人はそれを下心という
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その日、任務から帰ってきたリナは、風呂に入ってさっぱりしようと、自分の部屋に向かっていた。
「ん?」
その時、後ろから足音が聞こえてきたので、後ろへふり返る。
「リナセンパーーーーイ!!!!」
「ぐぇっ」
後ろへふり返るのとほぼ同時に、リナはお腹にとてつもない痛みを感じた。
「っっつぅ~~~。フラン?」
「助けてくださーーーい!!リナセンパーーーイ!!」
「は?」
自分のお腹に突進してきたのは、後輩のフランだった。
しかも、抱きつくなり、いきなり助けろと言われたので、リナはわけがわからず、すっとんきょうな声を出した。
その時、フランに助けてくれと言われた後、もう一つ足音が聞こえてきた。
「あ、やべっ」
足音が聞こえると、フランは素早くリナの後ろに隠れる。
「ちょっ、フラン!?」
「しーーーー。しーですよ、リナセンパイ」
「はぁ?」
リナに静かにするように促すフランに、わけがわからないでいると、足音が段々大きくなってきた。
そして少しすると、ベルフェゴールが、フランが走ってきた方向と同じ方向から走ってきた。
しかも、手にはナイフがにぎられている。
もうそれだけで、何も説明されなくとも、何があったのかわかったリナは、軽くため息をついた。
「シシシ。カエルみーーーっけ」
「ゲッ」
リナの後ろに隠れたと言っても、リナの体からフランの体(おもにカエルのぼうし)がはみ出ているので、周りから見ればまったく隠れられていないので、ベルはあっさりとフランをみつけた。
「さっきはよくもやってくれたな。サボテンの刑かハリセンボンの刑か、選ばせてやるからとっとと選べ」
「どっちも同じじゃないですかー。ていうか、どっちも嫌ですよー」
「お前に拒否権なんかねえよ」
「横暴ー!理不尽ですー!」
「るっせ。お前の意見なんか関係ねーっつの。だってオレ、王子だしな」
「王子の前に、バカか堕がつきますけどねー」
「よしっ。ハリセンボンの刑だな」
ベルは青筋をひたいに浮かべ、ナイフを手に構える。
「ベル、やめなさい」
けど、そこをリナに止められた。
「止めんなよ、リナ」
「何があったかは大体わかるけど、こんなところで死人を出すのやめなさい」
「なんか、止め方が微妙な感じですねー、リナセンパイ」
リナの止め方が、あまり一般的なものではないので、フランは冷静につっこむ。
「まあ、リナに言われちゃしゃーねーか。
おいカエル、今日はリナに免じてここでやめといてやるが、次はねーぞ」
「じゃあ、次は違う嫌がらせをしますねー」
「てめっ」
「ベル!フランもよしなさい!」
「はーい」
「ちっ」
せっかく止めて、ベルが引き下がりそうだったのに、当のフランがまたベルを挑発するので、ちょっと強めの口調で注意をした。
「じゃ、またな。リナ」
リナに話す時は、フランと話す時と違って機嫌よさそうだった。
ベルはリナにあいさつをすると、リナの腰を抱きよせて、ほっぺにキスをした。
ほっぺとはいえキスをされると、リナは顔を赤くするが、フランは目を丸くして固まった後、機嫌が悪くなり、ふくれっつらになった。
ベルと別れると、リナはフランと一緒に廊下を歩いていた。
「あの堕王子、ぜーったいリナセンパイに気ぃありますよー」
「そんなことないと思うよ。それに、フランはベルのことをすごい嫌ってるけど、あれでもベルはベルなりに、結構いいとこあるよ。優しいし」
「ゲロゲロ~。リナセンパイの目は節穴ですかー。あの堕王子に、いいとこなんて、あるわけありませーん」
「それは、フランがベルのことを嫌ってるからでしょう?私にはいつも優しいよ」
「それが、気があるってんですよー」
どこまでも鈍く、ベルのことをほめるリナに、フランは更にふくれっつらになる。
「……聞いてもいいですかー?」
「何?」
「リナセンパイって、ベルセンパイが好きなんですかー?」
「違うよ。そんなわけないって。ベルはただの同僚だよ」
突拍子もない質問に、リナは否定して笑いとばした。
「…じゃあ、誰が好きなんですかー?」
「ていうか、好きな人がいる前提なの?」
「いいから答えてくださいよー」
強制されると、リナは少し考えた後
「いつもベルに追いかけられている、幻術を使う、後輩の幹部…かな」
顔を赤くして、やや遠まわしな言い方で、フランの質問に答えた。
「へ…」
遠まわしな言い方だが、リナが言ってる人物が自分なのだとわかったフランは、すっとんきょうな声を出して固まった。
「それって……ひょっとして、ミーのことですかー?」
「そうよ!!フランがここに来た時から、ずっとずっと好きだったの!!今まで、ベルからフランをかばってたのだって、フランのことが好きで、少しでもフランとふれあいたかったからなのよ!!」
聞き返されたのがはずかしいリナは、顔を赤くしながら、やけになったように叫んだ。
フランはリナが叫んだ後、リナをぎゅっと抱きしめた。
「な、何…?」
「ミーもリナセンパイが好きですー」
「へ!?」
抱きしめられたと思ったら、いきなり告白されたので、今度はリナがすっとんきょうな声を出した。
「!!!!!」
そして、リナが驚いている間に、フランはリナにキスをしてきた。
その行為によって、リナは更に驚いて、氷のように固まってしまった。
「フ……フラ…ン…?」
いきなりのことに、言葉がうまくつむげないでいると、フランは再びリナに抱きついた。
「ミーもですよー…」
「え…。な、何が?」
「ベルセンパイに追いかけられている時、リナセンパイに助けを求めていたのは、リナセンパイが好きで、あわよくばいちゃいちゃしたかったからなんですー…」
フランが本音を話すと、リナはクスクスと笑い始めた。
「なんだ。じゃあ私達、似たもの同士だったんだね」
「そうですねー」
実は二人とも、下心をもって助けを求めたり、かばったりしていたのを知り、おかしそうに笑っていた。
「でも、もう両想いなんだから、そんなことする必要もないね」
「そうですねー」
二人は笑いあうと、お互いに向きあい、どちらからともなく顔を近づけて、もう一度キスをした。
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