夢から逃げられない
夢、それは、人が寝ている中で見るもの。
もしその夢が、何かを意味していたらどうするだろう──。
朝目を覚ますと、私は服まで汗で濡れていた。
嫌な夢を見た気がするのに思い出せない。
そんな日が数日続いたある日、私はこのことを友達に話した。
「うーん、同じ夢を見てるのかな?」
「わからない。でも、凄く怖い夢だったことは覚えてる。何か眠るのが最近怖くて」
そんな私に友達が提案したのは、夢を紙にメモること。
人は寝てるときに途中で目を覚ましたりすることがあるが、その時は夢を覚えていたりする。
なので忘れてしまうなら、覚えているうちにメモをとればいいのではないかと提案してくれた。
私はその夜友達に言われた通り、枕元に紙とボールペンを置いて眠りについた。
翌朝目を覚ますと、またも服は汗でぐっしょり。
変わらず夢の内容は覚えていない。
枕元に置いていた紙に視線を向けると、書いた覚えはないが文字が書かれている。
「黒、刃物……死」
単語だけ書かれていた言葉の最後に『死』と書かれてあり、何だか不気味に感じた。
それに、前の二つの言葉も気になる。
その日の夜も、昨夜と同じ様に枕元に紙とボールペンを置き眠る。
翌朝紙に書いてあったのは「フード、夜、死」の文字。
これだけでは同じ夢なのかすらわからないため、毎晩続けた。
そして繰り返すうちに一つ気づいてしまった。
必ず最後に『死』という文字だけが変わらず書かれていることに。
そんな日々を繰り返すうちに、私の体調は悪くなっていく。
学校帰りの駅のホーム。
すでに空は暗くなり始めていた。
立っていると目眩がし始め、意識が遠退く感覚に危ないと感じたとき、後ろから誰かがぶつかる。
顔だけを後ろに向けると、黒いフードを被った青年の姿。
ニヤリと笑みを浮かべた青年が離れると、その手には赤く染まったナイフ。
「思い出した……」
フラフラとした足取りで私の身体は線路へと背中から落ちる。
その瞬間私の視界に映ったのは綺麗なお月様と、横から迫りくる光だった。
それは、夢で見た光景そのもの。
《完》
もしその夢が、何かを意味していたらどうするだろう──。
朝目を覚ますと、私は服まで汗で濡れていた。
嫌な夢を見た気がするのに思い出せない。
そんな日が数日続いたある日、私はこのことを友達に話した。
「うーん、同じ夢を見てるのかな?」
「わからない。でも、凄く怖い夢だったことは覚えてる。何か眠るのが最近怖くて」
そんな私に友達が提案したのは、夢を紙にメモること。
人は寝てるときに途中で目を覚ましたりすることがあるが、その時は夢を覚えていたりする。
なので忘れてしまうなら、覚えているうちにメモをとればいいのではないかと提案してくれた。
私はその夜友達に言われた通り、枕元に紙とボールペンを置いて眠りについた。
翌朝目を覚ますと、またも服は汗でぐっしょり。
変わらず夢の内容は覚えていない。
枕元に置いていた紙に視線を向けると、書いた覚えはないが文字が書かれている。
「黒、刃物……死」
単語だけ書かれていた言葉の最後に『死』と書かれてあり、何だか不気味に感じた。
それに、前の二つの言葉も気になる。
その日の夜も、昨夜と同じ様に枕元に紙とボールペンを置き眠る。
翌朝紙に書いてあったのは「フード、夜、死」の文字。
これだけでは同じ夢なのかすらわからないため、毎晩続けた。
そして繰り返すうちに一つ気づいてしまった。
必ず最後に『死』という文字だけが変わらず書かれていることに。
そんな日々を繰り返すうちに、私の体調は悪くなっていく。
学校帰りの駅のホーム。
すでに空は暗くなり始めていた。
立っていると目眩がし始め、意識が遠退く感覚に危ないと感じたとき、後ろから誰かがぶつかる。
顔だけを後ろに向けると、黒いフードを被った青年の姿。
ニヤリと笑みを浮かべた青年が離れると、その手には赤く染まったナイフ。
「思い出した……」
フラフラとした足取りで私の身体は線路へと背中から落ちる。
その瞬間私の視界に映ったのは綺麗なお月様と、横から迫りくる光だった。
それは、夢で見た光景そのもの。
《完》
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