暑い夏の日の凍える出来事
ヒロインの名前
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はぁ…と何回目か分からない溜息を吐いてブランコをゆっくり漕ぐ。彩ちゃんに一目惚れで入部した物の全く相手にされない日々。
思い切って映画館へ誘ったが、「その日は友達とカフェに行くの」とあっさり断られた。つまりはそう言う事だ。先約があったから仕方ないと言えばそうなんだけどさ。それでも、…俺はカフェ以下なのか。なんて人ですらない店に嫉妬する自分がいた。
「はーあ」
「また溜息吐いてる。幸せ逃げるよー」
「!?」
バッと顔を上げると、其処には彩ちゃん顔負けの美人なお姉さんが優しく微笑んで「隣、良い?」とブランコを指差すので、断る理由が無い俺は首を縦に激しく動かす。
「ありがと。私で良ければ話聞くよ?」
「いえ、そんな…悪いですよ」
見た感じ大人っぽくて俺より年上に見えるので一応敬語で話す。サラサラの黒髪ロングヘアで白いワンピースに透き通るような綺麗な腕が何ともマッチしていて…まるでモデルのようだ。
「敬語なしでタメでいいよ。フランクな方が好きだし」
「そう?分かった」
「…で?恋の悩みとか?」
「…っ!!」
その様子だけで図星と物語るには十分で。彼女は口元に手を当てて笑う。よく笑う人だ。
「ふふ、分かり易いのね。貴方」
「あ、宮城リョータって言うんだ。お姉さんは?」
「私は…二階堂エリナ。好きに呼んで」
「じゃあ、エリナちゃんって呼ぶね。エリナちゃんはリョータって呼んで!」
「良いよ。何だかついさっき会ったばかりなのに距離感近いね」
恥ずかしいのか頬をポリポリ掻いて俯くエリナちゃんに胸がきゅんと鳴った。女心は秋の空なんて言うけれど俺は男だぞ、おいおい。俺の心は女心かよ。と心の中で突っ込んだ。
それから俺達は他愛のない話を1時間くらい話した。好きな芸能人や好きな食べ物、カレーは甘口か辛口どちらが好きか等、平凡な話だが非常に楽しくてバスケをしている並みに時間の経過が早く感じた。
「また明日ねー。良かったらさ、LIN●交換しない?」
「あー…ごめん。親が厳しくってさ、スマホ持ってないの」
「マジで!?今時珍しい!なのにこんな時間まで付き合わせてごめんね」
「ううん、気にしないで。また明日…待ってるから来てくれる?」
「勿論!じゃあ、またねー」
それから彼女に手を振って帰路へと急いだ。鏡を見ていないがきっと頬が赤く染まっているに違いない。バッグから水筒を取り出して一気に喉に流し込んだ。どうしよう、彩ちゃんがいるのに…エリナちゃんの事が気になる。…正直、これ以上頑張ってアプローチしても見込みはないに等しい。それでもいつも頑張ってアタックしては毎回撃沈してきた訳だけど。
他の女の子に目移りしちゃっても良いよな?別に付き合ってないから浮気してる訳じゃないし。うんうん、そうだと自分を納得させる。
******
「今日は此処までだ!当番の者は後片付けして帰るように」
ダンナの声に部員達は返事し、俺は電光石火の如く素早くユニフォームを脱いでカッターシャツに腕を通し、鞄を肩に掛ける。幸い、今週は当番ではないから早く帰られる。そして、公園へ行くとベンチに座っていたエリナちゃんが立ち上がって手を振っている。それだけで胸が高鳴って部活の疲れが吹き飛んだ。
「今日も相変わらず後輩の流川と花道が喧嘩してダンナに拳骨喰らってさー。あ、ダンナってのは主将やってる頼れる先輩ね」
「へー、明るくて楽しそうだね!」
今日あった出来事やバスケ部員の話をするとエリナちゃんは俺の目を見てしっかり聞いてくれる。しかも、聞き上手で相槌を打つタイミングも合って…あれ?もしかして俺達、結構相性良いんじゃないか?そう思うと自然と口角が上がっていくのが分かる。
それが不思議なのか、ん?と首を傾げて此方を見詰める彼女に「何でもない」と言って会話を続けた。
「…って、俺ばかり話しててごめんね!エリナちゃんは何か話したい事ある?聞くけど」
「ううん!リョータの話、面白くて楽しいから大丈夫だよ」
何て…何て良い女性なんだ!偏見かもしれないけど、女性は自分の話を聞いて欲しくて、話を聞くより話したいタイプの人が多いと思っていたけれどエリナちゃんみたいに男を立てるって言うの?言われると嬉しくなる言葉をピンポイントで当ててくる感じが途轍もなく嬉しい。この時間がずっと続けば良いのにな…なんて思っても時間は無常に過ぎていく物で、あっという間に時計の針は21時前を差していた。
「今日は家に送るよ。心配だし、親御さん厳しいって言ってたし」
「ううん。其処の角を曲がって直ぐだから大丈夫!私、ちょっとお手洗い行ってくるから先に帰ってて」
そう言って、トイレへ走って行った。
もしかして、親に俺の事紹介したくないのかな?背も低いしチャラそうだから…?そう考えたら、ずーーんと重い石が肩にのし掛かった気分になる。
あまりマイナス思考になると精神面が苦しくなるので気を紛らわす為に、走って帰るかと踵を返したが、夜遅くに公園のトイレで女性1人で入るのは危険ではないか?と脳裏を過った。「先に帰ってて」とは言われたが、それ以上に心配なので暫く待つ事にした。
しかし、5分程待っても出てくる気配がない。…もしかして、うんこ?と、下品な言葉が浮かんだ。しかし、生理現象故に仕方がない事だ。どんなに綺麗で可愛い人だって出る物は出る。
「あれ?待てよ」
ふと、別の思惑が想起される。善意で待っているのに、用を足した所を待たれていた羞恥心から、顔を真っ赤にして、「最低!」と怒られるんじゃないか?
折角いい感じなのに、一気に2人の関係にヒビが入るなんて…それは絶対に嫌だ!とっとと帰るのが吉だと感じた俺は一目散に家へと向かうのであった。
それにしても、エリナちゃんって容姿も性格完璧で非の打ち所がないよなぁ。日に日に大きくなる想い、脈打つ鼓動にもう誤魔化せない。
よし、明日思い切って告白しよう。このまま恋人未満友達以上な関係を続けて悶々とするなら気持ちを伝えた方が良いに決まっている。
グッと拳を握ってそう誓ったんだ。空を見上げれば無数の星と満月が俺を照らしていて。まるで、俺の明日の告白を応援しているようだ。
「早く明日にならないかなぁ」
鼻歌を歌いながら玄関のドアを開けて「只今〜」といつもよりトーンが高かったのか、母親に「何か楽しい事でもあった?」とありきたりな質問が返ってくるのであった。
******
放課後の部活が終わり、俺は今日も一番乗りで体育館を出ようとしていた時だった。
「リョーちん!ミッチーがラーメン奢ってくれるから一緒に帰ろうぜ」
「おい!勝手に奢りにすんな!自分の分は払え」
「ぬ…。ケチミッチー」
「うるせー、俺だって今月金欠なんだよ」
汗をタオルで拭い、モップ掛けをしながら戯れ合う2人を尻目に「すみません、今日は予定があるので…。花道も偶には自分で払えよ」と答えてロッカーへ移動した。その様子に2人をお互い目を瞬かせて顔を見合わせる。明らかに機嫌が良く、テンション高めだからだ。
思い切って映画館へ誘ったが、「その日は友達とカフェに行くの」とあっさり断られた。つまりはそう言う事だ。先約があったから仕方ないと言えばそうなんだけどさ。それでも、…俺はカフェ以下なのか。なんて人ですらない店に嫉妬する自分がいた。
「はーあ」
「また溜息吐いてる。幸せ逃げるよー」
「!?」
バッと顔を上げると、其処には彩ちゃん顔負けの美人なお姉さんが優しく微笑んで「隣、良い?」とブランコを指差すので、断る理由が無い俺は首を縦に激しく動かす。
「ありがと。私で良ければ話聞くよ?」
「いえ、そんな…悪いですよ」
見た感じ大人っぽくて俺より年上に見えるので一応敬語で話す。サラサラの黒髪ロングヘアで白いワンピースに透き通るような綺麗な腕が何ともマッチしていて…まるでモデルのようだ。
「敬語なしでタメでいいよ。フランクな方が好きだし」
「そう?分かった」
「…で?恋の悩みとか?」
「…っ!!」
その様子だけで図星と物語るには十分で。彼女は口元に手を当てて笑う。よく笑う人だ。
「ふふ、分かり易いのね。貴方」
「あ、宮城リョータって言うんだ。お姉さんは?」
「私は…二階堂エリナ。好きに呼んで」
「じゃあ、エリナちゃんって呼ぶね。エリナちゃんはリョータって呼んで!」
「良いよ。何だかついさっき会ったばかりなのに距離感近いね」
恥ずかしいのか頬をポリポリ掻いて俯くエリナちゃんに胸がきゅんと鳴った。女心は秋の空なんて言うけれど俺は男だぞ、おいおい。俺の心は女心かよ。と心の中で突っ込んだ。
それから俺達は他愛のない話を1時間くらい話した。好きな芸能人や好きな食べ物、カレーは甘口か辛口どちらが好きか等、平凡な話だが非常に楽しくてバスケをしている並みに時間の経過が早く感じた。
「また明日ねー。良かったらさ、LIN●交換しない?」
「あー…ごめん。親が厳しくってさ、スマホ持ってないの」
「マジで!?今時珍しい!なのにこんな時間まで付き合わせてごめんね」
「ううん、気にしないで。また明日…待ってるから来てくれる?」
「勿論!じゃあ、またねー」
それから彼女に手を振って帰路へと急いだ。鏡を見ていないがきっと頬が赤く染まっているに違いない。バッグから水筒を取り出して一気に喉に流し込んだ。どうしよう、彩ちゃんがいるのに…エリナちゃんの事が気になる。…正直、これ以上頑張ってアプローチしても見込みはないに等しい。それでもいつも頑張ってアタックしては毎回撃沈してきた訳だけど。
他の女の子に目移りしちゃっても良いよな?別に付き合ってないから浮気してる訳じゃないし。うんうん、そうだと自分を納得させる。
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「今日は此処までだ!当番の者は後片付けして帰るように」
ダンナの声に部員達は返事し、俺は電光石火の如く素早くユニフォームを脱いでカッターシャツに腕を通し、鞄を肩に掛ける。幸い、今週は当番ではないから早く帰られる。そして、公園へ行くとベンチに座っていたエリナちゃんが立ち上がって手を振っている。それだけで胸が高鳴って部活の疲れが吹き飛んだ。
「今日も相変わらず後輩の流川と花道が喧嘩してダンナに拳骨喰らってさー。あ、ダンナってのは主将やってる頼れる先輩ね」
「へー、明るくて楽しそうだね!」
今日あった出来事やバスケ部員の話をするとエリナちゃんは俺の目を見てしっかり聞いてくれる。しかも、聞き上手で相槌を打つタイミングも合って…あれ?もしかして俺達、結構相性良いんじゃないか?そう思うと自然と口角が上がっていくのが分かる。
それが不思議なのか、ん?と首を傾げて此方を見詰める彼女に「何でもない」と言って会話を続けた。
「…って、俺ばかり話しててごめんね!エリナちゃんは何か話したい事ある?聞くけど」
「ううん!リョータの話、面白くて楽しいから大丈夫だよ」
何て…何て良い女性なんだ!偏見かもしれないけど、女性は自分の話を聞いて欲しくて、話を聞くより話したいタイプの人が多いと思っていたけれどエリナちゃんみたいに男を立てるって言うの?言われると嬉しくなる言葉をピンポイントで当ててくる感じが途轍もなく嬉しい。この時間がずっと続けば良いのにな…なんて思っても時間は無常に過ぎていく物で、あっという間に時計の針は21時前を差していた。
「今日は家に送るよ。心配だし、親御さん厳しいって言ってたし」
「ううん。其処の角を曲がって直ぐだから大丈夫!私、ちょっとお手洗い行ってくるから先に帰ってて」
そう言って、トイレへ走って行った。
もしかして、親に俺の事紹介したくないのかな?背も低いしチャラそうだから…?そう考えたら、ずーーんと重い石が肩にのし掛かった気分になる。
あまりマイナス思考になると精神面が苦しくなるので気を紛らわす為に、走って帰るかと踵を返したが、夜遅くに公園のトイレで女性1人で入るのは危険ではないか?と脳裏を過った。「先に帰ってて」とは言われたが、それ以上に心配なので暫く待つ事にした。
しかし、5分程待っても出てくる気配がない。…もしかして、うんこ?と、下品な言葉が浮かんだ。しかし、生理現象故に仕方がない事だ。どんなに綺麗で可愛い人だって出る物は出る。
「あれ?待てよ」
ふと、別の思惑が想起される。善意で待っているのに、用を足した所を待たれていた羞恥心から、顔を真っ赤にして、「最低!」と怒られるんじゃないか?
折角いい感じなのに、一気に2人の関係にヒビが入るなんて…それは絶対に嫌だ!とっとと帰るのが吉だと感じた俺は一目散に家へと向かうのであった。
それにしても、エリナちゃんって容姿も性格完璧で非の打ち所がないよなぁ。日に日に大きくなる想い、脈打つ鼓動にもう誤魔化せない。
よし、明日思い切って告白しよう。このまま恋人未満友達以上な関係を続けて悶々とするなら気持ちを伝えた方が良いに決まっている。
グッと拳を握ってそう誓ったんだ。空を見上げれば無数の星と満月が俺を照らしていて。まるで、俺の明日の告白を応援しているようだ。
「早く明日にならないかなぁ」
鼻歌を歌いながら玄関のドアを開けて「只今〜」といつもよりトーンが高かったのか、母親に「何か楽しい事でもあった?」とありきたりな質問が返ってくるのであった。
******
放課後の部活が終わり、俺は今日も一番乗りで体育館を出ようとしていた時だった。
「リョーちん!ミッチーがラーメン奢ってくれるから一緒に帰ろうぜ」
「おい!勝手に奢りにすんな!自分の分は払え」
「ぬ…。ケチミッチー」
「うるせー、俺だって今月金欠なんだよ」
汗をタオルで拭い、モップ掛けをしながら戯れ合う2人を尻目に「すみません、今日は予定があるので…。花道も偶には自分で払えよ」と答えてロッカーへ移動した。その様子に2人をお互い目を瞬かせて顔を見合わせる。明らかに機嫌が良く、テンション高めだからだ。
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