標的101 山本の危機
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それからシモンファミリーは、一部をのぞいて、ツナの警護に加わることになった。
やり方は、ツナの家に順番に宿泊して警護をするというもので、一部をのぞいたボンゴレファミリーとシモンファミリーが、代表で1人ずつ、1日交代で行った。
最初は了平と紅葉。次に、泊まりではないが、山本と薫、次に獄寺とSHITT・P!+リボーンとらうじだった。
そして、継承式まであと2日とせまった時、事件が起きた。
「え!?どっ、同盟ファミリーが、やられたって!?」
それは、同盟ファミリーがやられたというものだった。
「伝説の殺し屋集団、ギーグファミリーがスか!?」
それも、やられたのは、あの、ロシアの墓掘り人と呼ばれ、伝説の殺人集団とまで言われている、ギーグファミリーだというのだ。
今は、一部をのぞいたボンゴレとシモンがツナの家に集まっており、ギーグファミリーがやられたことに、獄寺はとても驚き、顔が青ざめていた。
「ああ、継承式の妨害を企む、敵の親玉に返り討ちにあった。場所は並盛5丁目工場跡地だ」
「「「「「!!」」」」」
「ひいっ。近いよ…!!」
自分の家から近いところで、そんな危険な事件が起きていたというので、ツナは顔が青ざめ、たくさんの冷や汗をかいた。
「昨日、私が見回りをしていた時は、何もなかったけど…。事件が起きた後だったのかしら…」
「かもしれねーな。どの死体も、今までに見たことのないやられ方をしている」
「何…それ…」
ツナはもう、聞くだけで顔面蒼白になり、冷や汗をかいていた。
「敵の正体はわかったのですか?」
「いいや、不明だ」
アーデルハイトが、ギーグファミリーを襲った犯人について聞き、リボーンから返事が返ってくると、アーデルハイトは、文字通り、氷のように冷たい顔になる。
その、わずかな表情の変化を、魅真は見逃さなかった。
「つ…つまり…。正体不明の敵が、オレ達を狙って、そこら辺をうろついてるってこと!?」
もうすぐそこまで、ボンゴレを狙う人物が来ているかもしれないので、ツナは焦り、動揺すると、全員に緊張が走る。
「ヤバイよ!!やっぱ、継承式なんて、とんでもないって!!」
継承式が原因で、こんな事態を引き起こしてしまったので、ツナはますます継承式には消極的になる。
「心配いりません、10代目!!誰にも継承式のジャマはさせません!!」
「その意見に賛同します。我々シモンファミリーも、継承式まで、全力であなたを守ります」
「必ずお前を、10代目ボスに出世させるぞ!!」
「継承式は大丈夫ら」
「安心しろよ、ツナ」
「私達にまかせて」
「み…みんな…。 (オレがボスになりたいと思われてる――!!) いや……あの……」
だが、獄寺を筆頭に、全員がツナを守ろうとした。
「よし!!とりあえず、怪しい奴がいないか、周囲をパトロールするぞ!!」
「「「おう!」」」
そして、さっそく敵がいないかどうかを確認するため、ツナを警護するために、全員がパトロールをしに、沢田家の外に出ていった。
標的101 山本の危機
沢田家を出ると、各々違う方向へ散っていったが、アーデルハイトは1人で町を歩き、魅真はアーデルハイトの後ろを歩いていた。
「何か用か?」
数十分経っても後ろをついてくるため、アーデルハイトは後ろへふり向き、魅真と向かい合った。
「あなたに聞きたいことが…」
「聞きたいこと?」
わざわざそんなことのために、何十分もあとをつけてきたのかと、アーデルハイトは疑問に思った。
「単刀直入に言うわ。あなた…ギーグファミリーがやられたことについて、何か知ってるんじゃないの?」
質問をされると、アーデルハイトは目を大きく見開き、眉間にしわをよせ、過剰な反応を示した。
けど、すぐにまた冷たい表情になるが、今の表情を魅真は見逃さなかった。
「……何故…そう思う…」
「昨日、見回りをしている時、5丁目の工場跡地から、あなたが出てくるのを見かけた。あなたは気づかなかったみたいだけど…」
「!!」
まさか見られてるとは思わなかったアーデルハイトは、顔がこわばり、目に力が入る。
「あと、5日前にツナ君ちの近くを見回りしていた時と、4日前に学校を見回りしていた時に、あなたの姿をみかけた。あなたはその日、警護の順番じゃなかったのに…」
「…………」
更に魅真が続けると、そこまで見られているとは思わなかったアーデルハイトは、余計なことは言わずにだまりこんだ。
「それに、さっきツナ君の家で、リボーン君があなたの質問に対し、敵の正体は不明だと言った時、あなたの目が、一瞬だけど、鋭く冷たいものになったから。何かあるのかと思って…」
思ったよりも観察力があるので、アーデルハイトは顔がけわしくなる。
それがもう、何か関係してると言ってるようなものだが、魅真は追究しなかった。
「前言ったこと…覚えてる?」
「前?」
ギーグファミリーをやった敵のことについて話していたのに、突然話が変わったので、アーデルハイトはなんのことかわからず、魅真に聞き返す。
「もし勝手なことをしたら、雲雀さんの前に、私があなたを咬み殺すって…」
「ああ…」
アーデルハイトはわかっていないようだったので、魅真は何が言いたいのかを説明した。
すると、言われたことを覚えていたアーデルハイトは、短く返事をする。
「今はまだ…私の前では怪しい動きはないけど…。もしも……本当に勝手なマネをするなら……」
アーデルハイトが返事をすると、魅真は静かに、ゆっくりと話しながら、アーデルハイトに近づいていき、自分の体とアーデルハイトの体がくっつきそうなくらいに距離をつめると、自分よりも背が高いアーデルハイトを見上げ、睨みつけた。
「その時は私が、容赦なくあなたを……咬み殺すっ!!」
アーデルハイトと距離をつめると、魅真は静かだが、力強い声で宣戦布告をした。
宣戦布告をすると、魅真はアーデルハイトから離れ、アーデルハイトの横を通りすぎると、目の前にある道を左に曲がり、アーデルハイトと別れた。
その魅真の後ろ姿を、アーデルハイトは敵意のある目で、魅真の姿が見えなくなるまで睨みつけていた。
次の日。
その日は学校があったが、一部をのぞき、ほぼ全員が、ツナの警護とパトロールに力をいれていた。
とにかく、ツナに危険が及ばないようにしており、全員が、どこかピリピリした様子だった。
魅真は、この時アーデルハイトの姿がどこにもないので、疑問に思いつつも、怪しいことをしていないのなら、それ以上は何も言ったりしたりしないので、風紀委員としての学校の見回りと、ツナの警護を同時にこなした。
それから、あっという間に時間が過ぎ、放課後となった。
日もかなり沈んでいたが、魅真は風紀委員の見回りを続けていた。
「あれ」
今魅真は、部室近くの校舎の前を歩いていた。
「笹川センパイ!」
そこで、同じようにパトロールをしている了平をみつけたので、魅真は走って了平のもとへ行き、了平とならんで歩いた。
「おう、真田か。お前もパトロールか?」
「はい。風紀委員の見回りです。笹川センパイこそ、部活は?それにこんな遅くまで…」
「部活はもう終わった。あと一回りしたら帰る」
「そうなんですか」
「真田こそ、いくらヒバリの奴が一緒といっても、女子がこんな遅くまでいるのは危ないぞ」
「お気遣いありがとうございます。私も、あともう少し見てまわったら帰ります」
「そうか」
ならんで歩くと、魅真と了平は他愛のない話をした。
「それにしても、いよいよ明日だな」
「ですね」
明日というのは、もちろん継承式のことで、魅真は少しだけ明日のことを想像する。
「いよいよツナ君がボスか…。なんか感慨深いな…」
「そうだな…」
ツナ自身は継承式には反対だが、魅真はツナがボスになるのがうれしくて、笑顔を浮かべて空を見た。
「真田、明日は遅刻するなよ。でもって、腹を壊すなよ」
「なっ!!なんでお腹なんですか!?」
感慨にふけっていたのに、突然意味不明なことを言われたので、魅真はつっこんだ。
「なんとなくだ。そんなイメージだからな」
「どんなイメージですか!!」
あまり女子に対して使ってほしくない言葉なので、魅真は顔を赤くしてつっこんだ。
「むっ」
その時、了平はあるものに気づく。
「どうしたんですか?センパイ」
「いや…野球部の部室だけが開いて、しかも明かりがついている」
それは、野球部の部室の扉が開いてることだった。
「まだ誰かいるだけなんじゃないですか?」
確かに、グラウンドにも校舎にも、了平と風紀委員くらいしか残っていないが、それでも遅くまで練習する部もあるし、めずらしいことじゃないと、魅真は軽く考えていた。
「うむ。だが、明かりはついているのに、扉だけ開いてるのが、妙な気がするのだ」
「じゃあ、誰かいるか、見てきてもらってもいいですか?」
そんなことはないだろうが、もしかしたら着替えているかもしれないし、そうでなくても、男子の部室は、中に誰もいなくても入りにくいので、了平に見てくれるように頼んだ。
「わかった」
了平は魅真に頼まれると、野球部の部室まで歩いていった。
「な、なんだこれは!?山本!!」
野球部の部室の中を見ると、了平は驚愕し、大声をあげた。
山本の名前を聞き、何よりも、了平の声やしゃべり方が尋常ではないので、魅真はあわてて野球部の部室まで走っていく。
「どうしたんですか!?
!!」
部室の扉の前まで来て、了平に声をかけると、部室の中を見て驚愕した。
そこでは、山本が血だらけで倒れていて、辺り一面血の海になっていたからだ。
「武……君…」
あまりにむごく、ひどい惨状に、魅真は体が震え、顔が青ざめた。
「山本、しっかりせんか!!」
了平は、山本に声をかけながら、アニマルリングから我流を出し、我流とともに、晴の炎を山本に照射して、山本の治療を試みた。
それを見て、魅真ははっとなり、携帯を取り出す。
「私…救急車呼びます!!」
「うむ。頼むぞ!!」
携帯を取り出すと、あわてて119番を押した。
ショックで涙が流れ、体が震え、ボタンを押す際にも手が震えたが、なんとか救急車を呼んだ。
そして、救急車を呼ぶと、了平のもとへ行く。
「センパイ、武君は?」
「多少はふさがったが、傷がひどすぎる。なんとか、救急車が来るまでは、がんばってみるが…」
活性の力を持つ晴の炎といっても、どんな深いケガをも治せるほど万能なわけではなく、山本がピクリとも動かない状態を見て、魅真も了平も顔が青いままだった。
「あっ…私…救急車が迷わないように、校門まで行ってきます!!」
魅真は、少しでも早く救急車が部室に来れるよう、誘導するために、校門まで走っていった。
途中、涙が出てきたが、それでもそででぬぐって前を向き、少しでも山本を助けるよう、役に立つために走った。
そして、校門の前まで来ると、再び携帯を取り出して、雲雀に電話をかける。
短縮ボタンを押して、携帯を耳にあてると、発信する際の機械音が鳴ったあとに、呼び出し音が何回か鳴ると、相手が電話をとる時の音が鳴った。
《もしもし…》
そのあとに、雲雀の声が聞こえた。
それだけで魅真は、安心感を得る。
《魅真?》
魅真の方からかけたのに、声がしないので、雲雀は確かめるように魅真の名前を呼んだ。
「雲雀……さん…」
それだけで泣きそうになるが、今はそんな場合ではないので、静かに雲雀の名前を呼ぶ。
《どうしたの?何かあったのかい?》
「じ…実は……」
魅真は、先程の事件のことを、雲雀に話し始めた。
「武君が………何者かに襲われて、部室で倒れてたんです……。辺り一面血の海で……あまりにも……ひどいケガで…。今は……一緒にいた笹川センパイが、武君の…治療をしてて……」
話していると、山本が血の海の中に倒れていたことがフラッシュバックして、混乱し、体が震えるが、なんとか伝えた。
《それ……本当に?》
「はい……」
すべて伝え終えると、雲雀が確かめるように聞いてきたので、小さくうなずいた。
《わかった。それで、魅真は今どうしてるの?》
「雲雀さんにかける前に、救急車を呼んだので、今は校門の前で、救急車を待ってるところです」
《そう……。わかった。魅真はそのまま、救急車を待ってて》
「雲雀さんは?」
《山本武をやった奴がいないか、その辺を見てくるよ。魅真も気をつけるんだよ》
「わかりました…」
魅真が返事をすると、雲雀は電話を切った。
雲雀との電話が切れると、魅真は目に涙をためて、まだ顔を知らない犯人に対し、鋭く憎悪がこもった目を向けた。
それから数分後に救急車が到着すると、魅真は救急隊を部室まで案内し、魅真と了平は、一緒に救急車に乗り、数分後に、並盛中央病院についた。
山本はすぐに手術室に運びこまれ、魅真と了平もあとを追ったが、当然手術室には入れないので、手術室の扉の前で止まった。
山本が手術室に入ると、魅真と了平で手分けして、ボンゴレとシモンの人間全員に電話をかけ、数十分後にはみんなが来た。
ただ、ツナとリボーンは家に電話をしてもいないし、携帯も持っていないので、獄寺が、すでに日本に来ている9代目のところへ電話をかけると、そこにいたので、ツナに山本のことを伝えた。
そして、その数十分後にツナは来た。
「!」
「10代目!!」
「ツナ君!!」
手術室の前で全員が待ってると、ツナがあわてて走ってきたが、ツナの隣にはリボーンはおらず、ツナ一人だった。
「山本は!?」
「今手術室だ!!」
山本がやられたと聞いたので、ツナは顔が青く、動揺していた。
今山本は手術中で、手術室の上の「手術中」という文字が点灯していた。
「!!」
「10代目!?」
「ツナ君!?」
本来入ってはいけない場所だが、ツナは山本の様子を見ようと、扉に手をかけて、中に入っていく。
「山本!!!」
扉を開け、中で見たのは、衝撃的なものだった。
顔が血で真っ赤になって、呼吸器をつけて、手術を受けている山本が、手術台の上で、意識を失って横になっていた。
「ちょっと君!!」
「緊急オペ中ですよ!!」
「何をしてるんです!?」
突然入ってきたツナを、当然医師達は止める。
「とても危ない状態です!!」
「出ていってください!!」
あまりにひどい惨状に、ツナは放心状態となり、目に涙をためた。
「…や……やまも……」
使い終えた手術用の道具とともに、山本の血で真っ赤にそまったガーゼを目にすると、ツナはますます涙があふれてきて、山本の名前を呼ぶが、そこで手術室から追い出された。
「外でお待ちください」
手術室から追い出されると、ツナは足に力が入らなくなり、ふらついて、後ろに倒れ、尻もちをついた。
「ツナ君!!」
「10代目!!」
「沢田!!」
ツナを心配して、魅真と獄寺と了平は声をかけるが、ツナからは反応がなかった。
一同は、場所を手術室の前から、待合室に移した。
「山本のオヤジも、今向かっていると…」
「……そうか…」
「ボス…お水…」
ツナは立つ気力がないのかすわっており、クロームがツナに水を差しだすが、ツナはそんな気分じゃないようで、無言で首を横にふって断った。
「最初に山本を発見したのは、オレと真田だ…。校内を巡回していて見つけたんだ…。野球部の部室の扉だけが開いていたので、のぞいてみると…一面が血の海で山本が…。すぐに真田が救急車を呼び、オレと我流の晴の活性の炎で治療を試みたが…あまりに…キズがひどく…」
「………」
了平は今回の事件の経緯を話していたが、話している途中で動揺し、ツナは何も言わず、魅真は鋭い目をしており、クロームは涙を流し、ランボもどこか心配そうにしていた。
「っきしょお」
その時、獄寺が声をはりあげた。
「やった奴は許さねえ!!」
獄寺は、山本がやられたことに、激昂していた。
「野球部にも事情を聞かんとな……。そういえば、水野は山本と一緒にいなかったのか?」
「ああ」
了平に質問されると、薫はどこかけわしい顔で、短く返事をする。
そして薫を、アーデルハイトは鋭い横目で見ており、その2人を、魅真は観察するように、冷静な目で見ていた。
「昨日は一緒にキャッチボールをしたが、オレだけ先に帰ったんだ」
「……そうか…。やはり山本は、一人になった所を狙われたんだな…」
「あのバカ!!油断しやがって!!」
薫の答えに、了平は納得し、獄寺は山本に対して怒っていて、このやりとりを、紅葉とらうじは、どこか冷たい目をして見ていた。
「ボンゴレ10代目の守護者を倒すほどの強者となると、ギーグファミリーを倒した犯人と、同一と考えられますね」
そこへ、アーデルハイトが割って入り、山本をやった犯人を予想したが、アーデルハイトの発言に、魅真は目が鋭くなった。
「アーデルハイトの言う通りだ。だとすれば、結局また犯人はわからずじまいか…」
「ちいっ」
「くそ!!」
アーデルハイトと紅葉の考えに、了平と獄寺は悔しそうにしていたが、魅真は変わらず、アーデルハイトをはじめとする、シモンファミリーを観察していた。
「いいや、犯人を見つけることは可能だぞ」
「リボーンさん!!」
話し合っていると、そこへ、遅れてリボーンがやって来たので、全員リボーンに注目する。
「オレは今、山本が襲われた現場の部室へ行って、犯人の手掛りを探してきたんだ」
リボーンがツナと一緒に来なかったのは、山本が襲われた、野球部の部室に行っていたからだった。
「手掛り?」
「それで、あったんスか!?」
「あった」
犯人はわからないまでも、手掛りを見つけたというので、シモンファミリーは、全員顔がけわしくなり、ツナもわずかに反応した。
「ただし、すぐに犯人がわかるわけではねえし、ちっとボンゴレの機密に関わるんでな。わりーが、シモンは席をはずしてくれねーか?」
「ボンゴレの…機密?」
「我々も、教えてもらった方が、協力しやすいが」
「もちろん、協力が必要なら、してもらおうと思ってる。すまねーが、ここははずしてくれ」
アーデルハイトが協力を申し出るが、リボーンは断った。
「気をつけて行動しろよ。お前達が狙われる可能性もある」
そして、何やら含みのある言葉を、最後に投げかけた。
「わかりました」
リボーンのその言葉に、アーデルハイトは、やわらかくなった表情が、再度けわしくなる。
そして、アーデルハイトが返事をすると、シモンファミリーは帰っていった。
「で…リボーンさん、どんな手掛りがあったんスか?」
シモンファミリーが帰ると、獄寺はリボーンに、手掛りのことを聞き出した。
「山本は、意識を失う間際に、血でメッセージを残してたんだ」
「!!」
そして、リボーンが手掛かりのことについて話すと、ツナは強く反応をする。
「だが、大部分が消されていた…。恐らく、犯人の正体の、核心をつく部分だったのだろう……。何者かが、証拠を隠滅したらしい」
「くっ」
けど、手掛かりがあったといっても、その手掛かりのほとんどが消えて読めなくなっていたというので、獄寺は悔しそうにした。
「しかし、その横に、小さくひらがなで書かれた、"でりとと"って文字が確認できたんだ」
「でり…とと?」
「何かの暗号?」
「わけわかんねーだろ?消した奴も、そのわけわかんねー文字は、見逃しちまったんだな。オレも最初はわかんなかったが、ローマ字にしてみると、delitto(デリット)となる。これはイタリア語で、"罪"という単語だ」
「つみ?」
「そう言われてみりゃたしかに!!」
「…うん」
日本語しかわからない魅真と了平は、リボーンが言った、「でりとと」という言葉の意味がわからなかったが、イタリアに住んでいた獄寺と、イタリア語を勉強しているクロームは納得をした。
「しかし、罪といわれても…どう手掛りに?」
「そもそも、その罪っていうのは、何をさしてるの?」
でりととの意味はわかったが、それが手掛かりとどう関係しているのかは、やはりわからなかった。
「ここからは、一部のボンゴレ幹部しか知らない、最高機密だ。"罪"というのは、ボンゴレのボスが、継承式で代々受け継がれる小瓶の名称だ」
「…小瓶?」
「"罪"とは、Ⅰ世が、忘れてはならない戦いの記憶を後世に遺すために、ボンゴレリングと共に、自分の後継者に継承させた、ボンゴレボスの証だ。伝承では、小瓶に、その忘れてはならない戦いで流された、血が封じられていると言われる」
「血…血液が…?」
「そんな物が、ボンゴレに…」
「だが、なぜその文字を、山本は残したのだ…?」
「犯人は、"罪"と関係している。恐らく奴の目的だな」
「(目的!!)」
「目的って…その血液が?」
「ああ。そして、"罪"が目的ならば、"罪"が表に出る…。つまり、第三者の目にふれるのは、継承式の時だけだ。犯人は、必ず継承式に現れる。もっとも、行われればの話だがな」
リボーンは、手掛かりについて、全員に説明をした。
手掛かりについて話したあとの、最後の言葉を聞くと、ツナはどこか暗い影をおとした。
「行わ…れれば?」
「何を言ってるんです?」
そして、リボーンの最後の言葉の意味がわからなかった獄寺と了平は、リボーンに問う。
「ツナは、ボンゴレのボスを継がないと決めた。継承式は中止だ」
「「「「!!」」」」
それは、ツナが継承式を拒んだからで、まさかの答えに、魅真達は驚いて、目を大きく見開いた。
「ツナ君…」
「じゅ…10代目…」
「沢田…?」
ツナの心を知ると、全員後ろにふり向いて、ツナを見る。
「オレ…」
その時、ツナはしぼりだすように声を出した。
「9代目に、継承式を開いてもらう」
継がないと決めたのに、突然継承式を開いてもらうと言ったので、今度はリボーンが驚いた。
「「「!!」」」
もちろん魅真達も驚いたが、誰も、何も口にしなかった。
「犯人は、きっとまた、オレの友達を…仲間を襲ってくる。それだけは許さない!山本をあんな目にあわせた奴を…絶対に捕まえるんだ!!」
ツナが継承式を開いてもらうと決めたのは、山本を傷つけられたから、山本以外の仲間を襲ってくる可能性も、あるかもしれないからだった。
「オレは、継承式へ行く!!」
そして、ここに来た時とは違う、強い覚悟を秘めた目を向けた。
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