Z=25 出航
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全員で写真を撮ると、ペルセウス号は作業台の上を後ろからすべっていき、ついに陸から川に着水した。
「オホホ。めっちゃ嬉しい~!!みんなで苦労しまくっちゃったけど、ついに、完成しちゃったぞーーーい!!」
カセキは舳先にしがみつきながら、涙を流して一番喜んでいた。
「科学船ペルセウス!!!ワシの長い職人人生でも、もちろん一番の大作。最高傑作よ、コレ!!」
船が着水すると、船についている2本のロープを、流されないように数人がかりでひっぱった。
「なんか強そうな名前なんだよ…!!」
「ペルセウスってたしか、ギリシャ神話か何かで、石化の魔物メデューサを倒した英雄だね」
「!! ヤベー。超縁起いい名前じゃねぇか。なんせ俺らはこれから――人類石化の黒幕暴いて!石化光線ごと、まるっとイタダくためによ、この船で、地球の裏まで大冒険かまそうってんだからな…!!」
「このプロジェクト始めた一年前から、全員覚悟してっと思うが――今日を最後に俺らは、完全に2チームに分かれる。石化の謎をとく、『世界冒険チーム』と、本土に残る、『人類発展チーム』だ」
「はっはー!船長の俺が、独断で揃えた、乗船メンバーのリストだ!!」
千空たちが話していると、船室から出てきた龍水は、ヘリの前まで来ると、事前に用意しておいたリストを取り出した。
「本来、全員船に欲しいところだがな――」
「んなもん、それ沈んだ瞬間、人類絶滅じゃねえか!」
「たしかに」
「てか、定員あるでしょ!」
龍水が言ったことに、千空、ゲン、南がつっこむと、龍水はタラップを出し、船と地上を繋いだ。
「当然だが、全てが人類未踏の危険すぎるミッションだ!二度と戻れないかもしれん」
すると、龍水は真剣な顔になり、マントを羽織り、その上から肩当てをつけた。
「命の保証すらない」
そして、マントと肩当てをつけると、ベルトの後ろと前に剣を装備する。
「だから、今から呼ばれても、残りたい奴は残れ。それは、貴様ら自身が決めることだ……!!」
「おぅよ。聞くだけ野暮だぜ」
リストは作ってあるが、強制ではなかった。
けど、まだ呼ばれていないのに、クロムはすでにやる気満々だった。
「(その船員リストに、選ばれなきゃいいんでしょぉ??)」
一方、クロムとは反対に、銀狼は選ばれたくないと小心になり、心臓をドキドキさせていた。
Z=25 出航
「あ゙~~~~。んな立派なご高説垂れてねえでよ、必要だっつんなら、とっとと騙くらかしてでも、連れてきゃいいだろが!船乗っちまえば、100億%逃げらんねえよ」
「そういうヨゴレ仕事なら任して~♪俺自身は行く気無いけど♪」
すると、千空とゲンが、ゲスな顔で下品な笑い声をあげながら、龍水が言ったことを台無しにするようなことを言った。
「フゥン。たしかにゲン、貴様に任せれば、いいように全員口説くだろうな。だが、やる気の無い船乗りなどが混ざれば、本人が死ぬのは勝手だが、最悪船を危険に晒す。違うか!?今から名を挙げる者で、覚悟のある奴だけ、自分の足で乗り込め。科学船ペルセウスに………!!!」
けど、龍水は気をとりなおして、再度同じことを言う。
「まずは、絶対に必要な、船のエンジニア―――」
そして、名前を呼ぶために、丸めていたリストを開いた。
「千空!クロム!カセキ!」
「って、もうとっくに乗り込んでんじゃねえかよ!!」
「もう少しこう…あるでしょ。出発の決意の感じとか!」
「わははは。それが千空だ!」
まずは3人名前を呼ぶが、千空はとっくに乗りこんでおり、クロムとカセキは並んでタラップを渡った。
「杠!」
「私、エンジニアだっけ?」
「帆のな」
「レーダー&ソナー、羽京。コック、フランソワ」
次に、杠、羽京、フランソワが呼ばれ、呼ばれた者は、次々に乗りこんだ。
「そして、実際の帆船の運行は、究極の力仕事だ。パワーチーム!!」
「「「「おぉおおおおおお!!」」」」
「名前呼ばれてから呼ばれてから!」
パワーチームと言っただけで、まだ名前を呼ばれていないのに、大樹、コハク、ニッキー、陽は、意気揚々と、タラップをすごい勢いで走って乗りこんだ。
「フン。残って村牛耳る手もあったがな。最後に一番の長になんのは、戦争で派手に手柄挙げた奴だろうがよ」
「あい~。存じております。マグマ様が、そんな小さな野望に収まらないのは」
次に、走ってはいないが、マグマとマントルが乗り込む。
「………」
「ククク。こりゃ、逆のが早ぇ。リストにあんのに、乗ってねえ奴ぁ誰だ?」
今のところ、誰も拒否していないので、龍水はどこかうれしそうな顔をしており、千空は乗っていない人物を確かめるために、リストをのぞきこんだ。
「あ゙~~」
のぞきこみ、リストに書いてある名前を見ると、納得したように声をあげた。
「金狼!!」
「了解した」
「「「「「あ~」」」」」
「さっすが、一人だけ、呼ばれてからってルール、クソ真面目に守ってる」
「ルールはルールだ!」
納得したのは、乗っていないのが金狼だからだった。
「ん?いや、大丈夫でしょ、僕は…。金狼だけでしょぉ。あはは。だって、金狼はパワーすごいけど、僕はそこそこっていうか、それほどっていうか…」
「そして、銀狼!!」
「いやだぁああああ。絶対絶対行かないぞ。地球の裏なんて、そんなアブナイの、僕はぁあああ!!!」
金狼が呼ばれたので、まさかと思っていたら、本当に呼ばれてしまったので、銀狼は涙を流して絶対拒否した。
「銀狼、貴様は何を言っている?何も問題などないぞ。言ったはずだ。覚悟のある奴だけでいいと」
「発展チームも重要な仕事だ」
けど龍水は、最初に言った通り、強制はしなかった。
「マジか!」
「じゃ、じゃあ俺も残ろ……」
「……」
強制ではないので、銀狼が呆然としている後ろでは、他の者もざわつき、残ることを決めていた。
「そして、パワーとレーダー&ソナーの卵、魅真!」
龍水は気をとりなおして、次の乗船メンバーの名前を呼んだ。
次に呼ばれたのは魅真で、魅真は名前を呼ばれると、銀狼とは違って、うれしそうに堂々と乗りこむ。
「――しかし、船にパワーチームが不可欠なのは分かるが、一つだけ懸念があるな。牢にいる氷月とほむらだ。めぼしい戦闘員が皆旅立ってしまった後で、万が一脱獄でもされた日には、日本全土を乗っ取られるぞ………!!」
魅真が乗りこむと、コハクは不安に思っていたことを口にした。
すると、目の前には、大きめの犬小屋のような牢に鎮座している、氷月とほむらがいた。
「「「いるーーー!?船に!」」」
「ククク。動く船上牢獄だ。連れてきゃ問題ねえだろが」
「いいのかよ、それで??」
「良くはないかもだけど、強すぎて、置いてくのが危険すぎるんだよ」
「…それに、リスク覚悟で、手持ち最強の武力カードとして、出さざるを得ねえかもしんねえ。いざっつう時はな」
千空がそう言っても、コハクにジッと見られても、氷月は目を合わせず、ピクリとも動かなかった。
それから、あとの残りのメンバーを呼び、乗る者は船に乗った。
「これで船メンバー全員かな?はい、じゃあみんな、お見送りしよ~~♪」
結構な人数が乗りこむと、もう全員乗ったと判断したゲンは、乗ってない者に手をたたきながら声をかけた。
「何を言っている。最後にゲン、貴様もだ!」
「ジーマーで!!?」
しかし、まさかの自分が指名されたので、ゲンは顔面蒼白となる。
「いや~、いらないでしょ俺は。体力とかモヤシだし…」
「どんな敵と会うかも分かりゃしねえんだぞ。そこでメンタリストが出ばらねえでいつ出んだ、バカ」
まさか指名されるとは思わなかったので、乗りたくないゲンは言い訳をしたが、千空にあっさり返される。
論破されると、ゲンは冷や汗をかきながら、右ななめ上を見ると、次に目をつむって左下に顔を向け、何か考えこんでいた。
「んま~~ね~~。もしホワイマンが攻めてくんなら、バイヤーなのは本土も一緒だし」
考えがまとまると、ゆっくりとタラップを渡る。
「だったら、科学王千空ちゃんのいるチームのが、リアルな話、安全かもね♪俺はどっちだっていいのよ。自分が得ならね~~♪」
そして船に乗りこむと、千空の目の前に来て、悪い顔を向けた。
「千空、私も最近、ようやく分かってきたぞ。あの偽悪が、蝙蝠男の矜恃なのだな。ハ!実に面倒だ…!!」
「? 何か言った、コハクちゃん?」
「フフフ。いや、何も??」
コハクは、今までゲンのことをよくわかっていなかったが、今のでようやくわかったようだった。
こうして、ゲンを最後に、船には船出組全員が乗りこみ、いよいよ出発となった。
帆をはり、龍水が船を動かすと、船は海の方面へ進んでいく。
「はっはー!出航だ!!全人類未踏、ストーンワールドの外洋へ。世界へ……!!!」
「頑張れーー!!」
「絶対戻ってきてねー」
「気ィつけて!頼むわー。兄さんのためにも…!」
「おぅ。必ず石化の犯人ブッ潰して、光線ゲットしてくんぜ…!!」
「よー。これ、ヒーローじゃね、今俺ら??やっぱ良かったわ、乗ってよー」
出航すると、本土に残る組は、全員海の前の崖まで走っていき、手をふって船を見送る。
「行ってしまわれましたね……」
「俺も乗りたかったけどよ!ふふ。船酔いがな~~」
「いや、誰も責めねえよ」
ルリ達が話している中、残った銀狼は、何やら悪どい顔をしていた。
「さすがに、呼ばれた全員は来なかったな…」
「やむを得まい。本当に危険な旅なのだ」
船室の上でコハクとクロムが話している下で、金狼は、どこか沈んだ顔をしていた。
「銀狼貴様。フン、分かっている。ああいう男だ、昔から…」
沈んだ顔をしていたのは、銀狼が来なかったからだが、悪態をつきながらも、本土の方へ顔を向けた。
すると、その銀狼は、いきなり崖から海にとびこんだ。
「うぉい、何だ!?」
「銀狼が飛び込んだ!!」
「何を…!?」
銀郎が海に飛び込むと全員驚き、海に飛び込んだ銀狼は、船に向かって泳いでいく。
「待ってくれー!金狼!千空!龍水!みんなー!!危険だっていいんだ。僕だって闘う。みんなのために!世界のために!!僕も一緒に行くよぅ。行くんだよぉーー!!!」
「銀狼……!!」
「(ちゃんと見てるぅう??岸のみんな。ホラ、写真とか撮って撮って!どうよぉぉ、この情熱的な追いかけ!?)」
銀狼は、泣きながら泳いで船を追いかけたが、それはただの計算であり演技だった。
「(でも、水の民の僕は知ってる。これだけ離れてれば、波の音で、いくら羽京の耳でも、絶っっっ対聞こえない…!!)」
銀狼の考えたものは、追いかけたフリをしたが、結局追いつけなかったので岸に戻るが、それでも銀狼の勇気にルリと南が惚れ、将来は長となって、2人と結婚するという計画であった。
「両・方、イイトコ獲りぃいい❤❤)」
それを考えただけで、銀狼はゲスな顔になり、鼻の穴はふくらみ、鼻息荒くした。
一方ペルセウス号では、金狼が船べりに手をつき、海に顔を向けたままだった。
「あ゙ー、羽京、ちーと本土の方にレーダー向けとけ」
「え?どうして」
「ただの気分だ」
千空は沈んでいる金狼を見ると、通信機で羽京と連絡をとり、レーダーを陸に向けるように指示した。
「千空、あり…いや、なんでもない」
自分の気持ちをくんでくれたのかと思った金狼は、千空に顔を向けてお礼を言うが、途中でやめた。
「レーダーなんて…。しかもなんで、本土に向ける必要あるのかしら?」
「さあ?」
船室には魅真と羽京がいた。
魅真は今の千空の指示が気になったので考えこんだ。千空のことだから、ムダなことはしないのはわかってるが、考えても千空の意図がまったくわからなかった。
けど、羽京は疑問に思いながらも、レーダーを本土に向けた。
「「!!?」」
「動いた!?」
すると、レーダーを向けた途端に、ディスプレイの線が波をうったので、魅真と羽京は驚いた。
「岸の方から、何かが接近してくる」
「! 噂のホワイマンかーー!?」
「なんでだ、バカ。岸の方からっつってんじゃねえか」
「誰かが船に乗ろうとして、追っかけてきてる…!?」
「まさ か…」
金狼が強い反応を示すと、大樹は走りだし、海にとびこんだ。
「うぉおおおおおお!!!!」
「なんでぇええぇ!?」
そして、数百メートルは離れているだろうに、あっという間に銀狼のもとまで泳いでいったので、銀狼は驚愕した。
それから大樹は、銀狼をつかまえて船に戻ってくると、全員2人のもとへ駆け寄った。
「ククク。やるじゃねえか、銀狼テメー」
「ほう…!」
「ハ!見直したぞ」
「意外だね。もっと、とことんゲス男かと甘く見てたよ!!」
「俺も、これは読めなかったわ。ジーマーで…」
「信じていたぞ、銀狼……!!!」
銀狼がくると、千空たちは銀狼を称賛し、金狼はうれしそうに笑った。
「うん。スッゴいね、科学って。スッゴい迷惑!」
本当はいいカッコして本土に残るつもりだったのに、意外な展開で、結局船に乗ってしまったので、銀狼は泣きくずれたが、そんなことを知らない魅真たちは、全員銀狼の周りで、円になって小躍りした。
「おぅ、これで金狼も寂しくねえな!」
「元から寂しくなどない!」
「まずはどこに向かうのだ?地球の裏まで一気に行くのか?」
「いや――目的地は決まってる。宝島だ!!」
「「「!!?」」」
「島って…」
「どこのだ??」
「てか、何しに…」
「全人類を救い出す、神アイテムをゲットしに行く!!俺の親父どもが不時着した島にな。それは、飛行士たちと、宇宙船ソユーズの眠る、百物語、始まりの地――――」
今回の目的地は、過去に百夜たち宇宙飛行士がたどり着いた島だった。
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