悩み相談
ヒロインの名前
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「花道に未練が残ってる?」
とある昼下がりに屋上で寛いでいる洋平君を見付けた私は、思い切って最近の悩みを話した。彼氏である花道の良き理解者である彼なら良いアドバイスが貰える事を信じて。
事の経緯は部活動だった。
「クッキー焼いたんですけど、良かったら食べて下さい」
おおーとバスケ部員達の歓喜の声にタッパーに入った市松模様のクッキーを手に取って食べる。女の子が作ったお菓子と言うだけで希少価値が高いよなーなんて言いながら見た目通り味も美味しいので手が進む。流川君好きな彼女は勿論、彼の様子を見る。真顔で無言ながらも黙々と食べているので不味くはないだろう。口に合って良かった、と…晴子ちゃんは安堵の息を吐いた。
花道は目を輝かせて「美味いっすよー!」と涙を流して食べていたが、口端にクッキーの欠片が付いていた。全く、子供なんだからとハンカチを持って口を拭おうとしたら…
「あ、桜木君!付いてるよ」
そう言って晴子ちゃんがティッシュで拭き取り、「慌てて食べなくてもまだまだあるわよう」と言って微笑み、クッキーを手に取り口に入れようとした。所謂、あーんって奴だ。
私は驚いて瞬きを数回繰り返す。私達が恋人同士である事は、隠していないので彼女は知っている。それにも関わらず、彼女の前で…まるで、恋人同士みたいな行動に唖然となるのも無理はない。…其処は私の立ち位置の筈なのに。あーんをされた花道は髪色と同じくらい頬を染めて硬直している。
彩子さんが私の様子に察してくれたのか、晴子ちゃんに「過度なスキンシップは控えてね」とやんわり注意してくれた。
「あの子も悪気はないから、許してやって?」
「…はい」
スッと近付いて代わりに謝る大人な対応に彩子さんは精神年齢高めだなと感じさせられる。
ね?と彩子さんがウインクしたけど、もし私が宮城さんだったら目がハートになるに違いない。
晴子ちゃんは可愛くて優しい良い子なのは分かってるよ。それでも…その純粋さが逆に厄介な物で。いっその事、悪意が含まれていたら本人にはっきり言えたと思う。悪意のない行動なので本人も無自覚だ。
些細な事一つでモヤモヤ考えちゃうので自己嫌悪に陥るが、その気持ちに蓋をしても黒い物が漏れていくようで上手くいかない。でも、本人に言うと【束縛が強い重い女】なんて思われて別れを告げられるのが何よりも怖かった。
そして、時間が戻る。私は彼の友達である洋平君にポツリポツリ話すと黙って聞いてくれた。
「成る程なぁ…。あいつは見掛けに寄らずシャイだから気付かないかもしれないけど、俺達といる時、エリナちゃんの話ばっかりしてるよ」
「え…。」
「この間は寝癖が少し付いてたり、前髪切り過ぎてへこんでる時とか…嬉しそうに話してたしな」
「そうなの?でも…晴子ちゃんと話してる時、顔真っ赤で…嬉しそうだし…。」
「花道からしたら一度惚れた女の子だからな。でも、今はエリナちゃん一筋なのは間違いないぜ」
「噂をすれば、ほら」と視線を後ろへ向けたので私も向けると……。急いで来たのか、少し息が上がっている花道が立っていた。
後、高宮君、野間君、大楠君も続いて入って来た。
「洋平…エリナさんと何話してんだ?」
「んー?世話の焼ける彼氏さんの悩み相談って所かな」
「ほんっと、熱々だよな!単純王の癖に結構気にしいだし」
「ああ。珍しく血相変えて俺達に『エリナさんに嫌われたからもしれん』って言うから」
「あの慌てっぷりは見ものだったぜ。何でも、クッキーをあーんされた所を見られて気を悪くしたんじゃないかとか何とか…。」
「お、お前達!余計な事言うな!」
ゴンッと3回大きな音を立てて頭突きをお見舞いし、洋平君以外はでこに大きなたんこぶを付けて気絶し地面に伸びている。クッキーをあーんって…ついさっき私が相談してた話題じゃん。気を悪くしたって、どう言う事?
話が見えてこなくて首を傾げていると、洋平君がこっそり耳打ちをした。【2人とも同じ事で悩んでたみたいだな】
それを聞いて途端に顔が茹で蛸のように赤くなる。気にしていたのは私だけじゃなかったんだ。先程、洋平君が私の話ばかりしてると言ってた事を思い出し、彼の想いの強さを実感した。
「ごほん!…エリナさん、その…すみませんでした。晴子さんは俺にとっては好きと言うか、憧れの人ってだけで変な気持ちはなくて。エリナさんが一番大切で愛しい人ですから!だからっ……ぬっ!?」
言葉の途中で私は抱き締めた。モヤモヤしていた心が嘘みたいに消えて晴々とした気持ちになった。うじうじ考えていたのが馬鹿みたいに思える。こんなにも…花道は私の事を大事にしてくれてたのに疑っていたなんて。もっと彼を信じて純粋に愛して、多少の事は目を瞑る寛大な器を持ちたいな…。彼は突然の抱擁に初めこそ、あたふたしていたが不慣れな手付きで優しく背中をとんとんと叩いてくれる。そんな所も含めて可愛くて大好き。
「んじゃ、お邪魔虫軍団は退散しまーす。おい、お前達行くぞ」
洋平君が3人に呼び掛けてそそくさと屋上を後にした。数分前まで騒がしかった屋上に静けさが戻り、沈黙が暫く続いたが、沈黙を破ったのは私だった。
「…洋平君達に感謝しないとね」
「はい!」
3人のお陰でお互いの気持ちが確認出来たが、花道的には自分の言葉で一から伝えたかったのか、「悔しいけど、今回ばかりは多めに見てやるか…。」とぶつぶつ独り言を言っているので、口元に手を当ててクスッと笑った。
それを不思議そうに、何が面白いんだろうと思いながら見詰める彼。
「私も花道が一番大切で愛しい人だからね」
「エリナさん…!」
「だから、もし余所見したら許さないから」
「この恋愛の天才に向かって愚問をっ!絶対にエリナさんだけを生涯愛し続けます!!」
「恋愛の天才?50人に振られたのに…?」
痛い所を突くと、花道は苦虫を噛み潰したような顔をした。
「意地悪してごめんね」
そう言って彼の手を引いて教室へと戻った。その後、クラスメイトに授業中抜け出して何をしていたのか質問責めに遭ったのは無理もない。
*END*
此処まで読んで下さって感謝致します。
リクエストしてくれた方、ありがとうございました(о´∀`о)花道は見た目は派手ですが恋愛に対して初心な所が可愛いですよね。桜木軍団が本当に理想の友達過ぎて素敵です!あんな友達欲しかったなー笑 少しでも気に入って頂ければ幸いです。
とある昼下がりに屋上で寛いでいる洋平君を見付けた私は、思い切って最近の悩みを話した。彼氏である花道の良き理解者である彼なら良いアドバイスが貰える事を信じて。
事の経緯は部活動だった。
「クッキー焼いたんですけど、良かったら食べて下さい」
おおーとバスケ部員達の歓喜の声にタッパーに入った市松模様のクッキーを手に取って食べる。女の子が作ったお菓子と言うだけで希少価値が高いよなーなんて言いながら見た目通り味も美味しいので手が進む。流川君好きな彼女は勿論、彼の様子を見る。真顔で無言ながらも黙々と食べているので不味くはないだろう。口に合って良かった、と…晴子ちゃんは安堵の息を吐いた。
花道は目を輝かせて「美味いっすよー!」と涙を流して食べていたが、口端にクッキーの欠片が付いていた。全く、子供なんだからとハンカチを持って口を拭おうとしたら…
「あ、桜木君!付いてるよ」
そう言って晴子ちゃんがティッシュで拭き取り、「慌てて食べなくてもまだまだあるわよう」と言って微笑み、クッキーを手に取り口に入れようとした。所謂、あーんって奴だ。
私は驚いて瞬きを数回繰り返す。私達が恋人同士である事は、隠していないので彼女は知っている。それにも関わらず、彼女の前で…まるで、恋人同士みたいな行動に唖然となるのも無理はない。…其処は私の立ち位置の筈なのに。あーんをされた花道は髪色と同じくらい頬を染めて硬直している。
彩子さんが私の様子に察してくれたのか、晴子ちゃんに「過度なスキンシップは控えてね」とやんわり注意してくれた。
「あの子も悪気はないから、許してやって?」
「…はい」
スッと近付いて代わりに謝る大人な対応に彩子さんは精神年齢高めだなと感じさせられる。
ね?と彩子さんがウインクしたけど、もし私が宮城さんだったら目がハートになるに違いない。
晴子ちゃんは可愛くて優しい良い子なのは分かってるよ。それでも…その純粋さが逆に厄介な物で。いっその事、悪意が含まれていたら本人にはっきり言えたと思う。悪意のない行動なので本人も無自覚だ。
些細な事一つでモヤモヤ考えちゃうので自己嫌悪に陥るが、その気持ちに蓋をしても黒い物が漏れていくようで上手くいかない。でも、本人に言うと【束縛が強い重い女】なんて思われて別れを告げられるのが何よりも怖かった。
そして、時間が戻る。私は彼の友達である洋平君にポツリポツリ話すと黙って聞いてくれた。
「成る程なぁ…。あいつは見掛けに寄らずシャイだから気付かないかもしれないけど、俺達といる時、エリナちゃんの話ばっかりしてるよ」
「え…。」
「この間は寝癖が少し付いてたり、前髪切り過ぎてへこんでる時とか…嬉しそうに話してたしな」
「そうなの?でも…晴子ちゃんと話してる時、顔真っ赤で…嬉しそうだし…。」
「花道からしたら一度惚れた女の子だからな。でも、今はエリナちゃん一筋なのは間違いないぜ」
「噂をすれば、ほら」と視線を後ろへ向けたので私も向けると……。急いで来たのか、少し息が上がっている花道が立っていた。
後、高宮君、野間君、大楠君も続いて入って来た。
「洋平…エリナさんと何話してんだ?」
「んー?世話の焼ける彼氏さんの悩み相談って所かな」
「ほんっと、熱々だよな!単純王の癖に結構気にしいだし」
「ああ。珍しく血相変えて俺達に『エリナさんに嫌われたからもしれん』って言うから」
「あの慌てっぷりは見ものだったぜ。何でも、クッキーをあーんされた所を見られて気を悪くしたんじゃないかとか何とか…。」
「お、お前達!余計な事言うな!」
ゴンッと3回大きな音を立てて頭突きをお見舞いし、洋平君以外はでこに大きなたんこぶを付けて気絶し地面に伸びている。クッキーをあーんって…ついさっき私が相談してた話題じゃん。気を悪くしたって、どう言う事?
話が見えてこなくて首を傾げていると、洋平君がこっそり耳打ちをした。【2人とも同じ事で悩んでたみたいだな】
それを聞いて途端に顔が茹で蛸のように赤くなる。気にしていたのは私だけじゃなかったんだ。先程、洋平君が私の話ばかりしてると言ってた事を思い出し、彼の想いの強さを実感した。
「ごほん!…エリナさん、その…すみませんでした。晴子さんは俺にとっては好きと言うか、憧れの人ってだけで変な気持ちはなくて。エリナさんが一番大切で愛しい人ですから!だからっ……ぬっ!?」
言葉の途中で私は抱き締めた。モヤモヤしていた心が嘘みたいに消えて晴々とした気持ちになった。うじうじ考えていたのが馬鹿みたいに思える。こんなにも…花道は私の事を大事にしてくれてたのに疑っていたなんて。もっと彼を信じて純粋に愛して、多少の事は目を瞑る寛大な器を持ちたいな…。彼は突然の抱擁に初めこそ、あたふたしていたが不慣れな手付きで優しく背中をとんとんと叩いてくれる。そんな所も含めて可愛くて大好き。
「んじゃ、お邪魔虫軍団は退散しまーす。おい、お前達行くぞ」
洋平君が3人に呼び掛けてそそくさと屋上を後にした。数分前まで騒がしかった屋上に静けさが戻り、沈黙が暫く続いたが、沈黙を破ったのは私だった。
「…洋平君達に感謝しないとね」
「はい!」
3人のお陰でお互いの気持ちが確認出来たが、花道的には自分の言葉で一から伝えたかったのか、「悔しいけど、今回ばかりは多めに見てやるか…。」とぶつぶつ独り言を言っているので、口元に手を当ててクスッと笑った。
それを不思議そうに、何が面白いんだろうと思いながら見詰める彼。
「私も花道が一番大切で愛しい人だからね」
「エリナさん…!」
「だから、もし余所見したら許さないから」
「この恋愛の天才に向かって愚問をっ!絶対にエリナさんだけを生涯愛し続けます!!」
「恋愛の天才?50人に振られたのに…?」
痛い所を突くと、花道は苦虫を噛み潰したような顔をした。
「意地悪してごめんね」
そう言って彼の手を引いて教室へと戻った。その後、クラスメイトに授業中抜け出して何をしていたのか質問責めに遭ったのは無理もない。
*END*
此処まで読んで下さって感謝致します。
リクエストしてくれた方、ありがとうございました(о´∀`о)花道は見た目は派手ですが恋愛に対して初心な所が可愛いですよね。桜木軍団が本当に理想の友達過ぎて素敵です!あんな友達欲しかったなー笑 少しでも気に入って頂ければ幸いです。
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