Z=22 見えない脅威
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カメラを作ってからというもの、千空は、航空写真を、撮って撮って撮りまくった。
「冬来る前に、100億枚は撮りまくんぞ!雪で埋まったら、もう見つけるもクソもねえからな」
「フゥン。それまでに、辿り着いてやろう。大地に眠る、黒い宝石(ブラックジュエル)、石油にな……!!」
そうやって、千空が航空写真を撮っている下では、地上探索チームの魅真、羽京、クロムが、地上から石油を探していた。
そして、千空たちは写真を撮るだけでなく、撮った写真を、虫メガネを使って、石油がないかどうかをじっくりと見ていた。
これらをくり返しているうちに、あっという間に夏から秋になり、冬備えに入ったり、司帝国では麦が実ったり、実った麦を、フランソワがスチームゴリラ号で運んできたりと、大忙しだった。
Z=22 見えない脅威
「はっはー。俺たち人類が、ついに主食を手に入れた今――☆☆☆(三ツ星)レストラン『フランソワ』の開業だ!!!」
「!!?」
フランソワが麦を運んでくると、龍水が指を鳴らしながら、またムチャなことを言ってきた。
「畏まりました。早速メニューを開発いたします。食材の資料に、航空写真を拝見」
けど、ゲンが驚いている中、フランソワは航空写真を一枚手にとり、レストランを開業しようとしていた。
「ククク。悪かねえ。全員アホほど仕事増えて、ちーーとくたばってきてっからな!精神論じゃ、筋肉も動きゃしねえ。仕事は科学だ!人間の石油燃料(ガソリン)は、結局食いもんでな。理想言や、タンパク質が採れて、保存の効く――」
「とてつもなく旨すぎる高級グルメだ!!」
ゲンは驚いていたが、千空は賛成しており、現実的なことを口にしたあとで、自分が理想とするメニューを話していると、横から龍水が、口をはさんできた。
「そうだな。トリュフかキャビアかフォアグラか…」
「いやいやいや、全部無理(リームー)だから。そもそも食材自体無いからね?」
そして、よだれをたらしながら、この世界では無理そうなものばかりを口にしたので、ゲンはつっこんだ。
「フゥン!『無理です』。そのセリフを、フランソワの口から聞いたことは一度も無いな。まあ見ていろ……!!」
「タンパク質で、保存の効く高級グルメですね。畏まりました。ならば、ご用意するメニューは、『黒トリュフの牡丹肉リエット』」
「ト…トリュフ……???」
いきなり、現代の高級フレンチのようなメニューを言い出したので、ゲンは顔面蒼白になる。
「そして、このような流れもあろうかと!」
けど、フランソワは気にすることなく、手袋をつけた。
「石神村周辺の森や動物に、最も詳しい、識者の先生をお呼びしておきました」
「「シキシャの先生??」」
フランソワがそう言うと、車の荷台の一部が動いた。
「久しぶりなんだよー!!」
そこからとび出したのは、スイカとチョークだった。
「スイカ!!」
「だから、用意周到すぎんだろ。マジで……」
「それがフランソワだ」
フランソワがすごい先読みしているので、クロムは驚いていたが、龍水にとってはあたり前のことなので、驚いていなかった。
スイカはさっそくラボの中で、チョークと一緒に、フランソワが焼いたパンを食べながら、航空写真を虫メガネで観察した。
「ボヤボヤって伸びてて分かりづらいけど、体を枝にゴシゴシしてるみたく見えるんだよ。たぶんだけど、イノシシなんだよ……!!」
スイカがそれらしき影をみつけると、コハク、スイカ、フランソワ、羽京は、さっそくその場所に狩りに出かけた。
先端にわっかを作ったロープをしばった細い丸太を地面にさし、わっかの上に落ち葉をかけて見えないようにした罠をしかけると、あっさりと捕まったので、コハクが二匹の大人のイノシシを両肩にかつぎ、その後ろを、六匹の子供のイノシシが、涙を流しながらついてきた。
捕まえたイノシシは、ラボから少し離れた場所に作られた小屋で、飼育することになった。
「牡丹肉…!!」
まだ飼育の段階だが、龍水はすでに、イノシシを食べることを想像して、うれしそうな顔をしていた。
「で、肉はいいとして、どうすんの、トリュフは……??あの、黒い宝石とか言われちゃう、超~高いキノコ…」
イノシシは捕まえたが、トリュフがまだなので、というか、日本にあるとは思えないので、ゲンがまだ残っている課題を口にした。
「トリュフなら、その辺りの森に、普通に生えておりますよ。日本でも」
「ジーマーで!!?」
けど、フランソワはあっさりと問題解決の回答を口にしたので、まさか日本にあるとは思わなかったゲンは、とても驚いた。
「なるほど。黒いキノコだな!!」
すると、それを聞いていたコハクが目を光らせた。
「ハ!航空写真で、イノシシも見つけられたのだ。これも、その辺りの写真か?私の視力をもってすれば――」
「さすがに、航空写真でキノコは難しいかな…」
「それに、トリュフって土の中にあるんじゃなかったっけ?」
「視力とかいう問題じゃねえよ」
今度は自分の番だと言うように、コハクは航空写真をガン見する。
けど、旧時代のように、綺麗に正確に撮れる写真でも難しいだろうに、最古のカメラで撮ったボヤボヤした写真では、イノシシとくらべて小さなトリュフをみつけるなんて、まず無理だろうと、魅真、羽京、クロムはつっこんだ。
「……見つけたぞ。黒い宝石…!!」
しかし、コハクはわりと簡単にみつけた。
「あ゙ぁ??んなピンボケ写真で、キノコが写ってるわきゃねえだろが」
「ならば、この黒い染みはなんだ!?」
「おぅ、言われてみりゃ不自然だな」
「点みたいだけど、縮尺的にこれって、水たまりくらいの大きさ…?」
「まさ か…」
コハク、ゲン、クロムの発言で、千空もその航空写真を見てみた。
「(地中に染み出た、黒い宝石――)」
写真を見てみると、確かにコハクが言った通り、黒い染みが点々としていた。
「相良油田だ……!!!」
その染みを見て、相良油田だろうと確信した千空は、ガッツポーズをし、他の者もみんな喜び、フランソワとスイカ以外、全員外に出た。
「写真がピンボケすぎて、正確な位置はわからねえ」
「はっはー。問題ないな!」
「あとは、地上から皆でよ、人海戦術で探し出そうぜ!!」
こうして、スイカとフランソワをのぞいた探索チームと、村の人間総出で、油田を探しに出た。
ゲンが加わった探索チームも、一緒になって、いろんなところを歩いて探しまわった。
「ダメだ。クッソ。もうちょい写真が鮮明ならよ~」
けど、写真がボヤけすぎていて、全然みつからなかった。
「キービシ~~。ジーマーで…」
「この広さの森から、水たまり探しだからね。ヒントが少なすぎる」
「せめて、どのあたりで撮った写真なのか、ざっくりとでも分かればいいんだけど…」
「雪が降れば、水たまりなど、跡形もなく消える。それまでに見つけねば、ここまで苦労して見つけた全てが水泡に帰すぞ…!」
「(ククク。俺の脳なんざ、大概だからな。なんっか見逃してんぞ!アホほどでけえヒントが。脳の海馬のこの辺に――)」
千空は、何かヒントがないか、コハクが写真を見た時の言葉や、フランソワの「黒い宝石(ブラックジュエル)の香りは、イノシシたちが知っています」という言葉を思い出す。
「!!!!! イノシシだ!!」
「イノシシ?」
その言葉を思い出すと、千空はヒントをみつけた。
「1872年、相良油田発見の経緯だよ!」
「いや、誰一人知らないと思うけど…」
「野生のイノシシっつうのは、泥浴びすんだ。ところが、なぜかクッソ油臭ぇイノシシが見つかってな。なんだコイツってんで、放って尾けてみたら――」
「油田が見つかったってこと?」
「あ゙ぁ!!」
「じゃあ、イノシシを放てばいいんじゃない?さっきコハクが獲ってきたでしょ」
「でも、そのイノシシって食用じゃ……」
羽京がそう言うと、全員の顔が青ざめる。
そして、フランソワが料理してしまわないうちに、急いで戻ることとなった。
その頃、フランソワとスイカはトリュフをみつけたので、今は河原に来ていた。
「トリュフも見つけて、ついにレストランのお料理できるんだよー!!」
「早速イノシシの、牡丹肉のリエットを煮込みましょう!」
フランソワは調理するためにエプロンをつけると、地面に寝かせていた、全身をしばられたイノシシを、目の前の台の上に置いた。
「?? このイノシシ、なぜか油の香りがしますね」
台にのせると、油の臭いがするので、フランソワは鼻をハンカチでおさえ、顔をしかめた。
「煮込むなーーーー!!!!!」
そこへ、千空たち探索チームが、フランソワの後ろからすごい勢いで走ってきて、調理するのを止めた。
千空たちが止めたので、調理は中止となり、一同は、調理するはずだったイノシシを連れて、イノシシをみつけた森にやって来た。
「スイカたちを連れてってほしいんだよ。泥浴びしてた遊び場に。黒い宝石、石油のあるとこに……!!」
スイカがお願いすると、イノシシはさっそく走りだした。
「ヤベー。ソッコーで手なずけてやがる」
「ありがとうなんだよ、サガラー!」
「サガラ?そのイノシシに名を付けたのか」
「食料だぞ」
「友達になるには、まずお名前からなんだよ!!」
イノシシが走りだすと、全員イノシシについていき、しばらく走ると、そこには、航空写真にあった黒い水たまり…石油があったので、千空はガッツポーズをした。
イノシシは石油に体をこすりつけ、コハクは先程の航空写真と水たまりを見比べた。
「まさにここだ―。私が航空写真で見つけた、謎の黒い水たまりは……!!」
見比べると、ピンポイントでこの場所だった。
千空はシャベルで石油をすくい、円型の浅い器に入れて、火をつけると、それは一瞬で燃えた。
「「「!!?」」」
「黒い泥水が、水なのに、燃えたんだよ……!!」
「この力で、船が動かせるのだな!?」
「あ゙ぁ、ついに新世界でも人類は、資源の王様、エネルギーをゲットしたぞ。相良油田、発見だ……!!!」
油田を発見すると、千空達は、そこに石油を汲み取るための機械と、その上に小屋をいくつか作り、石油を汲み上げた。
「お手柄なんだよ、サガラーーー!!」
こうして、数か月にもおよぶ石油の探索は、食料として獲ってきたイノシシのおかげでみつかったので、スイカとサガラとチョークはハイタッチをした。
しかし、スイカはそこで、あることに気づく。
「でも、フランソワが料理しちゃうんだよ。このあとは………」
「………」
スイカが気づいたのはそのことで、涙を流していると、その様子を千空が、口角をあげてジッと見た。
「フランソワ!シェフ様のご意見聞かせろ。食うべきか?そこのイノシシ」
千空が、近くにいるフランソワに意見を求めると、千空の意図がわかったフランソワは、口もとに笑みを浮かべた。
「いえ、油くさくて不向きですね。染みついてしまっております」
「だとよ。捨てるも連れ帰るも好きにしろ」
「よよ、良かったんだよ。友達になれるんだよー!!」
フランソワと千空の言葉に、スイカは泣いて喜び、サガラと抱きあった。
「成果上げたヤツには、見返りねえと、士気上がんねえからな」
「だね。でも、ホントにそんな理由?」
「あ゙?それ以外何があんだよ」
本当は違うのだが、こういうのを知られたくない千空はごまかした。
こうして、食料として獲ってきたイノシシ…サガラは、スイカの友達となったのだった。
それから、石油がある程度とれると、タルに入れ、そのタルを司帝国まで、気球で運んだ。
千空、ゲン、羽京、クロム、龍水は川に行き、スチームゴリラ号でこちらに来た魅真も、石油を川に運ぶ係として、タルを持って着いていった。
「ソッコーでオイルテストすんぞ」
「これって…」
「モーターボートだ!!」
川まで行くと、そこにはモーターボートがあった。
「あ゙ー、ボートじゃなくて、聞いたのはエンジンの話か?スターリングエンジンだ。司凍らせんのに、スターリング冷凍機作っただろ。ピストン動かすと、温度差できる奴な。それ逆に付けただけだ。温度差でピストン動かすっつう…」
「うぅん、違う。エンジンの話は聞いてない」
モーターボートのことではなく、エンジンのことを聞いたのかと思った千空は、得意げな顔で、エンジンのうんちくを語るが、まったくついていけないゲンと、近くで聞いていた龍水は引いていた。
「! この船で出れるのか、ついに?海に……!!」
けど龍水は、千空が何をしようとしているのか、すぐに察した。
「相良油田様の品質次第だな」
「入れちゃっていいの、これ?ジーマーで…」
しかし、海に出られるかどうかは、相良油田でとれた石油によるものなので、千空の微妙な答えに、ゲンは石油をモーターボートに入れるのを躊躇した。
「なんだ、惚れ薬か!好きな子でもできたのか、千空ーー!?」
するとそこへ、船につむ機材を持ってきた大樹が、臭いをかぎながら、笑顔で千空に問いかけた。
「???」
「惚れ薬……?」
「何それ?」
「何言っちゃってんの、大樹ちゃん…??」
いきなり妙な話をしたので、魅真、千空、クロム、ゲンは、なんのことかと思った。
「あの日、科学室で作ってくれたじゃないか!杠に告白する、俺の勇気のために。俺達が石化したあの日、最後の時に――」
「そんなもの作ってたの!?」
「そうだぞ」
それは、3700年前のあの日……人類が石化した日、大樹は杠に告白する前、魅真のところにも行ったが、科学室にいる千空のところにも行き、杠に告白することを告げた。その時に、千空が大樹に渡したのが惚れ薬だった。
「クハハハハ。言った!!言ったテメーに、惚れ薬って。まだ信じてやがったのか、雑頭。ガソリンだ、ありゃ」
「なにーー。そうだったのか!」
だが、それは惚れ薬などではなく、ガソリンで、それでも大樹が無事だったのは、インチキには頼れないと、流し場に捨てたからだった。
そのガソリンを、未だ惚れ薬と信じていた大樹を、千空は涙を流すほどに爆笑したので、大樹はショックを受ける。
「……その先入観0のテメーが、同じ臭いっつってんなら。ククク、間違いねえ。相良油田様も、あの日俺が、ペットボトルキャップから作ったのと同じ、炭素数5~12。超高品質のガソリンだ…!!」
大樹の言葉だけで、相良油田でとれた石油が本物だと確信した千空は、石油が入っているボトルから、石油をモーターボートに注入した。
「フゥン。つまり千空、貴様が最後に作った、旧世界で最後の科学は、ガソリンだった――。新世界で俺達は、ついに今、そこに追いついたというわけだ。そして、ここからは追い抜いて行く!!」
そして、石油を注入すると、千空、羽京、クロム、ゲン、龍水は、モーターボートに乗りこんだ。
「はっはー!そのガソリンで、ついに飛び出すぞ、日本を。人類未踏の新世界へ!大海原へ!!科学の船でな…!!!」
五人が乗りこむと、船は出発し、あっという間に見えなくなった。
「行っちゃった…」
「そうだな」
「あーあ…。乗りたかったなぁ、モーターボート…」
モーターボートが見えなくなると、魅真はポツリと不満をもらした。
「まあ、また機会はあるさ。俺達は、アジトに戻ろう」
「そうね…」
大樹が魅真をなだめると、ここにいても仕方ないので、魅真と大樹は司帝国のアジトに戻った。
数分するとアジトにつき、魅真はアジトの上部に建てられた灯台に向かった。
「魅真、帰ってきたのか」
「じゃあ、いよいよテスト開始かの?」
そこには、コハクをはじめとする村の人間がいた。
「そうだね。そろそろいいかも」
「電池よりスッゴい水車のパワーで、ケータイ電波全開しちゃうのよ」
「スイッチオンなんだよー!!」
魅真がそう言うと、カセキの合図で、スイカが電波のスイッチを入れた。
そして、ちゃんと電波が千空達に届いているかをチェックするため、通信を繋ぐために、ルリが受話器をとった。
「こっちの方角分かりますかー?洋上の皆さん」
「おぅ、バッチリだぜ!!」
ルリが、海の上にいる千空たちに声をかけると、出たのはクロムだった。
「ウォホン。ルリちゃぁん」
すると、ルリの隣にいた銀狼は、咳払いを一つすると、ルリに話しかける。
「クロム⇔ルリちゃんの初めての電話で、腰抜けのクロムは、想い伝えられなかったわけよ?だったらホラ、この!世界との初めての電話で、ルリちゃんの方からってのも、あるんじゃないのぉ??気持ち、女の子の方からってのも、アリなんじゃないのぉぉ…??」
クロムとルリは密かに両想いなので、銀狼は余計なお節介を焼く。
「「「おおおおお」」」
「き…気持ち??なんの話でしょう…」
けど、ルリは顔を赤くしてごまかすが、周りはもう乗り気で、スイカはルリに受話器を渡した。
「ねえ、コハク。ルリとクロムって……」
「両想いだ、実はな。だが、ルリ姉は立場上伝えていなかったし、クロムはお子ちゃまだから、自分の気持ちに気づいていないがな」
「あぁ…。そういうこと」
まだ、ルリとクロムの関係を知らなかった魅真は、隣にいるコハクに、小さな声で問いかけてみると、コハクから返ってきた答えに納得をした。
「………クロム?」
そして、ルリは受話器を受け取ると、周りが見守る中、静かにクロムの名前を口にした。
「なんだか、皆が」
しかし、その後少ししゃべると、いきなり雑音が入った。
「え!?」
「ど、どうしたというのだ??」
「(雑音?でも、灯台の真下にいるのに?千空達がそうなるならともかく……。どういうこと?)」
そのことに、コハクやルリをはじめとする、そこにいる全員が驚き、魅真は疑問に思った。
「故障かのぅ?」
「でも、さっきまで普通にしゃべってたよ?」
カセキと銀狼が話していると、今度は、ブツ切れで雑音が鳴り始めた。
「(今度はブツ切れに鳴ってる。しかも、同じ音をくり返し………あっ!!)」
そこまで考えると、魅真はあることに気がついた。
「ルリ、受話器貸して!」
「え?えぇ…」
魅真はルリの前に出ると、ルリに向かって手を伸ばしたので、ルリはふしぎに思いながらも、魅真に受話器を渡す。
「どうしたのですか?」
「何かあったのか?」
コハクとルリが問いかけるが、魅真は答えず、耳に受話器をあてた。
「!!」
耳に受話器をあて、音を聴くと、魅真は驚愕した。
そして、数十秒ほど聞くと、受話器から耳を離す。
「魅真、一体…」
コハクが再度問いかけると、魅真はルリに受話器を無言で返して、灯台をとび出した。
「魅真!!」
「どこへ行くのですか?」
コハクとルリが声をかけるも、魅真は答えず、無言のまま、あっという間に下に降りていき、一番下の地面に降りると、川へ向かって走り出した。
「(雑音のあとに聴こえてきたあの音は……モールス信号…!!しかも、打った内容が、『WHY』って…。それも、ずっと連打してた。千空…羽京…皆、無事だといいけど…)」
魅真がとび出したのは、モールス信号が送られてきたことと、モールス信号の内容から、敵がいるのではないかと思ったからだった。
モールス信号を送っただけで、直接接触したわけではないだろうが、心配になった魅真は、モーターボートが出発した川に向かっていった。
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