Z=3 VS司
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「(石化復活液の秘密が、VS司の切り札になる。洞穴の奇跡の水のことだけは、死んでも隠さねえとな)」
「おーーーい。たまってたぞ。洞穴に、奇跡の水がーー!」
奇跡の水を死んでも隠そうと思った矢先に、大樹が興奮しながら、奇跡の水を持って走ってきて、しかも口に出してしまった。
大樹本人にまったく悪気はないし、ウソや隠し事ができない性格なのと、事情を知らなかったというのもあるのだが、あっさりと奇跡の水のことが司にバレてしまったので、魅真と千空はショックをうけ、魅真は顔を手で覆いかくして項垂れ、千空はこれ以上は開かないのではないかというくらいに、目と口を大きく開き、顔が真っ青になり、これまでにないくらいに冷や汗をかき、目に涙を浮かべて大樹を見たが、何も知らない大樹は、喜びで笑っているだけだった。
Z=3 VS司
司が狩りを終え、四人はツリーハウスに戻ると、大樹は杠に服を着せ、千空は復活液の制作にとりかかり、魅真は千空と司の間に立ちながら、司への警戒を怠らず、その司はとってきた獲物の鮫をひきずっていた。
「よーし杠!ついに、今度こそ!本当に助け出せるぞ」
いよいよ杠を復活させることができるので、大樹は大喜びで、目じりに涙を浮かべて笑っていた。
「なんだこりゃ。復活液一名様ぶんに、ギリ足りねえじゃねえか」
「なにーー!早まったか。すまん。今すぐ採ってくる!!」
しかし、硝酸が微妙に足りないと千空の口から聞かされると、大樹はショックを受けた。
「魅真と司と、三人愉快にシリトリでもしながら待っててやっから、超高速で行ってこい、デカブツ」
千空は大樹に指示すると、槍を木にたてかけている司を横目で見た。
指示された大樹は、杠を助けたい一心で、壺を持って、奇跡の洞窟まで走っていこうとしたが、そこを、司に肩をつかんで止められた。
「なら、一番速い俺が行くよ。だから、その奇跡の水の場所を教えてくれないか」
「(ククク。当然、そう食いつくわな。復活液の大元おさえちまえば、俺の、人類もれなく助けましょ計画は、100億%止めれんだからよ!)」
千空が、司に奇跡の洞窟の場所を教えると、司は奇跡の洞窟に向かっていった。
それなのに、千空はのんきにあくびをして、腕を伸ばしていた。
「行ったか?司」
「ああ。あっという間にな!さすがにスピードも―」
千空に問われた大樹が、千空の方にふり返りながら答えると、千空は真剣な顔になり、硝酸をとると、研究室に走っていき、魅真も続いて入っていった。
研究室に入ると、千空は別の壺に、硝酸とワインをいれて混ぜあわせた。
「ソッコーで復活液作って、杠生き返らすぞ。司がいねえ間にな…!」
千空と魅真が研究室に入ると、次いで大樹も研究室に入った。
「どういうことだ、千空?さっき、復活液がギリ足りないとか―」
「んな微妙なサイズのツボ、置いとくわけねえだろが」
「たしかに!って、じゃあなんで、司に行かせたんだー!?」
「諸刃のエサだ。洞穴の場所をバラしてでも、杠復活前に、司を排除したかった」
「なぜ!司をハイジョするんだ。善い奴じゃないかー!」
「だ・か・ら、手に負えねぇんだよ。奴のご大層な、『ぼくのかんがえたさいきょうのせかい』に、こっちは1mmも興味ねえんだ。ククク。文明作りゲームのが唆るもんでな」
そこまで千空が言い切ると、さわいでいた大樹は静かになった。
「分かった!説明はいらん。千空、お前がそう言うならそうなんだろう。何かあったんだな!俺のいない時に!!」
それは、千空を心から信頼しきっているからだった。
「ああ、獅子王司は――善い奴で、人殺しだ…!」
千空は大樹に、司のことを簡潔に伝えた。
そのことを伝えると、復活液が完成したので、大樹は復活液を持って外に行き、杠を目覚めさせようとしたが、手が震えて、なかなか杠にかけようとしなかった。
「急いでるっつってんだろが、デカブツ!」
「うおお。いきなりバシャッと!なんか、もっとこう…あるだろー!!」
急いでるのに全然かけようとしないので、走ってきた千空が、大樹の手を押して、復活液を杠にかけた。
しかし、復活液をかけたというのに、杠にはなんの反応もなかった。
「………何も起きんな。大丈夫だ!杠。大丈夫!なのかー!?」
「あせんな。反応に時間かかんだよ。こいつは一種のコールドスリープだ。カラダの微量金属元素で作った保護膜みてえなもんで、謎原理な元素の位相ズラし――石化状態をキープしてる」
「むずかしいな!なんだか、とてつもなく!」
「何言ってるのか全然わかんない」
「ただの仮説だ。丸一年ガンバリまくった、実験からのな」
大樹は焦りまくっていたが、千空は冷静で、石化状態について説明したが、魅真も大樹も、何がなんだかまったくわからなかった。
「ようはその膜を、ナイタール液しみしみで、一部でもブチ破れりゃ」
けど、千空は構わず説明を続けると、千空が言ったことに反応するように、杠の右手に亀裂が入った。
「そっから、雪崩式連鎖(カスケード)を起こして、一気に全身に波及」
右手に入った亀裂は、一気に全身に走っていく。
「石化が、解除される…!」
とうとう杠の石化がとけるので、大樹は目を見張った。
同時に大樹の脳裏には、石化する前、石化した燕を動物病院に連れていった時、杠と鉢合わせ、開いてるはずのない動物病院に来て、2人とも完全に遅刻になったのを笑いあっていた光景や、杠に告白しようとした時の光景、石化の原因の光がせまってきた時、杠にクスノキに捕まるように言って杠をかばった時の光景、3700年間ずっと杠のことを想っていた時のこと、石化から復活をとげた時のこと、復活をしてすぐに、杠がいるクスノキまで行き、石化した杠に告白した時のことがよぎった。
全身に亀裂が入ると、石片が砕け散り、肩と首にヒビが入っているが、杠の石化が完全にとけ、後ろに倒れる杠を、大樹が支えた。
「杠!!ああああああ。分かるか、杠ーー!!」
石化がとけると、大樹の目から涙があふれだし、必死に杠の名前を呼んだ。
「……大樹くん……?」
まだ、右目に石片が残っているが、意識をとり戻した杠は、感激のあまり叫んでいる大樹に目を向け、大樹の名前をゆっくりと口にした。
「ああああああ。すまん!3700年も待たせてしまった。すまん……!!」
杠を抱きとめながら、ずっと助けられなかったことを謝る大樹の隣で、千空は腕組みをしながら、考えごとをしていた。
「ふふふ。分かんないよ、なにも。起きたばっかだもん…。でも、は~~ん。さてはあれだ、これ。大樹くんが、助けてくれたんだね。ワオ。ありが…とう…」
意識が朦朧としながらも、杠がお礼を言うと、大樹は更にたくさんの涙がこぼれ落ち、鼻水までたれた。
「俺じゃない。全部千空のおかげだ。千空が一年がかりで復活薬を…」
「ククク。再会トークたけなわんとこ悪いがな。司が戻る前に、即決めろ!」
あまり悠長にしていられないので、まだ大樹が杠と話しているが、千空が割って入った。
「道は二つしかねえ。どっちか選べ!!プランA!大樹と杠、テメーら二人で、今すぐ逃げて、どこか遠くで生きていく。プランB!全員で戦って、司の殺人を止める。文明の、武器の力で…!!」
「即答だー!!」
まだ話している途中だが、大樹が千空の話を遮って、大声で叫んだ。
「一緒に戦うに決まってるだろー!俺と杠を見損なうな千空」
「別に優しいお気づかいじゃねぇよ。逃がしといた方が合理的かもっつう話だ」
「うんうん。全然わかんないけど私もなにか手伝う!」
「あ゙ー、熱意は分かったから、少しは説明聞け、似たもん夫婦」
千空の話を聞かずに、大樹と杠は自分の意見を話したので、千空は2人を落ちつかせる。
「大体、なんで俺と杠だけなんだ。魅真は!?」
「いや、私はほら、武力カードだから。戦うのは当然だし」
「それに、司がもし本当に石像を壊して、人を殺してるのなら、俺は絶対に―」
「殺してるっていうのは、うん。捉え方の問題だね」
「「「!!!」」」
そこへ、タイミング悪く司が帰って来てしまったので、千空と大樹は冷や汗をかいた。
同時に、魅真と千空は後ろへふり返り、大樹は司の方に顔を向け、魅真は木刀を抜いて構えた。
「間引いてるんだ。新しい世界のために」
司は魅真達を睨みつけて、今にも襲いかかりそうなほどに、恐ろしい顔をしていた。
そして、持っていたライオンの毛皮を地面にすてると、魅真達のもとへ歩み寄ってきたので、魅真だけでなく、千空と杠をかばうように大樹も前に出て、大樹が手を後ろに向けると、千空と杠は後ろへ下がった。
「(ククク。大樹や杠の前で、自分の殺人を隠す気もねえ。つまり、邪魔だてする奴は――)」
千空は、何か策があるのか、ツリーハウスの下にある壺の一つに、司から目をそらさずに手を入れようとした。
「(自分の理想の邪魔をする奴は、誰であろうと殺すってことね)」
魅真は剣道の腕に覚えがあるが、総合的にいって、司の方が上なのはわかっているので、緊張が高まった。
けど、だからといって引くわけにはいかず、一切の隙を見せず、いつでも攻撃できるように、木刀を強くにぎりしめた。
その時、司はにぎりしめていた右手を開き、そこからあるものを落とした。
それは、人の石像の破片で、それを見た大樹は、驚愕して、目を大きく見開いた。
千空が言っていたことは、本当だったからだ。
「千空、魅真、もしもの時は、杠を頼む」
千空が壺に手を伸ばしていると、大樹は真剣な声で、司と向かい合いながら、千空に声をかけた。
「司は、俺が止める」
そう言うと、大樹はまっすぐに、司に向かって走っていく。
大樹が向かってくるのを見ると、司は構えをとった。
その様子を見た杠は、司のことを知らないが、石像を素手で破壊する人間を相手にしたら、ただではすまないのはわかっているので、冷や汗をかいた。
「(バカ大樹!!何考えてんのよ!!)」
「(こ・の雑アタマ。ライオン素手で倒す奴相手に、素手で。100億%殺られんじゃねえか!)」
いくら力が強くても、人を殴ったことすらない大樹が、格闘技で有名な司相手に勝つのは、不可能と言っていいのに、まっすぐとびかかっていくという、あまりに愚直な行動に出たので、全員が呆れていた。
魅真が仕方なくとびだそうとすると、それよりも早く、千空が壺の中からクロスボウを取り出して、司に向けて撃った。
「(隠してた、切り札の武器、クロスボウ使わせやがって)」
クロスボウの矢は、大樹の横を通りすぎ、まっすぐに司にとんでいく。
「(すぐ側にブチ込んで、ともかく、二人の動きを止める…!!)」
クロスボウが目の前までせまってきていても、司は冷静で、それどころか、右手で矢をとると地面に投げすて、投げすてられた矢は地面にささった。
「「!」」
そのありえない光景に、千空だけでなく、魅真も驚愕する。
そうしている間に、大樹が司の目の前までせまってきていたが、司は回転しながら、右ひざで、渾身の蹴りを大樹にくらわせた。
大樹はなんとか防御して受け止めるものの、その威力はすさまじく、後ろに何メートルかさがっていき、勢いで体が後ろに折れまがるが、なんとか倒れずにこらえた。
しかも大樹は、蹴りをくらったところから血が出るが、そこまでダメージを負ってはいなさそうなので、司はびっくりした。
「! 俺の蹴りを受けて、倒れなかった人間は、初めてだ。――うん。それ以前に、君は今、攻撃できなかったんじゃなくて、する気がなかった。どうしてだ?」
大樹の行動を見抜いた司は、疑問に思ったことを、大樹に質問する。
「俺は人を殴らん!だが、俺をいくら殴っても、蹴っても構わん」
大樹は体勢を整えると、司の質問に答える。
「そのかわり!石像を壊すのはやめろ、司。人を殺すのは、悪いことだー!!」
そして、まるで俎上の鯉の如く、服の合わせ目を開いて体を見せた。
この状況でその主張は、あまりにも愚策なので、杠は呆然として体が震え、千空と魅真は呆れかえっていた。
「…大樹、君の主張を整理すると、自分は手を出さず、殴られ続ける。よって、石像は壊すな。そういうことかい?」
「そういうことだー!!」
司は大樹が言いたいことを簡潔にまとめて聞くと、大樹はイエスと答えた。
その答えに、司は考えながら、手で口もとを覆い隠し、大樹を見ていた顔を、手で口もとを隠しながら右ななめ下に向けると、再び正面を向き、口から手をどけた。
「意味がわからない。なんの取引にもなってない」
大樹の主張には、司も呆れかえっていた。
「(そりゃあそうでしょう)」
この時だけは、魅真も司に同意し、千空はこのやりとりを見て、体を震わせながら、苦笑いを浮かべていた。
「もし、君が邪魔立てするなら―」
「いくら攻撃されても、俺はお前を止めることをやめんぞ!」
司は続けて冷静に話すが、大樹はまたしても話を遮り、己の主張をした。
「復活したばかりのその子」
大樹と話していた司だが、突然杠に目を向けたので、杠は緊張した顔で、司と目を合わせながらも、自分を抱きしめるようにして、司から離れるように、少しだけ横に移動をする。
「杠を殺すと言ったら?」
大樹にとって一番衝撃的な言葉に、大樹は驚愕のあまり目を大きく見開き、冷や汗をかき、一瞬固まったが、すぐに覚醒して、後ずさって杠の前に、手を広げて立ちはだかった。
「(そっか。私が人質にされるんだ!魅真ちゃんは、同じ女の子でも強いから、戦う力のない私を…。だから千空くん、あの時――)」
司の今の言葉で、杠はようやく、先程、司が戻ってくる前に千空が言っていた、「逃がしといた方が合理的かもっつう話だ」という言葉の意味を理解した。
杠を殺す発言で、ますます魅真達の緊張は高まり、四人の心臓は大きく鳴り響いていた。
そのせいか、大樹のこめかみの傷から血がたくさん流れると、後ろに倒れ、頭を強く打って気絶してしまった。
「!!!!」
「大樹!」
「効いてやがったか」
先程の司の攻撃は、効かなかったわけではなく、耐えていただけだった。
「大樹くん…!」
「出血がひでえ。何日か寝かしとくしかねえな。魅真、大樹の手当てしてやれ」
「わかった」
千空に頼まれると、魅真はわかったとは言うが、まだ司がいるので、構えをとかず、目の前にいる司に集中した。
「…うん、仲間割れはよそう。大樹、君は杠を守ってやれ。赤の他人の石像なんかよりも」
いつくるかと思っていたが、司はそれ以上攻撃はせず、踵を返した。
「俺も、自分のやるべきことをやる。邪魔はさせない」
そして、地面に置いたライオンの毛皮を羽織ると、槍を持って、森の中に姿を消していった。
「(無益な争いはしないタイプ…なのかな)」
大樹を攻撃したり、杠を殺すと脅したわりには、あっさりとひきさがったので、魅真はふしぎに思った。
「…クロスボウの時速、200km超えてんだぞ」
「200!?」
「とってたね。バシって…」
「バケモンじゃねえか。無敵だろ、この時代じゃ」
司がいなくなると、千空は、司が地面にさしたクロスボウの矢をひろいあげながら話す。
「だから、文明を進めるしかねえ。司を止める手は、もうたった一つだ。人類史上、最大の発明品」
「スマホか……?」
「違う!好きだな、スマホ」
話していると大樹が目を覚まし、またしても的外れなことを言ってきたので、しかもこの前とまったく同じことを言っているので、三人はひいていた。
「銃。つまり―火薬を作る!!石器時代が200万年前。火薬の発明はごく最近で、西暦700年ごろ。ククク。つまり俺らは、これから、199万8700年の文明を、一っっ気にワープするわけだ。唆るぜ、これは!!」
次に何を作るか決めた千空は、とても楽しそうな顔をしていた。
「おら、火薬作りの大冒険に出発だ」
「えええ!?大樹くん、何日か寝かせとくって…」
「司の手前な。あんなんで潰れるタマじゃねえだろ。起きろ、デカブツ!」
しかも、その火薬作りに出発するのは、今すぐなので、千空は大樹を蹴とばした。
「えっと…手当ては?」
「んなもん必要ねえ。最低限傷口くらい洗っとけ。手当てなんかなくてもいけんだろ。なあデカブツ」
「えぇ!?」
まだ手当てをしていないので、魅真は千空に問いかけるが、手当てをしてやれと言った千空が、必要ないと言ったので、魅真は戸惑った。
「ああ、もちろんだ!!」
ぞんざいは扱いを受けたが、大樹は気にすることなく、目を開くと、千空の問いに答えた。
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