Z=5 命の石
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狼煙をあげることにした千空は、残っている木炭を、火薬の上に投げこんだ。
木炭を投げこむと、火薬は爆発して、黒い煙を出し続けた。
「火薬が尽きちまう。燃えるもん、じゃんじゃんブチ込め!」
火薬も量に限度があるので、何か燃えるものを持ってくるように、千空は三人に指示をした。
「待ってろ。木を集めてくるぞー!!」
指示をされると、三人は走って、木を探しに行った。
けど、知らない土地なので、あまり遠くまで行くと戻れなくなるかもしれないのと、いつ火薬が尽きて燃えなくなるかわからないので、なるべく近くで、それぞれバラバラになって、燃えるものを探し始めた。
Z=5 命の石
三方向に散った魅真、大樹、杠は、それぞれ木を集めていた。
「(いつ、司が追いついてくるかわからないから、早くとって戻らなきゃ)」
いつ火薬がつきるかわからないのと、いつ司がここに来るかわからないのとで、魅真は急いで木を集めていた。
魅真と大樹は何事もなく集めていたが、杠は、集めている途中で現れた司に人質にされてしまい、千空との取引に使われていた。魅真の心配ごとがあたってしまった。
けど、そのことを知らない魅真と大樹は、とにかく木の枝を集めまくった。
「よし!これでいいかな。早く戻らないと」
数分経ち、抱えきれないほどたくさんの木の枝を集めた魅真は、急いで戻ろうとした。
「あ!」
その時、魅真は目を大きく見開いた。
「狼煙が3本も!」
それは、最初は1本だった狼煙が、いつの間にか3本もあがっていたからだった。
「(本当に人がいるんだ。なんでかわからないけど…)」
理由はわからないが、人が、少なくとも三人は復活しているのがわかった魅真は、目を輝かせて喜んだ。
「(急ごう!)」
こうしてはいられないと、木の枝を持って、もといた場所に戻るために走った。
「ん?」
しばらく走っていくと、杠の、魅真と大樹を呼ぶ声が聞こえた。
「今のは…杠…?…まさか!!」
悲鳴のような呼び方に、魅真はハッとなり、木の枝をすてて、全速力で走り出した。
「(まさか…司が?まさか…。千空!杠!)」
ただならぬ声に、千空と杠が危険な目にあっているのではないかと思った魅真は、心臓がうるさいくらいに鳴っていた。
魅真(戦える人物)も大樹(盾になれる人物)も一切いないこの時は、司にとって、もっとも取引をしやすい状況だからだ。
「(二人とも…無事でいて!!)」
司は善い人だが、簡単に人殺しができる。殺したのは、まだ復活する前の石像だが、まったくためらいがなかったので、生きている生身の人間でも、そうできる可能性がある。
例え、そこまでしなくとも、なんらかの危害を加える。
そのことは容易に想像ができたので、魅真はとにかく走って…走った。
そうして、一心不乱に走っていると、自分達がいた温泉のある場所までやって来て、山を一気に駆け上がった。
「(あともう少し…)」
山を走るのはかなり体力がいることだが、運動能力と体力に自信のある魅真にはどうってことなく、あとちょっとで、千空と杠がいる場所につくというところだった。
「!! (司!?)」
途中で、全身は見えないし、距離があって小さく映っているが、司の姿をとらえた。
「(お願い。間に合って!!)」
まだ危害は加えられていないようだが、いつ攻撃するかわからないので、魅真はスピードを早くした。
だが、次の瞬間、司が千空の横を通りすぎると同時に、何かが折れる鈍い音が響き、その直後、千空が仰向けに倒れた。
「千空ー!!」
千空がやられると、魅真は悲痛な叫び声をあげた。
魅真は急いで千空のもとへ駆け寄った。
同時に、同じように杠の叫び声を耳にした大樹が、そこへ戻ってきた。
千空が倒れると、魅真だけでなく、大樹と杠も、千空のもとへ駆け寄った。
「ああぁあああああ」
駆け寄ると、大樹が千空を抱き起こしたが、千空の頭は後ろにたれて、息もしていなかった。
死んでしまったという事実を受け入れてしまった魅真達は、たくさんの涙を流した。
「千空ー!!あぁあ。へんじ…返事をしてくれ、頼む。そんな、違う。ダメだ!千空、お前は、こんな…。んなところで、死んでいいわけないんだ。いいわけないだろー!!」
「…苦しんではいないよ。せめて友達の君たちが、手厚く葬ってあげてくれ」
そこで、司が静かに口を開き、支離滅裂なことを言ったので、魅真の涙は止まり、目がこれ以上開かないのではないかというくらいに大きく見開くと、静かにゆっくりと立ちあがり、司の方へふり向く。
「……!!」
同時に司もふり向こうとすると、魅真を目にした。
そこで、司の動きが止まった。
「(なんという…魅真の威圧感…!!)」
それは、魅真がとてつもなく恐ろしい顔で、司を睨みつけていたからだ。
司は魅真に、すさまじいほどの威圧感を感じた。
そして、魅真だけでなく、大樹も暗い影を落とし、いつもとどこか様子が違った。
「(杠が人質になる以上、魅真と大樹は、俺に一切攻撃できない。そういうパワーバランスのはずだった。だが魅真!大樹!もし君が、千空の死に激昂し、全てを忘れて襲いかかってきたら、君たちまでも殺すことになる。冷静であってくれ――)」
かなり矛盾した、めちゃくちゃなことを考えているが、司は本気だった。
「!! 魅真ちゃん、大樹くん……!!?」
ただならぬ様子に気づいたのは、杠も同じで、二人に声をかけると、魅真は木刀を抜いて構え、大樹は目の前の地面から、自分の上半身くらいはありそうな岩を、素手で一瞬でつかみあげた。
「(やはり、戦うしかないのか)」
臨戦態勢に入った二人を見ると、戦うのもやむなしと思った司も、構えをとった。
「心配ないぞ、杠。俺は冷静だ」
「同じく」
けど、二人は攻撃のために構えたのではなく、杠にだけ聞こえるように、小さな声で話しかけた。
そして、何やら大樹が、更に小さな声で話すと、杠の顔は、まだ涙が浮かんでいるが、次第に笑顔になった。
「すまん、杠。もしも――」
「大丈夫だよ、大樹くん、魅真ちゃん。あの時、4人で約束したんだから。うまくいくよ。きっと、そういうのって――」
「ああ!ありがとう、杠!」
「ありがとう…」
杠が笑顔で同意してくれたので、魅真も笑顔を返し、大樹はお礼を言った。
お礼を言うと、大樹は岩を後ろに大きくふりかぶり、頭上に持ち上げる。
「おあああああああ」
そして、その勢いのまま、司に向けて、上空に放り投げた。
「(上空へ。なぜ―)」
司自身ではなく、上空に岩を投げたので、司は岩を見ながらふしぎに思った。
岩自体が囮である可能性があるため、司は瞬時に警戒した。
岩の軌道を読みつつ、司は決して、大樹と魅真から目を切らなかった、魅真は女だが、武力があり、なおかつ、現在武器を構えているからだった。
なので、警戒しているのは、岩と、大樹と、魅真。この一つと二人だった。
唯一の誤算。それは……杠。
杠は、大樹が岩を投げた後、司の視界からはずれるように、横に動いた。
向かって右側の、荷物が置いてある場所に走っていき、火薬が入った壺を取ると、司に向けて投げた。
司はそれに気づき、蹴りで壺を破壊する。
すると大量の火薬が、まるでカーテンのように広がり、魅真、千空、大樹、杠の四人と、司の間を遮断するように広がった。
「(この、黒い粉は――)」
中から出てきた火薬に、司は目を見張る。
「(あの時、4人で約束したんだ。共に闘うと!これは、俺と、杠と、魅真と、そして千空の!!力を合わせた闘い――)」
杠は火薬を投げると、魅真達のもとへ戻ってきた。
落下してきた岩は、魅真達と司の間に落ちて、地面と激突すると同時に、火花を散らせた。
「さらばだ、司……!!」
大樹がそう言った直後、魅真達と司の間で爆発が起こった。
その隙に、大樹は千空を抱え、魅真と杠は、できるかぎりの荷物を持って、森の中へと走っていった。
大樹は走りながら、ライオンと対峙した時に千空に言われた、「逃げる時は必ず!俺ら三人で、同時にだ!!」というセリフを思い出す。
「そうだ、千空。逃げるんだ、一緒に!!誰がなんと言おうと、俺は信じんぞ。お前は死なん!一から文明を作るって、志半ばでくたばるような男じゃない……!!」
魅真達は、とにかく走った。
次第に雨がふってきたのと、ある程度離れたのとで、巨木の下に千空を寝かせると、大樹は心臓マッサージを行った。
「心臓マッサージ。やり方あってるのかもわからん!だが、やるしかないんだ!!」
やり方はわからないが、とにかく千空を蘇生させるために、必死になっていた。
「いや、人工呼吸か!?」
途中で人工呼吸を思いつくと、大樹は心臓マッサージをやめて、口をとがらせると、千空の頭を抱え、千空の唇に自分の唇を近づけた。
「あぁ、首は!動かさない方がいいかも!!」
「そうよ。首は大事だよ!」
大樹が人工呼吸のために頭をつかんでいたので、魅真と杠はあわてて止める。
「それもあるけど…さっき司くんが首を―――私のかわりに、千空くんが、犠牲になって…」
杠が、魅真と大樹がいなかった時のことを話すと、大樹の動きがピタリと止まった。
「千空が、かわりに、犠牲に………??」
その杠の言葉に、大樹は3700年とちょっと前、学校の理科の授業での出来事を思い出した。
それは、マジック心理学という本の心理テストを、クラスメイトの男子生徒がやっていた時のことで、心理テストの内容は、「なんやかんや事故で、自分・友達・恋人のうち、一人しか助けられません。どうしますか?」というものだった。
杠は友達か恋人で迷っており、大樹は選ぶことができなかったが、魅真と千空は、全員だった。魅真は単純に、全員助けたいという思いから答えたが、千空は、全員が助かるルールを一から探すと、そう言ったのだった。
「千空は自殺しない。誰かの犠牲にもならん。全員が助かるなにか…ワンチャンに賭けたはずだー!思い出せ、千空のことを。友達の俺達なら分かるはずだ。何か、ヒントが……!!」
杠は千空を見ると、人質になっていた時の、「一撃でやれよ。ダラダラ血ィ流して粘んのは、お互い非合理的だろが」という千空のセリフを思い出す。
「首―――」
「首?」
「千空くんあの時、わざと首に―――誘うみたくして、司くんに攻撃させてたのかも…!」
「(なんだ??あの癖――――)」
「!! 首と言えば……千空、ツリーハウスで私たちと一緒に住んでた時、ずっと首を鳴らしてた」
杠が思い出したことで、大樹と魅真は、ツリーハウスで暮らしていた時に、千空が頻繁に首を鳴らしていたのを思い出した。
「昔っからの癖じゃない!なんで、あんな首ばっかりずっと気にして、ゴキゴキ鳴らしてたんだ??」
千空には首を鳴らす癖はないので、それが気になった大樹は、千空の体をつかみ、魅真と杠で頭を支え、三人で同時に、千空をひっくり返してうつぶせに寝かせた。
「首のとこに、石化が少し残って…」
うつぶせにすると、首に石化が残ってるのをみつけた。
「じゃあ、これに復活液をかければ…」
石化が残ってるのを見て、杠の足に石化が残っていたことや、復活液をかけたことで痛みがひいていったこと、石化が戻る時、細かい破損は繋がるという千空の言葉を思い出すと、魅真は顔が明るくなった。
「大樹くん。石化復活液……!!」
「ああ……!!」
杠は、持ってきた荷物の中から復活液を出すと、大樹に渡し、復活液を受け取った大樹は、フタをあけて、石化してる部分に復活液をかけた。
すると、石に亀裂が入り、石化が解けた。
「石化が解けた!!もしかしたら…」
「千空は…助かる!!」
「うおおお。起きろ。知ってるぞ。お前はこんなところで死ぬタマじゃないってな!!千空、お前は、人類の!文明の!!希望の星なんだ!!頼む!!戻ってこい。目を覚ませ、千空ーー!!!」
石化は解けたが、それでもまだ、千空は目を覚まさなかった。
「信じて、いくらでも待つぞ。お前がいなきゃダメなんだ。戻ってこい、千空ー!!!」
大樹が叫ぶと同時に大きな雷が鳴り、その後千空の目に光が戻ると、雨がやんだ。
「………」
「雨がやんだ―」
雨がやむと、三人は今まで千空に向けていた顔を、空に向けた。
「カモフラージュになってた、雷雨の音が消えたんだ。もう大声で叫ぶんじゃねぇぞ。司に聞こえたら、一発アウトだ」
「うむ。たしかに!」
「まだ近くにいるかもしれないし!」
「来てないよね、司くん??」
その時、後ろから声が聞こえたので、魅真達は構えて辺りを見回した。
だが、その聞き覚えのある声に動きが止まり、三人は後ろへふり向いた。
「ククク。よ~~~く首に気づきやがったな。ゴミみてえな小せえヒントから。魅真、大樹、杠、テメーら三人に、100億万点やるよ…!!」
そこには、復活液の瓶を持った千空が、笑いながら立っていた。
「……千」
「空……!!」
「千空…!!」
頸の頚神経を砕かれたのに、そこには、千空が何事もなかったかのように立っていたので、魅真達は目と口を大きく見開く。
「うお゙おおおおおおおおおお」
「ぐえ゙ええええええええええ」
今大声で叫ぶなと言われたばかりなのに、大樹は歓喜の涙を流しながら、うれしそうな顔で、千空を抱きしめた。
抱きしめられると、大樹の強すぎる力に、千空は涙を流して、苦しみの叫び声をあげた。
「頚神経どころか、全身、もれなく砕け散ったじゃねえか。殺すぞ!!」
千空は大樹を蹴りとばして、なんとか大樹のバカ力から逃れ、蹴りとばされたのに、大樹は喜びのあまり笑っていた。
大樹から離れると、千空は背を向けて、全身で荒い息をした。
「ククク。分かってっと思うがな、逐一感謝のお言葉垂れ流すんじゃねえぞ。俺も言わねえ」
「うん。お帰り、千空くん…!!」
「本当によかった。無事で…」
千空が無事に戻ってきたので、魅真と杠も、涙を流して喜んだ。
そして、千空に言葉をかけた杠は、持ってきた荷物を石器のナイフで縦に切ると、次に全体を素早く切って、長方形の形にした。
「おおお。さすが手芸部。器用だな」
「! この皮、模様がちょっとロケットっぽくない??科学の旗みたくて、千空くんに似合うかも」
「いや、1mmもぽくねえ」
開いてみると、裏側に、ロケットっぽいものと、周りに星っぽいものが描かれていたので、杠は千空に聞いてみるが、千空は否定した。
「いちおう首にね。当て木とかしといた方が、ホラ」
「いや、1mmもいらねえ」
否定されても特に気にせず、杠は、近くに落ちてる、千空の背丈くらいの木の棒をみつけると、その棒を背中にあてて、今切り開いた皮を、千空の首にまいて結んだ。
「もう治ってんだよ。ククク。千空博士の、身を挺した人体実験は成功だ。石化解除の修復力は、思いのほか、クッソ高えぞ!」
「折れた首が治るってすごいね」
「わははは。石化のせいでこんなに苦労してるのに、その石化のおかげで治るとはなーーー!!石鹸作った時、言ってたじゃないか。いや、むしろ!この石化こそ、まさにその、医者がわりの命の石―――Dr.STONEじゃないか――!!!」
「(ああ、考えてみりゃ妙な話だ。"石化が解ける時、周辺もろとも修復される"。なんともご親切な科学現象じゃねえか。俺はずっと考えてた。誰が人類を石化した?誰の攻撃だ?だが――本当にこれは、『攻撃』なのか……?」
大樹が言ったことに、千空は疑問を抱くが、今は考えてもわからなかった。
とりあえず今は、そこから移動するために、魅真と千空が、木の枝についた葉っぱで地面をはいて、この場所にいたという痕跡を消し、大樹は荷物をまとめ、杠は近くにある、石化している人間の折れている腕をひろいあげた。
「首が治るなら、バラバラ石像も、ひっつけて、復活液かけたらつながりました!みたいなことないかな~~」
「初っぱなに試したが、バラバラ死体に戻るだけだったな。こんな修復力高ぇなら、なんで――」
そこまで話すと、千空はあることを思いつき、顔をおさえて考えこんだ。
「――杠」
そして、少し考えると、杠に声をかけ、声をかけられた杠は、千空の方へふり向いた。
「雑な大樹じゃ、100億%ムリだ。手先の器用さが普通レベルの魅真もな。手芸部ウルトラ器用のテメーにしか頼めねえ。死ぬほどキツいミッションだが、やれるか」
何やら考えがあるらしく、千空は杠のもとへ歩いていくと、杠にだけ聞こえる小さな声で、ミッションの内容を話した。
千空が話し終えると、杠は目が点になる。
「ワァァオオ」
けど、すぐに覚醒して、驚愕のあまり冷や汗をかいた。
「ホントのホントに、メチャクチャ大変だ~。でも、やる」
「ククク。えらい軽いな」
「手芸は根気ですから」
「なんの話?」
「なんだ、内緒話か?ズルいぞ。俺も混ぜろー!」
千空と杠が話しているのに気づいた魅真と大樹は、二人がなんの話をしているのか気になって聞いてみた。
「んっと。これから、司くんとこに戻ろうかなーって」
「え…?」
「おおそうか!司のとこか!」
二人に問われると、杠は答えたが、あまりいい顔はしていなかった。
杠が何を言ったのか、魅真はすぐに気づいたが、大樹はすぐには気づかなかった。
「なに!!?」
だが、杠に返すとすぐに気づき、顔を杠の目の前に近づけ、大樹の顔が近づくと、杠は顔が赤くなった。
「なんでだー!?千空を死なせた、あぶない男だぞ。いや、死んでないが!たしかに、元は良い奴だが……じゃなくて、少なくとも、司は千空を殺したと思ってて―」
「ククク。それこそが、今回の大戦果じゃねえか!司は俺の居場所を、あの世だとカン違いしてる。一方俺は、司の居場所がいつでも分かる。こんな有利なバトルはねえ!テメーら三人が、司帝国に、スパイとして潜入しててくれりゃあな!!」
「「「!」」」
「ミッションの詳細は、杠に伝えた。魅真、テメーはその通りに動け」
「了解」
「大樹、テメーは杠を護れ。雑アタマは、余計なこと知らねえ方が強ぇからな」
「ああ!分かった。任せろ……!!」
三人のこれからの身のふり方を伝えると、全員でそこから移動を始めた。
「司はこれから、奇跡の水で、若者だけを増やして、武力で統べる新世界を作るはずだ。その司帝国を倒して、人類浄化の大量破壊を止めるには―科学で闘う。革命軍を作るしかねえ…!!」
「でも、千空くん一人でどうやって…」
「そうだ!奇跡の水ショー酸を司に押さえられてたら、火薬も作れんし、肝心の人間が増やせないんだぞー!?」
「それなのに、革命軍!?」
「あ?んなもん、手は一つっきゃねえじゃねぇか。狼煙をあげた謎の連中を捜し出して、仲間にゲットするんだよ…!!」
「そっか。まだこの辺をうろついてるかもしれないし、運が良ければ、この辺に住処があるかもしれないから」
「ああ、そうだ」
「つまりこの先は、俺たちは、司帝国でスパイ。千空は科学革命軍。別れて闘うわけだな」
「ククク、そういうこった。切ない別れに、お涙も溢れまくるぜ」
千空と、魅真・大樹・杠はここで別れ、それぞれ反対の方向へ歩き出した。
「…もう行っちゃった、千空くん」
「あっという間だったね」
「なんかすごいアッサリ。男同士はドライですな…」
「ああ!千空は合理的だからなー!当分会わんことにはなるな!何週間か、何か月か、ひょっとしたら―」
千空が、いつ革命軍を作れるかわからず、終わりがわからないこの闘いに、大樹は目を潤ませると、急に後ろへふり向いた。
「千空ーー!!!必ず…」
どのくらい会えなくなるかわからないので、大樹は思いを伝えるために、千空に向かって叫んだ。
「(いや、くそ!そうだ。大声はダメだった…!!)」
けど途中で、先程千空に、大声で叫ぶなと言われたことを思い出して、口を閉ざした。
そのかわりに、自分の決意を表すように、右の拳を高くあげた。
それを見た千空は、口もとに笑みを浮かべる。
「ククク。俺が戻るまでちーーっとだけ待ってやがれ。なぁに、3700年待ったんだ。今さら、数か月数年、どうっつうこたねえだろよ」
首に巻かれた皮をとりはずすと、皮についた紐を木の棒に結んで、旗を作った。
「必ず立ち上げる。科学の王国を―――」
そして、その旗を上に高くあげて、大樹にあいさつを返した。
こうして、千空は科学革命軍を作るため、魅真、大樹、杠は、司帝国のスパイとして闘うために、一度別れて闘うことになった。
目指すは、司帝国への勝利である。
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