Z=23 ソナーマンの卵
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あのモールス信号は千空達も聞いていたが、千空がカマかけと煽りをすると、モールス信号は切れたので、千空達はもといた場所に戻っていった。
「あれ?」
「どうしたんだ?ゲン」
「あれって…魅真ちゃんじゃない?」
元いた場所に近づくと、ゲンは魅真を発見した。
「本当だ。どうしたんだ?」
「何かあったのかな?」
灯台にいたはずの魅真がいたので、ゲンだけでなく、クロムと羽京もふしぎに思った。
ふしぎに思いながらも、ボートは魅真の前で止まり、全員地上に降りた。
「みんな大丈夫!?」
そして、全員が降りるなり、要領を得ないことを口にした。
「なになに?どういうこと?魅真ちゃん」
「さっき、灯台で通信を聞いていたら、急に雑音が入ったの。灯台にいたのに。それに、雑音でモールス信号が送られてきた。しかも『WHY』を連打するなんて…。敵なんでしょう?」
「あ゙ぁ~、だからこっちにすっとんできたってのか」
「うん!」
「な、なんだ?どういうことなんだよ??」
魅真がこちらに来た経緯を話すと、千空は納得し、羽京、ゲン、龍水も納得したようだが、唯一クロムだけは理解できていなかった。
「モールス信号は電信なんだ。つまり、電波が必要だ。魅真も感じとったってことは、送ってきたのは、僕達科学王国以外の誰かってことになる」
「けど、それだけで敵って断定するのかよ?」
「敵よ。何しろ、WHY…なぜを連打してきたからね」
羽京が説明し、魅真も言い切るが、クロムはさっぱりわからなかった。
「まあ、ここにいるのもなんだ。このことについて話し合うのは、アジトに着いてからだ」
ここにずっと立ってるのもなんなので、全員アジトに戻ることにした。
Z=23 ソナーマンの卵
「だだだ、誰なんだよ??その謎のおしゃべりって」
「海の遥か彼方に、生き残りの別グループの方でもいるのでしょうか…」
「救難信号じゃねーの?漂流船とかで、俺らの電波聞ーてよ」
「だったら、SOSかHELLOだろ?WHY?「なぜ」連打って、それこそこっちがなぜ!?だよ」
船の上であったことを、アジトにいる全員に話すと、その話題でもちきりになった。
そして灯台の隣に、急遽、科学王国戦略会議室を建て、その中には、千空、羽京、ゲン、クロム、龍水の、実際現場にいた五人がいた。
「悩んでも分からんからな!千空たちに任せて、俺たちはやれることをやるぞ。さあ、仕事だー!!」
「心より同意いたします。大樹様」
「うむ。船頭多くして船山に登る。対処は、中の会議の連中に任せるべきだ。実際の現場に立ち会った――おそらくは、科学王国で最も切れ者の、五知将に……!!
いや、クロムは――微妙なところか。頭は良いのだが、性格的にチョロいからな」
「チョロくねーよ!!」
「そういうとこだぞ」
バカにされたので、クロムは中から顔を出してつっこむが、逆にコハクに言い返された。
「当時のことを知らないクロム君がいるし、ここまでの物語を整理しようか」
「おぅ、頼むぜ。前聞いて、大体は覚えてっけどな!!」
気をとりなおして、クロムが中に戻ると、話し合いが始まった。
「ある日突然!地球に降り注いだ謎の光線で、人類は全員石化した!!もちろん、当時の文明にも、そんな科学はないよ。千空が自力で石化を解いた時には、3700年の時が流れていたんだ――」
「フゥン。その黒幕が、ホワイマンかと思ったが!」
「ホワイマンって名前ついたんだ」
「3700年間生き続けているはずもないからな。或いは、自身もろとも石化させていたか――」
「おぅ。待て、待てよ。さっきは俺もキレちまったけどよ、そもそも、魅真も言ってたが、ホントに敵なのか、ホワイマンは??味方っつう線はねぇのかよ」
「ねえんじゃなくて、敵っつう前提以外いらねんだよ、考察に。もし味方なら、万全の準備し過ぎでした。良かったねで済む話だ」
「つかまあ、少なくとも、好意的ではないでしょ、ジーマーで。だって――千空ちゃんのカマかけ煽りはスルー。そのままWHYのモールス信号も切れて、なしのつぶてなんだから」
「正体不明。どこにいるかも、どこから来るかも、見えない敵か。最高にキツいね…!!」
「それだ!!!」
「「!!?」」
3700年前の軽い説明から始まり、船上であったことを話していると、羽京の言葉で、千空は妙案を思いついた。
「ククク。だったら話は早ぇ。見えねえ敵を見てやるよ。科学の眼でな……!!」
妙案を思いついた千空は、さっそくその準備をするため、外に出ようとしており、そこで話し合いは終わりとなり、全員外に出た。
外に出ると、千空達以外の者もアジトの下まで行った。
「三角フラスコ…?」
「これで敵が見えるのか??」
「違うでしょ、それは」
下に行くと、用意されたのは三角フラスコだった。
コハクはフラスコの注ぎ口に目をあてて、適当に言うと、ゲンがつっこむ。
「そうだぞ?」
「合っていた!!」
適当だったが、正解だったので、コハク自身びっくりしていた。
「仕事だぞ、パワーチーム」
千空は平たく浅い器に入れた石を持って、大樹やニッキーの前に立って指名し、千空に指名されると、大樹達は反応した。
「クロムの宝石ザクザク洞窟でゲットした、この綺麗な閃亜鉛鉱を―」
「! おぅ、そういや拾ってたな、そんなの」
千空が持ってきたのは、携帯を作る際に、クロムとマグマとともに行った洞窟でゲットした、閃亜鉛鉱という鉱物だった。
「アホほど粉々にす」
説明している途中だったが、大樹とマグマが、すでに金づちで砕いている閃亜鉛鉱が器からとんできて、千空の顔にめりこんだ。
「瞬砕!!!」
大樹とマグマだけでなく、コハクとニッキーも砕き、あっという間に砂のように粉々になったので、ゲンは驚愕する。
一瞬で粉々になると、千空はその閃亜鉛鉱を水で溶き、三角フラスコの中に入れた。
「水に溶いて、三角フラスコにブチ込んどきゃ、勝手に底にへばりつく。蛍光塗料だ!」
そして、中に入れると、今度は軽く三角フラスコをふった。
「あとは、いつもの作業ね。要は、三角フラスコで作る、デッカい真空管じゃないの。オホホ。こんなん全然余裕~。小っちゃい方が大変よ、そりゃ」
次に、カセキが三角フラスコの中に細長い器具をつっこんで、作業をした。
「フゥン。この段階までできても、なんだか全く分からんな」
「スイッチオンすれば、分かるかもなんだよー!!」
カセキが作業を終えても、周りの者には、何を作っているのかさっぱり分からなかった。
なので、それを確かめるために、スイカがスイッチを入れた。
「真空管と同じく、あっためて飛び出た熱電子を、電極でスピードアップさせて、フラスコの底にぶつけりゃ、蛍光塗料で、そこの点が光る。画面(ディスプレイ)の爆誕だ……!!」
「!!?」
スイッチを入れると、小さな点がフラスコの底で光ったので、目の前にいた陽は驚いた。
「もともと、GPS用に作るつもりで、製作準備してたから、楽勝だったな!!」
準備していたのもあり、あっさりとできたので、千空とカセキはハイタッチをした。
「これが画面(ディスプレイ)??ただの点っぽく見えるけど…」
「千空ブッ壊れちったんじゃねーの?ややこしーもん作りすぎてよ」
しかしそれは、どこからどう見ても、ディスプレイには見えなかった。
「その点のビームをグリグリ動かして、画像を作んだよ。正確なスピードで、左から右に、上から下に、それで画面全体に絵ー映すっつうのが、古き良きブラウン管テレビだな」
「どうやって、んな正確なスピードで、ビーム動かすんだよ…?」
「その為に―――魔法石、水晶の力をいただく!!」
「水晶玉で、敵見る的なこと言ーだしたぞ。やっぱブッ壊れちったんじゃねーの??」
「あ゙ー、かろうじてボケちゃいねえ。水晶にはな、マジでマジックパワーがあんだよ!」
「え…。それ、科学の話??」
「100億%科学の話」
まだ完成してるわけではないので、千空は水晶を取り出すと、機械でけずってみがいた。
水晶というので、ゲンはスピリチュアルの話かと思っていたが、科学の話だった。
「水晶の板に電圧かけっと、ブルブル震える。アホほど正確なテンポでな。その、超正確な震えで作った、魔法みてえに綺麗~な水晶の電気の波を、二枚の板のサンドイッチにブチかます!と、間をくぐる電子ビームが、綺麗~~に曲がって――」
「!!」
「点が左右に…」
「ツイ~ッて動いて、綺麗な線になっちゃったんだよ……!!」
今度は点ではなく線になったので、コハク、未来、スイカは目を見張った。
「よう分からんけど、水晶テレビ――ゆうこと??」
「水晶ヤベーー!!そんだけは分かるぜ」
「一つの石から…こんな力が。神秘的ですね、自然の理は――」
「あ゙ぁ、それをおありがた~くご利用させていただくのが、科学だ。仕上げは縦方向のカーブだな。電波のアンテナを、今度は縦方向のサンドイッチに繋げば…」
千空は、説明した通りに仕上げ、スイッチを入れると、今度は、線が上下に波を打つように描いた。
「「「「「おおおおおおお」」」」」
それを見た周りの者は、驚きの声をあげたが、唯一羽京は固まった。
「そうか、そうだ。これって。あはは。ソナーマンの僕が、一番早く分かんなきゃダメだったじゃないか!見えない敵が見える、科学の眼―――」
「レーダーか……!!」
「「!!!!!!!!」」
完成して、ようやく何を作ってるのかわかったので、周りは更に驚き、魅真は目を見張った。
レーダーが完成すると、千空は川に行き、さっそくモーターボートにとりつけた。
「あの…千空……」
「ん?」
準備をしていると、魅真がやって来て、おずおずと千空に話しかけたので、千空だけでなく、そこにいる羽京、ゲン、クロム、龍水も、魅真に注目した。
「今回の試運転、私も連れてってもらってもいい?」
「あ゙!?」
魅真がやって来たのは、科学王国のクラフトの関係ではなく、個人的な要望のためだった。
「なんでだ?」
当然理由を聞かれるが、魅真は理由を話すのをためらった。
「………私、文明が復興したら、ソナーマンになろうと思ってるの…。だから、羽京がどんな風に仕事してるのか、見てみたくて…」
しかし、理由を話さないわけにはいかないので、緊張しながらも理由を話した。
「わかってる。こんな状況で、個人のワガママを言っちゃいけないことは…。でもお願い!!今回だけでいいから。戻ったら、どんな作業でもやるから。だから、船に乗せてってほしいの!!」
けど、理由を話しても、千空をはじめ、他の者も黙ったままなので、魅真は何がなんでも…と言うように、両手を合わせて、必死にお願いをした。
「はっはー!将来なりたいというのは、それはつまり、欲しい!ということだ。欲しい=正義だ!俺は構わんぞ!」
すると、龍水がいつもの調子で指を鳴らしながら、魅真が乗るのを承諾した。
「僕もいいよ」
「俺もだぜ」
「まあ、むさ苦しい男五人より、かわいい女の子がいた方がいいからね~。俺もいいよ」
龍水に続いて、羽京、クロム、ゲンも承諾してくれたので、魅真の顔は明るくなった。
「……そういや、テメーには、気球に乗せるっつっといて、なんだかんだで、一度も乗せたことがなかったな…」
四人が承諾すると、千空は小さなため息を一つついた後で、いきなり気球の話をした。
「帰ったらコキ使うぞ」
そして、次に言った言葉で、魅真の顔は更に明るくなる。
はっきりイエスと言ったわけではないが、これが千空のイエスの返事だとわかっているからだ。
「もちろん!地獄のドイヒー作業でも、どんとこいよ!」
全員に承諾してもらい、船に乗れることになったので、魅真は明るく笑った。
「じゃあ、こいつを身につけとけ」
「これ…救命胴衣?」
「たりめーだ。船に乗る時の基本だぞ」
千空が救命胴衣を魅真に渡すと、魅真は渡された救命胴衣を身につけて、ボートに乗りこもうとした。
すると、後ろの席では、龍水が、右足でボートに足をかけ、左足を地面につけて、ボートを動かないように固定して、魅真に手を差し伸べていた。
「あの…龍水?」
「水に落ちた貴様も、さぞかし美しいのだろうが、船の近くは危険だからな」
つまり、船に乗りこむためのエスコートで、しかもそれを自然とやっているので、魅真はそれだけで、緊張して顔を赤くする。
けど、龍水の気遣いを無にしないために、魅真は龍水の手をとって、ボートに乗った。
「魅真、貴様は中の方に行け。海に落ちたら危ないからな」
「え?うん…」
魅真は龍水に言われた通りに真ん中の方に行き、1人分の席をあけてすわると、龍水も魅真の隣にすわった。
「だが、後ろの座席には金具がある。座席にとび出てるわけではないが、ケガをするかもしれん。気をつけろ」
そして、注意をしながら、魅真が金具を頭にぶつけないように、魅真の頭をかばうようにして、魅真の頭に手をそえた。
ハタから見ると、恋人同士のようで、男性に自然とふれられた魅真は、顔を真っ赤にした。
「……前々から思ってたんだけど……龍水ってさ…」
「ん?」
「いつか、女の子に背中を刺されそうなタイプだよね」
「どういうことだ?」
「だって龍水は、世の中の女性は、みんな美女だって思ってるんでしょ?」
「無論だ!もちろん魅真、貴様もだ!」
「そういうとこよ。本気でそう思ってるみたいだし。しかも、貴様が欲しいとか情熱的に求めてくるし。龍水って結構かっこいいから、本気にしちゃった女の子が、想いをこじらせて、いつか背中をグサッと刺しそうだなって思って…」
「フゥン、そうか…。だが、美女からの熱い想いなら欲しいな!!」
「えっ!?死んじゃうよ。そんなことになったら」
「そうか、それは困るな。だがしかし!美女からの熱い想いは、死ななければ欲しい!!」
「結局欲しいんだ…」
欲張りなのは知っていたが、そこまでとは思わず、魅真はドン引きした。
「話がそれたけど、私も最初、結構ときめいちゃったし。美女とか言われたのも、恋愛ではないけど、情熱的に求められたのも初めてだから。今だって、こうやって、自然にエスコートしてくれたし…」
けど、気をとりなおして続きを話した。
「そうか!それなら魅真、貴様、俺のものになるか?」
「え!?別に…そういう意味で言ったわけじゃ…」
「そうか、残念だ。だが、その気になったら言え。いつでも大歓迎だ!」
残念と言いながらも、特に気にしておらず、なおも情熱的に求めてきたので、恋愛の意味の好きではないが、悪い気はしないので、魅真は顔を赤くしながら、口もとに笑顔を浮かべた。
「おぅおぅ、勝手なことばっか言いやがって。結局顔かよ。女はこれだからよ!」
そこへ、前の席にすわっていたクロムが間に割って入り、後ろにいる魅真に顔を向けると、ひがみっぽく口を開く。
「……前々から思ってたんだけど、クロムってさ…」
「あ?」
「なんだか、モテなくてひがんでる、めんどくさいタイプの男子高校生みたいだよね」
けど、魅真は怒るのではなく、思っていたことを直球に、冷静に指摘した。
「えっ……」
「魅真ちゃん!それはぶっこみすぎ!」
あまりにも遠慮なく、ド直球に言いすぎなので、魅真の隣にすわっているゲンは注意をする。
男子高校生はわからないが、男子とその前に言われたことは意味がわかったクロムは、顔をひきつらせた。
「確かに、龍水はかっこいいけど、クロムも結構かっこいいよ。以前、私が石油の探索でケガした時、迷わず、村に戻ろうって言ってくれたでしょ。それに、羽京が私を背負いやすいように、私と羽京の荷物を持ってくれた。私、あの時すごくうれしかったんだよ。クロムは、とても純粋で、まっすぐで、どんなことにも一生懸命で、人を思いやれる優しい人だよ。龍水は龍水で、クロムはクロムにしかない良さがあるんだから。せっかくいいところがたくさんあるんだから、そんなことで自分を貶めるの、すごくもったいないよ」
けど、けなしたと思ったら、今度はクロムをべた褒めしてきたので、クロムは照れて顔を赤くする。
「お…おぅ…。けなしたと思ったら、今度はベタ褒めとか…。千空、これって、魅真は何か企んでんのかよ?」
けなしたり褒めたりとよくわからないので、羽京をはさんで反対側の席に乗っている千空に聞いてみた。
「あ゙?こいつは、んな駆け引きはしねえよ」
けど、全部本当のことだと知ると、クロムは更に照れて、顔を真っ赤にする。
話がひと段落すると、いつまでも話しているわけにもいかないし、準備も終わったし、全員乗りこんだので、出発することとなった。
出発すると、船は川を超えて、あっという間に海に出た。
「すごい!早い!船ってこんなに早かったんだ!」
「魅真は船は初めてか?」
「初めて!」
「そうか。なら、ゆっくりと楽しむといい」
「うん!」
船の速さに感動した魅真は、まるで幼い子供のように、目をキラキラと輝かせた。
「あ!クジラとイルカだ!」
目の前には、クジラとイルカの群れがいたので、更に目を輝かせる。
「魅真は、クジラやイルカが好きなの?」
「大好き!自然の生き物は、基本なんでも好きだよ」
「そっか。僕も好きだよ」
今度は羽京が話しかけると、魅真は楽しそうに笑いながら返し、羽京はそんな魅真を、やわらかい笑顔で、微笑ましそうに見ていた。
「…なんかふしぎだね」
「何が?」
「自然界には、たくさんの種類の生き物がいて、クジラもイルカも、何種類いるかわからないけど、たくさんの種類があって、更にその一種類のうちの数匹だけど…その一匹一匹が、自然を形づくってる…。人も…動物も…虫も…植物も…。そして、その一つ一つが、綺麗で…美しい…雄大な自然を作ってるんだよね…」
「魅真ちゃん、結構詩人だね~」
「いや…そういう意味じゃないんだけどね」
ゲンは茶化したが、どういう意味で言ったのかを理解した羽京は、口もとを緩めながら、魅真をジッと見た。
「自然がどうこうもいいがな、そろそろ本来の目的を始めっぞ」
そこへ、千空が割って入ってきて、本来の目的を遂行しようとした。
「接続先を、アンテナからマイクに変えりゃ、海中のソナーにもなる。羽京、テメーの専門だ」
「GPSにレーダーにソナーに、本格的な科学の船になってきたね…!!」
羽京は音叉を金属の棒で叩いてディスプレイで確認しており、魅真はその様子を、後ろから、うれしそうに…また楽しそうに見ていた。
「ククク。言っただろ。人類最大の武器は、情報通信だってよ。炙り出してやんぞ。ホワイマン、テメーが、陸にいようが、空にいようが、海にいようが――。なんせ、動いてる俺ら見た第一声が、『WHY?』だかんなァ~。絡んでんだろ、テメー。石化の謎に……!!!」
千空がホワイマンを探そうと躍起になり、笑っていると、クロムがレーダーを凝視していた。
「…クネクネ線で、海ん中が見えんのか。このラストの平らなとこが海底だろ?おぅ、なら何だ?こっちの途中の、ジグザグの山は――」
レーダーを凝視していたクロムは、何かを発見した。
「千空!羽京!!海中に何かがいんぞ。ヤベーほどよ……!!」
そして、レーダーを指さすと、名前を呼ばれた千空と羽京もレーダーを見た後、顔を見合わせて笑った。
「ナイス、クロム!」
「ククク。ソナーの目的、まぁ半分は、こいつの為だ」
「??」
羽京は親指をたててクロムを称賛し、千空に、ソナーの目的は、ホワイマン以外にもあると言われるが、クロムはなんのことかさっぱりだった。
「地球の裏まで、アホほど長い航海だぞ。現地調達の新鮮な食料も必須だろ!!」
「あ!!!」
千空にそう言われると、先程自分が言った言葉を思い出したクロムは、なんのことなのかわかった。
「魚群探知機にもなるんだよ………!!!」
船の下にいたのは、魚の群れだった。
それがわかると、龍水は、船につんでいた網を、海に投げ入れた。
「うぉおおおおお」
「大漁ーーー!!!!!」
しばらくして網を引き上げると、たくさんの魚がつれた。
「すごいね、レーダーって。こんなことにも使えるなんて。これは、文明復興した後が楽しみだね」
魚が大量につれると、クロムは目を輝かせていたが、魅真はまた、別の意味で目を輝かせ、感心していた。
「クロムも、レーダーの知識がないのに、魚がいるのを当てちゃうなんてすごいね。私もがんばらないと」
「おぅ、すっげえだろ。科学使いなめんな!」
魅真に褒められると、クロムは鼻の穴をふくらませて、すごいドヤ顔をした。
「あ゙~、そうだな。だが魅真、がんばるのは、復興後じゃなくて今にしろ」
「は?いやいや、まだ人類復活してないのよ。自衛隊もないし。どうやって習うのよ?」
「ねぼけてんのか?すぐ隣に、知識バリバリの専門家がいんだろが」
「それって…羽京のこと?それこそムチャでしょ。まだ造船の仕事があるっていうのに」
「ククク、問題ねえ。もう石油はみつかったんだ。逆に言や、あとは造船だけだ。それに、一日中習えってわけじゃねえ。造船の合間の、ほんの数時間だ。あんだけ人手がいんだぞ。一人や二人抜けたところで、なんの問題もねえ」
「はっはー!それはいい。いくら専門家と言っても、長い時間続ければ、疲れが出る。作業を円滑に進めるには、数人が交代でやる方が効率的だ。船員の安全のためにも、第二のソナーマンとして育てるのも悪くない!」
「勝手に決めちゃダメでしょ。羽京にも、羽京の都合ってものがあるんだから」
そうなればうれしいとは思いつつも、羽京のことを勝手に決めてしまっているので、魅真は千空と龍水に注意した。
「僕は全然構わないよ」
「え!?」
けど、羽京本人は、まったく気にしていないようだった。
「よぉおーし!決まりだな。造船の合間に、魅真は羽京にソナーを習う。羽京は魅真にソナーを教える。未来のソナーマン育成プロジェクトのスタートだ!」
羽京が承諾すると、魅真を置いて、千空は勝手に話を進めた。
「あとは貴様の返事一つだぞ、魅真」
「返事って……もう強制的に決定してるんだけど…」
もうすでに、千空と龍水に勝手に決められてしまったので、返事も何もないのでは?と思った。
「けど……すぐにでも、ソナーのことがわかるなら…」
けど、本心はやってみたい…なので、特に拒んだりはしなかった。
「お願いします」
「あはは。こちらこそよろしくね」
魅真は隣にいる羽京に、軽く頭を下げた。
「んじゃ、魚もとれたことだし、そろそろ戻んぞ」
今回の目的はレーダーの試験だし、魚もとったので、ここで切り上げることにした。
「はっはー!つまり俺たちは」
ボートが陸に向かって動き出すと、龍水は突然指を鳴らしながら話しだした。
「レーダー&ソナー!科学の眼を光らせながら、地球の裏まで走破して、謎の敵、ホワイマンを探し出す!!」
「あ゙ぁ、ホワイマン様々だな。なんせ俺らは、何探していいかも、手がかり0だったんだ。ククク。向こうから絡んできてくださったお陰でよ、少なくとも、探す相手ができた!!よ~~うやく石化の謎に、ジワ迫りできるっつうわけだ……!!!」
「楽しそう~♪ジーマーで」
「あはは。敵が来るかもしれないってのにね。もし、ホワイマンの不気味なメッセージが、なんかの脅しとかだったら、逆効果すぎて笑っちゃうね…。千空みたいなタイプには」
「うん、そうね。そういう人間よ。千空ちゃんて―――♪」
話しているうちに陸につき、とれた魚を持っていった。
「魚群レーダーとパンで、船の食糧問題もクリアですね」
たくさんの魚を網から出して、台に並べると、さっそく調理するために、フランソワはエプロンを身につけると、一瞬にして魚をさばいた。
「「「「「おぉおおおおお」」」」」
フランソワの腕を見ると、周りからは歓声があがる。
「こんなにたくさんの量のお魚、初めてなんだよ…!!」
「不思議なものだ。これで覗けば漁り放題じゃないか。すさまじいな、レーダー&ソナーとは……!!」
「ああ、夜の海だろうが曇り空だろうが、なんでもスケスケの丸見えだ!!!」
スイカは、まだ台の上にある大量の魚を見て感動しており、コハクはレーダーを見て感心し、龍水はコハクにレーダとソナーについて説明していた。
「(なんでもスケスケの)」
「(丸見え……!??)」
コハクの言葉に対する龍水の返答に、銀狼とクロムは反応する。
「レーダーでスケスケ――。それって、もしかしてだけど、服とかもぉ…?女の子の。あっ、いや、別に深い意味はないんだけど、僕も科学に、ちょっとだけ興味っていうか…」
「ゲスさがすさまじい!」
「銀狼、貴様…」
「レントゲンとかが近いっちゃ近いがな。服だけは透けねえぞ」
銀狼の変態発言に、コハクは生理的嫌悪感を感じ、自分の体を両手で抱きしめ、金狼は軽蔑していた。
「なんだよぅ。クロムだって、同じこと思ってるじゃないかよぅ!!」
「レーダーでスケスケ――」
「違うでしょ。クロムのはコレ、また楽しいこと閃いちゃったんじゃないの~~?なんかはしらんけども」
軽蔑されたので、銀狼は泣きながらクロムを指さすが、カセキが笑いながら否定する。
「どうだ羽京、専門家のテメー的には」
「気になるのは、レーダーの出力かな。電池じゃちょっと物足りないから」
「そこは、クソデカエンジンを船に何基も積んで、バリッバリ発電させる!!」
「オホー!作んの大変そうすぎて、メッチャ燃え上がっちゃうわい!そのエンジン作ったらついに、船の完成じゃないの…!?」
「あ゙ぁ。ただちーと問題は、クソデカ鋼鉄製品っつう話になるとな、もう研究室レベルの仕事じゃねえ。工業の世界だ。アホほど鉄も石油も要る―――」
もう一つ問題が出たので、今度は鋼鉄製品を作るために、造船をしながら、砂鉄をとることになった。
けど、魅真は鉄を探しつつ、その合間、千空に言われた通りに、羽京にソナーのことを習っていた。
「なんだか悪い気もするな…。みんなが、造船したり石油くんだり鉄を探したりしてる時に、私と羽京だけ、ボートに乗ってるっていうのも…」
「でも、別に遊んでるわけじゃないしね。それに、ずっとやってるわけじゃないし、大切なことだから、そんなに気にしなくても大丈夫だよ」
「うん…」
魅真は、みんなが必死に動いてる中で、他のことをやってることに、罪悪感を感じていた。
けど、仕事をサボっているわけではないので、羽京に説得されると、納得したように返事をした。
「(まあ、羽京にソナーを習える上に、海上で二人っきりになれるっていうのは、かなりうれしいんだけどね)」
罪悪感は感じたが、それはそれとして、どんな状況であれ、羽京と二人っきりになれるので、うれしさも感じていたのだった。
それから数日後、司帝国からいなくなったクロムから、電話がかかってきた。
千空、コハク、龍水、カセキ達がかけつけると、レーダーとコイルで鉄鉱石を見つけ、鉱山が完成した。
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