Z=13 20秒間の激闘
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全員がいっせいにとび出すと、まず千空が、大砲を洞窟に向けて撃った。
その音に驚いた見張りの男達は、全員目を大きく見開いて、大砲を凝視する。
大砲は彼らの頭上を通りすぎると、洞窟の出入口の上にあたり、爆発を起こしたので、彼らは更に驚いていた。
大砲といっても、硫酸と鉄粉が入った、こけおどしの火炎弾だが、効果は抜群だった。
「全人類の命運を決める、電撃速攻!!一人の犠牲者も出さないために、タイムリミットは20秒!!!」
彼らが驚いている隙に、戦闘員が洞窟へ向かって走っていく。
Z=13 20秒間の激闘
「司はよ!科学王国の蒸気機関突撃読んでるぜ」
「じゃあ、奇跡の洞窟なんて超重要施設、車両対策で、ジーマーで罠だらけだろうね~。魅真ちゃんは3つって言ってたけど、それ以上かも」
「100億%そうだろうな」
そのことは、魅真に教えられずとも、千空にもわかっていた。
「無視!!突撃!!!」
「「ヤベーー!!!」」
しかし、罠だらけと読んでいても、無視して突撃していくので、ゲンとクロムはびびった。
戦車はスピードをおとすことなく、洞窟に向かって突進していくが、途中ごつごつした地面で車輪がはまったので傾いてしまう。
「ヒー!!」
しかも、そこには罠の落とし穴があり、穴にハマった車輪は、傾いたまま高速回転をする。
「おぉおおおおお!!!」
だが、なんとか持ち直して、再び走っていき、どんどん罠がつぶれていった。
「つあ…なんだありゃ…!!」
「戦車!!?」
「罠全部、ムリヤリ踏み潰して……」
この時代に戦車が突撃してきたので、見張り達は、衝動的にパニックに陥る。
「ムハハハハ。最高じゃねえか、戦車!!」
「マグマ、そういうの好きそうね…」
「迂回が不要になった。大幅な秒数の節約だ!」
「行くぞ皆。正面突破だ………!!」
罠が明らかになったので、科学王国の者は、全員チャンスとばかりに、奇跡の洞窟の方へ走っていった。
「奇襲!奇襲だー!!クッソ………」
見張りの中の一人、斧を持った男は、焦った様子で武器を構える。
「(ハ!一番の難所はこの初手だ。混乱した雑兵は、雑な反撃をする)」
「(『殺さず』。無茶な注文だが、ルールはルールだ。その縛りの中で、敵の初撃をどうさばくか―)」
敵が焦っているこの瞬間が一番難しかった。
洞窟の前にいた敵は、4人いっせいに魅真達のもとへ走っていき、同時に攻撃をするが、その時大樹がコハク達の前にやってきて、4人の見張りの攻撃を盾で防いだので、武器は破壊された。
「大樹!!」
「カーボンの盾!!」
「いや、当たっただろが、頭にも。なんちゅうタフさ……!!」
すべてを防ぐことは無理だったようで、武器があたった頭には、小さなコブができていた。
「心配するなー!!攻撃は先頭で、俺が、全て受け止める。人を殴るのは、悪いことだーー!!!」
「「「「何言ってんだ、コイツ。戦闘中に!!?」」」」
命がけの闘いをしている時に、大樹はおかしなことを言うので、見張りの男達は、意味がわからないとばかりにつっこんだ。
「うぉおおおお」
大樹は宣言した通りに、盾を使って相手が攻撃できないようにした。
その隙に、コハクは2本の刀で見張りの男2人の武器を破壊し、魅真は見張りの男2人の攻撃をかわした後、一瞬で男2人を木刀で倒し、コクヨウは敵の頭をげんこつで殴り倒し、金狼も目の前の見張り3人の武器を槍で破壊した。
その直後、戦車は罠にはまり、横に傾き、車輪が壊れて完全にダメになった。
「!!」
「戦車が―ついに罠で。シャアア。ブッ潰れたぞ!!」
戦車がつぶれたので、彼らはチャンスと思った。
「ド~イヒ~~」
「ククク。思ったよか長もちしたな」
戦車の中にいるゲンは目をまわし、千空は白目をむいていた。
その時、戦車の出入口の前に、マグマがやって来た。
「マグマ、テメーの出番だ!!」
「偉そうに指図すんじゃねえ。お願いしますだろが!!」
そう言いながらも、マグマは戦車の後ろについている銅板をつかんで、前に構えた。
その銅板は、大きな中華鍋のような形をしていて、3本の棒がピラミッドのようについている先端には、輪っかがあった。
「なんだ?」
「ありゃ…!?」
見たことのない形の、何に使うかわからない物に、見張り達は困惑して動きが止まる。
「総員耳栓!!」
科学王国側は、何をするかわかっているので、コハクの合図で、全員持っていた耳栓をした。
マグマが持ってる銅板の輪っかの部分に、クロムが導火線のついた小さな丸い袋をセットすると、千空がすかさず火をつけた。
「喰らいやがれ。音響兵器、ショックキャノンだ……!!!」
火をつけると、袋が破裂して、銅板をはね返ってすさまじい音を作り出し、ショックキャノンを喰らった敵は、全員目をまわして、気絶して地面に倒れた。
「(みんな混乱しちゃってるーー!奇襲受けちゃったら、すぐ現場捨てて、一旦撤退が闘いのセオリーだって、司さんが言ってたじゃん!!)」
奇跡の洞窟の隣の木の影では、南がこっそりのぞいていた。
「(記者の本領発揮!私が司さんとこに戻って、くわしい状況とか知らせれば、『うん…。できる女だ。俺のそばにいろ』な~~んて…)」
南は妄想をしながら、司に知らせるために、アジトに向かおうと走り出した。
「!!?」
その時、南の前の地面…すれすれのところに、1本の矢が刺さった。
もちろんそれを射ったのは羽京で、羽京は南を司のもとに行かせないために、木の上から矢を射ったのだった。
「させないよ」
「あははははははは」
すると今度は、南の後ろからニッキーが現れて、南の脇やお腹をくすぐって止めた。
「!!!」
一方洞窟の前では、もう一度ショックキャノンを使うために、クロムは音爆弾の袋を輪っかにセットしようとしたが、見張りの1人に攻撃されて止められてしまう。
「クッソ。ヤベー。もう音爆弾が――」
今の攻撃で、音爆弾の袋が破けて、使い物にならなくなってしまった。
今クロムを攻撃した見張りは、魅真、コハク、マグマが倒したが、その隙に、洞窟の中にいる見張り4人が、いっせいに千空達のもとへ向かって来た。
「く…」
すでに目の前まで来ているので、コハクは歯噛みする。
「(音爆弾……)」
その時、大樹は妙案を思いつき、中から来る敵に背を向けて、銅板の前に立ち、両手をひろげて構え、口をあける。
大樹が口を開いたことで、千空とクロムは、大樹が何をしようとしてるのかがわかり、2人で大樹の前に銅板を構えた。
「おあああ」
輪っかが口の前にくると、大樹はその大きな声で叫び、それが音爆弾となって、洞窟の中から攻めてきた見張り達を、一気に倒した。
今の大樹の声で、見張りが倒れただけでなく、中に置いてある硝酸の器も揺れたが、器は倒れることなく無事だった。
見張りも倒し、硝酸も無事だったので、千空、大樹、クロムは、輪になって喜びあった。
外にいる、立ち上がった兵士は、そこから移動しようとするが、ニッキーをはじめとする寝返った司軍に阻まれて、それ以上進むことができなかった。
この時、経過した時間はジャスト20秒、死者数はゼロだった。
作戦成功なので、魅真達は手をあげて喜び、見張り達は縄でしばり、動けないようにした。
「長かった……。千空と二手に分かれて、闘って、丸一年………!!うぉおおお。ついに!ついに取り戻したぞーー!!奇跡の水だーー!!!」
「ようやくここまで来たね」
「なんだっけ。コウモリの糞から生まれた…硝酸っつったか?これでもう作り放題だぜ。復活液でも、火薬でもよ………!!」
千空、魅真、大樹、クロムは洞窟の中に入ると、大樹は硝酸が入った器を、頭上にあげて大喜びしていたが、千空は1人先に外へ出た。
「? おぅ。何やってんだ、千空。せっかく勝ったのによ!」
「わはは。千空はいつも冷静だからなー。喜ぶのも遅いんだ!おぉぉい、千空!!」
その後に続いて、魅真、大樹、クロムも出てきて、戦車の中をあさっている千空に声をかけた。
「あ゙ー。勝利のおパーリーで、楽しくウェーイしてえとこだがな。チンタラ遊んでるヒマもねえ。ソッコーで火薬作んぞ!!」
「!!」
「ヤベー。確かに!司たちが気付いて来る前に、とっとと用意しねえとな!!」
「私も何か手伝うよ!」
いつ司と氷月が来るかわからないので、千空は火薬を作る準備にとりかかり、魅真は手伝いを申し出た。
「……」
その時、洞窟の前の木の枝にすわっている羽京は、何かを感じとった。
「タッタラ~。硫黄&炭!ここに硝酸さえ混ぜりゃ、ソッコー火薬完成の、即席火薬作成キット~」
千空は戦車の中から、硫黄と炭がまざって入っている、大きな瓶を取り出す。
「用意ゴイス~~」
「たりめぇだ、時間がねえ」
「おおぉし。これでついに、科学王国の勝利だー!!」
「火薬ゲット…」
大樹とクロムは、両手をあげて、再び喜んだ。
一方、聴力で何かを感じとっていた羽京は、目を大きく見開いた。
「(ありえない。いくらなんでも早すぎる。どうして―――)」
感じとったものに驚愕した羽京は、その音が響いてくる方向を見て、冷や汗をかいた。
「逃げてくれ!!」
けど、千空達に知らせるため、音がした反対側にいる魅真達に顔を向けると、警告を促す。
魅真達は何事かと思い、羽京に顔を向けた。
「逃げろみんな…!!!」
再度警告したその時、1本の槍が、すごい勢いで羽京に向かってきた。
その直後、お腹から血を流した羽京は、木の枝からふきとんでいき、千空に激突した。
千空に激突したことで、近くにいた魅真、大樹、クロムも巻きこまれ、4人も後ろへふきとんだ。
今の衝撃で、硫黄と炭の入った瓶が千空の手から離れてしまい、地面にあたり、瓶全体にヒビが入る。
「(クッソ。化学薬品全部――)」
ヒビが入ると、その直後、瓶が割れて、中に入っていた硫黄と炭は地面にばらまかれ、魅真達も地面に倒れた。
「(あぁああ。切り札の火薬の素が…!!)」
これで、もう火薬を作れなくなったので、戦車の中にいるゲンは、顔が青ざめた。
「くっ…」
地面に倒れるが、魅真はすぐに起き上がった。
「みんな!!大丈………!!」
起き上がると、魅真は千空達の心配をする。
だが、千空達がいる方へ顔を向けると、目を大きく見開き、顔が青ざめ、冷や汗をかき、体が震え、目の先にあるものを凝視した。
「羽…京……」
そこには、お腹から血を流している羽京が、うつぶせに倒れて気絶していた。
その姿を見た魅真は、気分が悪くなり、顔をゆがめて、口を両手で抑えた。
「ハァ……ハッ…」
今にも涙があふれ出そうなくらいに動揺し、荒い息をくり返す。
一方、周りの者達は、先程まで羽京がいた方に顔を向けていた。
「こんなもん」
「無理に」
「決まってんじゃねえか…」
「コハクちゃんや、マグマや、みんなで、一人と闘っても、全然ダメだったのに」
「どっちか一人相手だって、絶望だってのにさ」
その先には司と氷月がいて、氷月の槍からは、血がしたたり落ちていた。
司と氷月を目にしたほぼ全員が、冷や汗をかき、絶望の表情を浮かべた。
「!!」
氷月の槍を見た魅真は、羽京をやったのは氷月だとわかり、氷月を鋭い目で睨む。
だが、ほとんどの者達が、司と氷月の存在におびえ、体を震わせていた。
しかも、司と氷月だけでなく、仲間にしていない、新たな司帝国の兵達も、司と氷月が立っている木の下にたくさん現れた。
「やあ、千空」
「よう、司」
司は落ちついた声で、周りの者が、司と氷月に注目している間に起き上がった千空に声をかけ、千空もまた、この状況だというのに、落ちついた声で司に声をかける。
「永い、永い闘いだった。あれから一年。哀しいな。君を二度も、この手にかけなくちゃならないのは」
「ククク。冷てえ奴だ。テメーに逢いに、せっせと地獄から、昇ってきてやったのによ。アホほど細い、科学の糸でな……!!!」
2人は、悲しそうだが、どこかうれしそうでもある、そんな複雑な表情で、お互いを見た。
「Don't Worry!!」
その時、戦車の中から、ゲンが演じるリリアンの声が聞こえた。
「リリアン!!守れ。戦車ん中にいるぞ」
「そうだ。大丈夫!!みんな聞け!復興したアメリカ軍が…」
科学王国に寝返ったもと司軍は、まだ寝返っていない司軍に、リリアンのことを知らせようとするが、その時、携帯氷月の手から投げすてられ、地面に激突し、破壊されたので、ゲンと司軍はびっくりした。
「それも全てウソです。茶番はやめて出てきなさい、ゲン君。こんな原始的な携帯電話で、アメリカまで通話できるわけがないでしょう」
「クッソ!バレちまったのか、全部…!!」
「ククク。どうりで、来んのがアホほど早ぇわけだ」
「……」
氷月がリリアンの正体を明かすと、もうどうしようもない状況なので、ゲンは戦車の中から顔を見せた。
「ゲン!!」
「モノマネ。そんな…」
電話で聞いた声が、すっかりリリアンだと思っていた元司軍は、ショックをうけ、更に絶望した。
「…うん。紙一重だった。でも、たった今、全ての勝負はついたんだ」
「君たちの負けです。千空クン」
確かに、戦闘員は圧倒的に司側の方が多く、リリアンがゲンだとバレてしまい、火薬の素までなくなってしまったので、千空は冷や汗をかく。
「そこで提案です。もし君が――」
氷月が千空に提案をしようとすると、司は剣を持っていない右手で、氷月を止めたので、氷月はそれ以上は話さなかった。
「あ゙ーー、いちいち言わねえでいい。分かってる」
しかし、最後まで言わなくても、千空には、氷月が言わんとしていることがわかっていた。
「こいつら全員の安全保障と引き換えに、科学マンの俺一人に、死ねっつんだろ?」
「「「!!!」」」
千空が言ったことに、全員が目を大きく見開いて驚愕した。
「話が早くていいですね。さすが、ちゃんとしてる」
特に魅真は、千空のように察してはいたが、察した通りだったので、一番驚愕しており、顔が真っ青になり、冷や汗をかく。
「やめて!!そんなのダメよ!!」
「そうだ。ダメだ。ダメだ千空!!」
そしてあわてて止めると、そのあとに、大樹もあわてて止めた。
「あの時と!また同じになってしまう。俺は、もう二度と…」
「ククク。気色悪ぃ泣き顔晒してんじゃねえ、デカブツ。どこが同じだ。目ん玉ほじくり返して洗ってこい。あん時は、魅真と大樹、テメーらも間に合わなくて、俺一人だった。でも今は、今ここに―山ほどいんじゃねえか。テメーらも、科学王国のお仲間たちもよ………!!!」
「……ああ、その通りだ千空!!!」
大樹に返した千空の言葉に、コハクは同意すると、刀を構えて、そこから走り出した。
「何か勝ち筋があるのか、コハク!?」
「ハ!あるわけがなかろう。そんなもの。守るのだ!奇跡の水の拠点を!!これは籠城戦だ。我々で、僅かにもちこたえさえすれば――。必ず作り出す!!千空たち科学使いが、勝利の道を!!!」
勝ち筋があるわけではないが、コハクは司と氷月を食い止めて、千空とクロムに、司と氷月を倒す武器を作ってもらうための、時間稼ぎをしようと思ったのだった。
コハクの、金狼への返答を聞くと、千空の顔は明るくなる。
「いや、でも薬品とかもう、なーんもないよ??どうやって…」
先程、火薬作成キットは破壊されたので、ゲンはその疑問をぶつける。
「無駄に死ぬとは。所詮は、脳の溶けた原始人たちでしたか」
コハクがとび出すと、金狼と銀狼とマグマ、他の村の者達も、司と氷月がいる方へ走り出す。
「走れ科学使い!!」
「おぅよ!!」
コハク達が、司と氷月のもとへ走って行くと、千空とクロムは、洞窟の方へ走って行った。
「「この原始のストーンワールド。最後に制するのは」」
そして、コハク達が向かってくると、司と氷月も、2人同時に、武器を構えて降りてきた。
「自然が人類に与えた、純粋な力だ…!!」
地面に降り立つと、司は指を鳴らした。
「人類自身が積み重ねた、科学だ……!!!」
洞窟の中に入った千空は、スポイトを口にくわえると、硝酸に手を伸ばした。
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