お礼画面

スキ!ありがとうございました🐣南烈夢載せますので良ければご覧下さいませ。
ヒロインは標準語で社会人設定です。


「お腹痛い…。」


ズキズキ痛むお腹を押さえてベッドから顔を出した私。月に一度の女の子の日で重い腰を動かして薬が入っている棚を開くと中身のない薬の空箱だと言う事に気が付いた。


「嘘でしょ?」


思わず声を出して床にへたり込んだ。幸い、今日は仕事は休みだけれど、薬無しで耐えるのは厳しい。いつもはなくなりそうなら買い置きしていたのに、仕事が多忙だったり、慌ただしい生活だったので忘れていたのだろう。
近所の大手薬局は近くになくて、徒歩で30分自転車だと10分ちょっとで行けるが、とてもじゃないがこの状態では難しい。
うーんと悩んでいると、そう言えば昔から個人で経営してる(と思われる)薬局が近くにあったよなと思い出した。確か、南龍生堂だっけ?
あの店員さん、顔が怖くて近寄り難いし入った事ないんだよなぁ…。
背が高くて目付きが悪い男性店員がいた事に行きたくない、でも薬が欲しいと葛藤する。が、腹痛が引く訳もないので渋々財布を持ってラフな格好に着替えて玄関へ向かった。


「いらっしゃいませー」


低い声がする方を見ればレジには例の強面の男性。笑顔を見せる訳でもなく、「いらっしゃいませ」の声もやる気なさげで何処か無愛想だ。
うう、やっぱり行くの嫌だったんだよ…。
でも、此処まで来たんだから早く買って帰ろう。私は客として来店してるんだから、堂々とすれば良いんだよ!と鼓舞し、薬が陳列されている棚を見るが、他社のメーカーの物はあるがいつも飲んでいる薬がなくてキョロキョロ辺りを見回した。決してマイナーな薬ではないしCMでもあるんだけどなぁ…。


「何かお探しでしょうか?」
「へぅっ!?」


変な声出たと口を抑えながら視線を上げれば、真顔で見詰めていた。


「あっ…えっと、いつも使っている生理薬がなくて…。」


スマホに映る薬の画像を見せた。


「申し訳ございません、只今品切れとなっておりまして…。此方は成分は同じでお値段も安めのジェネリック医薬品ですが如何でしょうか?」
「でしたら、それを下さい」
「畏まりました」


そう言ってレジへ案内され、簡単な薬の説明と支払いが終わり、「ありがとうございました」と頭を下げられた。
笑いはしないけど、親切丁寧な人だな…少し誤解してたかも。
お店を出ようとした時、安堵したからか、腹痛が途端にきゅうっとキツくなって、顔を歪めた。足がふらついて転けそうになる…が、来る筈の衝撃がなくて恐る恐る目を開けると…。


「大丈夫ですか?」


彼に支えられていた。白衣からは見えないが、筋肉質でがっしりした無駄肉のない腕に、不覚にもドキッと心臓が跳ねた。


「はい!すみません、重かったでしょう?」
「そんな事ないですよ。少々お待ち下さい」


よく見れば、顔は怖いけど結構イケメンよね…なんて思っていると、彼は背を向けて店の方に戻って行く。暫くするとカイロとカップスープを1個ずつ渡された。


「お腹冷やしたらあきませんから、貼ってください。後、食欲無いと思いますが、これは野菜が沢山入っているし、お湯を注げば簡単に出来ますので」
「そんなっ!お金、払いますよ!」


急いで鞄を漁る私の手を静止して、彼は首を横に振って、穏やかな笑みを浮かべた。


「いえいえ、弱ってる女性にそないな事出来ませんよ。サービス、です」


「他の人には内緒ですよ?」と指を口元に当ててこっそり話す彼にまたしても鼓動が鳴り、心拍数が高まっていくのを服越しに感じた。
こ、これは…反則でしょ…。多分、大抵の女性は堕ちると思う…勿論、私もその内の1人だけど。初めの嫌な気分が嘘のように晴れて、此れからは此処の薬局を利用しようかなと密かな決心をするのであった。


オマケ


「あんた、サービスするのはええけど、給料からしっかり引くからな」
「ええやん、ケチやなー。」
「それにしても、初めてちゃう?あんたがそんなに愛想振りまくの。もっと笑い!って言っても聞かん癖に」


ニヤニヤと肘を突くおかんに、「煩いわ!」と言い、エプロンを外しながら「休憩するから店番頼むわ」と言いながら、その場を後にした。心を落ち着かせる為に洗面所で顔を洗おうとしたら、頬が真っ赤な自分が映って、その熱を冷ますように冷たい水で洗った。
物凄くタイプの女が来たから変に焦ったわ…。普段、知り合いのおばさんか爺さんしか来うへんからな…。次、いつ来てくれるんか分からんけど、もし会ったら連絡先交換くらいしてもええよな?なんて思いながら。

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