素直になれない
ヒロインの名前
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沢北とは幼稚園の頃からの付き合いで中学まではよくお互いの部屋に行ってお菓子を食べながらゲームをしたり、漫画の貸し借りだってする仲だった。そう、あくまで過去形だ。
中学卒業後はバスケ部強豪校として知られる山王高校に入学して、私は彼がいるからではなく、家から近いし他に行きたい高校がある訳ではないので山王を選んだ。
高校に上がってから彼は部活のハードな練習、私は課題やバイトで忙しくて面白いくらい2人でいる時間が減った。寧ろ、クラスも違うから話す機会もなくて擦れ違う時に頭を軽く下げる程度の関係になった。
「…げ、まただ」
放課後に図書館で課題をしようと思ったら階段の前で2人の男女がいる。沢北と他クラスの結構可愛い女の子だ。
「好きです、付き合って下さい!」
「ごめん、今は自分の事で精一杯で…。」
そう伝えると女の子は眉を八の字に下げて、「そっか…。ごめんね、時間取らせちゃって…。」と言って階段を降りて行った。
これで何度目だろう。沢北は山王バスケ部始まって以来の二枚目らしく、兎に角モテる。中学の頃は此処までモテてなかったのに。
…何で安心してる自分がいるんだろう。別に付き合ってないし、何なら呼び方も中学までは英治だったが、高校からは色々な中学から人が来るから、周りからの目もあるので沢北呼びに変えたし…。
「覗き見とはいい趣味だな、エリナは」
「ひぃっ!?」
壁に身を潜めていたのにバレていたのか、ひょこっと顔を出す沢北に私はお化けでも見たかのような反応をする。
「ひぃって、何だよその驚き方…。」
「あ…不快になったらごめん。私、図書館に用があるから」
バスケ部のエースで注目を集めている。もしかしたら誰かに見られている可能性もあるので当たり障りのない会話で乗り切ろうと、「それじゃ…行くね。部活頑張って」と言って足を進めたが、腕を引っ張られた。
背も伸びたし筋肉量も増えてるな、なんて暢気な事を考えていると目の前には眉間に皺を寄せた不機嫌な沢北の顔が映る。
「何よ、私急い…「何で急に余所余所しくなったんだよ」
話を遮って唐突な質問をしてくる物だから、瞬きを数回繰り返した。
「呼び方も沢北になったし話し掛けようとしても会釈して直ぐに立ち去ろうとするし」
「だって、中学の時と違って自由な時間が減ったし私達、単なる幼馴染でしょ」
そう言うと沢北は目を見開いて黙り込んだ。沈黙が2人の間に流れた。変な事言ってないよね?気まずい空気に俯く事しか出来ない私。そして、沢北の方から口を開いた。
「…そうかよ。単なる幼馴染か。ふーん」
「ふーんって…何その興味なさげな言い方」
「別に。図書館早く行けば?俺も部活あるし」
「言われなくたって行くよ」
急に素っ気ない態度を取るから私も少しイラッとして、強めの口調で答えて踵を返した。
本当、意味分かんない!昔はもっと純粋で可愛い所があったのに。情緒不安定か?それとも周囲の期待が大きくてストレスでも溜まってるのか?理解不能な言動に憶測を立てつつ、目的地に辿り着いたので椅子を引いて作業に取り掛かった。
******
翌日の放課後。「どうしても友達がバスケ部の練習を見に行きたいからついて来て」と言うから正直、昨日の事もあるから行きたくなかったけど隅の方で見てる分には大丈夫よねと思い、渋々承諾した。
「深津先輩格好良いなー。」
「確かに。冷静で落ち着きあるもんね」
沢北も少しは深津先輩見習えっての。と昨日の出来事を思い出す。すると、コート上に怒号が聞こえた。
「沢北!今日何回シュート外してんだ!気が緩んでるべ!」
「すみません!」
その様子を見て周りの人達が口々に話し出す。
「昨日から変なのよ。シュートが外れる事なんて殆どないのに3分の2は外してるし…。」
「体調悪いのかな?無理せず休んだら良いのに…。」
昨日…。もしかして、私のせい?心当たりはあるがそれは自惚れではないだろうか。別に恋人同士でもあるまいし【単なる幼馴染】の一言で部活に支障が出る程の精神的ダメージを与えていたのか。顎に手を当てて難しい顔をしていると、深津先輩が体育館の入り口…つまり、私に近付いて来ている。
…ん?お手洗いか、水飲みに来たのか?邪魔になるかなと思って道を開けようとしたら「二階堂って人は君かピョン?」と話し掛けられた。勿論、隣の友達は至近距離で見た為、林檎のように真っ赤な顔口をぱくぱくさせた。今にも頭上に湯気が出そうだ。
「ちょ、ちょっとエリナ!私を差し置いてどう言う関係なのよ!」
「誤解だよ!初めて話す人だよ!」
こそこそ話していたつもりだが深津先輩に丸聞こえだったらしい。
「悪いけど、少し借りるピョン」
「はい!どうぞどうぞ」
「ちょっ、何で私の許可なくOKしてんのよ!って…きゃっ」
腕を掴まれてズンズン歩いて行く彼の背中を見詰める事しか出来なかった。何だか最近、腕を掴まれる事多いなぁ…。
何処まで連れて行くんだろうと思っていたら足が止まり、体育館裏に着いた。
「あの…どうして私の名前をご存知なのですか?」
「沢北がよく口にする名前だからピョン。外見的特徴も聞いた事あって知っていたから…全て当てはまってるからもしかしてと思って聞いたら当たったピョン」
外見的特徴って…どんな風に言われていたんだろう。て言うかそれより、何で私の名前をよく口にしてんのよ!と心の中で突っ込んだ。
「…あいつ、今年の夏にアメリカに行くし、一番身近で見てきた二階堂さんにさっきの散漫なプレイを見てどう思ったか意見を聞きたくて話し掛けたピョン」
「悪い物でも食べたのか、あんな情けないプレイをアメリカ人が見たら確実に馬鹿にされるし、日本に泥を塗るような物だから破棄して欲しいピョン」と話を続ける深津先輩の横で私は目を見開き驚く事しか出来なかった。
…は?アメリカ?…一言も聞いてない。どうして大事な話を早く教えてくれなかったのかと沸々と感情が湧き上がる。
「二階堂さん…?」
「アメリカだろうと何処だろうと本人が行きたければ良いんじゃないですか?…すみません、お腹痛いので…失礼します」
ペコリと頭を下げて足早に去った。友達にLIN●で【ごめん、体調悪くなって先帰るね】と送った。
もう、もう…。一体何がしたいんだ?私も…沢北も。確かに高校になってからほぼ話さなくなったけど、アメリカに行くなんて大きな話を教えてくれなかったあいつと…【単なる幼馴染】でもLIN●や電話等幾らでも連絡手段はあるのに。
怒り、落胆、疑問が混ざり合って混沌としている。その時、沢北1人に心が掻き乱され過ぎている自分に気が付いた。
…どうして?幼馴染として?それとも…好き…だから?
混乱する頭を整理すべく、自分の胸に手を当てて深呼吸一つした。そして、もし彼がアメリカで美人な彼女が出来たら……と妄想してみると…。
「…すっっごく嫌だ…。」
ぽつりと零した言葉にそれが答えなんだと知る。そうか、…私は沢北の事が好きなのか。高2にもなって好きな気持ちに気付かずに恋心を抱いていたとはね。
「…はっ、だっさ。私。小学生かよ」
「本当、精神年齢は小学生かもな」
自嘲気味に笑うと背後に聞き慣れた声がして肩を上げた。
振り向くと其処には沢北が立っていて「探したぞ…。」と額に汗をじんわり滲ませてニコッと白い歯を出して笑って見せた。
「追い掛けて来たの…?」
「深津さんに事情は聞いたよ。…ごめん。アメリカの事言えなくて」
「言えなくて?言わなかったじゃなくて?」
「うん…。いつか言わなきゃとは思ってたんだけど、距離感が掴めなくて…もうエリナは前みたいに接してくれないから。その内その内って後回しにしてたら時間だけが過ぎていってさ。情けないよな、俺…。」
はは、と力無く笑って困った顔をするので私は首を横に振った。
「…ううん。私もごめん。勝手に距離を置いて。沢北が高校から急激に告白される回数が増えたから、仲良くしてたら他の子に勘違いされると思って…。」
「へー。単なる幼馴染じゃなかったのか」
「あっ」
ヤバい。昨日の返答と異なった事を口にして、矛盾が生まれたと今気付いたが時既に遅し。ニヤリと怪しく笑う沢北に、私はそっぽを向いた。
「素直じゃないなー、エリナちゃんは」
「むっ…。」
「アメリカから帰って来たら今よりもっとバスケ上手くなって良い男になって必ず迎えに来るから」
「なっ…分からないわよ?私だって彼氏出来るかもしれないし」
「その時は奪い返すさ」
何処からそんな自信が出てくるのか。いつものように少しお調子者で無邪気な彼に戻る。中学の頃の関係に戻ったみたいで胸の奥が温かくなっていった。
すると、ゴホンッと態とらしい咳払いがして振り向くと…ジト目の深津先輩が私達を一瞥し沢北の手を掴んで歩き出した。
「痛いですよ、深津さん!」
「黙れピョン。部活中にイチャつきやがってピョン。罰としてグラウンド10周追加だピョン」
「…げっ。勘弁して下さいよーっ!」
2人のやり取りを遠目から見て思わずくすりと笑ってしまう。
さて、アメリカから帰って来たら見違える程良い女になってやる。そう思ってスマホを開いてSNSで美容アカウントをフォローしたのであった。
*END*
あとがき
此処まで読んで下さってありがとうございました!初の沢北夢です。素直になれないヒロインと呼び方は昔から変わらず下の名前で呼ぶ沢北さん…。個人的に此処が萌えポイントです笑
少しでも気に入って頂けたら幸いです。
中学卒業後はバスケ部強豪校として知られる山王高校に入学して、私は彼がいるからではなく、家から近いし他に行きたい高校がある訳ではないので山王を選んだ。
高校に上がってから彼は部活のハードな練習、私は課題やバイトで忙しくて面白いくらい2人でいる時間が減った。寧ろ、クラスも違うから話す機会もなくて擦れ違う時に頭を軽く下げる程度の関係になった。
「…げ、まただ」
放課後に図書館で課題をしようと思ったら階段の前で2人の男女がいる。沢北と他クラスの結構可愛い女の子だ。
「好きです、付き合って下さい!」
「ごめん、今は自分の事で精一杯で…。」
そう伝えると女の子は眉を八の字に下げて、「そっか…。ごめんね、時間取らせちゃって…。」と言って階段を降りて行った。
これで何度目だろう。沢北は山王バスケ部始まって以来の二枚目らしく、兎に角モテる。中学の頃は此処までモテてなかったのに。
…何で安心してる自分がいるんだろう。別に付き合ってないし、何なら呼び方も中学までは英治だったが、高校からは色々な中学から人が来るから、周りからの目もあるので沢北呼びに変えたし…。
「覗き見とはいい趣味だな、エリナは」
「ひぃっ!?」
壁に身を潜めていたのにバレていたのか、ひょこっと顔を出す沢北に私はお化けでも見たかのような反応をする。
「ひぃって、何だよその驚き方…。」
「あ…不快になったらごめん。私、図書館に用があるから」
バスケ部のエースで注目を集めている。もしかしたら誰かに見られている可能性もあるので当たり障りのない会話で乗り切ろうと、「それじゃ…行くね。部活頑張って」と言って足を進めたが、腕を引っ張られた。
背も伸びたし筋肉量も増えてるな、なんて暢気な事を考えていると目の前には眉間に皺を寄せた不機嫌な沢北の顔が映る。
「何よ、私急い…「何で急に余所余所しくなったんだよ」
話を遮って唐突な質問をしてくる物だから、瞬きを数回繰り返した。
「呼び方も沢北になったし話し掛けようとしても会釈して直ぐに立ち去ろうとするし」
「だって、中学の時と違って自由な時間が減ったし私達、単なる幼馴染でしょ」
そう言うと沢北は目を見開いて黙り込んだ。沈黙が2人の間に流れた。変な事言ってないよね?気まずい空気に俯く事しか出来ない私。そして、沢北の方から口を開いた。
「…そうかよ。単なる幼馴染か。ふーん」
「ふーんって…何その興味なさげな言い方」
「別に。図書館早く行けば?俺も部活あるし」
「言われなくたって行くよ」
急に素っ気ない態度を取るから私も少しイラッとして、強めの口調で答えて踵を返した。
本当、意味分かんない!昔はもっと純粋で可愛い所があったのに。情緒不安定か?それとも周囲の期待が大きくてストレスでも溜まってるのか?理解不能な言動に憶測を立てつつ、目的地に辿り着いたので椅子を引いて作業に取り掛かった。
******
翌日の放課後。「どうしても友達がバスケ部の練習を見に行きたいからついて来て」と言うから正直、昨日の事もあるから行きたくなかったけど隅の方で見てる分には大丈夫よねと思い、渋々承諾した。
「深津先輩格好良いなー。」
「確かに。冷静で落ち着きあるもんね」
沢北も少しは深津先輩見習えっての。と昨日の出来事を思い出す。すると、コート上に怒号が聞こえた。
「沢北!今日何回シュート外してんだ!気が緩んでるべ!」
「すみません!」
その様子を見て周りの人達が口々に話し出す。
「昨日から変なのよ。シュートが外れる事なんて殆どないのに3分の2は外してるし…。」
「体調悪いのかな?無理せず休んだら良いのに…。」
昨日…。もしかして、私のせい?心当たりはあるがそれは自惚れではないだろうか。別に恋人同士でもあるまいし【単なる幼馴染】の一言で部活に支障が出る程の精神的ダメージを与えていたのか。顎に手を当てて難しい顔をしていると、深津先輩が体育館の入り口…つまり、私に近付いて来ている。
…ん?お手洗いか、水飲みに来たのか?邪魔になるかなと思って道を開けようとしたら「二階堂って人は君かピョン?」と話し掛けられた。勿論、隣の友達は至近距離で見た為、林檎のように真っ赤な顔口をぱくぱくさせた。今にも頭上に湯気が出そうだ。
「ちょ、ちょっとエリナ!私を差し置いてどう言う関係なのよ!」
「誤解だよ!初めて話す人だよ!」
こそこそ話していたつもりだが深津先輩に丸聞こえだったらしい。
「悪いけど、少し借りるピョン」
「はい!どうぞどうぞ」
「ちょっ、何で私の許可なくOKしてんのよ!って…きゃっ」
腕を掴まれてズンズン歩いて行く彼の背中を見詰める事しか出来なかった。何だか最近、腕を掴まれる事多いなぁ…。
何処まで連れて行くんだろうと思っていたら足が止まり、体育館裏に着いた。
「あの…どうして私の名前をご存知なのですか?」
「沢北がよく口にする名前だからピョン。外見的特徴も聞いた事あって知っていたから…全て当てはまってるからもしかしてと思って聞いたら当たったピョン」
外見的特徴って…どんな風に言われていたんだろう。て言うかそれより、何で私の名前をよく口にしてんのよ!と心の中で突っ込んだ。
「…あいつ、今年の夏にアメリカに行くし、一番身近で見てきた二階堂さんにさっきの散漫なプレイを見てどう思ったか意見を聞きたくて話し掛けたピョン」
「悪い物でも食べたのか、あんな情けないプレイをアメリカ人が見たら確実に馬鹿にされるし、日本に泥を塗るような物だから破棄して欲しいピョン」と話を続ける深津先輩の横で私は目を見開き驚く事しか出来なかった。
…は?アメリカ?…一言も聞いてない。どうして大事な話を早く教えてくれなかったのかと沸々と感情が湧き上がる。
「二階堂さん…?」
「アメリカだろうと何処だろうと本人が行きたければ良いんじゃないですか?…すみません、お腹痛いので…失礼します」
ペコリと頭を下げて足早に去った。友達にLIN●で【ごめん、体調悪くなって先帰るね】と送った。
もう、もう…。一体何がしたいんだ?私も…沢北も。確かに高校になってからほぼ話さなくなったけど、アメリカに行くなんて大きな話を教えてくれなかったあいつと…【単なる幼馴染】でもLIN●や電話等幾らでも連絡手段はあるのに。
怒り、落胆、疑問が混ざり合って混沌としている。その時、沢北1人に心が掻き乱され過ぎている自分に気が付いた。
…どうして?幼馴染として?それとも…好き…だから?
混乱する頭を整理すべく、自分の胸に手を当てて深呼吸一つした。そして、もし彼がアメリカで美人な彼女が出来たら……と妄想してみると…。
「…すっっごく嫌だ…。」
ぽつりと零した言葉にそれが答えなんだと知る。そうか、…私は沢北の事が好きなのか。高2にもなって好きな気持ちに気付かずに恋心を抱いていたとはね。
「…はっ、だっさ。私。小学生かよ」
「本当、精神年齢は小学生かもな」
自嘲気味に笑うと背後に聞き慣れた声がして肩を上げた。
振り向くと其処には沢北が立っていて「探したぞ…。」と額に汗をじんわり滲ませてニコッと白い歯を出して笑って見せた。
「追い掛けて来たの…?」
「深津さんに事情は聞いたよ。…ごめん。アメリカの事言えなくて」
「言えなくて?言わなかったじゃなくて?」
「うん…。いつか言わなきゃとは思ってたんだけど、距離感が掴めなくて…もうエリナは前みたいに接してくれないから。その内その内って後回しにしてたら時間だけが過ぎていってさ。情けないよな、俺…。」
はは、と力無く笑って困った顔をするので私は首を横に振った。
「…ううん。私もごめん。勝手に距離を置いて。沢北が高校から急激に告白される回数が増えたから、仲良くしてたら他の子に勘違いされると思って…。」
「へー。単なる幼馴染じゃなかったのか」
「あっ」
ヤバい。昨日の返答と異なった事を口にして、矛盾が生まれたと今気付いたが時既に遅し。ニヤリと怪しく笑う沢北に、私はそっぽを向いた。
「素直じゃないなー、エリナちゃんは」
「むっ…。」
「アメリカから帰って来たら今よりもっとバスケ上手くなって良い男になって必ず迎えに来るから」
「なっ…分からないわよ?私だって彼氏出来るかもしれないし」
「その時は奪い返すさ」
何処からそんな自信が出てくるのか。いつものように少しお調子者で無邪気な彼に戻る。中学の頃の関係に戻ったみたいで胸の奥が温かくなっていった。
すると、ゴホンッと態とらしい咳払いがして振り向くと…ジト目の深津先輩が私達を一瞥し沢北の手を掴んで歩き出した。
「痛いですよ、深津さん!」
「黙れピョン。部活中にイチャつきやがってピョン。罰としてグラウンド10周追加だピョン」
「…げっ。勘弁して下さいよーっ!」
2人のやり取りを遠目から見て思わずくすりと笑ってしまう。
さて、アメリカから帰って来たら見違える程良い女になってやる。そう思ってスマホを開いてSNSで美容アカウントをフォローしたのであった。
*END*
あとがき
此処まで読んで下さってありがとうございました!初の沢北夢です。素直になれないヒロインと呼び方は昔から変わらず下の名前で呼ぶ沢北さん…。個人的に此処が萌えポイントです笑
少しでも気に入って頂けたら幸いです。
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