Z=31 潜入捜査
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「全員並べ!!美しい女は選ばれ、後宮へ嫁ぎ、頭首様のものとなる。ははは。これは大変な名誉だぞ!!」
モズたちがアマリリスの集落に来ると、兵士の一人が大きな声をあげて、女性たちに命令をし、これから選抜を始めることを告げた。
「ん-。いんじゃん今年も。可愛い娘(こ)!」
彼女たちの中に、モズの好みの子がいたので、モズはうれしそうに笑う。
「銀狼、君はなぜ後ろにコソコソ隠れているのだ??」
「だだだってぇえ、コハクちゃん…。後宮になんか選ばれたくないし。僕男だよ!?」
「ハ!言っただろう。このカワイイ選抜に選ばれることで、敵陣に潜入し、石化光線を奪う!!潜入チームは、一人でも多い方が良いのだ!」
「やぁああああ!!!」
コハクが銀狼に、今回のミッションのことを説明していると、突然女性の悲鳴が聞こえたので、魅真たちはびっくりして、悲鳴が聞こえた方にふり向いた。
「おじちゃんね、逃げたケダモノ捜しがんばってたら、ホラ、ついでに見つけちゃったの。隠れてたカワイイ娘(こ)!やー、イイネ!がんばる労働者には、ちゃんと見返りがあるネ!!」
それはイバラと若い女性で、イバラは女性の帯に指をひっかけて持ち上げて、連れ去ろうとしていた。
「見逃して…ください。頼む…。新婚なんです、俺ら…」
イバラの前には一人の男性がおり、彼はイバラに捕えられた女性の夫で、ひざをつき、左目の上の額から血を流していた。
状況からして、イバラか兵士にやられたようだが、連れ去られそうになっている女性を返してもらおうと必死だった。
「だから何?」
しかし、イバラから返ってきた言葉は無情なもので、男性は鋭く睨みつけ、女性を取り返すために立ち上がり、腰に装備している武器に手をかけた。
「(マズい)」
「(バカ野郎。石にされるか殺されるか…)」
この様子を、彼の後ろから見ていた村の2人の男性は、今の状況を危惧した。
すると、イバラに襲いかかろうとした男性の肩に手を置いて、止める者が現れた。
「お願い、今は我慢して。私も、友達を石にされた。5年間ずっと我慢してきたの。この時のために。私たちが後宮に潜り込んで、絶対みんな助けるから……!!」
それはアマリリスで、アマリリスは男性にだけ聞こえる小さな声で、男性を止めた。
「…アマリリス、お前、ただの気弱な子なんだと…」
アマリリスの説得で男性は大人しくなって、涙を流した。
「じゃ、他の娘(こ)も順番にネ、自己紹介してもらっちゃおうかな~」
「そこの女!」
イバラが機嫌よさそうに指示すると、イバラの前にいた兵士が、アマリリスに命令した。
すると、アマリリスは鋭い目のままイバラたちに顔を向けた。
「ア…アマリリスっていいます!ゴメンなさい。男の人の前だと緊張しちゃって。私みたいな子が選抜会とか…。どうしよ、すっごい、はずかしぃ。とと、とにかく、がんばります!!」
「(一瞬で…)」
「(すさまじいな、変わり身が!)」
「(プロだぁ…)」
「合格(アリ)!!!」
けど、すぐに目つきと態度が変わったので、合格となり、魅真たちはアマリリスの変わり身の早さに感心していた。
アマリリスが自己紹介すると、魅真たちの周りにいる女の子が、次々に自己紹介していった。
「(む。次が私か――)」
コハクの隣にいる女の子が自己紹介しているので、次はコハクの番となったため、コハクは緊張すると同時に、ここに来る前ゲンに、「アマリリスみたいな内気可愛い系は無理だろうから、このさい元気キャラにふっちゃうのも手かも」と言われたのを思い出し、冷や汗をたくさんかいた。
「私の名はコハ…じゃない。コハクでーす!!!戦闘ならば任…じゃなくて、めっぽう元気なのは取り柄と言わ…言われます。よろしくです!!」
そして、自分の番となったので自己紹介をしたのだが、冷や汗をかくは顔がひきつってるは自己紹介は噛みまくってるはで、もうボロボロだった。
「う…ん。どっちだろ……」
「(コココ、コハクちゃん。ボロが!ボロがぁぁあああ)」
今の自己紹介で、イバラの判断は微妙なものとなり、ボロが出たので、銀狼はたくさんの冷や汗をかく。
「でもね、見た目はカワイイし!あとはおじちゃん思うにね、スタイルがボンキュボーンだし。問題ないでしょ~」
けど、見た目とスタイルの良さは好みだったので、イバラは笑顔でコハクの胸をさわるために、手を近づける。
あと1cmくらいでコハクの胸にふれるというところで、コハクの目が鋭くなり、下からすくいあげるようにイバラの手をとると、そのままへし折ろうとした。
その時、コハクとイバラの間の手の下に、モズが突然、隙間を縫うようにして、武器の槍を突き出してきた。
コハクがモズに目を向けると、モズは槍を上に動かして、コハクとイバラの手を引き離した。
「痛!なに、モズ君?」
「蜂がいました。季節ですから」
「あ、そ…」
「……」
本当は、コハクとイバラの手を引き離すためだったが、モズはごまかした。
「合格(アリ)!」
そしてコハクは、自己紹介は微妙だったものの、合格となった。
「んー、コハクちゃんって言った?」
合格をもらい、イバラから離れたコハクに、モズは小さな声で話しかける。
「君さ、超強いよね?」
それは、今のでコハクの強さを見抜いたからで、モズは鋭い目で睨みつけた。
そんなモズを、コハクは目をやや鋭くして、横目で見た。
「俺は好きだよ、そういう娘(こ)。君の目的は知らないけど、俺には関係ないしさ。俺の楽しみの後宮だけは、潰そうとしたら全力で止めるけど。コッソリ遊びに行くから、後宮に。お手合わせ、楽しみにしてるよ」
「ハ!君の意味するところが戦闘ならば、いつでも望むところだ……!!」
強さを見抜かれた上、コハクが何かたくらんでいることも見抜いた。
しかし、そんなことでひるむような性格ではないので、コハクは不敵な笑みを浮かべ、モズに背を向けて、モズの挑戦を受け取った。
Z=31 潜入捜査
一方で、魅真はコハクとモズの会話が聞こえており、モズを鋭い目で見ていた。
「(あのモズって奴。アマリリスが言ってた通り、強い…!!)」
それは、今のコハクとのやりとりだけで、モズの強さを見抜いたからだった。
「(それに……)」
けど、それだけではないので、拳を強くにぎりしめる。
「んじゃあ次、そこの娘(こ)!」
すると、魅真の前にイバラがやって来て、魅真に自己紹介するように言ったので、魅真は緊張した。
同時に、ここを出る前ゲンに、「魅真ちゃんは清純派キャラで行こうか。あまりぶっこみすぎないように気をつけて」というアドバイスをもらったのを思い出す。
「(清純派かぁ…。汗くさ女とか千空に言われてる私が…。下品な言葉は使ったことはないつもりだけど…難し……いや、もうやるしかない!!)」
アドバイスはもらったものの、どういう風にふるまえばいいか分からなかったが、もうすでに本番となっているので、魅真は腹をくくった。
「わ、わ、わわ私は……み、魅真といいます。特技はえっと……剣…じゃない…。走ることでぇす!よ、よろしくお願いします!)」
しかし、コハクの時のようにボロが出てしまい、清純派キャラとはほど遠いものになってしまった。
「あ、うん…。どっちだろ…」
イバラの判断は、またしても、合格と不合格の間で揺れ動いた。
「でもまあ、顔はカワイイからね。合格(アリ)!」
けど、顔の好みだけで合格になった。
ボロが出まくりだったのは、魅真も自覚していたので、形はどうあれなんとか合格にすべりこんだので、ほっとしていた。
そんな魅真を、モズがジッと見ていたが、魅真は気づかないふりをしていた。
そして、最後に銀狼の番となったが…。
「ぼ…僕は銀狼…銀ちゃんっつうんだぜぇ??カワイさの欠片もないんだぜぇえ!?」
銀狼は舌を出し、ガニ股になり、股を大きく開いてスカートから出た右足のひざを右手でたたき、左の親指で、自身を指さした。
「(選ばれないように必死!!)」
どうしても選ばれたくない銀狼は、わざと女子がやらないようなポーズと自己紹介をしたので、魅真とアマリリスは冷や汗をかき、コハクは腹をたてていた。
「僕っ娘ね。小柄なのに、必死に強がってる感イイネ!合格(アリ)!!」
「エェエェェエエ~」
「意外と広いな、守備範囲!!」
だが、そこがイバラに気に入られ、合格になったので、銀狼はショックで涙を流す。
けど、何はともあれ全員合格し、後宮に潜入できることになった。
銀狼で最後となり、魅真たちは全員合格したので、頭首のいる後宮に行くことになり、集落を出て、後宮までの道を歩いていた。
そして、しばらく歩いていき、崖の上の道を歩いていると、コハクは頭上に光るものを目にし、落ちてきたそれを空中でとった。
それは、丸い形をした、下の部分に羽根がついた耳かざりで、よく分からないが、コハクはそれを耳につけた。
「ククク。動作テストかます間もねえ。相変わらずの綱渡り、ぶっつけ本番だ」
耳飾りを投げたのはソユーズで、コハクたちがいる場所の上の崖には、千空たちがいた。
「聞こえる、コハクちゃん!?もし聞こえてるなら―――」
今コハクが受け取ったのはインカムで、連絡が通じるかどうか、ゲンがテストすることにしたが、ゲンは一瞬何を言おうか迷った。
「カワイイポーズして~~」
少しだけ考えると、コハクには無理難題なことを指示した。
「(カワイイポーズ…?)」
その指示にコハクは固まり、どうしようかと、顔を左右に動かして悩ませた。
考えた末に、カワイイ=スイカが思い浮かぶと、すごいぎこちない動きで、スイカがたまにやっている、両手と左足をあげるというポーズをとった。
「や…やった!!」
「インカム大成功なんだよー!!」
指示が通じたので、ソユーズとスイカはハイタッチをした。
「ククク。カワイイポーズだったかはアレだがな」
「え!?じゃあ、聞こえて無かったんだよ…!!?」
「いや、聞こえてたでしょ」
第三者から見ると、カワイイポーズとは言いがたいものだったので、スイカは通じてないと思ったが、とりあえずは指示された通りに、コハクなりに動いたので、指示が聞こえていることは分かった。
「ゲン。この屈辱は、後で何倍にもして返すから、覚悟しておくのだぞ…!?」
今の指示は、コハクにとっては屈辱的なものだったので、腹を立てたコハクは、小さな声でしゃべりながら、すさまじいオーラを放った。
距離が離れているし、コハクは上を向いていないので、表情は分からないが、悪寒を感じとったゲンは、背筋が凍った。
「でも、インカムで指令は出せるようになったけど、どういう作戦で、これから石化光線ゲットするんだよ…??」
「石化光線持ってんのは、とりあえず、敵の女戦士キリサメだ」
「コハクちゃんがバトってたけど、めっっちゃくちゃに強かったね…」
「あ゙ぁ。アホみたく正面突破で奪うっつうのは、まあ、100億%無理ゲーだな。お大事お大事な、最強の石化光線を、キリサメが自分から手放してくれる瞬間が、一瞬だけあんだろが!!」
「使うために投げる、その瞬間……??」
「そこをイタダく!!!」
インカムのテストが終わったので、次にどういう作戦でいくのかを、千空は話した。
「ククク。最初っからこのバトルは、空中戦なんだよ。そう、俺らはこの原始の島で――」
そして、キリサメが持っている石化光線を、どうやって奪うのかを説明した。
「ドローンを作る!!!空中は、科学の戦場(フィールド)だ!!!」
「ひぇえええええええええ」
石化光線を奪う方法。それは、ドローンを使っての空中戦だった。今回もまた、到底不可能ではないかと思えるものをクラフトするというので、ゲンは驚き、ソユーズとスイカも、ドローンは分からないが、空中戦というので驚いていた。
一方魅真たちは、別の集落に行った後、ついに頭首が住む場所へとやって来た。
「ハ!まんまと成功したぞ、敵陣潜入に!ならば、さっそく石化光線をいただこうじゃないか。キリサメが持っているのだろう?今夜にでも寝込みを襲うぞ!!」
「今夜!?早い早い早い!どんだけソッコー大好きマンなの、コハクちゃん」
「何も情報つかまないまま特攻なんて、ダメに決まってるでしょ!」
「そりゃ、私だって早目に勝負かけたいけどね~~。ホントは、顔も知らない頭首の側室なんて、絶対やだから」
コハクは意気揚々として、今夜にでもキリサメの寝込みを襲おうと思ったが、3人に止められる。
「まずは偵察!キリサメや頭首周りの警備体制ね。都合良く一人で寝てるわけもないし。そのために潜入するんだから――」
アマリリスがまっとうなことを言うと、コハクのインカムから雑音が鳴った。
「む!千空の連絡だ!」
「えぇえ。なんでその耳飾りで声聞こえるの!?」
「うん、僕らもわかんないよぅ。科学不思議」
「あ゙ー、分かってっと思うがな。科学王国はこっから、俺ら科学チームと、テメーらスパイチームで、二手に別れて戦うことになる!テメーらスパイチームのミッションは――良~~~く偵察しまくって!モズや主力がバラけた時に、なんとかキリサメ一人でおびき出して、石化光線を投げさせる!!」
「了解だ。なんとかしよう!…いや、こちらの声は聞こえないのか。片道だけでも連絡できるのは、めっぽうありがたいがな!!」
「あの大っきいケータイ背負って潜入は無理だしねぇ」
「それを、俺ら科学チームが、空中で奪う!!」
「!!!」
「作るのは、三次元の王者、ドローンだ……!!!」
いつものことだが、千空はまたすごいものを作るとを言い出した。
「んで、もう一つ」
「ん?」
「今回の作戦のリーダーは……魅真だ!!」
「!?」
「魅真は、司帝国でスパイやって情報収集した実績がある。俺からの指示がある以外は、魅真の指示に従え。特にコハク、ムチャな突撃特攻はすんじゃねえぞ!」
そこで、千空からの通信が途切れた。
そこからまたしばらく歩くと、とうとう頭首の根城にたどり着いた。
「(……これが、敵の本拠地。頭首どもの根城………!!)」
そこは、何十メートルあるか分からない巨木の周りに、その巨木ほどではないが、大きく背の高い木が周りにいくつかあり、木にはたくさんの家が建っており、木の周りには木の板でできた橋があるという場所だった。
崖から根城である木に続く橋は一つだけで、全員そこから根城に入り、橋を歩いて渡った。
ある程度歩いていき、イバラや兵士や他の女の子が離れて、周りに誰もいない時を見計らい、コハクは先程千空が話していた指示の内容を3人に話す。
「ドローンかぁ…。またすっごいもん作るね。まあ、キリサメに正面特攻は厳しそうだけど…」
魅真は、千空がドローンを作ると言っていたことに驚いてはいたが、納得してもいた。
「ドローンってなに?あと、コハクちゃんの耳飾りも」
魅真の隣で、アマリリスがドローンとインカムについて、魅真に聞いた。
「私も実物を見たことはないから、詳しくは分からないけど、簡単に言うと空飛ぶ機械かな」
「空!?」
「それって、気球みたいなやつぅ?」
「気球よりもうんと小さいやつだよ。コハクの耳飾りはインカムね。つけるだけで、手放しで話ができるの」
「す、すごいのね。科学って…」
魅真の説明は詳しくない、ざっくりとしたものだが、科学力がない島の住人であるアマリリスは、それだけで驚いていた。
「あ…そういえば、ここでは魅真がリーダーだとも言っていたな」
「私が!?」
「うむ」
「魅真ちゃんがリーダーって、どういうことなの?」
話は変わり、魅真がリーダーになったことを報告すると、魅真もアマリリスも驚いていた。
「魅真は司帝国での実績があるからな。だからだろう。千空からの指示がある時以外は、魅真の指示に従えと言っていた」
「そっか。魅真ちゃん、司帝国でたくさん情報集めてたもんね」
「なんかよく分からないけど、経験者ってことね」
「そうだ」
「…わかった、やるわ」
リーダーに抜擢されたことに、魅真は驚いたが、仲間を助けるために、千空に言われた通りリーダーになった。
「ならば、この耳飾りは、魅真がつけていた方がいいのではないのか?」
「最初にコハクがつけてたんだから、はずさない方がいいわ。いきなり私がつけてたら、誰かが疑うかもしれないから。イバラもだけど、モズなんか、特に怪しいしね」
「モズが?どうして…」
イバラは警戒心が強いので分かるが、モズが怪しいと言ったことにアマリリスはふしぎに思い、聞いてみると、魅真が答える前に大きな破壊音がした。
「クウ~~!!見・た・か、このオオアラシ様のミラクルパンチ。どう見ても島No.1だろ。このミラクルパワー!!」
「その石像の男は愚かにも、自分の娘を後宮から逃げさせようと侵入した!」
それは石像が砕けた音で、それをやったのは、エジプト神話のアヌビスのような仮面をかぶった、背が高くガタイがいい、筋骨隆々の、いかにもパワーファイターといった雰囲気の、オオアラシという名の男だった。
「(ひぃいいいいい)」
オオアラシは素手で、しかも一発で石像を破壊してしまったので、その力に銀狼はびびった。
「そういうな、ワルい奴のまつ…マツ?松の??」
「末路です」
「それな!逃げようとか思うんじゃねぇぞ。お前らも!!」
今のは、魅真たちに対する牽制だった。
「なるほど。めっぽう厳しそうだな、警備は」
「うん。だから、中から探るしかなかったの。なんとか隙見つけて、まずはこの根城の作りを…」
アマリリスと、ここの警備について話していると、ふいに頭首の根城がある木に目を向けていたコハクは、そちらを凝視した。
「ハ!やはり私は、ソッコーが大好きでな。新入りが来てバタついている今が、偵察のチャンスなのだ」
「え、ちょっ……コハク?」
「アマリリス、15秒欲しい。作れるか!」
「!!」
「へ?どゆこと?どゆこと??」
「OK。任せて!」
銀狼はコハクが言ってる意味が分からなかったが、意味が分かったアマリリスは、コハクの言うことを了承した。
「コハク、何考えてるの?ダメよ!」
基本的に、ものごとを慎重に進めようとする魅真は、コハクの肩をつかんで止める。
「す…スゴいですね!!」
一方、コハクに頼まれたアマリリスは、オオアラシに近づいていった。
「初めて見ました!こんなたくましくてステキな腕。触って見てもいいですか…??」
そして、うっとりとした目でみつめると、オオアラシの腕をそっとさわった。
「クウ~~。そうか、イイ女には分かるか!この、ミラクル筋肉のミラクルさが。いいぞ。好きなだけ見ろ!!」
「(カワイイ)」
「(スゲー。さすが後宮の娘(こ)…)」
それだけで、オオアラシは顔を真っ赤にしてのぼせてしまい、近くにいた兵士たちも、アマリリスの魅力にトリコになり、顔が真っ赤になった。
「皆さんもスゴいんですね。いいですか、見ても?わわ、私、パパも男兄弟もいないから、カッコ良くてビックリしちゃって…」
そして、兵士たちにも声をかけると、兵士たちはノリノリで筋肉を見せた。
すると、その隙をついて、コハクは魅真の手を肩からどかすと、下へとび降りて、木の枝から木の枝へととんで、頭首の根城がある巨木まで行った。
「(やはりだ。間違いない!私のこの、めっぽう高い視力と、科学王国で学んだ知識に感謝だな…!!)」
そこから一点をみつめると、またすぐにもとの場所へととんでいく。
「何の騒ぎ!!?」
「(キリサメ!ヤバ、駆けつけるの早!!15秒はなんとか稼いだと思うけど……)」
「(どうしよう…。まだコハクが戻って来てないのに…)」
魅真たちがいる場所では、キリサメがやって来たので、魅真もアマリリスも顔が青ざめた。
その時、銀狼の後ろにコハクが戻ってきた。
「! 良かった。間にあった」
「これで一安心ね」
「どこ行ってたのぉ、コハクちゃん…??」
ギリギリのところでコハクが戻ってきたので、全員ほっとした。
「見つけたぞ!!我々の勝利を決定づける、科学の鍵を!!」
「「「!!?」」」
コハクが危険を承知で頭首の根城がある巨木まで行っていたのは、その「科学の鍵」をみつけたからだった。
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