Z=30 ビューティ大改造
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スイカはさっそく行動を開始した。
しかし、上にも兵士がたくさんいるが、当然中にも何人かいるので、みつからないように、こっそりとラボカーがあるところまで進んでいった。
「研究所(ラボ)カーを、外で獣から守るための、迷彩カバーがある。ククク。大自然と潜入の達人スイカ様なら、100億%気づいて被せんだろ!」
スイカは千空が言った通り、カバーをラボカーにかけた。
「で…でも、人の目に見えなくなるわけじゃないよね…??」
「そりゃそうだ。最後は強行突破っきゃねえ」
「勝ち目はある!潜入者2人で、完璧な連携を取れれば――」
「うん。スイカちゃんは、ゴイスーの有能だからいいけどね。タッグのパートナーが、若干心配しかないっていうか…」
「やる時はやる男だ。信じているぞ、銀狼…!!」
船には近づけないため、ただ見守るしかないので、うまくいくように祈った。
Z=30 ビューティ大改造
「誰か助けに来てくれた!!じゃあ、僕はもういいよねぇ!??逃げちゃってもいいよねぇえええ!??」
しかし、千空たちの願いもむなしく、銀狼はラボ奪還に、まったく動こうとしなかった。
「奥義人任せ!!」
それどころかさっさと逃げるために、奇妙な動きで、船の前の方に向かって行った。
「ヤギだっけ、コイツら?毛皮もイイし、肉も旨そうじゃん。世の中、まだまだ見たこともねえケダモンがいんだな~」
船の後ろでは、兵士が自分たちの船にヤギをはこんでいた。
「(よぉぉし。ヤギ運んでる今のうちに、船の反対側から――)」
銀郎は、船の後ろにいる兵士が、自分に気づいてないかどうかを確認しながら、ヘリに両手と片ひざをかけた。
「(とっとと逃げなきゃねぇえ。せっかく僕だけ石化光線助かったんだから)」
そして、海にとびこんで逃げようとしたが、途中で動きを止めた。
「そうだよ。助かったんだから。僕だけ…」
動きを止めたのは、石像にされた金狼のことを思い出したからだった。
銀狼は金狼のもとまで行くと、金狼の石像をヘリの方までひきずっていく。
「もう、なんで寝てるの、金狼。一緒に逃げようよぅ。しょうがないなあ。僕が、連れてってあげるからね……!」
石像なので、しゃべるわけがないのは銀狼もわかっているが、それでも話しかけ、涙を流しながら、金狼を背負って逃げようとした。
その時、船の後ろから大きな破壊音がしたので、そちらにふり向くと、スイカがはねまくって、いろんなところに激突していた。
「ちょ…何だコレ、転がって」
「野菜かと思ったら、ケダモンか!?」
「(スイカ!!なんで…!??)」
音の正体がスイカだと分かると、銀狼は驚いて、スイカがいる方を見て固まる。
「(スイカがお役に立つんだよ。敵のみんなの目を引きつけるんだよ!このドッタンバッタンに紛れて、きっと銀狼が、研究所(ラボ)を脱出させてくれるんだよ……!!)」
「……!!」
敵がいるので声には出せないが、スイカが何を言おうとしているのかを理解した銀狼は、白目をむいて、たくさんの冷や汗をかいた。
「(そんなことして見つかったら、今度こそ石化か…殺されちゃうじゃんか!)」
けど、なかなか勇気が出ず、体が震えた。
「そうだよぅ。僕は、そんな場合じゃないんだよぅ。一緒に逃げなきゃなんだから。ねえ、金狼…」
スイカを心配する気持ちはあるが、それでも勇気が出ず、返ってこないのは分かってるが、金狼の石像に顔を向けて話しかける。
『銀狼 銀狼―――。あの時船にいなかったお前だけは、生きているのかもしれん。目も見えん。音も聞こえん。今の俺には、確かめる術もないが―信じている。分かるのだ、暗闇の中でも。お前なら、生きていると。一言でも伝えたい。考えろ。今お前が、為すべきことを――』
すると、幻聴なのか、金狼の声が銀狼に届き、銀狼は震えた口角をあげる。
「(……あ~あ、喋れなくたって聞こえるよぅ。その真面目くさった堅物顔でさぁ)」
今のは、幻聴でも金狼がしゃべってるわけでもなく、兄弟なので、何を考えているのか分かっただけだった。
「ごめんね…金狼。ちょっとだけ待ってて。後で絶対、千空たちと、全員助けに戻るから……!!!」
そして、金狼や科学王国の仲間を助けるために、金狼を置いて歩き出す。
船の上でスイカが暴れる中、銀狼が向かったのは下のラボカーがあるところで、ラボを置いている台のレバーを、上下に押して押して押しまくった。
すると、台はまるで奈落のように、上へ上へと押しあげられた。
ちょうどその頃、暴れまわっていたスイカは、殻の中に入った。
「おぉおし。ついに捕まえ…」
ようやく止まったので、兵士の一人がスイカを捕まえてしまった。
「…あり??」
「なんだ、やっぱただの、なんかの実の殻じゃねえか――」
けど、中には何もなかった。
「のわ!!!」
その時、兵士たちがいる足元の床が左右に開いたので、その周辺にいた兵士たちは驚いた。
「おぉおおおォし!!!」
ついにラボカーが現れたので、千空たちはガッツポーズをする。
スイカがかぶっている殻がラボカーの上に乗ると、ラボカーは後ろの、先程兵士たちが使っていたタラップを使って下に降り、イバラたちが、ラボカーが降りた際に響いた音に気づいたあとに、海に着水した。
兵士たちはラボカーを追いかけ、その隙に、銀狼はヘリの方から海にとびこむとラボカーに乗りこみ、銀狼が乗ると、ラボカーは海を渡って陸にあがった。
「水陸両用で、すごいんだよ、ラボカー!!」
けど、陸にあがってすぐに木の茂みの中に入ると、崖があって行き止まりなので、そこで止まってしまう。
だがその時、スイカの頭に手が置かれた。
「やるじゃねえか、テメーら」
「千空ぅうううう!!」
それは千空の手で、魅真たちも続いて乗りこみ、千空がやって来ると、銀狼とスイカは喜んだ。
「ひぃいい。でも囲まれたぁああ!!」
「そりゃまーそーなるよねええ…」
しかし、一難去ってまた一難。追いかけてきた兵士たちが、ラボカーを取り囲んだ。
「クッソ、暗くて見えねえ!」
「船かと思ったら、陸も進んでたぞ?こいつも新しいケダモンか!?」
けど兵士たちは、科学を知らないのと、ラボカーが暗がりで見えないというのもあり、生き物かと思っていた。
「そ…そうか。島の人は、自分で動く自動車なんて発想ないから、生き物にも見えるんだ!確かに俺も、最初そう思ったし」
「ククク。そのカン違いはおありがてえがな」
「俺らが生き残ってること、バレずに済むからね~」
「でも、それも時間の問題じゃない?」
「あ゙ぁ、これ以上エンジンふかしたら、排気ガスモクモクだ。人工物じゃねえかって、一発で――」
しかしこのままでは、ラボカーが生き物ではないことが分かるのも時間の問題だった。
だが、その時千空は、窓から花をみつけ、目を見張った。
「その花――」
「?? ジャスミンだけど…」
「そりゃ南国だしね。何、いきなりのティータイム。ジャスミンティー!?」
その花はジャスミンで、妙案を思いついた千空は、荷物の中から貝を取り出した。
「貝…??」
「アマリリス、テメーが昼間集めてた奴だ。ククク。まさか、中の腐った身の方活用すっとは思わなかったわ。どうせ出す排気ガスなら、超絶唆る香りつけてやるよ。魚類肉類のアミンに+ジャスミンのスカトールでな!」
「スカトール??なんか臭そうな名前…」
そして、貝を取り出すと、今度はジャスミンの花をとり、貝をジャスミンの花びらで包んで、おはぎのようにした。
「腐った貝を、ジャスミンの花で包んで、温めるだけで――」
ジャスミンの花びらで貝を包むと、排気ガスにあてて温めた。
「ウンコを手に入れた!!」
「手に入れなくていいよ、そんなもの!おしりから出るよ、普通に!!」
「香りだけだ」
何が出来るかと思いきや、とんでもないものを作り出したので、銀狼はドン引きしたが、本物ではなかった。
「トドメにオマケで、ほどよく屁っぽい硫黄の香りもプレゼントな」
「便利ね、ラボ…」
今度は、瓶に入ってる液体から硫黄の香りもつけると、その煙がラボカーの上部の排出孔から出てきた。
「「「くっっっっさ!!!!」」」
その臭いをかいだ兵士たちは、あまりの臭さに絶叫した。
「プゥ~♪」
更にそれっぽくするために、今度はゲンが、手笛でおならをする時の音を作り出した。
「くっそ、やっぱケダモンじゃねえか……!!」
今ので兵士たちは逃げだし、千空たちも崖をのぼって、兵士たちとは反対の方へ逃げていった。
「やったぁああ。研究所(ラボ)ゲットして」
「脱出大成功なんだよー!!」
「これでついに、魅真ちゃんとコハクちゃん、カワイイ化計画ができちゃうね~♪」
なんとか危機を脱したので、全員で喜んだ。
「?? カワイイ?」
「どぅゆぅこと?」
「ククク。話しゃあ、ちーーと長ぇ」
「後宮に選ばれることで忍びこみ、石化光線をいただくのだ!」
あの場にいなかったスイカと銀狼には、なんのことか分からないので、コハクが説明するが、あまりにざっくりすぎた。
それから、ある程度進むと森の外に出て、海の近くまで来た。
「一応ね~。ホラ、暗いうちに、ニセの足跡作っとこっか♪」
タイヤの跡があるので、進んだ方向がバレてしまわないように、コハクとスイカで、念のためにタイヤを足で転がしてニセの足跡を作り、魅真、銀狼、ソユーズで、本当の足跡をほうきで消した。
ニセの足跡を作り、本物の足跡を消すと、全員ラボカーに乗って、再び海に出た。
「たぶん、うちの集落の人たちしか知らない。『サファイアの洞窟』っていう、海からしか入れない、秘密の横穴があるの」
海に出たのは、アマリリスが知る秘密の場所に行くためだった。
「わぁああ。洞窟の海が、青くキラキラ光ってるんだよ……!!」
「イタリアかなんかの…なんだっけ、ほらアレ、青の洞窟!的な奴ね♪」
「波がエグった海蝕洞だな」
「ここならしばらくは大丈夫」
目の前の入口から入ると、奥に岩場があり、入口から岩場までの道がまがっているので、入口からは見えにくくなっていた。
「さーて、さっそく魅真とコハクの改造計画を始めるが……その前にアマリリス」
「なに?」
「テメーに持ってきてもらいたいもんがある」
「え…?」
千空は、さっそく魅真とコハクのカワイイ化計画を始めようとしたが、それを始める前に、アマリリスに頼み事をした。
頼み事をされると、アマリリスは一旦村に戻った。
「行っちゃったんだよ」
「でも大丈夫なのか?アマリリス一人で戻って…」
「よそもんの俺らが一緒にいたんじゃ、逆に疑われる。それよか、島の住人のアマリリスが、一人で戻った方がいい」
「なるほどな」
まだ兵士たちがうろいているかもしれない島を、戦闘力がないアマリリスが一人で戻ったので、コハクは心配したが、千空に説明されると納得した。
「それじゃあ、アマリリスが戻ってくるまで待つしかないね」
「だな」
なので、アマリリスが戻るまで、全員その場で待つことにした。
「ところでスイカ、ずっと言いたいことがあったんだけど…」
各々今いる場所で待機すると、突然魅真が、スイカに声をかけた。
「え?」
「なんでこっそりついてきたの?」
魅真がスイカに声をかけたのは、船員として呼ばれてないのにここにいたからだった。
「で、でもホラ!おかげで僕たち助かったんだしさ?別にいいんじゃない?」
「そういう問題じゃないのよ」
何やら不穏な空気になったので、横から銀狼がフォローするが、魅真は一蹴する。
「私が言いたいのはね、龍水が危険だと言ってたのに、なんでついてきたのかってことよ」
「で、でも…スイカだって、みんなのお役にたちたいんだよ」
「うん、その心意気はりっぱよ。けど、だからって許されるわけじゃない。もし敵に囲まれたら、子供で戦闘力がないスイカはまっさきに人質にされるし、殺される可能性が高い。そうなったら、周りに迷惑がかかるし、みんなの心に、大きな傷痕を残すことになるんだよ」
「う……」
「まあ…それでも、私たちが助かったのは確かだから、これ以上は何も言わないけど…。だけど、もう二度と、勝手な行動や危険な行動をしちゃダメだからね」
「わ、わかったんだよ…。ゴメンなんだよ…」
厳しい言い方ではあるが、魅真の気持ちはわかったので、スイカは謝罪した。
「あとコハクも!」
「え?私か?」
ちゃんと船員リストにあったのに、突然矛先を向けられたので、コハクはびっくりした。
「船のみんなが石化したのを見て、怒りがわくのはわかるけど、感情だけで先走って、勝手な行動をしないように!結果いい方向にころんだから良かったものの、ヘタしたら全滅してたかもしれないんだから!」
「だが、すべてを台無しにするつもりは…」
「すべてをってことは、少しは台無しにする気があったんでしょ?」
「う…」
「特攻が悪いってわけじゃないの。時と場合を考えなきゃダメだってことよ。結果はもちろん大事だけど、その前の行動も大事なんだから」
「う…む…。すまん…」
魅真が怒っていたのは、船に乗ったことではなく、先程の岩場での行動で、魅真の圧に負けたコハクは小さくなった。
「これからは気をつけて。じゃあ私、ちょっとこのくつで歩きの練習するから」
魅真は説教を終わらせると、アマリリスに渡されてはいていたくつで、その辺を歩き出した。
普段はかかとのない、現代に近いものをはいていたが、さすがにいつもはいているくつだと目立つし、宝島の外から来たとバレてしまうかもしれないので、アマリリスに、ドレスと一緒にくつも渡されたからだった。
けど、うまく歩けないと、それはそれでバレるかもしれないため、なんとかスムーズに歩けるようになるための練習だったが、やはりはきなれないくつでの移動は難しかった。
それから、1時間ほど歩きの練習をすると、魅真は休憩がてらいつもの服に着替え、コハクもドレスがボロボロになってしまったので、いつもの服に着替えていた。
「こんな非常時でも、後宮の美少女選抜とやらは実施するのか?」
「美少女の座り方??」
コハクは、左足をあぐらをかくように横に倒し、右足はたてて、たてた膝の上に腕を置くという、どう見ても女の座り方ではなかった。
「やるよ。モズがやらないわけないもん」
そこへ、アマリリスが船にたくさんの果物をのせて戻ってきた。
「モズは逆に、もう強すぎて、宰相イバラと違って、警戒とかなーーんにもしないタイプだし。興味あるのはカワイイ子だけ」
「!! ゴイス~。これ南国素材!?」
「やるじゃねえか、アマリリステメー!!」
「ごめん。そんなには難しくて。とりま、ココナッツとかだけ」
「ククク、十分すぎるわ。ラボカーのアイテムと合体させりゃ、ただの果物が、科学であらゆるモンに生まれ変わる…!!!」
千空は計画のため、即行でロードマップを書いた。
作るのは、シャンプー、コンディショナー、香水、口紅、ファンデーションといった化粧道具だった。
「これ、全部作るんだよ……!??」
「あ゙ー、昼までにな」
「なかなかに大変なのだな、カワイイは…!」
「魅真とコハク大改造突貫工事だ!!最初はコハクだ。髪型が一番デケえからな。まずはこの、留めっぱの封印解いて…」
まず最初は、コハクをなんとかするために、コハクの髪を結んでいる紐をほどくと、まるでウニのようになり、その一部が千空にあたる。
「アホほどエグイな癖毛!!」
「千空ちゃんがそれ言う?」
「どっこいどっこいだと思う」
「正解かもね。結んでたの」
なので、髪の毛をなんとかするために、初めにシャンプーを作ることになった。
「南の島のココナッツオイルに、おなじみ水酸化ナトリウムと、これまたおなじみ硫酸をブチ込む!」
「い~~ね~~。ラボが戻ってきた!って感じね~♪」
千空はラボカーに入ると、シャンプーの制作に入り、三脚に、硫酸が入った瓶をさしたフラスコをのせて、それをアルコールランプで熱した。
「塩と油混ぜて、トロみが出たら、完成だ!!」
できたものを丸い器に移し、塩と油をまぜて、シャンプーができあがると、さっそくアマリリスがコハクの髪を洗い始めた。
「「おぉおおおおお」」
「髪が、めっぽうサッパリしてきたぞ………!!」
初めてシャンプーで髪の毛を洗ったコハクは、その心地よさに感動していた。
「あとは、乾かすだけだな!」
「手動ドライヤーゴイスー」
「これでコハクちゃんが、ルリちゃんみたく、髪サラサラになっちゃうのぉ…!?」
髪の毛を洗い終えると、コハクはうちわを高速で動かして、髪の毛をかわかす。その勢いはすさまじく、まるでドライヤーのようだった。
そして髪の毛がかわくと、サラサラのおちついた髪になったので、銀郎とアマリリスは目を輝かせた。
かと思ったら、すぐにまた、先程のウニのような髪型に戻る。
「「なんで!!?」」
「どんだけ剛毛だ、テメー」
「最強コハクちゃんは髪もなのね…。コンディショナー必須かも」
シャンプーをしてもまったく変わらないので、全員ギョッとした。
「髪も科学だ!」
「ほう…!」
すると、千空は髪の毛のことを説明するために、一本の髪の毛を取り出し、コハクはそれを凝視した。
「毛髪っつうのはな、タケノコの皮みてえなカバーで包まれてんだ。シャンプーでワシャワシャに洗うと――汚れは落ちるが、カバーがベロベロにめくれちまう」
「それで今、コハクちゃんの髪、洗ったのにゴワゴワになったのね」
「おお、今回の千空科学トークは、私でもなんとか、ついていくのを諦めていないぞ!」
「髪の話は、全員身近だからね~」
「俺は身近じゃないけどね」
「そこでだ、アルカリでこじ開けたコルテックスに、糖分ブチ込んだら、マイナスに帯電しまくった表面に…」
「「「「「今、全員ついてくのあきらめた」」」」」
毛髪のくだりはなんとかわかったが、急に専門的な知識や用語が出てきたので、一気にわからなくなった。
けど、千空だけは楽しそうに笑いながら、ビーカーや試験管に入ってる薬品を丸い器に入れて、コンディショナーを作っていった。
「材料は超絶シンプルだぞ!」
「ハチミツとレモンとココナッツ??」
「なんだか美味しそうなんだよ…」
「髪のカバーがめくれたっつうなら、油脂で包装し直してやりゃいい」
コハクは、今度はコンディショナーをつけて洗い、またうちわの手動ドライヤーで乾燥させた。
「やったぁあ。今度こそ!」
「髪の毛が、フワッフワのサラッサラになったんだよー!!」
コンディショナーで洗ったことで、ようやくサラサラの髪の毛になった。
「次はこいつを、バッキバキにすり潰す!クロムやマグマと潜ったお宝ダンジョンで、アホほど落ちてた雲母だ」
コハクの髪がなんとかなると、千空は再びラボに行き、次に雲母を取り出した。
「それの白いバージョンが絹雲母。こっちの赤いのと黄色いのは酸化鉄。白・赤・黄の粉混ぜりゃ、肌色が作れる」
「ラメとか、ファンデなんとかとか、そもそもそれが、何かわからないんだけど」
「全部、魅真とコハク潜入作戦用の改造パーツだ!!」
「お化粧品ね」
そして、雲母を使い、今度は化粧品を作り出した。
「すごい…。どうやって??果物からこんなもの…!!てか、私が欲しいし!」
完成された化粧品を見ると、アマリリスは、感心すると同時に目を輝かせた。
「ハ!これを顔に塗れば、カワイイが科学で作れるのだな……!?」
「お化粧品の構えが、どう見ても武器のソレだけど!?」
コハクは口紅とブラシを手にとるが、刀を持つ時の持ち方のようだった。
そして、全員に背を向けて、すごい勢いで化粧をしていき、完成すると、全員がいる方へふり向いた。
「コハク、テメー…」
ふり向いたコハクは、ホラー映画のようなメイクをしていた。
「「ピギャァアアアア」」
「?」
「これ、コハクちゃん、カワイイ選抜に選ばれないって可能性あったりする…??」
「そりゃ、潜入候補の弾は多い方がいいがな。他にもうスイカっきゃいねえし、年がそもそも足んねえ」
「任して私に!!」
全員コハクのメイクに恐怖し、スイカとソユーズは悲鳴をあげ、スイカとゲンは涙まで流していた。
どうすればいいか悩んでいると、アマリリスがメイクを買って出た。
「――コハクちゃんはタイプ的に、髪だけそれっぽくしたら、あとは自然な感じで、すっぴんメイクのがいいと思うのね。目なんかも無理に描かないで、まつ毛とまつ毛の間だけ、コッソリ埋めとくパターンで…」
一度メイクを落とすと、アマリリスがコハクのメイクをして、ドレスを着て花でかざると完成した。
すると、先程は恐怖で叫んだソユーズが、顔を真っ赤にしてときめいた。
「あ、ちゃんとなった。ズギューンて」
メイクアップとドレスアップをしたコハクは、髪の毛をおろし、前髪の部分以外の頭の周りを花でかざり、胸元があいたミニスカのドレスを着て、首にはチョーカーのようにリボンをつけた。
先程とは違い、綺麗に仕上がっており、姉妹なのもあり、ルリを思わせる見た目となった。
「コハクが巫女様みたいになったんだよ。すっごいキレイなんだよ……!!」
「ルリちゃんの妹だもんねぇ~」
スイカと銀狼にも好評で、コハクの方はなんとかなった。
「んじゃ魅真、次はテメーだ」
「え?うん…」
コハクは完了したたため、次は魅真となったので、魅真はまずは、コハクのように、シャンプーとコンディショナーで髪の毛を洗った。
「なんか、ここだけ現代に戻った気分…」
まともな風呂に入ることも難しいこの世界での、3700年ぶりのシャンプーとコンディショナーありの洗髪に、魅真は感動した。
そして、洗髪が完了すると、コハクが手動ドライヤーで、魅真の髪をかわかした。
「じゃあ、次はメイクね。メイクは、コハクちゃん同様にぬりたくったりしないで、すっぴんメイクでいきましょうか」
髪の毛がかわくと、今度は、コハクのようなメイクを、アマリリスにしてもらった。
「今度は髪型ね。魅真ちゃんも、コハクちゃんみたいな髪型でもいいと思うけど、せっかく長いんだからまとめてみましょう」
次はヘアスタイルをなんとかすることになった。
アマリリスは、耳のあたりで、両サイドでみつあみを作り、そのみつあみを、あまった髪の毛と一緒に、うなじよりもやや上の方でおだんごにしてまとめると、結び目に、コハクがつけてるよりも小さな花をならべるようにつけて、1cmサイズの真珠の弾のようなアクセサリーと、小さな花の形をしたアクセサリーを、おだんごの部分を中心に、髪全体にちりばめるようにつけた。
あとはドレスだけとなり、昨夜借りたものではなく、アマリリスが新たに持ってきたドレスを身につけた。
魅真のドレスは、アマリリスの服の首の装飾品が、首と腰についていて、その装飾品から生地が繋がり、太ももの真ん中あたりから両側の横の部分にスリットが入っている、そでなしのチャイナドレスのような衣装だった。
魅真がドレスアップした姿を見ると、ソユーズは再び、顔を真っ赤にしてときめいた。
「あ、今度もちゃんとズギューンってなったね」
「カワイイ~」
「魅真もすっごくキレイになったんだよ!!」
「ありがとう…」
魅真は、普段はパンツスタイルで、旧時代でも、学校以外ではほとんどスカートをはかなかったし、はいたとしてもこういうスタイルの服は着たことなく、髪の毛も、旧時代でも今も、後ろで一つにまとめるだけなので、アマリリスの集落の時同様に違和感を感じていた。
「ククク。いい腕してんじゃねえか、アマリリステメー」
これで2人のカワイイ化計画はなんとかなったので、千空はアマリリスを称賛した。
「すごいね。科学?のお化粧品!これ使えばもしかして……」
すると、アマリリスは目を鋭くさせ、何か企んでいる顔になる。
「潜入候補は、多い方がいいでしょ?一応試さないと」
「あ゙??」
そして、その顔で千空たち男性陣の方にふり向いたので、千空たちは嫌な予感がした。
「無理すぎんだろ、100億%!」
「黙ってればギリイケんじゃないの、千空ちゃん♪」
「やっぱ声でバレるか~」
潜入候補として、千空たちは女装をさせられた。
千空は髪の毛を下に2つで結び、ツーピースのようなドレスを着たが、やはり無理があった。
「声だけならごまかせるけどね~~♪」
「!? ヤバ!女子の声…」
「ゲンは華奢な方ではあるが、どうしても、女子にしては長身に見えてしまうな」
次はゲンで、普段着ている一番下の服をアレンジしたようなチャイナっぽい服に、スカートは真ん中がひらいたツーピースのようなドレスで、声帯模写で声だけはごまかせていたが、少々無理があるようだった。
「ぜ…全部無理でしょ」
「「「全部無理」」」
今度はソユーズで、コハクみたいなそでのないワンピーススタイルのドレスを着て、花の形のイヤリングと真珠の球のようなネックレスをつけて、メロンパンを胸に入れていたが、もともとゴツい体格なので、かなり無理があり、千空、ゲン、アマリリスは、顔が真っ青になっていた。
3人の隣では、魅真は彼ら3人の…特に千空の女装を見て爆笑していた。
「ハ!小柄でかつ、女声に近い男ならばあるいは――」
そこまでコハクが言うと、全員ハッとなり、まだ女装していない銀狼に顔を向けたので、銀狼はたくさんの冷や汗をかく。
全員メイクアップとドレスアップをすると、アマリリスが住む集落に赴いた。
「この後宮選抜が、俺の楽しみなんだからさ。年一の。いるかな~。新しいカワイイ子!」
午後になると、モズと数人の兵士がやって来た。
アマリリスが住む集落には、数人の18歳をすぎた女の子と、魅真とコハクとアマリリス、そして、女装をした銀狼がいた。
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