#11 花道デビュー
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「すまんな、仙道」
「いや…」
仙道と向かい合うと、赤木は花道の無礼な言動を謝罪するが、仙道はまったく気にしていなかった。
「大変失礼しました。どうかお許しを」
そして次に、田岡の前まで行き、頭をさげて謝罪した。
「うむ…。まあいいが。赤木君、あの男はやめさせた方が、部のためだと思うぞ!!」
「はあ…」
あまりにも不躾で非常識な言動をとっていたので、赤木に忠告するが、赤木は曖昧で煮え切らない返事をするだけで、その後自分のチームのベンチに戻っていった。
「さあ!!試合再開だ。審判!!」
赤木が戻ると、田岡は審判に声をかける。
「やめさせるわけねーさ…」
その後ろでは、仙道がにっこりと笑いながら、意味深なことを言っていた。
「イヤ~~~、乱闘寸前だったな」
「惜しい!もうひと息だったな」
「あのね……」
湘北側には、いつの間にか洋平達が下りてきており、あれ以上は何もさわぎが起きなかったため、残念そうにしていたので、魅真は相変わらずだと思いながらも呆れていた。
そして……
「何考えてんのよ、アンタ」
「まったく!アタマを冷やせ!!」
「寒い!」
あまりにも非常識すぎる行動に、魅真は冷ややかな目で見ており、彩子は椅子にロープでしばりつけられた花道の頭に、コールドスプレーを噴射して、文字通り花道の頭を冷した。
「(くそう…。もう後半だぞ?ピンチだって、何度もあったってのに、いつまで温存しとく気だ…)」
前半に出番がなかったのが不満な花道は、心の中で文句を言うと、安西を見た。
「(まさかオヤジめ…。オレをダマしやがったんじゃねーだろーな…。ヒミツ兵器とか言っといて、ジツはただのホケツだったとかいう…)」
ユニフォームをくばられていた時に、秘密兵器と言われて浮かれていたが、前半は出番がないし、今でも出番がくる気配がないので、花道は安西に、疑惑の目を向けていた。
「おいオヤジ、もう後半なんだけど…」
「ホッホッ」
「オレの出番はまだか?」
「ホッホッ」
「オレは本当に秘密兵器なんだろーな?」
「ホッホッホッ」
花道は思ったことを安西に聞いてみるが、安西は笑うだけで、花道の質問には答えなかった。
「ホッホッホッじゃねーーーっ!!!」
「やめなさい、花道!!」
「退場させるぞ!!」
質問に何も答えずに笑うだけだったので、花道は怒って、椅子ごと立ち上がって安西のもとまで行くと、安西に頭をぐりぐりとおしつけた。
懲りてない花道に魅真は注意し、彩子は再びコールドスプレー頭に噴きかける。
その時、歓声が起こったので、コートの方を見てみると、目の前では、仙道にボールが渡っており、流川と対決していた。
「センドー!!」
仙道は流川を撹乱させるために、足の間で、低く素早いドリブルをくり返していた。
そして一瞬花道を見ると、シュートを決める。
「ぬ……」
その後、再び花道を見たかと思うと、花道の前で、人差し指を前後に動かして、挑発をした。
エース、天才と言われている仙道が、赤木や流川ではなく、素人の花道を挑発したので、赤木と流川は驚いていた。
「おもしれー!!」
挑発にのった花道は、自分をしばっているロープをちぎり、その場を立ち上がる。
「上等だセンドー!!オレが倒してやる!!」
仙道の挑発に花道が答えると、観客は驚き、仙道はその顔に、やわらかな笑みを浮かべた。
「おーし。さあ、1本止めようか!!」
そして、手をたたきながら、他の選手達に声をかける。
その姿は、どこかはりきっているようにも見えた。
「ちっ…。あの野郎、また勝手にコートに入ってきやがって…。バスケを何だと思ってやがる!!」
「ぬ…。うるせーな、てめーはいちいち!!てめーもブッ倒すぞ小僧!!おお!?」
あまりに勝手なふるまいに、越野は文句を言うが、花道は逆ギレする。
「な…なんてマナーの悪い奴だ!!注意しろ、審判!!」
「なんだあジジイ!!」
更には、ごくあたりまえのことを言った田岡にまで噛みつこうとする。
「すわってろ!!!」
「ぬ…」
だが、赤木が怒鳴ると固まってしまう。
「くそ…ゴリ…」
花道はそれ以上強く出ることができず、言われた通り席に戻ると、彩子と安西の間にすわり、椅子を前後にゆらしながら、ブツブツと文句を言っていた。
誰に何を言われても大人しくならず、むしろヒートアップしていたのに、赤木の一言と迫力には強く出れなかったので、花道の上にいる洋平達は感心していた。
先程仙道がシュートを決めたので、湘北ボールから始まり、今は赤木がボールを持ってるが、魚住が明らかに手で押しているので、木暮が指摘すると笛が鳴った。
「プッシング白(陵南)④番!!」
「!!」
「よーし!!」
魚住のファウルになったので、木暮はガッツポーズをした。
「なに!!どこがファウルだ、審判!!」
「完全なファウルだ。ナイス審判!!」
「…………」
「う…」
納得がいかない魚住は審判に抗議をするが、後ろから木暮が審判を援護する声がしたので、魚住は無言で睨み、やはり怖いのか、木暮は萎縮した。
魚住のプッシングで湘北ボールから始まり、ボールを持っている安田は、流川を使おうと思ったが、流川は仙道の厳しいマークにあい、ふりきることができなかったので、安田は仕方なしに、塩崎にボールを渡す。
「(ふむ…) 桜木君、ウォームアップをしときなさい」
「ぬ?」
「えっ!?」
その様子を見ていた安西は、花道のひざに手を置き、指示を出す。
ウォームアップをしておけというのが、どういう意味かわかっている魅真は、いよいよ花道を使うのかと、びっくりしていた。
「オーマップ?なんだそりゃオヤジ、エラソーに」
けど、ウォームアップの意味すら知らない花道は、安西に詰め寄る。
「エラソーなのはオマエだ!」
「ウォームアップも知らないのか…」
「花道ですからね」
偉そうな態度の花道の頭を、彩子はハリセンでたたき、角田はウォームアップすら知らないことに驚いており、角田の隣にいる魅真は冷静につっこんだ。
「体を動かして、あっためときなさいってことよ!わかった?桜木花道」
ハリセンでたたいたあと、彩子はウォームアップがなんたるかを説明する。
「出番が近いってことよ」
彩子がそう言った後、館内がざわついた。
「フンフンフンフンフンフンフンフンフンフンフンフンフン」
陵南側や晴子、洋平達が注目した先では、湘北のベンチの後ろで、花道が得意のボールハンドリングをしていた。
その様子を見て、田岡や魚住や越野は嫌そうな目で見ているが、仙道は唯一うれしそうに笑っていた。
安西が花道を使おうとしていることに、陵南だけでなく、赤木も驚き、流川や木暮も、その様子を見ていた。
「フンフンフンフンフン」
そして陵南のベンチでは、花道のボールハンドリングの早さに、彦一は称賛していた。
「フフフンフフフンフフフンフフフン」
胴まわりのボールハンドリングだけでなく、足の間のボールハンドリングもやり、それもかなりの早さなので、彦一は更に称賛し、興奮していた。
「(桜木花道、こんなに早く、試合に出れるとはね。あの強者たちの中じゃ、まだ何もできないだろうけど…。何となく期待しちゃうのよね…) これだけはうまかったのよね、最初から」
「ええ。これだけは」
「フフフンフフフンフフフンフフフンフフフン」
「…………」
魅真と彩子の2人が話している間も、花道はまだ続けていた。
「フフフフフフフンフフフフフフフンフフフフフフフン」
「ストップ花道!」
「コラコラコラ!!ヤリすぎだ!!」
今度は、胴まわりを、前から見ると罰点のようにななめに動かしており、止まる気配がないので、そこを魅真と彩子が止めた。
「出る前に燃えつきてどーする!」
「はっ」
2人が止めるとやっとやめた花道は、床にすわりこみ、荒い息をしていた。
ウォームアップにしてはやりすぎで、すでに少し疲れていたので、彩子はタオルを渡した。
「(いよいよ、天才バスケットマン桜木、バスケット界にデビューか…。練習試合だけど…。ふっふっふっ)」
いつかはわからないが、近いうちに試合に出れることになったので、花道はうれしそうにしていた。
「…………」
けど、初めての試合なので、心臓がドキドキしていた。
「(いかん…。キンチョーしてきた…)」
しかも、更にドキドキしてきて、目の前が真っ白になっていた。
「残り10分、7点差か…。このままくいついていかないと…。これ以上離されると、残り時間からいって、ちょっとキツイですね、先生」
「そうですね」
「(オレが出て、点差が開いたなんてことになったりして…)」
目の前の彩子と安西の会話を耳にすると、初の試合で、まだまだ未知のものだからか、花道はめずらしくネガティブな思考になった。
「(なにをバカな!!天才はそんなこと考えないもんだ!!余裕で「フッ」とかいってりゃいいんだ!!そうさ、天才なんだから)」
前向きに考えてみるが、それでも心臓のドキドキは止まらなかった。
「(ハルコさん、見ててくださいよ…)」
晴子の前でいいカッコをしたい花道は、2階にいる晴子をちらっと見た。
「(いかん!!ますますドキドキしてきた!!おちつけ!!おちつくんだ、天才!!)」
けどそれは逆効果で、更にドキドキしてしまった。
「どうしたの?花道。めずらしく、さっきからだまってるけど」
「な、なんでもねえ!!」
さっきまで気合い入りまくりだったのに、急に静かになった花道をふしぎに思った魅真は、後ろを向いて花道に問うが、花道は本当のことは言わずに誤魔化した。
その時、コートから笛の音が響いたので、花道の心臓はより強く鳴った。
「オフェンス!!チャージング!!」
「!!」
「白(陵南)④番!!」
笛が鳴ったのは、魚住がオフェンスファウルをもらったからだった。
「よーーーしやった!!」
「オフェンスファウルだ!!」
魚住がオフェンスファウルをもらったので、桑田、佐々岡、石井は、席を立ち、ガッツポーズをして喜んだ。
「「「………!?」」」
けど、その時異変に気づいた。
「あ…!?」
「赤木さん…!!」
それは、赤木の目と眉の間が切れてしまい、血が流れていることだった。
「魚住のヒジがあたったんだ!!」
「赤木さん!!」
「赤木先輩!!」
「…………」
赤木のケガに館内はざわつき、湘北側は心配して赤木のもとへ行き、ケガをさせてしまった魚住は呆然としていた。
「レフェリータイム!!」
赤木のケガにより、試合は一時中断となった。
「赤木先輩!!」
赤木のもとへ行った彩子は、赤木にタオルを渡し、それを受け取った赤木は、ケガした部分をタオルでおさえた。
「大丈夫ですか?」
「大さわぎするな。大したことねえ」
「治療しないと…」
「大丈夫か、赤木君!!おい、誰か医務室へ案内しろ!!」
「あ、大丈夫です。田岡先生」
「お…おい、赤木…」
みんなが心配する中、ケガさせた本人である魚住は、おずおずと声をかける。
ケガをさせてしまったのは、決して故意ではない。けど、自分のせいでケガをしてしまったことにかわりはないので、魚住はどこか気まずそうにしていた。
「気にするな。すぐもどるさ」
「………!!」
だが、赤木は気にする様子もなく、逆に笑っていた。
「しかし大変なことになったな…」
「大黒柱の赤木さんが抜けちまったら…。せっかくここまで追いついてきたのに…」
「一体、だれが代わりのセンターを務めるんだ…。やっぱ、2年の角田さんか…」
「…………」
1年生達にそう言われると、角田は冷や汗をかいた。
「じゃあ行きましょう」
「ちょっと待ってくれ」
陵南の部員に付き添われ、医務室に行く前に、赤木は花道の方へ顔を向けた。
「おう…」
「!!」
「体はあたたまってるな」
「お…おうよ!!」
「代わりはおまえだ」
「………!!」
とうとう出番がやってきたが、花道は喜ぶのではなく、心臓が大きく鳴り、目の前が真っ白になると、心臓が、早く、大きく鳴っていた。
赤木の言ったことに反応したのは、花道だけではなく、湘北側や晴子もで、魅真、流川、安西以外は、不安そうに花道を見ていた。
「お…おうよ!!」
そして何秒かすると、緊張しながらも、気合を入れるように、左手のひらに拳を打ちつけた。
「それじゃ、残り時間9分から…試合再開します!!」
赤木の代わりが花道に決まり、赤木が医務室に行くと、笛が鳴り、試合が再開された。
「始めます!!」
試合再開の笛が鳴ると、花道が出てきたので、観客は騒然とした。
「ファイト!!花道!!」
いよいよ花道の出番となったので、魅真は花道にエールを送った。
しかし、花道の表情は固く、魅真の声が聞こえていないようだった。
「おお!!でてきたな、あいつ!!」
「おお~~!!ついに登場や、桜木さん!!まちわびたで!!」
「…………!!」
花道が出てくると、仙道と彦一はうれしそうな顔をしていたが、花道はすでにいろいろやらかしているので、魚住と越野と田岡はジト目で見ていた。
「おお~~。花道がでてきた!!」
「信じられん起用をするな~~!!」
「無謀だ」
「湘北は、勝負を投げて、ウケ狙いに走ったんじゃねーか!?」
「いえてるな~~」
「とにかく、下行って見ようぜ!!」
2階では、花道が出てきたことで、洋平達が下まで下りていった。
「ガンバレよ、桜木花道!!」
下に下りてきた洋平達は、あたりまえのように湘北側のベンチにすわったので、魅真、彩子、安西以外の選手達はぎょっとしていた。
「さあ、赤木のいない今こそ、オレたちががんばらないとな!!声出していくぞ!!」
「「はい!!」」
大黒柱の赤木がいなくなってしまったが、それでも負けるつもりはないので、赤木の代わりに副キャプテンの木暮が指示を出していた。
「でも大丈夫かな。桜木…まだバスケ始めて間もないのに…」
「赤木さんのケガさえなけりゃな…」
「いや…赤木のケガがなくても、先生はいずれ桜木を使うつもりだったろう。そして、赤木もな…」
安田と塩崎は心配そうにしているが、木暮は赤木と安西の真意を見抜いており、あまり心配はしていなかった。
一方その花道はというと、すでに頭の中が真っ白になっていた。
「よう、やっと出番だな!」
目の前に仙道がおり、話しかけてきたが、あんなに倒すと言っていた仙道の姿すら、今の花道の目には入っていなかった。
仙道は、花道が何も答えずに自分の横を通りすぎていったので、ふしぎそうにしていた。
「(よーーーーしやってやる!!オ…オレは天才だからな!!みみみみてろよ、庶民ども!!)」
心の中ではいつもの強気な発言だが、顔は見るからに余裕がなかった。
「さあ行こう、1本!!」
そして試合が再開され、湘北ボールから始まった。
最初にボールを持っていた木暮は、さっそく花道にボールを渡した。
それだけで、観客や陵南が注目するが、ボールが渡って、更に緊張度が増した花道は、機械のようにぎこちない動きで歩いた。
「トラベリング!!」
ボールを持って3歩以上歩いてしまったので、いきなりトラベリングになってしまい、緊張してるのだとわかった木暮は、花道をはげました。
そうこうしているうちに、今度は陵南ボールから始まったので、木暮は魚住をマークするように言うが、花道は荒い呼吸をくり返すだけで、木暮の声は聞こえていなかった。
ボールが植草から魚住に渡ると、花道は魚住に顔を向けるが、視界が極端にせまくなっているため、魚住の胸あたりから顔までしか目に映っていなかった。
それでも花道は、魚住の前にまわって止めようとする。
花道が前に来ると、魚住がシュートをしようとしたので、花道は止めるためにジャンプをするが、実はフェイントだった。
あっさりとひっかかったので、魚住は今度は本当にシュートをしようとしたが、降下して、自分にせまってきた花道に、動きが止まってしまう。
そして、花道は魚住の顔面に体当たりし、2人は一緒に床に倒れた。
あたりまえだが花道のファウルとなり、笛が鳴った。
「コラァッ!!お前、ワザとやりやがったな!!」
「魚住!!」
「…………」
池上と越野が、心配して魚住のもとへ走ってきて、駆け寄ってきた越野は文句を言うが、花道は聞こえておらず、無言で立ち上がる。
「ああっ!?」
「流血!!」
「またもや流血だーっ!!」
魚住を見てみると、今の体当たりで鼻血が出てしまい、顔やユニフォームを汚していた。
「…………」
この出来事に、仙道は呆然とし、ベンチにいた部員達は魚住を心配していた。
「なにも見えん!!なにも聞こえん!!」
越野と池上は文句を言うが、花道は緊張のあまり、視界が極端にせまくなっているので、越野の右手しか見えず、その上周りの声や音がいっさい聞こえていないので、2人の文句も聞こえていなかった。
「スマン魚住、ワザとじゃないんだ。ちょっとキンチョーしてて…」
「イヤ…平気だ…」
「いいかげんにしろよな!!」
「退場だ!!」
「なにも聞こえん!!」
魚住本人は大して気にしていないようだが、越野と池上が怒り心頭で、花道に怒鳴るが、やはり花道には何も聞こえてなかった。
「ダメだこりゃ…」
「ダメだわ。あの子キンチョーしまくってる」
「ウケ狙いは成功だ!」
ベンチでは、彩子はおろおろしているが、魅真は軽くため息をつき、大楠と野間はニヤニヤと笑っていた。
「おちつけ!」
「桜木おちつけ、大丈夫だ!!」
「おちついて、桜木君」
「なにも聞こえん!!」
コートでは、木暮、安田、潮崎が、なんとか花道の緊張をとこうとしているが、何も効果はなかった。
「いいか桜木。そんなときは、手のひらに人という字をかいてだな…」
木暮が緊張をほぐす方法を教えていたその時、急に花道の股の間に足を入れ、尻を蹴りあげる人物がいた。
それは、流川だった。
まさかの行動に、館内にいる、湘北、陵南、観客の全員が呆然とした。
「どあほう。この、いつまでも、ガチガチキンチョーしまくり男」
「ぬ…!!」
尻を蹴られ、バカにされたことで、花道は腹を立てて後ろへふり向く。
後ろには流川がおり、胸から上しか見えていなかった視界が段々と開けてきて、目の前のすべてが見えるようになった。
「どあほう」
「ルカワ…!!」
更に、声も聞こえるようになり、流川のバカにする言葉を聞くと、花道は流川を睨みつける。
「なんだあコラ、ルカワ!!キツネ!!誰がキンチョーしてるって!?おお!?」
「おめーだ」
「や…やめろ、ふたりとも。試合中だ!!ああ~~。赤木がいないと…」
「おおっ、うごきがよくなった!」
「イケる!」
「ようやく「らしさ」が戻ってきたわね」
試合中だというのに、味方同士で殴り合いを始めてしまったので、木暮はあわてるが、魅真と洋平達は、花道がいつもの花道に戻ったので、明るい顔をしていた。
「おい木暮君、こんなんじゃ、試合放棄とみなすがいいかね!?」
「そ…そんな殺生な!!」
試合そっちのけでケンカしているので、田岡に注意されると、木暮は更にあわて、花道と流川は、ケンカしていた手を止める。
「ちょっと待て、ジジイ!」
「いて」
花道は田岡の後ろまでやって来ると、田岡の頭にチョップをした。
「こっからが本番だ。よく見てやがれ!!」
そして、田岡を指さして、宣戦布告をした。
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