今日は私の誕生日っ!
ヒロインの名前
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時刻は20時過ぎ。電車で揺られる事30分。最寄駅に着いて電子カードを改札口に翳す。
周辺には仕事疲れのサラリーマンやこれから飲み会の約束を電話で話している女性の方などで賑わっていた。そんな中、私はコンビニである物を購入した後、分け目も振らずに我が家への足を進めた。
マンションの階段を1段ずつ上がってアニメのキャラクターのキーホルダーが付いた鍵をポーチから取り出して、鍵穴に入れて、ドアノブを回す。
「はーーっ、5連勤つっかれたー。」
ドサッと鞄を自室に置き、コートをハンガーに掛けた後、うがいと手洗いをする為に洗面所へ向かう。
そのついでにコンタクトを外して化粧も落として、座布団の上にぼすんっ、と座った時の開放感と言ったら。言葉で表現しきれない解放感がある。明日が休みなのもあるからだろうけど。
鞄からガサゴソとコンビニで買った新作の、1人用の小さなカップに入ったクリーム多めの苺ケーキと付けてくれたプラスチック製のスプーンの入った袋を机の上に置いた。
「誕生日おめでとう、私」
家族や友達にLI●Eでおめでとうメッセージを貰い、言葉だけとは言え、それなりに祝って貰ったので悪い気はしない。ただ、半分以上は会社にいたのは少し残念な気もしたが…繁忙期だもん、仕方ないよねと思いながら。晩ご飯の後にデザートとして食べたかったけれど、今は甘い物が食べたい口になっているから後でいいや。
ケーキの前に手を合わせて、カップに付いたテープを剥がすと、クリームが手に付いた。
一口舌で舐めとると、それはもう…ケーキ屋で売っていても不思議じゃないくらいに濃厚且つ甘過ぎない、白米のように幾らでも食べられそうな味に口内の唾液の分泌量が増えていく。
1人寂しく部屋でケーキを食べるなんて寂しいと思ってはいけない。それを吹き飛ばすように、味わって舌触りを確認するように堪能した。
子供の頃は好きなケーキ屋のショーケースの前に顔をべったり付けて凄く悩んで、親に「早く決めなさいよ」と苦笑いされたのに、今ではコンビニかぁ…。別に、ケーキ屋じゃないからどうって訳ではないけれど、随分簡易的に済ませるようになったなぁなんて染み染み思う。
恋人の彰は、【誕生日おめでとう!仕事で長引いちゃって…一緒に祝えなくてごめんな】と連絡が届いていた。【ううん、大丈夫!仕事頑張って!】とポンポンを持って応援しているペンギンのスタンプを送ってスマホの電源ボタンを押した。
「……もう26、かぁ」
早いよねぇ…成人式の日から6年も経つんだ…。当時、周りから30なんてあっという間と耳にタコが出来るくらい言われてた事が現実に起こった。
そろそろ親から結婚だの孫の顔が見たいだの言われて、1年以上実家に帰省していない。
「……彰は私と結婚する気、あるのかしら」
ぽつりと溢した独り言は静寂な夜に包まれて消えていった。
付き合って2年以上経つが、結婚の「け」の字も聞いた事ないし、将来のビジョンを見据えている話をした記憶もない。
彼は優しいし仕事も出来て異性からはモテモテで。それは彼女の私が一番分かっているけれど、つまり…遊び、なのかな?ぶっちゃけ、私と別れたとしても幾らでも言い寄ってくる女性は星の数程いる。
私はこれと言って秀でた才能がある訳でもない、特別美人でもない極々普通のしがないOL。履いて捨てる程いる人間の1人に過ぎないのだ。もしかして、仕事なんて言って私の誕生日に他の金髪美女と一晩共にしていたりして……。
「あー、何考えてんの私、馬鹿みたいっ」
折角誕生日なんだからと、ネガティブな妄想を掻き消すように首を左右に振って残りのケーキを一気に食べた。
それから昨日の残り物を適当に食べて入浴を済ませた。時計の針は22時を回っている。
少し早いけど瞼が重いので寝ようかしら…そう思って電気を消そうとした時だった。インターホンがピンポーン…と鳴り響く。
「こんな夜に…誰?変な勧誘とかじゃないよね?」
再生ボタンを押下して、モニター画面に映る姿を見て、重い瞼が嘘のように開いた。
起きた時に、クリスマスプレゼントが枕元に置いてあった子供のように嬉しくなった私は、足早に玄関のドアを開けると、其処には会いたかった彰が眉を八の字にして微笑んだ。
「来てくれたんだ…!確か、明日も仕事でしょ?」
「うん。昼からだから間に合うと思うし。それに…直接顔を見て言いたかった」
その時、ギュッと強く抱き締められて耳元で低い声で囁かれた。
「誕生日、おめでとう。日が跨ぐまで2時間切っちゃったけどその時間、俺に使ってくれない?」
「勿論…!」
そう言って玄関に入れて、彰はリビングのソファに座った。
「大した物は作れないけど…。」
「全然良いよ!エリナちゃんの料理は何でも美味しいから!」
「もうっ!煽ても何もしないよ?」
「お腹ペコペコだったんだ」とご飯を楽しみにしている姿が可愛くて、こんな事なら手の込んだ料理を作っておけば良かったと少し後悔した。準備している間、彰にはお風呂に入って貰う事にした。「一緒に入らないの?」としょんぼりした顔が可愛くてきゅんっとしたのを悟られないように、照れ隠しで「子供じゃないんだから早くしなさい!」と言ってバスタオルを持たせて背中をグイグイ押した。
「…ふぅ。本当、彰といると退屈しないわ」
冷蔵庫にある材料を使って炒飯と、冷凍の餃子を焼いてテーブルに並べていると、お風呂から上がって髪が垂れている彰が出てきた。
ツンツン頭の彼しか知らない人は可哀想と思うくらい、風呂上がりのタオルを首に掛けて水が含んだ髪が重力で垂れている色気ムンムンのイケメンなのだ。ドクンドクン…と鼓動が早くなり、音が聞こえていないか心配になりそうだ。
何回も見た事はある私ですら、未だに凝視すると顔が真っ赤に染まりそうだ。あまりの綺麗さに鼻血が出る人もいるのではないだろうか。
「美味しい!餃子もパリパリだし!短時間で作れるの凄いよ」
「ふふ、ありがとう。一杯褒めてくれて」
頭をよしよしと撫でると、「子供扱いしないでくれよ」と困ったように笑う。
ああ、好きだわ〜この瞬間。と側から見ればバカップル感丸出しの私達。でも、仕事頑張って乗り切ったから許して欲しい。先程までのマイナスな妄想が嘘のように晴れて、心の中は太陽が顔を出す。
夢見心地な気分にうっとりしていると、真剣な顔の彰の瞳に私が映った。まるで、コート上にいる彼みたいで思わず、身構えてしまう。
「……ずっと、言いたい事あったから、さ。中々…勇気出なくて言えなかったけど」
「……どうしたの、急に」
首を傾げる私をよそに、彰は鞄から何か紙を取り出して手渡す。それを反射的に受け取って見ると、ブランドに疎い私でも知ってる複数のブランド店のジュエリーショップのパンフレットだった。
「もしかして、誕生日プレゼント?」
「ううん、違う」
「え?じゃあ…これは…。」
「…今すぐじゃなくて良いから結婚…して下さい。プレゼントは…俺の愛で、どうかな?」
結婚?俺の愛?
唐突過ぎて解釈するのに時間が掛かった。新手のギャグか何か?そんな冗談言うような人だったっけ?
えーと、つまりはその…プ、プロポーズ…って奴ですか?これが俗に言う…ドラマや恋愛漫画で何度も見てきた、あの?
混乱しながらも脳が【プロポーズ】と認識した瞬間、恐らく、林檎のように赤く染まっているであろう頬を手で押さえながら口をぱくぱくしていると彰は笑った。
「はは、何つー顔してんだよ」
「それを言ったら彰だって、口の端にご飯粒付いてるじゃない!」
「え、マジで!?ごめん、もう一回やり直させて!」
「駄目!男に二言はないでしょ!?」
「えー、やだよ!最初で最後のプロポーズがご飯粒付いてた顔なんて!」
「ちょっと、静かにしてよ!近所迷惑っ!」
段々声量が大きくなっていく彰の口を押さえて、しーっと人差し指を口元に当てた。
多分、この日この時は私が世界で一番幸福を感じている人間ではなかろうか。
緩み切った頬を抑えようとしても、表情筋が麻痺しているからかニヤニヤしてしまう。
嘘でしょ?と良い意味で疑ってしまいそうだ。数時間前の自分に軽く殴って「この幸せ者が!」と言いたいとさえ思った。もしかして、これは神様からのプレゼントなのでは?彰がくれた…と言うより神からの祝福…?と思考回路がパニック状態を起こして正常な判断が下せない脳味噌に自嘲気味に笑う。
あー、明日が休みで本当に良かった。確実に今夜は興奮して眠れないし、一日中顔がニヤけて集中出来ないの確定だよ。
それから私達は溶け合うようにお互いを求め合ってエッチをしたのは言うまでもない。
*END*
周辺には仕事疲れのサラリーマンやこれから飲み会の約束を電話で話している女性の方などで賑わっていた。そんな中、私はコンビニである物を購入した後、分け目も振らずに我が家への足を進めた。
マンションの階段を1段ずつ上がってアニメのキャラクターのキーホルダーが付いた鍵をポーチから取り出して、鍵穴に入れて、ドアノブを回す。
「はーーっ、5連勤つっかれたー。」
ドサッと鞄を自室に置き、コートをハンガーに掛けた後、うがいと手洗いをする為に洗面所へ向かう。
そのついでにコンタクトを外して化粧も落として、座布団の上にぼすんっ、と座った時の開放感と言ったら。言葉で表現しきれない解放感がある。明日が休みなのもあるからだろうけど。
鞄からガサゴソとコンビニで買った新作の、1人用の小さなカップに入ったクリーム多めの苺ケーキと付けてくれたプラスチック製のスプーンの入った袋を机の上に置いた。
「誕生日おめでとう、私」
家族や友達にLI●Eでおめでとうメッセージを貰い、言葉だけとは言え、それなりに祝って貰ったので悪い気はしない。ただ、半分以上は会社にいたのは少し残念な気もしたが…繁忙期だもん、仕方ないよねと思いながら。晩ご飯の後にデザートとして食べたかったけれど、今は甘い物が食べたい口になっているから後でいいや。
ケーキの前に手を合わせて、カップに付いたテープを剥がすと、クリームが手に付いた。
一口舌で舐めとると、それはもう…ケーキ屋で売っていても不思議じゃないくらいに濃厚且つ甘過ぎない、白米のように幾らでも食べられそうな味に口内の唾液の分泌量が増えていく。
1人寂しく部屋でケーキを食べるなんて寂しいと思ってはいけない。それを吹き飛ばすように、味わって舌触りを確認するように堪能した。
子供の頃は好きなケーキ屋のショーケースの前に顔をべったり付けて凄く悩んで、親に「早く決めなさいよ」と苦笑いされたのに、今ではコンビニかぁ…。別に、ケーキ屋じゃないからどうって訳ではないけれど、随分簡易的に済ませるようになったなぁなんて染み染み思う。
恋人の彰は、【誕生日おめでとう!仕事で長引いちゃって…一緒に祝えなくてごめんな】と連絡が届いていた。【ううん、大丈夫!仕事頑張って!】とポンポンを持って応援しているペンギンのスタンプを送ってスマホの電源ボタンを押した。
「……もう26、かぁ」
早いよねぇ…成人式の日から6年も経つんだ…。当時、周りから30なんてあっという間と耳にタコが出来るくらい言われてた事が現実に起こった。
そろそろ親から結婚だの孫の顔が見たいだの言われて、1年以上実家に帰省していない。
「……彰は私と結婚する気、あるのかしら」
ぽつりと溢した独り言は静寂な夜に包まれて消えていった。
付き合って2年以上経つが、結婚の「け」の字も聞いた事ないし、将来のビジョンを見据えている話をした記憶もない。
彼は優しいし仕事も出来て異性からはモテモテで。それは彼女の私が一番分かっているけれど、つまり…遊び、なのかな?ぶっちゃけ、私と別れたとしても幾らでも言い寄ってくる女性は星の数程いる。
私はこれと言って秀でた才能がある訳でもない、特別美人でもない極々普通のしがないOL。履いて捨てる程いる人間の1人に過ぎないのだ。もしかして、仕事なんて言って私の誕生日に他の金髪美女と一晩共にしていたりして……。
「あー、何考えてんの私、馬鹿みたいっ」
折角誕生日なんだからと、ネガティブな妄想を掻き消すように首を左右に振って残りのケーキを一気に食べた。
それから昨日の残り物を適当に食べて入浴を済ませた。時計の針は22時を回っている。
少し早いけど瞼が重いので寝ようかしら…そう思って電気を消そうとした時だった。インターホンがピンポーン…と鳴り響く。
「こんな夜に…誰?変な勧誘とかじゃないよね?」
再生ボタンを押下して、モニター画面に映る姿を見て、重い瞼が嘘のように開いた。
起きた時に、クリスマスプレゼントが枕元に置いてあった子供のように嬉しくなった私は、足早に玄関のドアを開けると、其処には会いたかった彰が眉を八の字にして微笑んだ。
「来てくれたんだ…!確か、明日も仕事でしょ?」
「うん。昼からだから間に合うと思うし。それに…直接顔を見て言いたかった」
その時、ギュッと強く抱き締められて耳元で低い声で囁かれた。
「誕生日、おめでとう。日が跨ぐまで2時間切っちゃったけどその時間、俺に使ってくれない?」
「勿論…!」
そう言って玄関に入れて、彰はリビングのソファに座った。
「大した物は作れないけど…。」
「全然良いよ!エリナちゃんの料理は何でも美味しいから!」
「もうっ!煽ても何もしないよ?」
「お腹ペコペコだったんだ」とご飯を楽しみにしている姿が可愛くて、こんな事なら手の込んだ料理を作っておけば良かったと少し後悔した。準備している間、彰にはお風呂に入って貰う事にした。「一緒に入らないの?」としょんぼりした顔が可愛くてきゅんっとしたのを悟られないように、照れ隠しで「子供じゃないんだから早くしなさい!」と言ってバスタオルを持たせて背中をグイグイ押した。
「…ふぅ。本当、彰といると退屈しないわ」
冷蔵庫にある材料を使って炒飯と、冷凍の餃子を焼いてテーブルに並べていると、お風呂から上がって髪が垂れている彰が出てきた。
ツンツン頭の彼しか知らない人は可哀想と思うくらい、風呂上がりのタオルを首に掛けて水が含んだ髪が重力で垂れている色気ムンムンのイケメンなのだ。ドクンドクン…と鼓動が早くなり、音が聞こえていないか心配になりそうだ。
何回も見た事はある私ですら、未だに凝視すると顔が真っ赤に染まりそうだ。あまりの綺麗さに鼻血が出る人もいるのではないだろうか。
「美味しい!餃子もパリパリだし!短時間で作れるの凄いよ」
「ふふ、ありがとう。一杯褒めてくれて」
頭をよしよしと撫でると、「子供扱いしないでくれよ」と困ったように笑う。
ああ、好きだわ〜この瞬間。と側から見ればバカップル感丸出しの私達。でも、仕事頑張って乗り切ったから許して欲しい。先程までのマイナスな妄想が嘘のように晴れて、心の中は太陽が顔を出す。
夢見心地な気分にうっとりしていると、真剣な顔の彰の瞳に私が映った。まるで、コート上にいる彼みたいで思わず、身構えてしまう。
「……ずっと、言いたい事あったから、さ。中々…勇気出なくて言えなかったけど」
「……どうしたの、急に」
首を傾げる私をよそに、彰は鞄から何か紙を取り出して手渡す。それを反射的に受け取って見ると、ブランドに疎い私でも知ってる複数のブランド店のジュエリーショップのパンフレットだった。
「もしかして、誕生日プレゼント?」
「ううん、違う」
「え?じゃあ…これは…。」
「…今すぐじゃなくて良いから結婚…して下さい。プレゼントは…俺の愛で、どうかな?」
結婚?俺の愛?
唐突過ぎて解釈するのに時間が掛かった。新手のギャグか何か?そんな冗談言うような人だったっけ?
えーと、つまりはその…プ、プロポーズ…って奴ですか?これが俗に言う…ドラマや恋愛漫画で何度も見てきた、あの?
混乱しながらも脳が【プロポーズ】と認識した瞬間、恐らく、林檎のように赤く染まっているであろう頬を手で押さえながら口をぱくぱくしていると彰は笑った。
「はは、何つー顔してんだよ」
「それを言ったら彰だって、口の端にご飯粒付いてるじゃない!」
「え、マジで!?ごめん、もう一回やり直させて!」
「駄目!男に二言はないでしょ!?」
「えー、やだよ!最初で最後のプロポーズがご飯粒付いてた顔なんて!」
「ちょっと、静かにしてよ!近所迷惑っ!」
段々声量が大きくなっていく彰の口を押さえて、しーっと人差し指を口元に当てた。
多分、この日この時は私が世界で一番幸福を感じている人間ではなかろうか。
緩み切った頬を抑えようとしても、表情筋が麻痺しているからかニヤニヤしてしまう。
嘘でしょ?と良い意味で疑ってしまいそうだ。数時間前の自分に軽く殴って「この幸せ者が!」と言いたいとさえ思った。もしかして、これは神様からのプレゼントなのでは?彰がくれた…と言うより神からの祝福…?と思考回路がパニック状態を起こして正常な判断が下せない脳味噌に自嘲気味に笑う。
あー、明日が休みで本当に良かった。確実に今夜は興奮して眠れないし、一日中顔がニヤけて集中出来ないの確定だよ。
それから私達は溶け合うようにお互いを求め合ってエッチをしたのは言うまでもない。
*END*
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