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暗黒武術会の1回戦を突破した幽助達は、ホテルの自分達の部屋へと戻ってきた。
「ん?」
部屋に入り、目の前のテーブルに目をやると、そこには、赤いリボンで結ばれた、淡いピンク色の袋が置いてあった。
試合に行く前にはなかったはずのものが置いてあったので、桑原は顔をしかめた。
「どうしたんだい?桑原くん」
後ろにいても、何かあったということがわかった蔵馬は、桑原に問う。
「いや……あそこのテーブルにな、試合に行く前にはなかったはずの、ピンク色の袋があんだよ」
「え?」
そう言われると、蔵馬はテーブルの方へ目を向ける。
「本当だ」
「なんだ?あれは」
蔵馬につられるようにして、同じように飛影もテーブルの上にある袋を見てみた。
その、謎の袋を前に、桑原、蔵馬、飛影は、何故こんなところにこんなものがあるのかわからず、ふしぎに思った。
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送り主が誰かわからないものは、はっきり言うと不気味だが、気になることは気になるし、何も確かめないですてるのもなんなので、一番最初に袋をみつけた桑原が代表で、袋を開けてみた。
袋をあけてみると、中にはマフィンやカップケーキやクッキーといったお菓子が入っていた。
「菓子?」
「お菓子…ですね」
別に変なものではなかったが、何故お菓子が入っているのかわからず、謎は深まるばかりだった。
だが、三人の後ろにいる幽助だけは、袋を見ただけで、これを誰が持ってきたのかわかり、一人納得していた。
けど同時に、何故このお菓子を持ってきた人物がここにいるのか、疑問に思っていた。
「なんでこんなものがここにあんだ?」
「さあな」
「オレ達が行く時にはなかったから、誰かが、オレ達がいない時に、部屋に入って置いたのかな?」
「つーかよ、これどうするよ?」
「送り主がわからんものなんぞ食えるか」
「だよなぁ。なんか不気味だしな」
「もったいないけどすてますか」
と、三人が言った時だった。
「って、浦飯!!お前何やってんだよ!?」
幽助が、蔵馬がすてようと言ったお菓子を、一人食べ始めたのである。
「ん?だって、もったいねーじゃねーか」
「だからって、よく正体不明なモン食えるな、おめェはよ」
「別に正体不明じゃねーよ」
「「「え?」」」
「だって、この菓子の送り主、オレの双子の妹だかんな」
いきなりのカミングアウトに、蔵馬と飛影は固まった。
「妹!?いたんですか?幽助」
「まあな」
「幽助に……妹だと?」
「んだよ、その怪訝そうな顔はよ」
「あーー。なーんだ、舞美ちゃんだったのか。んじゃ、オレももらおうかな」
蔵馬と飛影は驚いていたが、桑原は納得して、お菓子に手を伸ばした。
「桑原くん、知ってるのか!?」
「あーー、同じ学校だかんな」
「なるほど」
「舞美ちゃん、お菓子作りが得意だって聞いていたけど、まだ食ったことがなかったから、一度食ってみたかったんだよな。お!うめーな、こりゃ」
さっきは幽助に、よく正体不明なものを食べれるなと言っていたのに、送り主が誰かわかった途端に、桑原は顔をほころばせながら、舞美の手作りお菓子を食べていた。
「じゃあ、オレもひとつもらおうかな」
そんな桑原を見て、蔵馬も手を伸ばし、口に運んだ。
「本当だ。これはおいしいね」
「だろ?」
桑原だけでなく、蔵馬にも絶賛されたので、幽助は自分が作ったわけじゃないのに、得意気な顔をする。
「飛影。飛影もどうですか?」
「オレはいらん」
その中で、飛影だけが食べるのを拒否した。
「そんなこと言わずに食ってみろって。うめーぞ」
けど、そこへ桑原がやって来て、飛影に強制的に食べさせた。
「どーだ?」
「………まずくはない…」
拒否していたが、口にすると、飛影なりに称賛した。
それから四人は、着替えをすませるとテーブルをかこんで、舞美から送られたお菓子を食べていた。
「それでな、浦飯の妹が、舞美ちゃんって言うんだけどな。これがまたかわいいんだよな~」
そして桑原が、舞美のことについて、蔵馬と飛影に話していた。
二人に聞かれたからではなく、桑原が勝手にペラペラとしゃべっている感じだった。
「浦飯は不良だけど、舞美ちゃんは優等生なんだよな。性格もいいし、人望も厚いしよ。ケンカ上等で短気な浦飯に対して、争いごとが苦手でよ。おだやかでおとなしくて、おまけにおしとやかなんだよな。ま、共通点は霊感があるくらいだな。とても、同じ母親から生まれたとは思えねーぜ」
「るっせーな」
まさに、月とスッポン、美女と野獣といった扱いをされたので、幽助は桑原に噛みついた。
「へぇ…。そんなに違うのか。ちょっと会ってみたいな」
「オレも、今はどこにいるか知らねーけど、まあ…この島にはいるだろ」
「兄妹がいると、にぎやかでいいね」
「そ、そんなことねーよ。あいつといると、いっつもおふくろやセンコーどもにくらべられるし。オレと違って弱えから、まったく世話ばっかやかせる奴で困っちまうぜ」
「何言ってんだよ、シスコン兄貴」
「シスコン?へえ、幽助ってそうなんだ」
「そーそー。舞美ちゃんて、スゲーモテるからよ。よく告白されんだけど、告白した奴は、全員浦飯に圧力かけられてんだよ。昔、舞美ちゃんがいじめられていた時は、相手を再起不能にして、よく先生に呼び出されてたらしいじゃねーか」
「ふーーん。そうなんだ」
幽助の意外な素顔に、蔵馬は興味津々だった。
だがそれは、純粋な好奇心などではなく、おもしろいネタをみつけたという、イタズラ心のようなものだった。
蔵馬の隣では、何も話さないが、飛影も興味があるのか、幽助を横目で見ていた。
一方、女性陣の部屋では…。
「コレ、すっごい美味しいね。舞美ちゃんが作ったの?」
舞美が作ったお菓子で、ちょっとしたパーティーをしていた。
舞美の隣では、初めて舞美の手作りお菓子を食べた静流が、舞美の手作りお菓子を絶賛した。
「はい。部屋に簡易キッチンがあったので、そこで作りました」
舞美はにこっと笑いながら、静流の質問に答えた。
「でもホント、久しぶりに食べたけど美味しいわ、これ」
「ホントだねぇ」
「ありがとう。螢子ちゃん、ぼたんさん」
そして、同じように食べている螢子とぼたんも絶賛すると、舞美は笑いながらお礼を言った。
「うん。さすが私の娘!!女子力高いわ」
「お母さんがお菓子を手作りしてるのは見たことないけど…。
それよりお母さん、また飲みすぎてる。ほどほどにしないとダメだって、いつも言ってるじゃない」
「固いこと言わない!まだたったの2升だよ」
「もう2升も飲んでるんじゃないの」
いつものことではあるが、あまりにも酒を飲みすぎている温子に注意するが、温子はまったく聞く耳もたずだった。
「でも舞美ちゃん、なんだってまた急に、お菓子作りをしたんだい?」
「もしかして、好きな人でもいるの?」
「そんなんじゃないよ。ただの差し入れ。幽助って、いつも疲れた時、私の作ったお菓子を食べたがるから…。だから、暗黒武術会なんて命がけの戦いをするなら、いつもよりもっと疲れてるんじゃないかと思って…。それで、幽助だけだと悪いから、よかったらってことで、桑原くん達にも…」
「なーんだ。そういうことだったのかい」
「つまらないの」
差し入れした理由を聞くと、色恋沙汰ではなかったので、ぼたんと螢子はつまらなさそうにした。
時間が経ち、深夜の0時。
全員が寝静まった頃、ふいに蔵馬は目を覚ました。
「!」
その時、かすかに声が聞こえてきた。
それは、話し声ではなく、歌声だった。
ここはホテルなので、声が聞こえてきてもおかしくはない。歌を歌う者もいるだろう…。
しかし、今は深夜。
起きている者もいるだろうが、ほとんどの者が寝静まっている頃。
たとえ起きていても、時間が時間なので、静かにするのがマナーだった。
けど、そんな考えすらもかき消してしまうほどの、綺麗な歌声だったので、蔵馬は思わず聞きほれた。
そして、そんな歌を歌っているのは、一体誰なのだろうと気になった蔵馬は、部屋の扉を開けて、廊下を見てみた。
「いない……」
しかし、そこには誰もいなかった。
それだけでなく、扉を開ける時まで聞こえていた歌声は、どこからも聞こえなくなった。
蔵馬は少しの間、歌が聞こえた方を、ジッと見ていた。
そして二日後。
三回戦の、魔性使いチーム戦を突破した後、浦飯チームのメンバーは、自分達が寝泊まりする部屋にいた。
「みんな、紹介すんぜ。こいつが、オレの妹の舞美だ」
「はじめまして」
そこへ幽助が、舞美を連れてきて、蔵馬と飛影に紹介していた。
「浦飯幽助の妹の、浦飯舞美といいます。兄がいつもお世話になってます」
舞美は、とても幽助の妹とは思えないくらい、丁寧にあいさつをした。
そんな舞美を見ると、蔵馬と飛影は固まってしまった。
「な?舞美ちゃん、かわいいだろ?」
舞美が自己紹介すると、何故か桑原が得意げに舞美をほめ、蔵馬と飛影に同意を求めるように話しかけた。
確かにその通りだった。
白い肌にぱっちりとした目。幽助と同じ色の、背中まである、さらさらとした長い髪の毛。
そんな舞美に、蔵馬だけでなく、飛影までもひとめぼれしてしまったのだ。
舞美にひとめぼれをした二人は、桑原の質問に答えずに、ただ舞美をみつめていた。
「フン…。似ても似つかん兄妹だな」
「おめーに言われたくねーよ!!」
確かに顔は似てないことはないのだが、幽助とは正反対の性格と雰囲気なので、飛影は毒を吐くが、幽助は飛影が言ったことに対して、桑原に聞こえないくらいの小さな声で、思いっきりつっこんだ。
「よく来ましたね。ずっと立ってるのもつかれるでしょう。こちらにすわってください」
「はい。ありがとうございます」
二人が言い合っている間に、蔵馬は舞美を、ソファまで案内した。
しかも、さりげなく、舞美の肩に手を置いている。
「って…。蔵馬テメェ、ぬけがけしてんじゃねェ!!」
「ぬけがけなんてしてませんよ。舞美ちゃんを案内しているだけです」
その蔵馬の行動に気づいた桑原は怒るが、蔵馬はどこ吹く風。
にこにこと笑いながら、それっぽいことを言った。
それから四人は、舞美を交えて、舞美が持ってきたお菓子を食べながら談笑していた。
蔵馬はさりげなく、不自然ではない程度にせまり、桑原は誰が見てもわかるくらいにぐいぐいと押していき、飛影はどこかぶっきらぼうな感じになりながらも、舞美と楽しく会話をしていた。
舞美は蔵馬達の話を楽しく聞いたり、時に話したりしており、誰とでも分け隔てなく接していた。
四人もそんな舞美と話すのが、うれしくて仕方なかった。
特に……
「私、蔵馬さんと飛影さんに、一度お会いしてみたかったんです」
と、舞美に言われると、蔵馬と飛影はうれしくて舞い上がりそうだった。
けど、その気持ちを表に出さず、普通に会話をしていた。
だが、蔵馬と飛影の二人は、しっかりと舞美の隣を陣取っているので、幽助と桑原には、蔵馬と飛影が舞美に対してどういう気持ちを抱いているのかは、すでにバレバレであった。
「ところでよ、舞美ちゃんは、どうして暗黒武術会を見にこようと思ったんだ?」
宴もたけなわといった感じになってくると、桑原は蔵馬と飛影に対抗するように、別の話題をふってきた。
「ん~~。螢子ちゃんに誘われたからっていうのもあるけど、やっぱ一番は、幽助すらも敵わない戸愚呂っていう妖怪は、どんな強敵なのか見てみたかったからなの」
見た目はほんわかとした雰囲気だが、何気に度胸がある上に肝がすわっているので、蔵馬と飛影は目が点になった。
「そのために舞美ちゃんは、妖怪がたくさんいる、生きるか死ぬかっていう、命がけの戦いが行われる大会を見にきたの?」
「はい。だって、幽助は強いんですもの。私の中では最強なんです!!不良だし、勉強なんてまるでダメですけど。でも、私の中では、私のそばにずっといてくれて、私のことをいつでも守ってくれる、頼れるお兄ちゃんですから。なので、そんな最強の幽助を倒したという戸愚呂という妖怪を、幽助が倒すところを見てみたかったので…。だから来たんです」
しかも、何気にブラコンなので、これはちょっと大変そうだと、蔵馬と飛影は痛感した。(桑原は、もうすでに痛感している)
「えぇ~~…。舞美ちゃん、オレが一番強いんじゃないのか?」
「うん。だって桑原君て、いつも幽助にやられてるもの。いろんな意味で、私の中では幽助が一番強いんだよ」
少し焦った桑原は、舞美に問うが、舞美の中での一番は幽助だと揺らがないので、桑原は落ちこみ、幽助は鼻高々になると同時に、すごくうれしそうに顔がくずれた。
「で、でもよ!!オレだって、この暗黒武術会で大活躍したんだぜ」
それでも桑原は、必死になって舞美にアピールをした。
今までの試合で勝ったのは、魔性使いチーム戦の、吏将との戦いのみなのに、桑原は自分の戦績をかなり誇張していた。
「フン、バカが。そんなわけないだろう」
「何ィ!?」
「桑原君、ウソはいけないよ。ウソは」
「ウソじゃねーっつの」
そこを、飛影と蔵馬につっこまれる。
いつものやりとりに見えるが、舞美の前で自分をアピールする桑原を、阻止してもいた。
「活躍したのはオレだ。誰よりも早く敵を倒したからな」
「いいえ、オレですよ。飛影は初戦の六遊怪チームの是流戦しか戦ってないでしょう?その点オレは、Dr.イチガキチームとの戦いは、妨害工作されて出場できませんでしたが、その後の魔性使いチーム戦では大活躍してましたからね」
その後に、飛影と蔵馬も舞美にアピールしていた。
しかも蔵馬は、何気に飛影を下げ、自分をもち上げており、飛影は悔しい思いをしたが、事実だけにぐうの音も出なかった。
「そういえば蔵馬さんて、その、今日の魔性使いチーム戦でひどいケガをしてましたよね。ケガは大丈夫なんですか?」
「大丈夫ですよ。オレは植物を扱うので…。武器や技としても使いますが、薬草の調合もしますからね」
「そうなんですね、よかった。でも、蔵馬さんてすごいんですね。戦って強いだけでなく、頭もいい上に治療もできるなんて」
「ふふっ。それほどでもありますよ」
舞美と蔵馬が、なんだかいい雰囲気になっていたので、飛影と桑原だけでなく、幽助もぶすっとしていた。
飛影と桑原は恋心だが、幽助の場合は、自分の半身ともいえる、双子の妹をとられたような気がして、すごく不機嫌になっていたのである。
次の日、舞美は準決勝の対戦相手を、幽助達と一緒に観に行った。
と言っても、舞美が幽助、桑原、覆面と一緒に会場に着いた時には、すでに試合が終わってしまっていた。
その後に、戸愚呂が自分達の向かい側に現れ、挑発して帰った後は、幽助は覆面と一緒にどこかへ行ってしまい、残された舞美達四人は、ホテルに戻っていった。
「舞美ちゃん」
「はい」
けど、会場から出ると、飛影と桑原の後ろを歩いている蔵馬は、隣を歩いている舞美に、飛影と桑原に聞こえない程度の小さな声で、舞美に話しかけた。
「ちょっと付き合ってもらっていいかな?」
「え?はい」
突然の誘いにびっくりしたが、特に断る理由もないので、舞美は蔵馬の誘いを受けいれた。
舞美が飛影と桑原の二人から離れて、蔵馬につれられてやって来たのは、浜辺だった。
「うわぁ。きれい…」
青い空に白い雲。空からキラキラと照りつける太陽に反射して光り輝く青い海が、砂浜に絶え間なく押し寄せてくるこの光景に、舞美は感嘆の声をあげた。
「気にいった?」
「はい!とても」
うれしそうにはしゃぎ、無邪気に笑う舞美を見た蔵馬は、つれて来てよかったと思いながら、優しい微笑みを、その顔に浮かべていた。
何か特別なことをするわけではなく、ただ海を見たり、浜辺を歩いたりしていた。
「あっ、夕日だ」
それから数十分経つと、日が沈み始めた。
「きれい…」
燃えるように真っ赤な太陽が、海の中に沈んでいくように見える光景は壮大なもので、この光景に、舞美は見惚れていた。
「本当だ、きれいだね」
「やっぱ、蔵馬さんもそう思いますか?」
自分の気持ちに共感してもらえたので、舞美はうれしそうにして、隣にいる蔵馬の方へ顔を向けた。
「!」
隣にいる蔵馬を見ると、舞美はドキッとして、頬が赤くなった。
もともと整った顔立ちをしている蔵馬だが、夕日に照らされて、より一層際立っており、舞美はそんな蔵馬の横顔に見惚れてしまい、固まってしまう。
「どうしたの?舞美ちゃん」
「え?あ…いや……な、なんでもないです」
自分を見たまま固まってる舞美を見た蔵馬は、どうしたのだろうと思って声をかけるが、舞美は誤魔化すだけだった。
次の日、舞美は準決勝の試合を一人で観に行った。
いつもなら、温子、ぼたん、螢子、静流と一緒に(新たに雪菜も加わったので、今回からは雪菜も)行くのだが、前日酒盛りをして大盛り上がりだったので、自分以外の女性陣はまだ眠っていたので、一人で来たのだった。
本当は、一人だけで来るのは心苦しくもあったが、いくら起こしても誰も起きないし、蔵馬が戦っているところを見たいので、心の中で螢子達に謝って、一人で試合を観に来たのだ。
準決勝では、蔵馬も一度だが戦った。
その時蔵馬は、南野秀一とひとつになる前の、妖狐蔵馬の姿となり、一瞬だけしか見えなかったが、その姿に、舞美はますますほれてしまった。
試合が終わると、いつの間にか来ていた螢子達と一緒に、蔵馬達に会いに行った。
本当はもっとしゃべりたかったが、決勝に向けての特訓があるというので、舞美は仕方なしにホテルに戻った。
けど、決勝戦の前日に、久々に四人が集合した後、舞美は蔵馬を呼び出した。
どうしても、蔵馬に渡したいものがあったからだ。
「舞美ちゃん、話って何かな?」
舞美は、この前準決勝を見に行った帰りに、蔵馬につれて来てもらった海辺に、蔵馬をつれて来た。
「あの……話というか、蔵馬さんに渡したいものがあるんです」
「渡したいもの?」
「はい。これです」
蔵馬に聞き返されると、舞美はスカートのポケットの中から、小さな袋を取り出して、蔵馬の前に出した。
「これは?」
しゃべりながら、蔵馬は袋をしばっているリボンをほどいて、中身を取り出した。
「これは……ペンダント…?」
「はい。中1の時に、気に入って買ったものでして、学校以外では、いつもつけているものなんです」
「そんな大事なもの…」
そう言われると、蔵馬は受けとりづらかった。
「いいんです。蔵馬さんに、明日の決勝戦のお守りとして、持っていてほしいんです」
「…そうか。じゃあ、ありがたく受け取っておくよ」
ペンダントを舞美に見せてにこり笑うと、舞美もまた、うれしそうににっこりと笑う。
「蔵馬さん、勝ってくださいね。絶対に」
「ああ…。絶対に勝つよ。約束する」
蔵馬が断言すると、舞美は満面の笑顔を見せ、蔵馬もまた優しい笑顔を見せた。
そして、次の日の決勝戦は、浦飯チームが勝利をおさめた。
「舞美ちゃん、ちょっといいかな?」
「え?はい、もちろんです!!」
浦飯チームの勝利の祝杯をあげている時、自分以外の者達が宴会に集中している中、蔵馬が舞美を誘った。
もちろん舞美は、二つ返事で誘いを受けた。
蔵馬は舞美を、再びあの海辺につれて来た。
「舞美ちゃん、これを」
海辺につくと、蔵馬は上着のポケットから、綺麗にラッピングされている小さな箱を渡した。
「これは?」
「あけてみて」
蔵馬に言われると、舞美は箱にかかったリボンをほどき、包装紙をとると、箱をあけた。
箱の中には、アクセサリーをおさめる正方形の小さな箱が入っており、それをあけると、中には赤いバラのブローチが入っていた。
「綺麗…」
「君へのプレゼントですよ」
「え!?い、いただけません。こんな高そうなもの」
「いいんですよ。お菓子と昨日のペンダントのお礼ですから」
「あれは、私が勝手に蔵馬さんに渡したものです」
「なら、これもオレが勝手にあげるものです」
「でも…」
「あなたに…ぜひ受け取ってほしい」
「はい。ありがとうございます、蔵馬さん」
蔵馬ににこっと微笑まれると、舞美はブローチを受け取った。
ブローチを見ている舞美は、とてもうれしそうだった。
「舞美ちゃん…」
「はい」
「君に聞いてほしいことがあるんだ」
「聞いてほしいこと…ですか?」
舞美がきょとんとした顔で蔵馬を見ると、蔵馬は真剣だが優しい顔で舞美をみつめた。
「オレは…君が好きだ」
蔵馬は舞美に告白をした。
その、蔵馬の口から出た言葉に、舞美は呆然として、蔵馬を凝視する。
「えっと……あの…蔵馬さん…。気のせいでなければ、あなたの口から、私を好きという言葉が聞こえてきたのですが……」
目を丸くして自分に問う舞美を見ると、蔵馬もまた、一瞬目を丸くするが、再びふわっとした優しい微笑みを浮かべる。
「本気だよ。オレは本気で、舞美ちゃんのことが好きなんだ」
再度告白をされると、舞美は顔が真っ赤になった。
「あ…あの…」
「ん?」
「私も……蔵馬さんのことが…好き…です…」
蔵馬に告白された勢いで、自分も蔵馬が好きだということを伝えると、今度は蔵馬が呆然として、舞美を凝視した。
「…本当に?」
「はい。一目惚れなんです」
「オレもだよ…」
静かにそう言うと、蔵馬は舞美に顔を近づけ、そっと舞美の唇に自分の唇を重ねた。
舞美は、蔵馬が顔を近づけたことで、蔵馬が何をするのかわかっていたが、抵抗せずに受け入れた。
唇を重ねると、二人は浜辺にすわって海を眺めていた。
「舞美ちゃん、君に聞きたいことがあるんだけど…」
「なんですか?」
「初戦が終わった日の夜中に、歌声が聞こえてきたんだけど……。その歌声の主って、ひょっとして…舞美ちゃん?」
「そうですけど…。ひょっとして、聞こえました…?」
「うん。ばっちり」
蔵馬がにこっと笑うと、実は聞かれていたことに舞美ははずかしくなり、顔を赤くした。
「もう一度聞かせてくれないかな?」
「え…でも…」
「君の歌声、とても素敵だったから」
蔵馬にほめられて、照れた舞美は、先程までとはまた別の意味で顔を赤くすると、「わかりました」と言って、歌い始めた。
舞美が歌う歌を、蔵馬は舞美をみつめながら、何も言わずに聞いていた。
数分経つと歌い終わり、舞美は心臓をドキドキしながら、軽く息を吐いた。
「どうでした…か…?」
「うん。やっぱり、とても素敵だったよ」
「ありがとうございます、蔵馬さん!」
また蔵馬にほめられたので、舞美はうれしそうな顔をして、蔵馬にお礼を言った。
「あのさ、舞美ちゃん」
「なんでしょうか?」
「せっかく両想いになったんだから、蔵馬さんじゃなくて、蔵馬って呼んでくれないかな。あと、敬語もなしで」
「え…でも…」
蔵馬は自分よりも年上なので、舞美は呼び捨てタメ口というのに抵抗があった。
「頼むよ」
「は、はい!」
だが、蔵馬に再度頼まれると、その際に浮かべた笑顔を見て、顔を赤くしながら了承した。
「そ、それじゃあ、蔵馬さ……あ、いや……蔵馬も、これから私のことは、舞美ちゃんじゃなくて、舞美と呼んでください」
「わかった、舞美」
自分で言ったものの、呼びすてにされるのは、少しはずかしかった。
けど、うれしいという気持ちの方が勝っているので、舞美は満面の笑顔を蔵馬に向けた。
「舞美」
「何?蔵馬」
「今までは…幽助が君のそばにいて、君を守っていたかもしれないけど…。これからは、幽助じゃなくて、オレが君のそばにいて、君を守りたい」
その言葉に、舞美は蔵馬をみつめたまま固まった。
「ずっと…君のそばにいたいんだ。その……ダメ…かな?」
照れた顔をして、まっすぐな瞳で自分をみつめる蔵馬に、舞美は笑顔になる。
「もちろんいいよ」
そして、うれしそうに笑いながら、蔵馬に抱きついた。
舞美に抱きつかれると、蔵馬は頬を赤くする。
「ダメじゃないよ。むしろ、ずっと一緒にいてほしいの」
「舞美…」
蔵馬が舞美の名前を呼ぶと、どちらからともなく顔を近づけ、もう一度キスをした。
NEXT
オマケ&アトガキ
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