湯呑みを魔王の前に置き、自分の分の湯呑みを片手にソファへと座る。
チラリと魔王を見れば、先程までぷんすこ怒っていたのが、お茶を飲んだことで満足げ。
その単純さは子供のようで、なんだか可愛らしく思えて口元が緩む。
「気味の悪い奴だな。何をニヤけている」
「別にー」
魔王と過ごす日々は日常となり、アニメの世界から来た人物だということも日に日に忘れていく。
二人でショッピングへ行ったりと楽しい日々を過ごすうちに、私の心は変化していった。
そんなことを考えていると、俺様魔王がリビングに現れた。
また何か命令をするのではと思っていたのだが、聞こえた言葉に首を傾げる。
聞き間違いだろうかと思っていると「出掛けるぞ」と、二度目の同じ言葉。
一緒に暮らし始めて、魔王から誘ってくれたのは初めての事。
普段魔王は、自分のことすらまともにせず、私に任せっきり。
買い物も、一人分の食事が増えるからと、無理矢理付き合わせて荷物運びをさせているくらいだ。
それが、自分から誘うなんて、もしかして熱でもあるんじゃないかと額に手で触れる。
そんな考えを一度でもしたことがあるのなら、間違いだということに気づくべきだ。
現実が甘くないように、二次元の世界だって甘くはない。
魔法が使える世界に行けたとしても、コントロールなどの技術が必要になる。
モンスターと戦いたい、なんて論外。
本物を前にすれば、そんな世界とは無縁で生きてきた人は足が竦み、直ぐにあの世行き間違いなし。
好きなキャラと恋がしたいという考えも甘い。
二次元の世界に行けたからといって、好きなキャラが自分を好きになるかなどわからない。
こんな風に言い切れるのは、私の目の前にある現実がそう結論付けているから。
「おい、俺様の為に茶を淹れろ」
「自分で淹れなさいよ。この居候が」
「人間風情が、俺様によくもそんな口が聞けるな」
偉そうに命令するこの男は、アニメに登場する敵役の魔王。
勇者と恋に落ちた姫を拐い、二人の仲を裂くのがアニメ内での魔王の役割。
最後は、勇者が魔王から姫を取り戻しハッピーエンドを迎えるという王道パターン。
アニメ内容はありきたりすぎて興味はなかったけれど、魔王の顔が私好みという理由だけで見ていた。
そんな二次元のキャラが突然リアルに現れて、驚きよりも先に、これから魔王との恋が始まるのではないかという期待が膨らむも、現実は違った。
私好みの顔であることにかわりはないが、性格は俺様。
全てに対して偉そう。
知っていたはずなのに、リアルでされるとイラッとする。
これではただの俺様現代人。
正直追い出してやりたいところだけど、魔王がこの世界で知ってるのは私だけ。
必然的に厄介事は、私に降りかかると予想できる。
選べる選択肢はないまま一緒に暮らし始めた訳だが、俺様態度を取られ続け、バチバチと火花を散らす二人の間には、恋どころか友情すら芽生える気配はない。
「何度言えばわかるのよ。ここは私の家なんだから、偉そうに命令しないで」
「小娘の分際で、俺様に楯突くきか?」
お怒りモードの魔王に、私は必殺何もしないを発動する。
私が何もしなければ、魔王がこの世界でできることなどあるはずもない。
「いいのー? 私が何もしなくなって」
「くッ……今回は許してやるから、茶を淹れろ」
まだ態度が良くならない魔王に笑みを浮かべ「聞こえませんね」と一言いえば、悔しそうな表情を浮かべながらも重い口が開く。
「すみ、ま、せん……お茶を淹れて、いただけ、ますか」
「よろしい。最初からそういえばいいのよ」
「くッ、何故この俺様がこんな小娘ごときに……」
好きなキャラが現れて期待したこともあったけれど、この俺様の性格はアニメだから許せたんだと現実を知り、今では魔王を脅すまでになってしまった。
前に怒った私が何もしなくなったら、魔王はかなり困っていた。
それ以降、私がこの必殺技を発動すると不服ながらも従うようになったので、たまに発動している。
あまり使いすぎると効果が薄れたり、魔王の怒りが爆発するかもしれないので程々に。
お茶を淹れた湯呑みを魔王の前に置き、自分の分の湯呑みを片手にソファへと座る。
チラリと魔王を見れば、先程までぷんすこ怒っていたのが、お茶を飲んだことで満足げ。
その単純さは子供のようで、なんだか可愛らしく思えて口元が緩む。
「気味の悪い奴だな。何をニヤけている」
「別にー」
魔王と過ごす日々は日常となり、アニメの世界から来た人物だということも日に日に忘れていく。
二人でショッピングへ行ったりと楽しい日々を過ごすうちに、私の心は変化していった。
そんなことを考えていると、俺様魔王がリビングに現れた。
また何か命令をするのではと思っていたのだが、聞こえた言葉に首を傾げる。
聞き間違いだろうかと思っていると「出掛けるぞ」と、二度目の同じ言葉。
一緒に暮らし始めて、魔王から誘ってくれたのは初めての事。
普段魔王は、自分のことすらまともにせず、私に任せっきり。
買い物も、一人分の食事が増えるからと、無理矢理付き合わせて荷物運びをさせているくらいだ。
それが、自分から誘うなんて、もしかして熱でもあるんじゃないかと額に手で触れる。
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