紅と銀の恋歌
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その日の夜、浦飯チームが寝泊まりしている部屋では、宴会が行われていた。
最初は、蔵馬と桑原が二人でトランプをしながら、次の戦いについて話をしているだけだったが(飛影は部屋にいたが、窓辺にすわっており不参加)、そこへ魅真達女性陣がやって来て、蔵馬と桑原の中に加わり、飛影以外、全員でトランプに興じた。
しばらくすると、トランプに興じてた温子と静流が輪から抜け出し、二人で持ってきた酒ビンをあけて、飲めや歌えやのドンチャンさわぎ。
初めの方こそ、他の者達は、この二人を抜きにしてトランプで遊んでいたが、悪酔いした温子と静流にからまれて、続けることができなくなったために、その後は、各々好きに過ごしていた。
「魅真、ちょっといい?話があるんだけど…」
魅真は、螢子、ぼたん、雪菜とガールズトークをしていたが、そこへ蔵馬がやって来て話しかけてきたために、蔵馬の方へ顔を向けた。
「え?」
突然の誘いに、魅真は顔を赤くしながら蔵馬を見る。
「きゃーーーっ。魅真ちゃん、よかったじゃないかい。行っといでよ」
「そうよ。私達のことはいいから」
その誘いに、何故か螢子とぼたんの方が過剰な反応を示し、盛り上がっていた。
「じゃあ、ちょっと魅真を借りるよ」
「どーぞどーぞ」
「ちょっとと言わずに、夜通しずっとでもいいよ」
「行ってらっしゃい、魅真さん、蔵馬さん」
螢子とぼたんはにやにやと笑いながら、雪菜は普通ににこにこと笑いながら、魅真と蔵馬を見送った。
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………………………
………………
………
そして、次の日の朝……。
「ん……」
魅真は、外で聞こえる小鳥のさえずりで目をさました。
「も……朝…?」
けど、まだねぼけ眼で、半分目を閉じたまま、ゆっくりと体を起こす。
「ふあ~~~。よく寝た……つっ……」
ベッドで上半身を起こすと、さびついた体をほぐすために今度は腕を伸ばすが、その途中で強烈な頭痛に見舞われたため、頭を押さえる。
「ん………」
その時、隣から別の声が聞こえてきた。
ベッドは人数分あるはずなのに、何故自分以外の声がするのかと思い、隣を見てみると、魅真は石のように固まった。
何故なら………
「あれ?魅真、起きてたんだ」
そこには蔵馬が寝ていたからだ。
「なっ!な…なな……な…」
驚きのあまり、魅真は声がうわずり、うまく出せずにいた。
「どうしたの?そんなにあわてて、顔を赤くして。昨晩はあんなに激しかったのに」
「へ…?」
「昨日の夜は、とてもかわいかったよ。魅真」
蔵馬がにっこりと笑いながら意味深なことを言うと、魅真ははずかしさと驚きがヒートアップして、顔が真っ赤になり、声も出ないほどだった。
紅と銀の恋歌
それから魅真は、蔵馬をさけ続けた。
蔵馬に誘われた後の記憶がないために、自分が何をしたのかわからないからだ。
何もなかったかもしれないし、蔵馬が言ったあの意味深な言葉の通り、蔵馬と一線を越えてしまったのかもしれない。
何が真実かはわからないが、わからない以上、何かあったという可能性もすてきれず、蔵馬と顔を合わせづらいため、話もしなければ顔をあわせることもしなかった。
顔があいそうになっても、誰か別の人の方に顔を向けたり話をしたりして、かなり挙動不審であったが、そこはあえて、誰もつっこまなかった。
そして、準決勝の日がやってきた。
魅真は、蔵馬と顔をあわせづらかったが、それでも応援をしようと、会場へ行った。
しかし、魅真達は場所を間違えてしまったために、桑原対怨爺戦と幻海対鈴木(怨爺)戦しか観戦することができず、その前の試合は見ることができなかった。
会場に着いた時、蔵馬も一回戦い、勝利をおさめたことを知り、魅真はがっかりしていた。
蔵馬が戦っているところを、ちゃんと見たかったのだ。
それから一同は別れると、蔵馬は戸愚呂チームの戦いを観戦し、飛影は決勝のために特訓を、桑原は幽助をつれて、幻海とともにホテルに戻った。
女性陣達もホテルに戻ろうとしたが、魅真は途中で別れて、その辺の森の散歩に出かけた。
いつ蔵馬が戻ってくるかわからないからだ。
それからしばらく歩いていくと、何やら物音がしたので、そちらの方へ足を進めた。
ここは妖怪だらけなので、もしかしたら自分を襲ってくるかもしれないと思ったので、なるべく音をたてないように、そ~っと歩いていき、音がした方を見てみた。
音の正体を確かめると、魅真は目を大きく見開いた。
そこには、長い銀髪の、獣の耳としっぽがはえている、どこからどう見ても妖怪が立っていたからだ。
この島が妖怪だらけなのは知っていたが、いきなり遭遇したので、魅真は心臓がドキドキしていた。
あの妖怪が気づいていないうちに、早く逃げよう。魅真はそう思って、足を動かそうとした。
「(うわぁ……キレイ…)」
けど、会場で試合を観戦していた妖怪達とは違って、どこか品があり、綺麗な顔立ちをしているので、魅真は思わずみとれてしまい、逃げようとした足を止めた。
「(……って……私は蔵馬が好きなのに、何みとれてんのよ!)」
とは思いつつも、ほのかに顔を赤くしながら、木の後ろに隠れた。
「おい」
「ひゃう!」
けど、あっさりとみつかってしまい、後ろから声をかけられたので、魅真は妙な叫び声をあげると、後ろへ振り返る。
目の前には、自分がみとれてしまっていた、銀髪の妖怪が立っていた。
「な…なんで!?私、ちゃんと隠れたのに」
「音をたててりゃバレバレだ。ニオイや気配もする。それに何より、オレがいる位置からは、服が少し見えている。あんなのは、隠れてるとは言わない」
「ゔ…」
自分では隠れているつもりだったが、実際はそうなってはおらず、いろいろとダメ出しをされたので、魅真は言葉がつまってしまった。
「ところで、あなた誰なんですか?なんで私に声をかけたんですか?ひょっとして、私を食べる気ですか!?」
まさか、目の前にいるこの妖怪が、自分の好きな蔵馬だとは知らずに、魅真は一気にまくしたてる。
「食べる…か…。それもいいかもな…」
「へ!?」
それをおもしろがった蔵馬は、ニヤッと笑う。
それもいいと言われたことで、魅真はここで死んでしまうのではと、身の危険を感じ、顔が青ざめる。逃げようとするが、恐怖のあまり体が動かなくなった。
その隙に、蔵馬は一瞬で距離をつめると、魅真の腕をつかんで、魅真の後ろにある木に、魅真を押しつけた。
魅真が苦しくならないように、それでいて逃げることができないように、絶妙な力加減で…。
「あ、あの……一体何を………ひゃっ」
今のこの体勢に、先程とは違う意味で危機感を感じた魅真が蔵馬に聞こうとすると、蔵馬はいきなり、魅真の右耳を食べるように、唇でふれた。
嫌な予感が的中した魅真は顔を真っ赤にして、口をパクパクと開閉させた。
その間にも蔵馬は、額、目尻、頬、首に口づけていく。
そして最後に、魅真の唇に自分の唇を近づけていき、魅真の唇を奪おうとした。
「待って!」
けど、当然魅真からはストップがかかった。
あと数cmでふれることができたのに、それがかなわなかったので、蔵馬は不機嫌そうに顔をゆがめる。
「何故止める?」
「何故って、あたり前でしょ!」
蔵馬はふしぎそうにしていたが、魅真からしてみれば、当然の言い分だった。
見ず知らずの相手に唇を奪われるなど、冗談ではないからだ。
「初めて会った、好きでもなんでもない男の人にキスされるなんて、冗談じゃないわ。止めるに決まってるじゃない」
「……………」
「大体、私には好きな人が」
「好きな人?」
「人っていうか、相手は妖怪ですけど」
「ほう」
「だから、あなたがどういうつもりであんなことしたかわかりませんけど、私は好きな人以外とはそういうことはしたくありませんので、二度としないでください」
先程の恐怖など、もうどこかにいってしまったかのように、タンカを切った魅真の姿を見て、蔵馬は目を丸くした。
そして、小さく笑いだしたと思ったら、次第に大きな声をあげて笑った。
それは、とても伝説の極悪盗賊と言われていたとは思えないほどのものであった。
「何がおかしいんですか?」
見た目に反して豪快に笑っていたので、魅真は最初は口をあけて呆気にとられていたが、次第に顔を赤くした。
「いや、見かけによらず、結構勇ましいと思ってな」
まだ笑っていたが、少しだけおさまってきたようで、笑い声は小さくなっていた。
「それで、お前の好きな奴ってのは、どんな奴なんだ?」
「なんであなたに、そんなこと言わなきゃいけないんですか?」
「特に理由はないが、強いて言うなら、ただの興味だな」
「はあ?」
初対面の相手に、何故そのようなことを教えなければいけないのかふしぎだったし、別に教える義理などないのだが、蔵馬のその、有無を言わさない金色の瞳に抵抗できず、口を開いた。
「この暗黒武術会に、ゲストとして出場している、蔵馬って妖怪です」
「ほう」
「この前、いい雰囲気にはなりましたけど、結局蔵馬に好きって言ってもらってないですし、私も好きとは告白してませんから、本当に微妙な関係なんですけどね」
「そうか」
「(…って……私何言ってんの?なんで初対面の相手に、こんなことまで)」
初対面の相手に、個人的な思いまで打ち明けてしまったので、急にはずかしくなり、魅真は後悔した。
「大丈夫だ」
「へ?」
「もう伝わっている」
「え…何が?」
意味がわからない彼の発言に、魅真はふしぎに思った。
すると、目の前の銀髪の妖怪が、別の姿に変わっていった。
「くっ……」
彼の姿を見ると、魅真はいろいろな意味で、これまでにないくらいに驚いた。
「くら……ま…!?」
銀髪の妖怪は、自分がよく見知った……先程まで話題にしていた人物になったのである。
「なっ……なな、なんで……蔵馬が…?」
まさか本人に、知らず知らずのうちに告白しているとは思わなかった魅真は、はずかしさのあまり動揺した。
「なんでも何も……今の銀髪の妖怪は、オレだからだよ」
「えっ……え…えぇええ!?」
「前に話したことがあるだろ?オレの正体は妖狐だって」
「はっ!!そーいえば…」
「ねっ」
「で……でも、髪の色も目の色も雰囲気も、何よりも、見た目が全然違うし!」
「それは、この南野秀一の肉体に憑依したからだよ。今と昔じゃ、見た目が違ってあたり前だよ」
「あ、そっか…」
蔵馬に説明され納得した魅真は、同時にますますはずかしくなり、顔を赤くした。
あの銀髪の妖怪が蔵馬だと、完全に認識したからだ。
「あれ…どうかしたの?魅真」
「………蔵馬……。わざと聞いてるでしょ?」
「なんのことかな?」
と言いつつも、蔵馬が浮かべる笑顔はわざとらしさがあったので、魅真はますます顔を赤くする。
「ところで魅真、この前の続きなんだけど…」
「この前の続き?」
「うん。この前の、宴会の時のことだよ」
宴会と聞くと、次の日の朝、ひとつのベッドに蔵馬と一緒に寝ていたことを思い出し、ドキっとした。
「あの時、話があるって言っただろ?でも、魅真と一緒に外に行こうとしたら、ちょっとトラブルがあってね」
「トラブル?」
「魅真が突然顔を赤くして、みんなの前でオレを誘ってきてね。オレの部屋がいいとか、オレと一緒じゃなきゃいやだとか言ってきたから、仕方なくベッドに行ったんだよ」
「えぇ!?なっ………そ……そ…な………こ…と……」
何やら怪しげな話題になったので、魅真は動揺しまくり、言葉がうまくつむげなかった。
そんな魅真を見ると、蔵馬はくすっと優しく笑う。
「大丈夫だよ。一緒にベッドで寝たのは本当だけど、何もなかったから」
「そ…そう……」
何もなかったのはよかったが、それでも一緒に寝ていたのは事実だし、それだけでもはずかしいことに変わりはないので、魅真は顔が赤いままで、顔を少し蔵馬からそらした。
「それで魅真、大事な話なんだけど」
けど、急に蔵馬の声色が真剣なものに変わったので、魅真は顔を蔵馬の方に戻した。
「好きだ」
蔵馬に顔を向けると、蔵馬はとても真剣な目と声で、短いが、インパクトのある一言を魅真に言った。
「ずっと好きだったんだ。この前は、このことを伝えようと思ったんだよ」
突然の告白に、魅真は、先程とは別の意味で顔を赤くした。
「魅真は?」
「え…。さっき……もう聞いたでしょ?」
不本意な形ではあるが、先程本人に告白してしまったので、魅真ははずかしがって言おうとはしなかった。
「でも、さっきのはちょっと微妙だったし。それに、今の姿の時に、もう一度聞きたいな」
にっこりと、他意のない笑みで微笑んだ時の蔵馬の瞳は、有無を言わさないものがあった。
それは先程、妖狐になっている時の、あの金色の瞳でみつめられた時と同じものだったので、やはり先程の銀髪の妖怪は蔵馬なのだと、再認識させられた。
「…………き……だよ……」
そして、魅真は勇気をふりしぼって、自分の蔵馬に対する想いをつむごうとした。
「私もっ………蔵馬のこと……が…好き……だよ…」
精一杯告白した魅真を見ると、蔵馬はまたくすっと笑った。
「うん。オレも」
そして、魅真に顔を近づけた。
これから蔵馬が何をするかわかったが、先程とは違って止めようとはせず、自らも、目を閉じて顔を近づける。
近づけたお互いの唇はそっとかさなり、二人はしばらくの間、その甘い時間を過ごしていた。
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