標的100 宣戦布告
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「んなっ。転校生が、マフィアー!!?」
リボーンの口から明かされた事実に驚愕したツナは、冷や汗をかき、顔を青くして叫んだ。
「へー」
「んだと!?」
そして、山本は他意のない表情だったが、魅真と獄寺は、敵意むき出しだった。
けど、シモンファミリーは全員無表情のままで、どこか暗い雰囲気になっており、何も言わなかった。
標的100 宣戦布告
「それって……転校生…全員!?」
「ああ、7人ともそうらしいぞ」
「じゃ…じゃあ…エンマ君も!?」
こんな大人しい子がマフィアとは思わず、ツナは白目になって、震えた指で炎真をさして問いかけると、炎真は沈んだ顔になる。
「聞いてこないから」
「マジでーー!!? (マフィアですか、なんて聞かないよ!!)」
はっきりイエスと言ったわけではないが、否定もしなかったので、ツナはショックを受け、頭を抱えた。
「残された文献によると、シモンファミリーはボンゴレファミリーと、付き合いが相当古くてな。その交流は、Ⅰ世より先祖にさかのぼるらしい。つっても、今やオレも知らないぐらい、小さくて目立たない、超弱小ファミリーなんだけどな」
「くう~」
最後にリボーンが言った、超弱小ファミリーという言葉に、アーデルハイトと炎真と紅葉は反応する。
「結局はっきりと言ってくれたな、赤ん坊!!貴様、オブラートに包んで話すということを知らんでか!?」
「ああ、知らね」
「結局~!?」
そして、紅葉が文句を言うと、リボーンはあっさりと返したので、紅葉は叫んだ。
「継承式に招待されたから、来てやったんだぞーー!!」
更に文句を言うと、ボンゴレ側は何も言わないが、全員が反応した。
「勘違いして欲しくないのは、我々が転校した理由は、あくまで地震の危険を回避するためであり、並盛中を選んだのは、ちょうど同じ時期に、ボンゴレ継承式の招待状をもらったからだ。ゆえに我々は、これからも誰にも干渉されることなく、自由に学校生活を送るつもりだ」
今アーデルハイトが言ったことに、魅真は過剰に反応を示す。
アーデルハイトは、昨日の転校初日から、応接室や風紀委員をのっとろうとして、更に今日は、ついさっきまで雲雀と対決していて、あまりにも自由に過ごしすぎていたからだ。
確かに、人の行動は他者が制限するものではないが、あまりにも身勝手な行動をとったアーデルハイトを、魅真は気にいらなそうに睨む。
「なあ、ちょっとまってくれよ。さっきから、一つ気になってんだが」
「継承式って、どーいうことスか、10代目!!?」
「い゙ーー!!?」
一番ふれられたくないところを、獄寺と山本がふれてきたので、ツナは大きく心臓がはねあがる。
「いやいや、何でもない!!何でもないって。ほらっ、あれだよ!!リボーンの……たわごと?」
ツナは見るからにあわてふためき、怪しい体の動きをしながら、なんとか誤魔化そうとした。
「ふざけんな」
「んぎゃっ」
けど、そこをリボーンに、あごにひざ蹴りをくらわされた。
「あだ~~!!」
その強烈な蹴りに、ツナは仰向けに倒れる。
「7日後に、ここ日本で開催されるボンゴレ継承式は、ツナが正式な10代目ボンゴレボスになる、空前絶後の式典だ」
「「「おおーーーー!!!」」」
「わあ!」
着地したリボーンが、継承式について説明すると、魅真、獄寺、山本、了平は、うれしそうな顔になる。
「9代目は、お前達の白蘭との戦いのことを、全て知っていてな。今回の継承式を決めたんだ」
「!! (未来での戦いを、9代目が……)」
未来の出来事は、この時代の人間にも伝えられたが、それは戦いに関わった人間のみなのに、戦いに加わっていない9代目が知っていたので、ツナは疑問に思った。
「ついにこの時がっ。感激っス、10代目!!」
「イヤイヤイヤ!!オレはOKしてないから!!」
獄寺は涙を流してそででぬぐい、感激のあまり体が震えているが、ツナは顔を横にふって否定した。
「だが、同じ10代目候補の、ヴァリアーのXANXUSを倒した時点で、沢田は10代目決定したのではないのか?今更、何が変わるというのだ?」
「極限にわかってねーな、了平は。ボス候補であることと正式にボスになることでは、天と地ほどの差があるぞ。ボンゴレのボスの座につくということは、全世界の強大なボンゴレマフィアの指揮権を手に入れることだ。それはつまり、裏社会の支配者になることを意味する」
「ひいいっ。裏社会ー!?」
リボーンが説明すると、ツナはびびって顔が青ざめる。
「恐ろしく、大いなる力が、継承される式典なんだ。マフィア界全体が興味を示し、注目している。この式典には、ボンゴレの重鎮達はもちろん、次期ボンゴレボスの顔を見ようと、招待された全世界の強豪マフィアが、海を渡り、この日本へやってくるぞ。すでに、来日を表明している有名どころだけでも、北米の3分の1を、半年で手中にした、新進気鋭のマフィア、トラッド6。アジア全土に横たわる猛虎、冷々兄弟。ロシアの墓掘り人と呼ばれる、ギーグファミリー」
「あの……で……伝説の殺人集団……。ギーグファミリーまでっスか!?」
その界隈に詳しい獄寺は、招待されたファミリーの名前を聞いて、背筋が凍った。
「なんか怖いことになってんじゃん!!じょっ、冗談じゃないよーー!!」
マフィア界のことはよく知らないが、聞いただけでも怖い人達がこの日本に来るというので、ツナは更に顔が青くなった。
「オイコラー!!お前達、何をやっとるか!!」
「!」
「ちっ。センコーかよ」
そこへ、竹刀をもった教師がやって来て、怒鳴りこんできた。
「んじゃ、あとでな」
すると、リボーンはどこからか取り出した傘をひろげて、フェンスを台にして飛び去り、いずこかへ行ってしまった。
「あっ、リボーン!!」
「HRがはじまるぞ!!早く教室に入りなさい!!」
そんなリボーンを、ツナは引き止めるように、フェンスの前で手を伸ばすが、リボーンは去っていった。
教師が来たのは、もう始業開始時間間際だったからだが、そんな教師にも獄寺は、「うるせーじじいっ」と悪態をついた。
それから授業が始まると、獄寺は顔がニヤケて鼻歌まで歌っており、山本はいつも通り寝ていたが、ツナは地獄の底にたたき落とされたように、顔が真っ青で、魂が抜けたように沈んだ顔をしていた。
そんな中、魅真はマジメに授業を受けつつも、頭の中は、継承式とアーデルハイトのことでいっぱいだった。
ツナの継承式は喜ばしいことだし、他のシモンファミリーに対しては、なんの感情もないが、アーデルハイトのことは別だった。
昨日と今朝のことがなければ、アーデルハイトに対しても、他のシモンファミリーと同様なのだが、風紀委員をのっとると言えば、話は別である。
しかも、今朝屋上で言っていた、自由に学校生活を送るつもりというのは、自分が何をしても、手出しや口出しをするなということなので、魅真はなんとかして、アーデルハイトがあきらめないかを考えていたが、今のところいい手は思い浮かばなかった。
そして放課後になると、魅真は応接室に行った。
そこでは、雲雀が執務机にすわり、書類を書いていた。
魅真は荷物をソファの上に置くと、ソファの背もたれにかけられてるシャツに気がついた。
「雲雀さん、これ…雲雀さんの?」
「うん。今朝の対決で、ボタンがとれたからね。新しいのに変えたんだよ」
「あっ…なら、私がつけます。今朝、とれたボタンをひろっておいたので」
雲雀がわけを話すと、魅真が頬を赤くして、シャツにボタンをつけることを申し出た。
「なんだ。ないと思ったら、魅真が持ってたのか。なら頼むよ」
「はい!」
雲雀に頼まれると、魅真はソファにすわり、カバンから雲雀のシャツのボタンとソーイングセットを出すと、雲雀のシャツに、とれたボタンを縫いはじめた。
「(な…なんか私、雲雀さんの世話女房みたいだな…)」
雲雀に恋しているので、魅真は雲雀に関するすべてにドキドキしながら、妄想をしていた。
「(世話女房!!)」
そして、最後に思った言葉に過剰に反応をして、顔を真っ赤にした。
「(ま、まだ付き合ってないどころか、告白もしてないのに!!女房だなんて!!)」
更には、顔がニヤけ、もだえながら、雲雀のシャツをぎゅっと抱きしめた。
「何やってんの?気持ち悪いね」
それを見ていた雲雀は、とても冷ややかな目を魅真に向け、魅真は雲雀が言ったことにダメージをくらい、沈んだ顔になる。
確かに、ハタから見ると気持ち悪かったかもしれないと、やった後に気づいたので、魅真はとても後悔した。
それからは、何も余計なことは考えないと心に決め、ただもくもくとボタンをつけた。
「雲雀さん、終わりました」
「うん。そこに置いといて」
「はい」
魅真はボタンを縫い終わると、シャツをたたんで、ソファの上に置いておいた。
「じゃあ私、見回りに行ってきますね」
「うん」
今日は見回りをすることになってるので、薙刀を持つと、応接室から出ていった。
魅真が応接室から出ると、雲雀は縫ってもらったシャツを見て、クスッと笑った。
一方魅真は、廊下を歩きながら、先程雲雀に、気持ち悪いと言われたことを思い出していた。
「(あ~~~はずかしかった。作業をやってる時は、余計なことは考えるものじゃないわ。もう二度と、作業中に妄想はしないでおこう)」
雲雀に気持ち悪いと言われたこともだが、どんな顔をしていたのかはわからないが、恐らくは、ニヤけまくって、雲雀が言った通り気持ち悪い顔をしていて、それをよりによって雲雀に見られたので、魅真は、妄想をする時は、せめて誰もいない…もしくは、来ないとわかってる時だけにしようと、固く心に誓った。
「!!」
その時、向かい側から、アーデルハイトが歩いてくるのを目にした。
アーデルハイトも魅真に気づいたようだが、無表情のままだった。
「勝手なことしないで…」
魅真はアーデルハイトとすれ違いざまに、いつもよりも低い声でしゃべった。
その声に反応したアーデルハイトは、足を止め、顔を魅真に向ける。
アーデルハイトが足を止めると、魅真も足を止めるが、アーデルハイトと目は合わせなかった。
「なんのことだ?」
魅真が足を止めると、アーデルハイトもまた、いつもより低めの声で聞き返した。
「今朝のことと昨日のことよ」
アーデルハイトに問われると、魅真は短く簡潔に答える。
「勝手なことをしたつもりなどないが…」
「どこが…。風紀委員をのっとろうとしたり、応接室を明け渡せと言ったり、粛清と書かれた大きな旗をかかげたり、転校初日から、ずいぶんとハデにやってくれてるじゃないの」
「あれが私のやり方だ」
「いくら、今は並盛中学校の生徒でも、もともとあなたは至門中学校の生徒。けど、ここは並盛中学校。並盛中学校の風紀は、私達並中の風紀委員が守ると決まっているの。たとえ、もとは至門中学校の生徒だとしても、今は並盛中学校の生徒なんだから、並盛中学校のやり方に従ってもらうわ」
どこか挑発的な魅真に、アーデルハイトは敵意を向けた。
「あなたの粛清委員会じゃ、並中と、並盛町は守れない…」
更に挑発するので、アーデルハイトは魅真を睨みつける。
「もし……これ以上好き勝手するなら……」
それでも、魅真はかまわず続け、顔をアーデルハイトに向けた。
「雲雀さんが咬み殺す前に……私が…あなたを咬み殺すから…!!」
目を合わせると、強い敵意を向けて、宣戦布告をした。
「言っておくけど、これは忠告じゃないわ。警告よ」
それだけ言うと、魅真はアーデルハイトに背を向けて歩きだした。
アーデルハイトは、挑発と宣戦布告をされたことで、魅真を更に強く睨みつけ、敵意と殺意が入り混じった目を向けた。
魅真は、今日は学校の外を見回りすることになってるので、学校の外に出て、風紀を乱している人物がいないかを見てまわっていた。
「ん?」
しばらく歩くと、魅真は目の前で、いざこざが起こってるのを目にする。
「あれって……ケンカ?」
それは、並中生のケンカだった。
けど、ケンカといっても、3人の不良の男子生徒が、1人の男子生徒を、一方的に殴ったり蹴ったりしてるだけで、どちらかというと、ケンカではなくリンチだった。
「それに……あの男子生徒は…古里君…?」
その、一方的に殴られたり蹴られたりしているのは、炎真だった。
炎真は、転校してきてから2日目(実は初日から)にして、すでに不良にからまれていた。
魅真は炎真に暴力を働いている不良のもとまで行くと、持ってる薙刀で、あっという間に3人の不良を倒してしまった。
「てっ、てめえ!!何しやが………あっ!!」
いきなり殴り倒されたので、不良の1人が文句を言うが、魅真の顔を見ると、顔が青ざめた。
「お前……真田魅真っ!!」
魅真は、一見おだやかな顔をしているが、その目には怒りの感情が宿っていた。
「「「スッ……スイマッセンしたーーーっ!!!!」」」
そして、急いで起き上がると、脱兎の如く逃げだしていく。
以前なら、なめた態度をとられるか、「雲雀恭弥の女」として逃げられるかのどちらかだったが、彼らは、魅真を見ただけで逃げていたった。
今や魅真は、並盛町では、雲雀と同じように恐れられる存在となっていたのだ。
「古里君、大丈夫!?」
不良達がいなくなると、魅真は炎真を心配して、炎真の方へふり向いた。
「!!」
けど、炎真は上は服を着ているが、ズボンをぬがされて、下は下着だけの状態となっていたので、魅真は顔を赤くする。
「あ…ありがとう…。君は………えっと………」
「真田魅真。風紀委員で、あなたと同じクラスの生徒よ」
「今朝…屋上にいた…」
「そうだよ」
炎真は、まだ転校2日目なので、名前は思い出せないが、魅真の顔は覚えていたようだった。
「それより、ケガひどいけど大丈夫?学校に戻って、保健室に行こうか?」
「いいよ。いつものことだから…」
魅真が手当てをすることを進めるが、炎真はぬがされたズボンをひろうと、ズボンをはき、地面にちらばった教科書やノートを、もくもくとひろいあげた。
それを見ると、魅真もしゃがんで、教科書をひろうのを手伝った。
「はい、これ」
「……ありがと…」
全部ひろいあげると、魅真は炎真に、ひろった教科書とノートを渡し、炎真は魅真から教科書とノートをもらうと、小さくお礼を言った。
「古里君、おせっかいかもしれないけど、やっぱりその顔、せめて冷した方がいいよ。でないと腫れちゃうから」
「でも……」
「私のことなら気にしないで。今は、古里君のケガの方が大事だから」
シモンファミリー以外の人間が、こんなにも自分のことを気にかけてくれたことはなかったので、炎真は呆然とした。
「………君は……」
「え?」
「君は……確か、アーデルハイトのこと嫌いだったんじゃないの?」
「!」
「倒されればいいって、今朝言ってたから…」
「………」
「なのに、同じシモンの僕のことを、なんで気にかけるの?」
炎真には、それほどショックな出来事だったが、その疑問を聞くと、魅真は呆然とした。
「いや…なんでって…。そんな…ケガしてる上に血も流してたら、気になるでしょ」
「えっ…」
「それに、確かにアーデルハイトは、風紀委員をのっとろうとしたから嫌いだけど。確かに古里君は、アーデルハイトと同じ、シモンファミリーの人間だけど。でも、アーデルハイトはアーデルハイトで、古里君は古里君でしょ。関係ないよ」
魅真の答えに、炎真はまた衝撃を受ける。
「それとも、やっぱ私の提案、迷惑だった?おせっかいだったかな」
炎真の事情を知らない魅真は、やはり余計なお世話だったかと、焦りを見せた。
「そんなこと…ないよ…」
けど、そうではなかったので、魅真はほっとした。
「じゃあ、行こうか。近くに神社があったわ。あそこなら、あまり人も来ないから」
炎真が拒絶しなかったので、魅真は場所を移動することを提案し、魅真が提案すると、炎真は小さくうなずいた。
それから2人は、魅真が言っていた神社に行った。
神社につくと、炎真は境内のすみに横になり、魅真は持っていたハンカチを、手水舎でぬらして、水が落ちないくらいにしぼった。
「はい、古里君」
「え……。でも……血で汚れちゃうよ…」
「いいからいいから。気にしないで」
「………ありがと……」
炎真のもとに戻った魅真は、水でぬらしたハンカチを炎真に渡すが、人の物を血で汚すわけにはいかないので、炎真は遠慮した。
けど、魅真はまったく気にしておらず、にこにこと笑っていたので、炎真はおずおずと手をのばし、ハンカチを受け取ると、右目にあてた。
炎真がハンカチを受け取ると、魅真も炎真の頭の隣にすわる。
「あの……」
「ん?」
「ありがと……」
「やだ。本当に気にしなくていいんだってば。ハンカチなんて、洗えばいいし」
「それもあるけど……」
「けど?」
「さっき……助けて………くれたから……」
「え?ああ…」
お礼を言ったのは、ハンカチのことだけでなく、先程不良から助けてもらった意味も含まれていた。
魅真が納得したように返事をすると、炎真は沈んだ顔になる。
「情けないな」
「え?」
そして、ぽつりと本音をもらした。
「女の子に守られてる…」
「そんな!気にしなくていいのよ」
「でも君、とても強かった」
「そ、そう?」
「なんでそんなに強いの?なんでそんなに強いのに、僕を攻撃しないの?」
「なんでって…。むしろ、なんで古里君を攻撃しないといけないのかな?」
「人は力を持つと、むやみに使おうとするから。さっきの連中が、いい例さ…」
炎真が魅真の疑問に答えると、魅真は昔のことを思い出した。
「……そうね…。確かにその通りだわ」
「え?」
「私も、昔はいじめられてた」
「君が?」
魅真が思い出したのは、昔、自分もいじめられていた時のことで、炎真が聞くと、小さくうなずいた。
「私も、小学校の頃にいじめられてたし、ここに転校してきてからは、不良とか、変な人によくからまれてた」
不良を一瞬で倒してしまった上、不良に恐れられていたので、炎真は意外そうにした。
「もしかして、そいつらを撃退するために強くなったの?」
そして、魅真に質問をすると、魅真は違うと言うように、首を横にふる。
「私が戦うようになったのは、些細なことよ。無理矢理風紀委員に入れられて、最初は何度もやめたいって思ったけど、不良にからまれたのがきっかけで、目の前の大切な人を守りたいって思うようになった。それから、半強制的に武器をもたされて、戦いの特訓をしたの。最初は戦うのは嫌だったけど、段々そうじゃなくなって…。今でも、暴力とか好きじゃないけど…。でも、大切な人を守るためなら、武器をとると決めてるの」
魅真は、ちょっと前のことを思い出しながら、戦う理由を炎真に語った。
「風紀委員はもう、私の大切な場所だから…」
そして最後に、満面の笑顔を向けた。
「……そうなんだ…」
魅真が思いを語ると、炎真はぽつりとつぶやくように返し、境内の屋根と空を仰ぎ見た。
「あーーー。マフィアのボスとか、絶対ヤダ!!」
その時、ツナが大声で叫ぶ声が聞こえたので、魅真はそちらに顔を向けると、そこにはツナがいた。
「逃げちゃえば」
「!?」
ツナが大きな声で、胸の内を叫ぶと、炎真は小さく声をかけた。
「あっ…あれ?エ…エンマ君!?それに…魅真ちゃんも!!」
ツナは考えごとに集中するあまり、魅真と炎真には気づいていなかったので、ふり返って2人の姿を見ると驚いていた。
「僕も逃げだすこと、しょっちゅう考えるよ」
「エンマ君、その顔のキズ!!またイジメられたの!?」
転校初日の昨日も、同じように不良に暴行を受けていたので、ツナはびっくりして炎真に問うが、ツナに指摘されると、炎真は何も言わずに涙を流した。
「人は、ちょっと力を持つと、むやみに使いたがる。マフィアも、学校のバカ連中も、みんなそうさ」
「ちょっ、大丈夫?」
顔中血だらけの状態なので、ツナは心配して声をかける。
「君はどうなの?」
「え…?」
心配されてるのに、炎真はそのことには答えず、ツナに質問をした。
「じゃあね」
「あっ…あの…」
「古里君」
「ハンカチ…洗って返すよ…」
質問をしたのに、ツナの答えを聞かずに、炎真は体を起こすと、ハンカチを持ち、魅真に一言言って、境内から降りた。
「エンマ君……」
そして、ケガを負った足をひきずって、帰るために歩きだした。
炎真の後ろ姿を見て、ツナの頭の中には、先程言われた「逃げちゃえば」という、炎真の言葉が思い浮かんだ。
「(エンマ君も、マフィア嫌いなんだ…。………たしかに、エンマ君の言う通りだ…) 嫌なら逃げよう…」
炎真が言うことに共感したツナは、逃げる選択をした。
「許さないわよ❤」
すると、境内の上から、リボーンの声とともに、2つの硬式のテニスボールがとんできた。
「ぶっ」
「あ゙っ」
ボールは、見事にツナと炎真の頭に直撃した。
「逃げだすあなたに、スマッシュエース❤」
「!!」
「リボーン!!」
「リボーン君!!」
境内の屋根には、女子テニスプレイヤーの格好をして、テニスラケットをもったリボーンがいた。
「ったく」
3人がリボーンに気づくと、リボーンは衣服をぬぎながら、屋根から降りる。
「ダメな男2人揃うと、ロクなこと考えねーな。9代目の気持ちも知らずに」
そして、地面に着地すると、ツナだけでなく、炎真にもダメ出しをした。
「?」
「9代目?」
「9代目は、今回の継承式に、ボンゴレにゆかりのあるファミリーには、どんな弱小であっても、感謝の意を込めて、招待状を送ったんだ。その中のファミリーが、わざわざ転校までして継承式に来たことに、感銘をうけてな。ちょうど年も同じで、いい友達になればと喜んでいたぞ」
「いい…友達に…?」
まさか、9代目がそんなことを言ってたとは思わなかったツナは驚いていたが、炎真はどこか暗く沈んでおり、あまりいい顔をしていなかった。
「それに、シモンファミリーは、実戦の経験のない子供達ばかりだろうから、危険に巻き込まれないよう、面倒を見てやって欲しいとも言ってたぞ」
「その言い方だと、危険なことがあるみたいだぞ!!」
「そりゃあ、巨大ボンゴレともなると、よく思ってない連中もたくさんいる。継承式を妨害しようと、暴力に訴えてくる奴もでてくるだろう。現に、9代目の手紙には、継承式を妨害しようという、ボンゴレの反対勢力が、日本へ向かったという情報をキャッチしたと、書いてあったしな」
「んなーー!!そんなの初耳だよ!!」
継承式があるだけでも憂鬱なのに、更に不安のタネがあるというので、ツナは絶叫する。
「!」
その時、何やら金属音が聞こえてきた。
「なんの音?」
魅真がそう言った時だった。
いきなり巨大な槍が、魅真達をめがけて境内の上からとんできた。
「へ?」
「あっ」
槍がとんでくると、ツナと炎真はどこかぼんやりとしていたが、リボーンは即座に動いた。
「よけろ、ツナ」
「ぶ」
動いたリボーンは、ツナの背中を蹴りとばして、ツナを槍から助けた。
続いて炎真の方へ行き、体当たりをして助け、魅真はリボーンが動いたのを見て、ただごとではないと思い、ツナが蹴りとばされた方へとび退いた。
その巨大な槍は、ちょうど魅真達がいたところに刺さり、境内の階段や神道を破壊した。
「いでっ」
「う」
魅真は地面に着地したが、蹴りとばされたツナはうつぶせに、体当たりをされた炎真は仰向けに倒れた。
「ひっ。なっ、なんだよこれーー!?」
間一髪で助けられたが、かすかに槍があたっていたようで、ツナの制服の脇の下の部分が切れてしまっていた。
「さっそく来やがったな。さっき言ってた、継承式を邪魔する、ボンゴレの反対勢力だな」
「ええーーー!いきなりーー!!?」
言ったそばから来てしまったので、ツナはまた叫んだ。
「でけっ!!」
ツナが叫ぶと、境内の影から槍をとばした人物が現れたが、それは普通の人間の大きさではなく、境内よりも高く大きい、髪の長い男の巨人だった。
その男の右手には、今とんできた槍がついており、両耳には、雲属性の死ぬ気の炎が灯っていた。
「雲属性の炎!?」
「フオオオオ」
男は何もしゃべらず、叫び声をあげながら、槍で襲いかかってきて、境内を破壊した。
それを見た魅真と、リボーンは炎真をつれて、それぞれ違う木の上にとんだ。
「雲の炎で巨大化してるが、誰かに雇われた殺し屋とみて、まちがいねーな」
「わ」
リボーンは木の枝の上にいるが、炎真は、リボーンがパーカーのフードを持って宙に浮いてる形となってるので、とても不安定な状態で、この状況にびっくりしていた。
「こんな奴に手こずるんじゃねーぞ、ツナ。継承式までの1週間、もたねーからな」
下の方では、男が、ツナが攻撃した場所にいないので、破壊した境内のあたりを探していた。
その時、炎真があるものに気づいた。
それは、リボーンと炎真がいる木の向かい側の木の枝に、ハイパー化して、逆さに立ってるツナの姿だった。
「(未来から帰って、初のハイパー化だな。新しいリングと、未来での死闘で磨かれた力で、遊んでやれ)」
リボーンの手には、銃口から煙が出ている拳銃がにぎられていた。
リボーンは、あのわずかな間に弾を撃って、ツナをハイパー化させたのだった。
「いくぜ」
ハイパー化したツナは、炎を灯した拳を構えた。
同時に、魅真も死ぬ気の炎の防御壁を展開して、自分と、隣の木の上にいるリボーンと炎真を包みこんだ。相手が狙ってるのはツナだが、こちらに、いつ、どんな被害がくるかわからないからだ。
「!! (これは…)」
魅真の死ぬ気の炎に包まれると、炎真は目を大きく見開き、その後おだやかな顔になる。
一方、ツナの声に気づいた男は、うなり声をあげながらツナの方へふり向き、槍で攻撃するが、ツナはあたる前に、槍の真ん中に手をあて、チョコレートのように溶かしてしまった。
「……!!」
槍が溶かされると、男は驚いて固まり、男が驚いてる隙に、ツナはそこから飛んで、男の背後まで行くと、男は即座に後ろへふり向いた。
「!?」
「ガウ」
だが、目の前にある木の枝には、ナッツしかいなかった。
「オレはここだぜ」
「!?」
そして、ツナは男の頭の後ろにいた。
「終わりだ」
ツナはとどめをさそうと、左手の炎を大きくした。
すると、突然炎真の服の中が光った。
「「!!」」
まるで、ツナの炎に呼応するかのように、炎真の服の中の何かが光ったのを、魅真とリボーンは見逃さなかった。
一方で、ツナは炎を大きくした方の手で、男の首に打撃を与えた。
男はその攻撃で気絶して、地面に仰向けに倒れる。
男が倒されると、魅真とリボーンは木の枝から、ツナは空中から、地面に着地をした。
「ふ~。びっくりした」
着地をすると、ツナはいつものツナに戻る。
「この人…誰?」
「このイレズミは、ペスカファミリーの殺し屋だな。粗悪な改造死ぬ気弾らしきもので、"死ぬ気化"していたみてーだが、とるにたらないチンピラファミリーだ」
リボーンが男の服をめくって、身元を確認していると、男はもとの大きさに戻っていった。
「改造死ぬ気弾って…そんなもの出回ってんのかよ!!」
「最近な。これで、継承式まで、なにかと物騒だってわかっただろ?」
「わかっただろじゃないよ!!ますます継承式なんてごめんだよ!!」
継承式があるだけでなく、こんな物騒な奴らも日本に来ているとわかり、ツナは頭を抱えた。
「本当は強いんだね」
「!!」
そこへ、炎真が話しかけてきたので、はっとなった。
間違いなく、ハイパー化の自分を見られてしまったからだ。
「エンマ君!!」
「飛んでた」
「えっ。いっ…今のはまぐれっていうか!偶然木にはね返って飛んじゃって!!」
「(無理ある…)」
炎真につっこまれると、ツナは焦りながら、かなり苦しい言い訳をした。
「別に気にしてないよ。これ、ツナ君ちのネコ?昨日いなかったね」
けど、炎真は特に気にしていないようで、しゃがんで、自分の足もとにいるナッツののどをなでた。
「あ…まあ…うん。 (本当はライオンなんだけど…。でも、エンマ君が、超(ハイパー)化を気にかけてなくてヨカッター!!2重人格とか思われたくないし…)」
炎真はツナのハイパー化を気にしていないのを、ツナはほっとして、胸をなでおろした。
「ナッツの奴、なついてら…」
初めて会ったが、ナッツはすでに炎真になついており、自ら炎真にすりよっていた。
「……………… (なんだったんだ?ツナの攻撃の瞬間、炎真から感じたのは…。今までにはない感覚だったぞ……)」
ツナの後ろにいるリボーンは、炎真を見て、先程、ツナが攻撃をしようとした瞬間に、炎真の服の中が光ったことを気にしていた。
次の日の朝。
魅真は雲雀とともに、校舎内の朝の見回りをしていた。
「あの……真田さん…」
見回りをしていると、魅真は後ろから声をかけられたので、そちらにふり向いた。
「あ…古里君!」
そこにいたのは炎真だった。
「おはよう。早いんだね」
「うん…。あの…実は、真田さんに、渡したいものがあって…」
「渡したいもの?」
「これ……」
炎真は、カバンの中から、黄色い包み紙で包まれた、薄く小さな箱を取り出すと、魅真に渡す。
「これは?」
「昨日の…ハンカチ借りたから…」
「え?ああっ…」
「それで……昨日、ハンカチ洗ったんだけど……血がとれなくって…。だから、その代わりに、似たようなの買ってきんだ…」
箱の中身は、昨日炎真が魅真に借りた、ハンカチの代わりだった。
「なんか、かえって気をつかわせちゃったみたいだね。ごめん」
「いや、いいよ!僕の方こそごめん。あと、昨日はありがと。助けてくれて。うれしかったよ…」
「ううん、いいんだよ。古里君が無事でよかった。ケガは大丈夫?」
「うん。特に悪くなってないから……大丈夫……」
右目に眼帯をしているものの、それ以外は特に大きなケガもないようなので、魅真はほっとしていたが、雲雀は自分を無視して、2人だけの世界を作っている雰囲気だったので、機嫌が悪くなった。
「そっか。ならよかった」
魅真は、炎真が大きなケガもなく、ケガの後遺症もないようなので、ほっとして笑顔になり、炎真はあまり女子と話すことになれていないのか、頬を赤くした。
「あっ……じゃあ、僕……先に行くね」
「うん。またあとでね」
用は終わったので、炎真は教室へ行った。
そして、今のやりとりを見ていた雲雀は、不機嫌な顔をしていたが、魅真は気づかなかった。
それから放課後。
「なんですって!!?」
獄寺の大声が、突然校舎内に響いた。
「10代目が、他のマフィアに襲われた…!?」
「まーな」
獄寺が大声で叫んだのは、リボーンから、昨日の放課後に、ツナがよそのファミリーに襲われたことを聞いたからだった。
獄寺はショックのあまり、体が震え、顔が青ざめ、冷や汗をかき、手からは、持っていた「地底人のヒミツ」という本が落ちた。
「(くっそー!)」
自分の知らないところで、ツナが危険な目にあっていたので、獄寺は悔しそうに歯を噛みしめる。
「こうしちゃいられねぇ!!ボンゴレ守護者緊急招集しねーと!!」
「お、やる気じゃねーか」
「10代目の右腕として当然のことです!!」
どうやら獄寺は、SHITT・P!の観察のために活動していたようだが、それどころではなくなり、ツナを守るための対策をたてようとしていた。
「ボンゴレ傘下にいる、シモンファミリーの連中も集めましょう!!せっかくいるんなら、使わない手はねえ!!」
やる気に満ちあふれている獄寺を見たリボーンは、うれしそうにニッと笑った。
「お。いいところにいたぜ!転校生!!」
守護者を探していると、途中で、目の前に炎真をみつけたので声をかけるが、炎真はビクついた。
「お前に仕事を命じる!!」
「わ」
炎真のことはおかまいなしに、獄寺は炎真の胸ぐらをつかんで、前後にゆさぶって頼み事をするが、とてもではないが、人にものを頼むような態度ではなかった。
獄寺が炎真に頼んだのは、シモンファミリーの招集だった。
だが…。
「たるんでんぞ!!ボンゴレもシモンも、全員揃っちゃいねえじゃねーか!!」
ボンゴレもシモンも、全員そろっていなかった。
現在はファミレスにおり、獄寺は人目もはばからずに大声で叫び、周りの注目を浴びていた。
今ここにいるのは、ボンゴレは、魅真、ツナ、獄寺、山本、了平の五人。シモンは、炎真、アーデルハイト、紅葉、らうじ、薫の五人だった。
「ま…まーまー。しかたないよ、獄寺君」
興奮している様子の獄寺を、隣にすわっているツナがなだめると、獄寺は幾分か大人しくなり、席にすわる。
「ヒバリさんは、群れて行動するの絶対ダメだし、ランボは遊びいっちゃってつかまんないし、黒曜ランドのクロームに電話したら、一緒に住んでる城島犬に電話切られたんでしょ?」
「こちらも招集をかけたが、加藤ジュリーという男は…外出しており、SHITT・P!は瞑想中だ」
「なっ、瞑想って…あっ、あいつ…。こんな時間に、地底と交信してんのか」
「それ、まだ続いてんの!?」
未だに、SHITT・P!を地底人と勘違いしている獄寺に、ツナはつっこんだ。
「と…ところで獄寺君…。こんなに人集めて、話って…?」
「はい!」
獄寺は、ここに全員を集めた理由をまだ話していなかったので、ツナが理由を聞くと、獄寺ははりきって返事をして、話す前に一回せきばらいをした。
「昨日10代目が、継承式を邪魔しようとする、チンピラマフィアに襲われた。継承式まで同じことが起こらないとは限らない!そこで、ボンゴレとシモンが力を合わせ、地域(エリア)ごとに、10代目を警護することにする!!」
「なーーーー!?」
「なに?」
理由を話されると、ツナは冗談じゃないというように叫び、紅葉と、何も言わないが、アーデルハイトと炎真も反応をした。
「ちょうどいいあんばいに、両ファミリーのメンバーの、活動地域が分散していることがわかった。それに照らし合わせ、活動地域の近い者同士が、チームを組み、10代目をお守りするんだ!!」
ツナ達におかまいなしに話を続け、獄寺は一枚の紙を取り出す。
「まず、運動場は、野球バカの山本武、水野薫。3年校舎は、真田魅真、雲雀恭弥、鈴木アーデルハイト、笹川了平、青葉紅葉。並盛公園は、ランボ、大山らうじ。その他の地域、黒曜方面は、クローム髑髏と、加藤ジュリーって奴だ。もちろん、10代目の教室及び登下校をお守りするのは、オレと!!SHITT・P!だ!!あとは、アテにしてねーが、オマケで古里炎真!」
「へー。なんか面白そうだな」
「よくわからんが…熱いな!」
獄寺の提案に、山本と了平は賛同する。
「ちょっといい、隼人君」
「な、なんだ?魅真」
けど、魅真は賛同せず、獄寺に意見しようと挙手をした。
「私は反対だわ」
「えっ…」
普段、こういうことには反対しない魅真が反対だと言ったので、獄寺は間の抜けた声を出し、全員目を丸くして魅真に注目した。
「ツナ君を守るのはいいけど、一緒に行動するのが、雲雀さんと笹川センパイと青葉紅葉さんだということにも異論はないけど。でも、アーデルハイトとだけは、絶対にゴメンよ」
魅真が異を唱えたのは、アーデルハイトと一緒のチームになったからだった。
あからさまな魅真の態度に、アーデルハイトは反応し、魅真を鋭い目で睨んだ。
「まあ、ある意味では問題ないけど…。でも、やっぱり嫌よ。却下」
けど、魅真は気にせず、更に拒否をする。
「なっ…。魅真、お前!!なんか問題でもあんのかよ!?」
「逆にないと思ってたの?」
獄寺が反論するが、魅真はあっさりと返した。
あっさりと返され、魅真がいつもと違う雰囲気なのもあり、獄寺は一瞬言葉がつまる。
「お前、ワガママ言ってんじゃねえ!!」
けど、すぐに覚醒して魅真に文句を言う。
魅真にしてみれば個人の意見なのだが、それをワガママと受け取った獄寺は、魅真に怒鳴りつける。
「いやいや、ちょっとまって、獄寺君!!そんな大がかりなことしなくていいって!!」
そこへ、ツナが魅真のフォローをするように、焦りながら本音を言う。
「まったくだ。結局はバカらしいの一言につきる。なぜ客人の僕達(ぼくら)まで、そんなことをしなきゃならんのだ」
「なに!?」
「貴様っ」
「ボンゴレ傘下のファミリーが、ボンゴレに協力すんのは当然だろーが!!」
「傘下に入った覚えなどないわ!!せめて同盟と言え!!結局バカチン共が!!」
「なにを!!」
獄寺がケンカ越しで言えば、紅葉もケンカ越しで立ちあがり、更には了平まで激怒してしまい、めちゃくちゃになった。
「ひいいっ。なんか荒れてきたし!!」
段々険悪なムードになってきたので、ツナは焦った。
「静まれ、紅葉!」
その時、アーデルハイトが冷静な声で制止すると、全員が静かになった。
「あ…」
「くっ」
気持ちが高ぶっていた紅葉だが、アーデルハイトが一言口にしただけで静かになり、席にすわる。
「ここにいないメンバーとも相談したい。考える時間が欲しい」
「あ…ああ…。 (やっぱこいつがリーダーか…)」
「(すっげー。一発で静めちゃったよ…)」
アーデルハイトが仕切ると、獄寺はとぎれとぎれに返事をし、ツナは感心していた。
「たいした女だな、鈴木アーデルハイト」
「なっ。いつの間に!!」
そこへ、いつの間にかリボーンが現れ、テーブルの上にすわってジュースを飲んでいた。
「っていうかいいのかよ!?獄寺君が、おとなりファミリーまで巻き込んでるぞ!!」
「面白ぇじゃねーか。オレは賛成だぞ」
「お前まで!?」
獄寺の計画に、リボーンまで賛成したので、ツナは驚く。
「(シモンの連中は、何かひっかかる……。一緒に行動すれば、その理由がわかるかもしんねーしな)」
リボーンが賛成したのは、獄寺のようにツナを守ろうというものではなく、シモンファミリーに対する違和感を知るためだった。
その日の夜。シモンファミリーが住んでいる、なみもり民宿では。
「では、ボンゴレ10代目の警護には協力するが、我々なりのやり方でやらせてもらおう」
「うん。それがいいよお」
「結局、仕方あるまい……」
シモンファミリーが、シモンファミリーなりのやり方でだが、ツナを警護することを決定した。
らうじと、渋々だが紅葉も賛成し、SHITT・P!は立ったまま壁にななめに寄りかかって何も言わず、薫は野球ボールをにぎり、本を見たまま何も言わなかった。
「オレパァース。体調悪いんで欠席しまーす」
だが、昼間ファミレスにいなかったどころか、学校にすら来ていない、眼鏡をかけてあごにひげをはやした男は、藁でできた1人がけのソファにねそべって、だるそうに意見をした。
「さんざん遊び回っておいて、何が体調不良だ!!結局、明日も女とパチンコだろーが!!」
「ウッセーウッセー。赤点で補習よりかマシ?」
「ジュリー、貴様!!」
「やめなよ」
紅葉が怒鳴ると、ジュリーという男は、のらりくらりと紅葉の痛いところをつき、それに怒った紅葉をらうじが止めた。
「……炎真はどう思っているんだ?」
「どうって、別に」
二人が言い争ってると、アーデルハイトは隣にいる炎真に問いかけるが、炎真は煮え切らない返事をしてお茶を飲んだ。
「キズ増えてるな、炎真。一緒に帰ってやろうか?」
「いい」
「男の子なら、たまには勝ってこいっつの」
「結局軟弱なのだ!!シャッキリせんからナメられる!!」
そんな炎真を見ると、らうじは心配し、ジュリーは炎真にとって無理難題を言い、紅葉はバカにした。
「ところで、全員アレの管理は、ちゃんとできているだろうな」
「当然だ」
「もち」
「ああ」
今までツナの警護の話をしていたが、突然アーデルハイトが話を変えて全員に問いかけると、一部をのぞいて返事が返ってきた。
「炎真、見せなさい」
返事をしなかった炎真に、アーデルハイトが声をかけると、炎真は無言で、服の中にかくしている、首からさげているものを出した。
「よろしい。それこそが、お前が受け継いだ、シモンファミリーのボスの証」
それは、テープのように細い布でくるまれたリングだった。
そして、リングを前にした炎真の目には、炎が映っていた。
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