#29 最強コンビ
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今の流川のプレイには、花道も、海南も、この試合を観に来ていた陵南と翔陽も、目と口を大きく見開き、一瞬静まり返った後、すごい歓声が館内に響いた。
そして、このプレイによって、タイムアウト後牧に2点入れられて4点差になったが、再び2点差に戻ったので、とうとうブチ切れた高頭が怒鳴り、隣にすわっていた宮益はギョッとしていた。
「(オレだってあのくらい…)」
またしても流川が活躍したので、花道は悔しがり、対抗意識を燃やした。
その流川は、それだけでは止まらず、清田が持っていたボールを横からカットして奪い取ると、そのままシュートを決めた。
それにより、とうとう同点にまで追いついたのだった。
「(追いついたっ!!)」
残り2秒でようやく追いついたので、流川はガッツポーズをした。
とうとう追いついてしまい、しかも残り時間が2秒なので、焦ってしまった清田は雑なパスを出すが、ボールはバックボードにあたってはねかえり、その時点で前半が終了となった。
流川と木暮がハイタッチをすると、流川は湘北のベンチの方に向かって、拳をあげた。
「!!」
「!!」
「赤木さん!!」
「赤木先輩!!」
「赤木!!」
そこには、手当を終えて戻ってきた、赤木と彩子がいた。
「追いついてる…………!!」
控え室へ行くほんの数分前には、点差が11点もあったのに、たった数分で追いついていたので、彩子は驚いていた。
「ゴリ!!この大黒柱・桜木の活躍により、同点だぜ!!」
「誰が大黒柱だ。たわけ」
「イヤ、でも本当によくやってたぜ、桜木は!!」
「後半、いけるんだろうな、赤木!!」
「任せろ」
任せろと言うが、見るからにひどいケガを負っていたので、彩子は心配になり、魅真も、あのケガで本当に、あと20分も跳んだりはねたり走ったりできるのかと、不安になっていた。
「よーーし。いけるっ!!」
「いけるぞ!!」
「うおおっ!!」
「後半勝負だ!!」
同点になったので、湘北はノリにノッていた。
「流川、すごいよ。一人であんなに点を入れるなんて!!さすがね。ナイスプレイ!!」
「おう」
みんなが控え室へと歩き出す中、魅真は流川に近づき、流川の健闘を称える。
「…………」
「流川…」
目の前に流川が歩いてくると、赤木も流川の健闘を称えるように、ハイタッチをした。
#29 最強コンビ
そして、ハーフタイムが終わると、両校とも、館内に戻ってきた。
「いいか…。何度も何度も言ってきたが……今ほどそう思ったことはない。
オレたちは強い!!」
「そのとーり!!」
「「「「1、2、3。おおし!!」」」」
五人は円になり、手を重ねて気合をいれると、コートにあがっていった。
「それでは、後半始めます!!」
全員が中央に集まると、後半戦が始まろうとしていた。
「(ムチャよ……。いくらテーピングで固めても…。さっきまでは、歩けもしなかったのよ。ほら、もうあんなに汗を…!!)」
そんな中、彩子はかなり心配そうな目で赤木を見ていた。
「ジャンパー!!」
「はい」
審判に指名されると、赤木と高砂は前に出た。
「(頼むぞ。もってくれよ…!!)」
後半戦に挑もうとしていたが、赤木はすでにたくさんの汗をかいており、荒い呼吸をしていた。
「(始まる前からあの汗は、尋常じゃない…。相当痛む証拠だわ。そんな状態で、どうやってプレイするっていうの。走ったり跳んだりできるの!?とめるべきだわ。今からでも遅くない!!赤木先輩の将来のためにも!!)」
「アヤちゃん先輩…」
彩子が赤木を心配していると、隣にいる魅真が声をかけたので、彩子は魅真の方へ顔を向けた。
「赤木先輩、大丈夫なんですか?あんなケガをして、まともにプレイをするなんて、まず無理です。たとえできたとしても、後遺症が残る可能性が…」
まるで、彩子の心を読んだかのような発言だったので、彩子は目を大きく見開く。
その時コートでは、赤木の前に花道が立った。
「「「「「!?」」」」」
「!?」
「え…」
何故か、ジャンパーじゃない花道が赤木の前に立ったので、全員ぎょっとしていた。
「コラァ、何やってんだ赤毛ザル!!」
「うるせー野猿!!」
「なんだね、君!?」
「交替だ。ジャンパー、オレ!!」
「なに!?」
審判に、ジャンパーの交替を申し出たので、赤木は驚いた。
「前半、戦列を離れてたゴリには、荷が重い。ここは、この天才ジャンパー桜木に任せい!」
「なに……」
「花道……」
「桜木花道……!?」
そう言った花道に、赤木も、魅真も、彩子も、三人とも呆然としていた。
「彩子君、魅真君。赤木君の足……。無理だと判断したら、私がすぐに替えます」
「「先生…」」
魅真と彩子の不安な気持ちをくみとり、安西は安心させるように声をかけた。
「いきます!!」
「おお、来いや!!」
代わりに花道がジャンパーになったので、赤木は外に行き、花道は高砂と向かい合った。
「…………」
「(桜木……)」
「(ナメてるのか……)」
高砂は、素人の花道が自分と勝負しようというので、少し腹を立てていた。
花道と高砂が向かい合った直後、審判の手から、ボールが上に放られ、直後、花道と高砂がジャンプをすると、ジャンプボールは花道が勝った。
花道は得意げにしていたが、誰もいないところにボールがいってしまったので、流川は舌打ちをしながらボールを追いかけていき、ボールをとると、シュートを打とうとするが、清田がブロックをしたので、決まることはなかった。
だが、リバウンドは赤木がとり、赤木はそのままシュートを決めた。
「ゴリッ!!」
「おう!!」
赤木の見事なプレイに、花道と赤木はハイタッチをした。
「………… (先輩―――)」
「(赤木先輩…。ケガ…してるのに……)」
ケガをしているなど微塵も感じさせない、気合がこもったプレイに、魅真も彩子も呆然とした。
そして、今の赤木のプレイにより、初めて湘北が、2点だがリードをした。
「足は痛くねーんだな、ゴリ!?」
今の、ケガをしているとは思えないプレイを見て、花道は赤木の後ろから問いかける。
花道の問いかけに、三井も、宮城も、流川も、魅真も、彩子も注目した。
「ぬ…?」
しかし、赤木はどこか様子がおかしかった。
「…痛くねえ……」
「!!」
ふり向いて、心配無用と言うように、左手をあげて親指を立てるが、顔に力が入ってシワがきざまれ、たくさんの汗をかいており、体が小刻みに震えているその姿は、誰がどこからどう見ても痛そうだったので、花道はビクッとなった。
「(痛いのか…)」
それは、さすがの花道も心配になるほどだった。
「(本当に大丈夫かしら…)」
「先輩……」
心配になったのは、花道だけでなく、魅真と彩子もだった。
「さあ、あと20分だ!!最後に笑うためにも、死ぬ気でプレイしろよ、お前ら!!」
「「「おう!!」」」
「(20分後に、ブッ倒れても、歩けなくなってもいい…!!ただ、この20分間だけはもってくれ!!やっとつかんだチャンスを、逃したくはない!!)」
1年生の頃から、ずっと海南と戦うことを夢見てきた赤木は、たとえケガをしていても、全力でプレイをするためにコートに立っていた。
海南ボールから始まり、高砂にボールが渡ると、赤木は両手をあげて、高砂を止めようとした。
赤木はケガをしているが、赤木の迫力に負けた高砂は、後ろにいる牧にパスを出す。
そして、牧は何回かドリブルをすると、武藤にパスをして、武藤はそのままシュートを打とうとするが、後ろにいた赤木が、ジャンプをしてブロックをした。
「ハッハッハッ。この天才の足を引っぱる心配はなさそうだな、ゴリ!!」
「フッ!!たわけ!!」
1年と2年の頃は、チームメイトに恵まれなかったが、今ではこんなにも頼もしいチームメイトが4人もいるので、赤木は目線を後ろに向けて、うれしそうに笑う。
「さあ来い、牧!!」
1年生の頃、いつかは倒してやると誓った牧を前に、赤木は更に気合を入れる。
「オレが、敵のプレイヤーを尊敬するのは、初めてだぜ…!!」
気合が入った赤木を前に、牧はいつになく真剣な顔で、その場でドリブルをした。
「全力で、おまえらを倒す…!!」
「!! (来る――!!)」
牧の前にいる宮城は、緊張し、目を見張った。
宮城は、かつてないほど疲れていた。前半の20分間、超高校級と言われ、自分よりも16cmも大きい牧をマークしてきたからだ。その意味で、前半の影の殊勲者は彼だった。
だが……前半が終わった時、彼はひとつの懸念を抱いた。「牧は、まだ本調子じゃないのでは……!?」と……。
宮城が緊張した様子で構えていると、牧は走り出した。
牧が走り出すと、宮城も牧の隣を走り、ボールをカットしようとしたが、牧は絶妙なボールさばきと体の動きで宮城を抜き、赤木の前でジャンプして、シュートを決めようとした。
赤木は止めようとするが、牧がシュートを打った瞬間に笛が鳴り、その後、シュートは決まった。
「バスケットカウント!!ワンスロー!!」
しかも、赤木のファウルになった上、牧はフリースローまでもらったのだった。
「(すごい……。なんて絶妙なドリブル。そして、絶妙なボディコントロール!!リョータ先輩を抜き去って、赤木先輩のパワーに勝ち、あの状態でファウルをもらい、なおかつバスケットカウントまでものにするなんて…。神奈川NO.1プレイヤーの名は、伊達じゃない!!)」
この時の、牧のプレイを見た魅真は、驚きつつも、体が高揚した。
今のシュートは得点となり、なおかつワンスローも決めて、3点プレイをものにしたので、海南は再びリードした。
「おのれ、ジイ……!!」
「気持ちを切り替えろ!!攻めるぞ!!」
悔しがっている花道に声をかけると、赤木は走り出した。
だが、その顔は、かなり限界に近づいている顔だった。
「…………木暮君」
「はい」
「いつでもいけるように、準備しときなさい…」
「は……はい!!」
「「……!!」」
それは、安西にも、今の状態の赤木は、かなりヤバイと感じたということだった。
その時コートでは、流川にボールが渡り、それだけで歓声が起こり、声援が送られた。
流川はドリブルをしながら走り出したが、目の前に清田が立ちはだかり、流川を止めた。それはすごい迫力だった。
勢いを断たれ、どう攻めようかと思っていると、インサイドで、高砂の前に赤木が出たのを目にした流川は、赤木にパスをして、ボールを取った赤木は、そのままシュートを決める。
「よオオオし!!!」
またリードを奪ったので、赤木はガッツポーズをした。
「いいよ、あいつ…!!ますます燃えてきたぜ!!」
そう口にした牧は笑っていた。
ドリブルでインサイドへ攻めこんできた牧を、宮城は止めようとするも、また抜かれてしまい、牧はシュートを打とうとジャンプをした。
そこを、牧の前にやって来た花道と赤木が、牧を止めようジャンプをして、花道がボールをはじくが、先程と同じように笛が鳴り、シュートが決まる。
「カウーーント!!ワンスロー!!」
更に、またワンスローももらい、それも決め、またリードを奪い返した。
「覚えとけ」
赤木は落ちたボールをひろうと、隣にいる花道に声をかけた。
「あれが、神奈川NO.1プレイヤー、牧紳一だ…!!」
「神奈川NO.1…………… (いい響きだ……)」
牧の異名を聞くと、花道はとてもうらやましそうにしていた。
「負けねえぞ!!ここまで来たんだ!!負けてたまっかよ!!」
「おう!!」
「そのとーりだ、リョーちん!!」
牧のすごいプレイを目にしても、それでもまだ望みがないわけではないし、勝ちたいという気持ちが強いので、湘北はなおのこと気合が入った。
「じいはオレが倒す!!」
「バカかてめーは!!」
素人なのに、神奈川NO.1プレイヤー相手に大きなことを言ったので、清田はバカにし、流川は何も言わないが、清田と同じことを思っているのか、どこか呆れた様子だった。
しかし、気合を入れたのはいいが、現実はそう甘くなく、赤木はパスミスをしてしまった。
海南を相手にしているので、全員相当疲れていた。
ボールを奪った牧は速攻を決め、また海南に2点加点された。
すると、これ以上は牧にやられないように、安西は指示を出し、三井と宮城のダブルチームでマークをするが、あっさりと抜かれてしまう。
だが、ゴール下では、今度は花道と流川が立ちはだかり、牧を止めようとした。
けど、牧はあわてておらず、自分から向かって左側…流川がいる方へ、ジャンプしてパスを出した。
そのボールを神がとり、神はそこから3Pシュートを決める。
「!!」
その神のシュートに、魅真は目を見張った。
神が打つそのシュートは、あまりにも綺麗で、あまりにもなめらかでやわらかい、絹のようなものだった。
神の活躍はそれだけにとどまらず、その後も2回決めて、後半残り15分を切った頃、66対59と、また点を離しはじめた。
「(なんて綺麗なシュート…。ひとつひとつの動作がすごく丁寧だし、まるで、ゴールに入ることが最初から決まっていたみたいな、機械のように正確なシュートだわ。思わず魅入ってしまうほどの…。あの人は、思っていた以上に、すごい選手なんだ…!!)」
魅真は、神のプレイにも見惚れた。
もちろん自分は湘北の人間なので、気持ちの上では湘北の応援だが、それでも、目の前で活躍をしている神という選手のプレイに、思わず見惚れてしまっていた。
凝視していると、牧とハイタッチして、清田に背中や肩をたたかれて称賛されていた神が、自分の方に向いたので、魅真はドキッとした。
魅真の方へふり向いた神は、「オレの活躍を見ていてくれた?」と言うように、魅真をみつめ、微笑みを向けると、魅真に手をふった。
神に手をふられると、魅真も興奮した顔で、神に手をふり返した。
魅真が手をふると、神はもう一度笑い、自分のポジションへと歩いていく。
湘北が攻め、今度は三井が3Pを打ったが、惜しくも決まらず、リバウンドをとった牧に速攻を出され、インサイドに侵入した時に神にパスをすると、神はまた決めた。
「(すごいな…。牧さんも…神さんも…。牧さんは、運動能力が高く、攻防一体の動きで積極果敢に攻めて、相手を翻弄して、どんどん点をとっていく。ジャンプ力も、シュート成功率も高い。そして神さんも、今のところまったく外さない。それに加えて、あの綺麗なシュートフォーム。あれは、相当に練習を積み重ねてきた証拠だわ…)」
先程の神の3Pシュートだけでなく、今の牧と神のコンビプレイにも、魅真は見惚れてしまい、思わず手が止まりそうなほどだった。
しかし、今神が決めたことで、点差は10点になってしまい、またもピンチに追い詰められてしまう。
「チャージドタイムアウト、湘北!!」
そして、残り時間が10分を切ろうとしていた時、安西がタイムアウトをとった。
魅真が全員にタオルとポカリを渡すと、選手は全員ベンチにすわり、かなり荒い呼吸をしていた。
「少し早いが、もうあとがない。勝負をかけます」
「ほう…!」
そう言うと、安西はゴールとフリースローレーンが描かれたボードを取り出して、その場にしゃがみ、選手達も周りに集まり、円になった。
「おさえなくてはならないのは、4番の牧君のペネトレイト。パスを出すにしろ、自らシュートにいくにしろ、そこから海南の攻撃が始まるからです」
そこまで説明すると、安西は、三角が描かれた、小さな丸い駒を用意する。
「赤木君」
そしてその駒を、赤木に見立てて、ゴールの左側に置く。
「流川君」
今度は流川に見立てて、ゴールの右側に置き…
「三井君」
更にもう一つを、三井に見立てて、フリースローラインの左側に置き…
「宮城君」
また、もう一つを宮城に見立てて、フリースローラインの右側に置いた。
「君達4人で、小さいゾーンをつくる。牧君がペネトレイトしてきたら…」
そして、もう一つの色違いの駒を牧に見立てて、3Pラインの外から、インサイドに移動させる。
「4人がかりで、プレッシャーをかける!!中での動きを封じるんです」
移動させると、今度は最初に置いた、三井、流川、赤木、宮城に見立てた4つの駒を、両手で移動させ、牧に見立てた駒の周りに置いた。
「4人がかりで……!?それじゃ、外がフリーになっちゃいますよ、先生!?」
「うん…」
「うんって……」
「…………」
「…………それだけの価値がある…。あの、牧紳一というプレイヤーには」
「「「「「……!!」」」」」
「(神奈川NO.1だからか…。おのれ、じい…)」
安西にまで、大きく評価をされたので、花道はまたうらやましがった。
「外はすてる。司令塔の牧君の歯車を少しでも狂わせば、チームとしてのリズムも微妙に狂ってくるはずです。10点差を今からひっくり返すには、もう賭けに出るしかない」
「わかりました………!!」
「牧をぶっつぶそーぜ!!」
「ただし、外が落ちても、リバウンドとられちゃ意味がねー」
「スクリーンアウトだけは、きっちりやろうぜ!!」
「よし!!」
「そして桜木君」
「ぬ?」
「君がいなくては、この作戦は完成しない」
それは、花道がキーマンとして動くということで、安西は花道に、タイムアウト後の作戦を話す。
「ハッハッハッハッハッ。オヤジもここへきて、よーやくカントクらしくなってきたな!!」
すると、いつものように有頂天になり、偉そうに笑う。
「なーーーオヤジ」
「そーかね」
「やめろバカヤロウ!!」
そして、いつものように、なれなれしく安西の肩を抱き、あごの脂肪を下から揺らし、その失礼な態度を、三井が怒鳴る。
「始めます!!」
安西が作戦を話すと、タイムアウトは終わり、試合再開となった。
「よし、いこう!!」
「最後まであきらめるな!!」
「当然だ!!」
残り時間10分9秒。最後の死力をつくすために、5人はコートにあがった。
そして、試合が始まり、牧がペネトレイトしてきた時、安西の作戦通り、三井、宮城、流川、赤木の4人は、牧を取り囲み、4人がかりでマークした。
まさか4人がかりでくるとは思わなかったので、牧も高頭も田岡もびっくりしていた。
このままでは、シュートを打つことは難しいので、神にパスをしようとすると、そこには花道がおり、神をマークしていた。
外はフリーだと牧は思っていたが、フリーにならないように、花道がついたのだった。
神に花道がついたことで、牧は驚いたが、予定通り、神にパスをした。
神はボールをとると、シュートをしようとするが、花道はフェイスガードで神をおさえたので、神はなかなかシュートを打つことができなかった。
「いいぞっ、桜木!!」
「ファウルするなよ!!」
うまくおさえこんでいるので、湘北は声援を送る。
けど、神をおさえこんでいることで、花道はまた調子にのり、最後は自分しかいないと有頂天になった。
その隙をついて、神は花道を抜き去り、シュートを打とうとするが、神がシュート体勢に入っている時に、花道はあっという間に移動をして、神の前にまわりこんだ。
「ハエたたき!!」
「!!」
そして、神がシュートを打つ前に、ジャンプをして、ボールをブロックした。
「いいぞ、花道!!」
「さすがキングコング・弟!!」
あの神のシュートを防いだので、湘北は全員盛り上がる。
花道はブロックしたボールを探していると、三井がそのボールをとったのを目にしたので、我先にとゴールへ走りだし、三井は花道にボールを投げた。
神も花道と一緒に走るが、花道の速さについていけず、ボールをとった花道はレイアップを決めようとしたが、あたり前のように外してしまった。
神はほっとし、花道は焦るが、いつの間にか神の後ろまでやって来ていた赤木がリバウンドををとり、そのままダンクを決めた。
「ディフェンスッ!!」
「ディフェンス頑張るぞ!!」
そしてまた、牧がペネトレイトしてくると、4人がかりでマークし、赤木がブロックしようと手を伸ばしたので、牧は赤木の腕の下から、神にパスをした。
しかし、神もまた、花道の分身の術のようなディフェンスによって、シュートを打つことができなかった。
そこへ、武藤がボールを渡すように神の名前を呼んだので、神は武藤にパスをし、ボールをもらった武藤は、そこからシュートを打った。
「これは、落ちるのを祈るのみ」
「!!」
「「「落ちろォーーー!!」」」
湘北の全員が、武藤が外すのを祈ると、祈りが通じ、シュートは決まらなかった。
「通じたっ!!」
「!!」
祈りが通じたので、木暮と安田はほっとしていた。
リバウンドは赤木がとり、花道に走るように指示をすると、花道はすでに走っており、赤木はボールを花道に投げた。
けど、牧も走っており、あっという間に花道に追いつき、更には、花道がパスをとると同時に、すでに前に回りこんでいた。
「じい!!」
「来い!!」
周りには誰もおらず、花道と牧の一騎打ちとなった。
「(超えてやる!!)」
牧が前に立ちはだかるも、花道は臆することはなく、勝負をしようとしていた。
「(神奈川NO.1を、超えてやる!!!)」
花道は、牧と真っ向勝負をするために、まっすぐに走っていく。
「待て!!」
「牧!!」
「止まれっ!!」
「桜木君!!」
「やれっ、花道!!」
「行け」
赤木と宮城は止まるように叫び、晴子が心配そうにしている中、仙道と魅真は、花道に立ち向かうように声援を送った。
そして花道は、牧の前でジャンプをして、ダンクを決めようとするが、牧も花道を止めるためにジャンプをした。
「10年早いわ!!」
牧はボールをつかむと、ブロックすると同時に、花道をボールごと床にたたき落とす。
魅真や晴子、湘北のスタメンが驚いていると、花道は床にたたきつけられ、同時に笛が鳴った。
「!!」
「桜木!!」
「花道!!」
すごい痛そうな音がしたので、湘北は全員顔をゆがめた。
「インテンショナルファウル!!白4番!!」
「!!」
今ので牧は、インテンショナルファウルをとられた。
「おいてめえ、ワザとやりやがったな!!」
「よせ三井!!」
牧の行動は、わざとやったのだと思った三井は、牧に食ってかかるが、赤木はそれを、三井の前に手を出して止める。
「インテンショナルとられたんだから、いーじゃねーか」
「なに!?」
激怒する三井に、どこかなめたような態度をとる清田。
そういう問題ではないので、三井は今度は、清田に食ってかかろうとした。
「とーーーうっ!!」
「「「「「!!」」」」」
言い合いをしていると、いきなり花道がジャンプをしたので、周りにいる全員が注目し、びっくりしていた。
着地をすると、花道の前にいる審判はどこか引き気味になって、少しだけ後ろに下がり、花道も、他の者達も無言だった。
「桜木っ!!ブジかっ!?」
なんとか大丈夫そうなので、三井が花道の方へふり向くと、花道の目がキラリと光る。
「コラァッじい、てめえっ!!ブッ殺す!!この天才のダンクをジャマしやがって!!決まったと思ったのに!」
「おい待てっ。落ちつけっ」
せっかくダンクが決まりそうだったのに、邪魔をされたので、花道は牧に食ってかかるが、その勢いは、先程まで牧に文句を言っていた三井すらも止めるほどだった。
花道が牧に襲いかかろうとするも、三井が花道をはがいじめにして止めたので、なんとか暴動は起きなかった。
「フリースロー!!」
なんとか事態がおさまると、花道のフリースローとなった。
「桜木、お前だ!!」
「おう、わーってらい!!」
フリースローをもらった花道は、フリースローラインの前まで来ると、審判に渡されたボールを床について、ゴールを見据えていた。
「このインテンショナルファウルは、点差をつめるチャンスだぞ!!なんとかモノに…!!」
花道はフリースローが苦手なのはわかっているが、それでも花道のフリースローが入ることを、木暮は願わずにはいられなかった。
その花道は、何を思ったのか、ボールを上ではなく下で、両手で持って構えた。
すると、観客達に笑われた。
「あっ…」
「ほう…!」
しかし、魅真と安西は目を見張った。
花道は、人マネの投げ方でやっても入る気がしないので、投げやすい投げ方で狙って放った方が入るような気がすると思ったので、この持ち方をした。
そこへ、横から清田がやってきて、花道をバカにするが、花道は清田を追いはらった。
そして、花道が下から上へ両手で放ると、リングにあたってはね返り、リングを回ると、中に入ったのだった。
「いよォーーしゃあ!!!」
「なにィーーっ!?」
フリースローを決めた花道はガッツポーズをして、まさかあれが入ると思わなかった清田は驚愕した。
「わーーっ。入ったっ!!」
「桜木っ!!」
どんな形であれ決まったので、湘北は喜んだ。
「あれって、あの…NBAの名シューターと言われた、リック・バリーの投げ方じゃない…」
「あの子が、そんなこと知ってるワケがないわ」
「自分で考えたんだ……」
「自分一人が初心者という状況で、それでもなんとかしようと、いつも彼なりに、必死に考えながらやってるんですよ…」
「上達が早いわけだ…!!」
花道はよく狙い、2本目も決めた。
「うおおーーっ。入ったあー!!!」
「マグレでも、この2本は大きいぞ!!!」
前半では、ゴール下のシュートさえ外しまくっていた花道が、フリースローを決めるとは思わなかったので、これには観客も驚いていた。
「天才にマグレがあるか、バカめ!!」
初めて、しかも2本とも決めたので、花道は有頂天になり、大きく笑う。
そして、フリースローを決めただけでなく、牧がインテンショナルをとられたので、湘北ボールから始まることになった。
この状況に赤木は
「(いける!!)」
と思った。
「いけるぞ!!」
そう思ったのは、赤木だけでなく、ベンチにいる湘北メンバーもだった。
「(それに、けっこー休めたぜ)」
後半も残り5分24秒となり、かなり疲労していた三井達は、少しの時間だったが、体を休めることができた。
「桜木!!」
まさかここで決めてくるとは思わず、牧は花道を見て、うれしそうな笑みを浮かべた。
「屈辱は10倍にして返すぜ、じい!!」
また、花道は花道で、顔を牧に向けて、不敵な笑みを見せた。
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