真っ直ぐな貴方に魅せられて
ヒロインの名前
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小学生の頃からの幼馴染であるエリナとは高校でも一緒の所謂腐れ縁で、彼女に密かに恋心を抱いている。
そして、何れは海南の名に恥じぬ実力でスタメンの座を取った、天才ルーキーである俺様は現在、部活へ向かおうとしている。
夏のインターハイは準優勝と言う立派な成績を残したが、勝利への飢え故に1位を目指す為に、今日もハードな練習日和。バッシュや着替えが入った袋を肩に下げて階段へと向かうと話し声が聞こえて来る。
「お願いっ!この通りだからっ!明日、バイト休みでしょ?数合わせの為に駅前のカフェで合コンやるんだけど、参加してくれない!?21時頃に終わるんだけど」
「うーん…。」
大きめの甲高い声は木霊し、耳がキーンとなる程入ってくる。いつもなら、そんなの無視して部活へ向かうのに、俺は思わず足を止めて聞き耳を立てていた。
何故なら、今まさに考えていた幼馴染が話しているのだから。好きな人が何を話してるのか気にならない奴なんていないよなと思いながら、壁に隠れてこっそり2人の様子を覗く。
「この通り!エリナはクラスのマドンナ的存在だから来てくれたら絶対盛り上がるからさー」
「そんな、マドンナなんて、盛り過ぎだよ。でも、人助けと思って参加しようかな」
「本当に!?ありがとう〜!今度、新作のスタ●奢るから!」
バタバタ、と慌しく階段を降りながら、「皆に伝えて来るねー」と言うと、エリナは1人になり、先程の祭りのような賑やかさが嘘のように消えてしんと静まり返る。
それに反して俺の鼓動はバックンバックンと大きく鳴り、呼吸する事さえ忘れる程だった。人数合わせの為と言えど、“合コンへ行く”事実に変わりなく、もし彼氏が出来たらどんな顔で話せば良いのか分からない。否、気軽に話すのも難しいだろう。
途端に脳が思考を遮断して、現実逃避したくなる。早く、此処から逃げたい。こうなるのなら、速く部室へ向かうべきだったと後悔してもどうにもならない現状に奥歯をギリリと噛み締めるしか出来ない。
嫌な事を聞いてしまった。この気持ちを拭い去るが如く、部活で汗を流して忘れてしまいたいのに、身体は正反対で、まるで金縛りに遭ったみたいに動かない。
嘘だろ…?遅刻するとランニング+3周のペナルティが課っせられるのに。困惑していると背後から聞き慣れた声で話し掛けられた。
「信長?そんな所で突っ立って何やってんの?」
「神さん!?」
「どうして、此処に?」と問えば「日直で日誌を届ける所」と言いながら、学級日誌指差した。その声に気付いたのか、エリナが「ノブじゃん」と声を掛けて階段を登って此方へ向かって来る。
「もしかして、話聞いてた?」
「お、おう」
「盗み聞きとか趣味悪いね」
「人聞悪い事言うなよ、偶々聞こえただけだ!」
ムキになる俺に、くすくす笑うエリナ。その時、神さんが「何の話?」と聞くのでエリナが合コンへ参加する事を話す。
「へぇー、二階堂さんも行くんだ」
「へ?神さんも行くんですか?」
「うん。丁度、明日は部活が休みだし、息抜きも必要かなってね」
人差し指を口元に当てて、くすりと悪戯っぽく笑う神さん。普段は部活休みの事を考えると、何をして過ごすか考えるがそんな余裕がない俺は、明日なんて来なければ良いのに、と不可能な願望を描いていた。
「そうなんですね!神さんは私のクラスでファンな子が沢山いるから嬉しいと思いますよ!」
「ふふ、その中に二階堂さんがいれば良いんだけどね」
「えー?揶揄うのやめて下さいよー!」
それに対して、微笑むだけだが、ぼそりと「本気なんだけどな」と呟いたのを俺は聞き逃さなかった。
も、もしかして神さん、エリナの事が好きなのか?一体何時から?学年も違うし知り合う切っ掛けは…部活の様子を時々見学してたから知ったのか?だとすると、合コンで告白とかするのか?
妄想は肥大化している中、エリナを見ると和気藹々と話し込んでいるのを見て、焦りへと繋がる。
だからと言って、所詮は唯の幼馴染である俺は何も出来なくて、「急いでるんで」と言ってそのまま背を向けて走り出した。先程の金縛りのように動かなかった身体は今では嘘みたいだ。
それから、いつも通り部活に励んだがヤケクソになっているのか、ミスが続いた。
「清田。熱心なのは良いが、ミスは減らせよ。そんなんじゃ流川を越えるのは夢のまた夢だぞ」
「はい、すみません…。」
タオルを汗で拭い、髪を掻き上げる。頭では分かっているが、片隅には神さんと手を繋いで楽しそうに微笑むエリナが浮かぶ。それを消すかのように頭を左右に振るが、暫くしたら浮上する。
その様子を遠巻きで神さんが見詰めて何かを閃いた顔していた事に俺は気付かなかった。
部活の時間が終わりを告げ、後片付けを済ませて下駄箱へ向かうとエリナが柱にもたれ掛かっていて、目が合うと笑顔で手を振ってきた。
「どうしたんだよ、こんな遅くまで」
「来週の課題でグループプレゼンがあるんだけど、資料探しに図書館で参考文献の引用をしてたら、この時間になっちゃってさ。そろそろ部活が終わる時間だし、ノブと久し振りに一緒に帰ろうと思って」
些細な事だけど、俺と一緒に帰りたいと思っていた彼女に思わず胸がキュンと高鳴った。
「カッカッカ!いいぜ、天才ルーキーが帰ってやるよ」
「ふふ、上から目線なの生意気ね」
そう言いながら頭を小突かれた。それが背の低いエリナは背伸びをして手を伸ばすのが可愛過ぎる。それでいて、全く痛くないのだ。しかし、次の一言で別の意味で痛い思いをする羽目になるのであった。
「あー、明日の合コン緊張する。初めてなんだよね。男女の出会いの場に行くの。やっぱ断っておけば良かったかなぁ」
ずーーんっと肩の重力が重くのし掛かるような感覚が起こる。
数合わせと言っても、クラスの男子が放って置く訳がない。恐らく、樹木の多い木に引き寄せられるカブトムシの如く、明日はエリナの周りに男がわんさか群がるに違いない。
そう思うと、俺の顔からは笑顔が消えて真顔へと変わる。それを不審に思ったエリナは、眉を顰めて「どうかした?」と聞いてくる。
理不尽だが、口には出していないが気持ちを察してくれない彼女にも苛立ちを感じてつい、気が付いたらキツめの言葉を投げ掛けていた。
そして、何れは海南の名に恥じぬ実力でスタメンの座を取った、天才ルーキーである俺様は現在、部活へ向かおうとしている。
夏のインターハイは準優勝と言う立派な成績を残したが、勝利への飢え故に1位を目指す為に、今日もハードな練習日和。バッシュや着替えが入った袋を肩に下げて階段へと向かうと話し声が聞こえて来る。
「お願いっ!この通りだからっ!明日、バイト休みでしょ?数合わせの為に駅前のカフェで合コンやるんだけど、参加してくれない!?21時頃に終わるんだけど」
「うーん…。」
大きめの甲高い声は木霊し、耳がキーンとなる程入ってくる。いつもなら、そんなの無視して部活へ向かうのに、俺は思わず足を止めて聞き耳を立てていた。
何故なら、今まさに考えていた幼馴染が話しているのだから。好きな人が何を話してるのか気にならない奴なんていないよなと思いながら、壁に隠れてこっそり2人の様子を覗く。
「この通り!エリナはクラスのマドンナ的存在だから来てくれたら絶対盛り上がるからさー」
「そんな、マドンナなんて、盛り過ぎだよ。でも、人助けと思って参加しようかな」
「本当に!?ありがとう〜!今度、新作のスタ●奢るから!」
バタバタ、と慌しく階段を降りながら、「皆に伝えて来るねー」と言うと、エリナは1人になり、先程の祭りのような賑やかさが嘘のように消えてしんと静まり返る。
それに反して俺の鼓動はバックンバックンと大きく鳴り、呼吸する事さえ忘れる程だった。人数合わせの為と言えど、“合コンへ行く”事実に変わりなく、もし彼氏が出来たらどんな顔で話せば良いのか分からない。否、気軽に話すのも難しいだろう。
途端に脳が思考を遮断して、現実逃避したくなる。早く、此処から逃げたい。こうなるのなら、速く部室へ向かうべきだったと後悔してもどうにもならない現状に奥歯をギリリと噛み締めるしか出来ない。
嫌な事を聞いてしまった。この気持ちを拭い去るが如く、部活で汗を流して忘れてしまいたいのに、身体は正反対で、まるで金縛りに遭ったみたいに動かない。
嘘だろ…?遅刻するとランニング+3周のペナルティが課っせられるのに。困惑していると背後から聞き慣れた声で話し掛けられた。
「信長?そんな所で突っ立って何やってんの?」
「神さん!?」
「どうして、此処に?」と問えば「日直で日誌を届ける所」と言いながら、学級日誌指差した。その声に気付いたのか、エリナが「ノブじゃん」と声を掛けて階段を登って此方へ向かって来る。
「もしかして、話聞いてた?」
「お、おう」
「盗み聞きとか趣味悪いね」
「人聞悪い事言うなよ、偶々聞こえただけだ!」
ムキになる俺に、くすくす笑うエリナ。その時、神さんが「何の話?」と聞くのでエリナが合コンへ参加する事を話す。
「へぇー、二階堂さんも行くんだ」
「へ?神さんも行くんですか?」
「うん。丁度、明日は部活が休みだし、息抜きも必要かなってね」
人差し指を口元に当てて、くすりと悪戯っぽく笑う神さん。普段は部活休みの事を考えると、何をして過ごすか考えるがそんな余裕がない俺は、明日なんて来なければ良いのに、と不可能な願望を描いていた。
「そうなんですね!神さんは私のクラスでファンな子が沢山いるから嬉しいと思いますよ!」
「ふふ、その中に二階堂さんがいれば良いんだけどね」
「えー?揶揄うのやめて下さいよー!」
それに対して、微笑むだけだが、ぼそりと「本気なんだけどな」と呟いたのを俺は聞き逃さなかった。
も、もしかして神さん、エリナの事が好きなのか?一体何時から?学年も違うし知り合う切っ掛けは…部活の様子を時々見学してたから知ったのか?だとすると、合コンで告白とかするのか?
妄想は肥大化している中、エリナを見ると和気藹々と話し込んでいるのを見て、焦りへと繋がる。
だからと言って、所詮は唯の幼馴染である俺は何も出来なくて、「急いでるんで」と言ってそのまま背を向けて走り出した。先程の金縛りのように動かなかった身体は今では嘘みたいだ。
それから、いつも通り部活に励んだがヤケクソになっているのか、ミスが続いた。
「清田。熱心なのは良いが、ミスは減らせよ。そんなんじゃ流川を越えるのは夢のまた夢だぞ」
「はい、すみません…。」
タオルを汗で拭い、髪を掻き上げる。頭では分かっているが、片隅には神さんと手を繋いで楽しそうに微笑むエリナが浮かぶ。それを消すかのように頭を左右に振るが、暫くしたら浮上する。
その様子を遠巻きで神さんが見詰めて何かを閃いた顔していた事に俺は気付かなかった。
部活の時間が終わりを告げ、後片付けを済ませて下駄箱へ向かうとエリナが柱にもたれ掛かっていて、目が合うと笑顔で手を振ってきた。
「どうしたんだよ、こんな遅くまで」
「来週の課題でグループプレゼンがあるんだけど、資料探しに図書館で参考文献の引用をしてたら、この時間になっちゃってさ。そろそろ部活が終わる時間だし、ノブと久し振りに一緒に帰ろうと思って」
些細な事だけど、俺と一緒に帰りたいと思っていた彼女に思わず胸がキュンと高鳴った。
「カッカッカ!いいぜ、天才ルーキーが帰ってやるよ」
「ふふ、上から目線なの生意気ね」
そう言いながら頭を小突かれた。それが背の低いエリナは背伸びをして手を伸ばすのが可愛過ぎる。それでいて、全く痛くないのだ。しかし、次の一言で別の意味で痛い思いをする羽目になるのであった。
「あー、明日の合コン緊張する。初めてなんだよね。男女の出会いの場に行くの。やっぱ断っておけば良かったかなぁ」
ずーーんっと肩の重力が重くのし掛かるような感覚が起こる。
数合わせと言っても、クラスの男子が放って置く訳がない。恐らく、樹木の多い木に引き寄せられるカブトムシの如く、明日はエリナの周りに男がわんさか群がるに違いない。
そう思うと、俺の顔からは笑顔が消えて真顔へと変わる。それを不審に思ったエリナは、眉を顰めて「どうかした?」と聞いてくる。
理不尽だが、口には出していないが気持ちを察してくれない彼女にも苛立ちを感じてつい、気が付いたらキツめの言葉を投げ掛けていた。
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