#9 陵南高校
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花道がシュートを初めてうった、次の日の朝。
花道はヤケに機嫌がよかった。
「ハッハッハッハッ」
登校中からすでに上機嫌な花道は、大きな声で笑いながら登校して、学校に入っていった。
「桜木君、どうしたんだろ。今日はやけに機嫌がいいな」
「さあ…」
校舎に入って、廊下を歩いている時もかなりの上機嫌だったので、周りにいる生徒達は、何事かと思っていた。
「何アイツ。昨日と違って、妙に機嫌がいいわね」
同じように廊下を歩いていた魅真も、目を丸くして驚いていた。
「ああ、それはさ」
「ん?」
隣にいた洋平は、花道が機嫌がいい理由を知っており、その理由を魅真に話そうとした。
「いよーー花道。どうした、ヘラヘラして!」
「女にフラれすぎて、とうとうアタマにきたかあ!?」
けど、洋平が魅真に理由を話そうとすると、高宮と大楠が花道の前までやって来て、いつもの調子で、花道をバカにしたように話しかけてきた。
「いよーーー高宮、あいかわらず丸いな!!バスケ部のオヤジといい勝負だ」
「む…!!」
いつもなら、こんなことを言ったら100%頭つきをされるというのに、上機嫌なままだった。
しかし、頭つきはしないものの、高宮のあごの脂肪を下にひっぱる。
「ええい、放せ!」
「ダイエットしなさい、ダイエットを」
結構はずかしいので、高宮は花道の手をふりきるが、花道は笑うだけだった。
「これが16歳のハラか?ん?このビール腹が。高宮君。ん?」
けど花道は、今度は高宮の腹をポンポンとたたいた。
「スポーツをしなさい、スポーツを!!スポーツはいいよキミタチ!!とくに早朝はいい!」
キリっとした顔でアドバイスをすると、上機嫌なまま、そこから笑いながら去っていった。
「なんなんだ、一体…。くそ」
「ハッハッハッ。どーした」
「おー、魅真、洋平。花道なんかあったのか?ヤケに上機嫌じゃねーか」
そこへ洋平と魅真がやって来たので、大楠が、何か知ってそうな洋平に問いかける。
「ああ…なんかさ…」
大楠に聞かれると、洋平は、先程魅真に話そうとしたことを話した。
「なにィ。ハルコちゃんと朝練を!?」
「二人っきりで!?」
それは、今朝花道が、昨日のレイアップシュートの練習を近くの公園でしていた時に、偶然晴子が通りかかって、レイアップシュートのコーチをしてくれたというものだった。
「はっはっはっ。おっ、キミはハルコさんの友達!」
「あ…はい。藤井です」
「藤井さん!!」
歩いていると、花道は途中で、晴子の友人の藤井に会い、話しかけた。晴子と違って、花道のような人物が苦手な藤井は、びくっとなりながらも律儀に返す。
「?」
「はっはっはっ」
「?」
「なんなんだ…」
けど、それだけ言うと、そこから上機嫌で去っていったので、藤井も大楠もわけがわからなかった。
「しかし、いつの間にハルコちゃんとそこまでの仲に…」
「でも、よく考えたら、単なる偶然だろそれ」
「そんな関係になるなんて、絶対にありえないわね」
「そうだよな。たまたま会っただけのことだもんな。進展とは言えねーな」
「進展するワケがない」
「そのとーり」
「でも、そんな偶然で、あすこまでシアワセになれる奴もめずらしい」
「単純の極致だな」
「単純王だ」
別に、晴子と恋愛関係に進展したわけではないのに、あんなにも上機嫌なので、高宮、野間、大楠の三人は感心していた。
#9 陵南高校
そして放課後。
「たわけ」
花道が体育館にやってくると、赤木は開口一番に、厳しい顔で厳しいことを言う。
「うっ…」
「?」
こんなことを言われれば、いつもなら食ってかかるが、今日の花道は、顔を青くして、冷や汗をかき、後ろへ下がった。
というのも、授業中に居眠りをしていた時に、今朝の晴子とのレイアップの練習風景の夢を見ていたのだが、シュートを打とうとした瞬間、持っていたはずのボールが黒猫になり、そのせいで、リングを支えている鉄の棒に顔を打って地面に落ちてしまい、駆け寄ってきた晴子の顔が、赤木の顔になっていたという悪夢を見てしまったので、後ろへ下がったのだった。
「まったく。レイアップが一度入ったくらいでうかれててどーする!!」
「ぬ…」
けど、そんなことを知らない赤木は、何故花道がそういう反応をするのかふしぎに思っていたが、ふしぎに思いながらも言葉を続け、きびしいことを言われると、花道はむっとした。
「いやあ、しかしまあ、大した進歩だよ。まだ習ったばかりなのに。なあ、桜木」
「へっへっ。やっぱり?そう思う?」
だが、木暮にはほめられたので、花道は有頂天になり、笑顔になった。
「バカ者。シュートは、毎日の反復練習が一番大事なんだ。うかれてるヒマがあったら練習せい、たわけが」
「ぬ…」
「いやあ、まあしかし、こんなに成長の早いやつは初めて見たよ。その調子でガンバレよ、桜木」
「やっぱり?」
木暮にほめられて有頂天になっていると、再び赤木がきびしいことを言ったので、ムッとするが、その後に木暮がまたほめてきたので、花道は再び有頂天になる。
「(いそがしい奴だな)」
赤木にきびしく言われてムッとして、木暮にほめられて有頂天になり、笑顔になる花道は、めまぐるしいくらいに表情が変わっているので、魅真は心の中でつっこんだ。
「湘北バスケ部名物、アメとムチ…」
「なるほど」
「(しかも、もう名物にされてるし)」
入部してまだ一ヵ月も経っていないのに、この光景は、すでに名物となっていた。
この、花道・赤木・木暮のやりとりは、少しの間続いた。
「とにかくいいか!!一週間後には、陵南との練習試合が迫っている」
「陵南…!!そうだ!!」
「昨年、県でベスト4の…!!」
「試合!!」
花道達のやりとりが終わった後、赤木は気をとりなおして話をした。
一週間後の試合のことを告げると、周りはざわついていたが、花道と流川だけは燃えていた。
「新チームの実力が試される、初めての試合になる!!これに勝ってインターハイ予選へのハズミをつけるんだ!!気合入れていけよ!!」
「「「「「おおっ」」」」」
「おう!!」
赤木に言われると、全員気合の入った返事をした。
「おお~~~。いよいよ試合か…!!オレの実力を発揮する時が来た…!!」
バスケを始めて、初めての試合なので、花道はわくわくしていた。
「よーーーし、そんじゃいくぞ。湘北ーーーーファイ」
「「「「「オオ!!」」」」」
円陣を組むと、さっそく練習にはげんだ。
試合も近いということで、今日の練習は、いつもよりも気合が入っていた。
そして6日後。
試合の前日ということで、部員達は更に気合が入った様子で練習をしていた。
中でも、赤木と流川はダンクを決め、花道もレイアップシュートを決め、見るからに気合が入っているのがわかるほどだった。
「スゴーイ!!みんな絶好調じゃない!!」
「花道、だいぶレイアップがうまくなってきたわね」
「へっへっへ、まーな」
その姿に、魅真と彩子が称賛したので、浮かれた花道は、笑いながらブイサインをした。
「おーし次。ハーフコート3対3!!」
「「「「「おう!!」」」」」
気合が入った部員達を見て、魅真や彩子だけでなく、二人の隣にすわっている安西も、お茶を飲みながらニコニコと笑っていた。
赤木率いる湘北バスケ部にとって、初めての試合となる陵南との練習試合を明日に控えて、チームは今、最高の状態だった。
明日が練習試合本番ということで、練習は日がほとんど暮れた頃になっても続いた。
「さすが、みんな気合入ってるね」
「あたりまえよ。相手は、県ベスト4の陵南よ!!」
練習をしていると、野球部とサッカー部の部員が二人入ってきて、彩子に話しかける。
「そして、今年の陵南は、優勝候補最右翼とまでいわれるチームよ。その陵南に勝たなきゃ、全国への道はひらけないからね」
「うーーーん。さすが赤木んとこだ」
「全国を目ざしてる部はちがうな」
二人はとても感心していた。
そして、野球部とサッカー部の二人が帰ると、花道はレイアップを決める。
「おお!!」
「ナイッシューーー!!」
「スゴイじゃない、桜木花道!!レイアップ、もう5本に4本は入るようになったわね!!その上達のワケは!?」
「イヤーーーーアヤコさん。ハハ、天才ですから。置いてくるですよ。オイテクル!!」
だいぶ上達した上にほめられたので、花道はまた有頂天になって、得意げに話した。
「(なんせ、ハルコさん直伝だからなー。二人のひみつ特訓の成果さ…。ハルコさん…❤よーーーし。ハルコさんのためにも) 明日はやるぞ!!」
「さァ、声出していくぞ!!」
「「「「「おう」」」」」
花道はやる気満々で気合が入っており、赤木もまた気合が入っていた。
そして、やる気があるのは部員達だけでなく親衛隊もで、赤木が声をかけると、彼女達はいつものようにさわぎだした。
「(おめーらじゃなくてな…)」
大きな声でさわいでいたからか、それとも前々から気になっていたのか、彼女達がさわぐと、赤木は少し苛立った。
「「「私達、流川楓親衛隊。明日は必ず応援にいきます!!」」」
どこから取り出したのか、三人そろって流川楓と読めるハチマキを頭につけ、真剣な表情で宣言した。
「「「ガンバッテ、流川君~!!」」」
そして流川にエールを送るが、当の流川は無視を決めこんでおり、その様子に、花道と赤木はイラついていた。
それからも、練習は更に続いた。明日の試合でいい結果が出せるようにと、全員が気合をいれてがんばっていた。
「みんな気合入ってますね」
「そうね」
「私もマネージャーだけど、明日は初の試合だから、すごくワクワクしてますけど、緊張もしてます」
「まあ、教えた通りにやれば大丈夫よ。魅真は覚えるの早いから」
「ありがとうございます。あ~~、明日が楽しみ!」
「先生!!この調子なら、明日はいい試合ができるかもしれないですね!!」
「ホッホッホッ。そうですね」
全員が気合が入った練習風景を見て、安西もニコニコと笑っていた。
そして、更に練習は続き……。
「よーーし。それじゃ明日は、8時半集合だからな。おくれるな」
「「「「「はい!!」」」」」
日もすっかりくれて、夜になった頃、ようやく練習は終わり、解散となった。
そして翌日……。
ある駅の電車の中に、3人の不良が乗っており、周りの迷惑もおかまいなしにさわぎ、その中の1人がケンカ自慢をしていた。
その時、発車のベルが鳴るが、ギリギリのところで人が乗ってきた。
「のけ」
「「「ひいっ!!!」」」
乗ってきたのは湘北バスケ部で、先頭にいた、花道、流川、赤木の姿を見て、3人ともびびっていた。
「な…何だ、あいつらは…。プ…プロレスラーか…?」
「ケンカはガタイじゃねえんじゃなかったのか?」
花道達が乗ってくる前にさわいでいた時に、ケンカはガタイじゃねんだよと言っていたのに、花道、流川、赤木の背の高さと体格のよさに驚いており、さっきと言ってることが全然違うので、彼の隣にいた男はあきれていた。
「あーー間に合ったあ」
「結構ギリギリでしたね」
「ホッホッ」
花道達に続き、他の湘北バスケ部のメンバーも続々乗ってきた。
「おまえら!!気合は入ってるだろうな!!」
「オウヨ!!」
「入りまくり」
「お…おい、よせよ。車内で…。大声で~」
赤木の気合の入った声に、花道も流川も、同じように気合が入った顔と声で答える。
学校の体育館じゃないのに大声で叫んでいたので、木暮は顔を赤くしてそわそわしていた。
「打倒陵南!!」
「お…おい、よせったら!!」
「「オウ!!」」
けど、木暮の言うことを聞くことなく、花道達は再び気合をいれる。
それから数分後、電車は江の島に着き、二人の男が入って来て、何気なく横を見た。
「な…なんだ!?」
そこには、この車両の椅子を占領するようにすわっている湘北バスケ部が、汗をかき、こわばった顔をしていたからだ。
何故こわばった顔をしているかというと、ただすわっているのではなく、お尻を少しだけ浮かせていたからだった。
「はい1分ーー!!」
「みんなおつかれさまー」
「「「「「ぷはーー!!」」」」」
時間が経ち、ようやくこのキツい体勢から逃れられたので、全員荒い息をした。
「おい、なにも今こんなことをしなくてもいいだろう!!」
「足腰の鍛錬だ」
「だから、なにも電車の中でなあ…」
赤木の向かい側にすわっていた木暮は、顔を赤くして赤木に抗議する。
「相手は陵南だ!!このくらいの気合がなくてどーする!!」
「イヤ、だから社会の常識としてな…」
しかし、赤木にはまったく響いていないので、木暮は少々あきれ気味だった。
「桜木花道は生まれて初めての試合ね。どう、心境は?」
「ハッハッハッ。ヨヨヨ、ヨユーですよ、ヨユー!!ハハ…。この、ててて天才バスケットマン桜木!!」
「ガチガチのくせに」
隣では、彩子が花道に今の気持ちを聞いてみるが、花道は余裕と言いながらも、声も表情も、緊張しているのが丸わかりで、そこを、流川がすかさずツッコミを入れる。
「ああ!?なんだコラァ、ルカワ!!お!?コラァ!!」
「キンチョーをほぐそうとしている。大声出して」
「あっはっはっ。最初は誰だってそうよ!!」
「そうよ。慣れよ、慣れ」
痛いところをつかれたので、花道はいつものように流川につかみかかるが、流川は冷静に指摘をした。
「フン、バカめルカワ。しょせん中学レベルのくせに。リバウンドを制するものは、試合(ゲーム)を制すだ!!」
けど花道は、精一杯強がってみせた。
「ほう。そういえば赤木…。ゆうべは、遅くまで桜木にリバウンドを教えてたな。今日の桜木は、期待できそうか?」
「さあな…」
今の花道の言葉は、赤木の受け売りだった。
昨日の練習後、赤木は花道にリバウンドを教えており、その様子を木暮が見ていたので、木暮は赤木に聞いてみるが、赤木の口から出てきたのは、なんともそっけない返事だった。
「とにかく!!センドーはオレが倒す!!」
「あら!あんた、陵南のあのエースの仙道を知ってるの!?」
「さらにウオズミも倒す!」
「魚住も!!」
「アンタ、いつのまに対戦相手のことを…」
「フッフッフッ。この桜木の情報網を、甘く見ちゃ困りますな、魅真!!アヤコさん!!」
「へえ…。桜木のやつ、そこまでちゃんと相手のことを調べてたのか…!!あいつなりに一生懸命じゃないか。なあ赤木!!」
「どーだか」
1年生なのに、相手チーム選手のことを知っていたので、木暮はまたほめるが、やはり赤木は冷めていた。
そして更に数分後…。
「陵南高校前ーーーーー。陵南高校前ーーーーー」
電車は陵南高校前の駅についた。
扉が開いた時、湘北バスケ部が乗っていた車両が止まったところで待っていた乗客は、扉から顔が見えない赤木や、顔の半分も見えない花道や流川にぎょっとしていた。
「いくぞ!!」
陵南高校の最寄り駅で降りると、全員が気合の入った顔で、陵南高校まで向かっていった。
陵南高校前の駅から歩いて数分。彼らは陵南高校に着き、試合が行われる体育館まで行った。
「「「「「チューース!!!」」」」」
体育館に入ると、すでに練習をしている陵南高校バスケ部の部員達にあいさつをする。
「来た…!!湘北だ!!」
「赤木だ…。やっぱりでかいな…」
「流川だ…」
「おい、なんだあの赤いアタマは!!あれも部員か!?」
「ハッハッハッ。センドーはオレが倒す!!」
陵南バスケ部の部員達が、湘北バスケ部を見てざわついていると、いきなり花道が不躾な発言をしたので、陵南バスケ部の部員は驚き、赤木は花道の頭を殴った。
「バカモノが。礼儀をわきまえんか!!」
「……すぐなぐる!」
「花道が悪いんでしょーが」
どう見ても、花道の態度に問題があったのに、花道はそれをわかっていないようだった。
「何者だ、アイツは」
「仙道さんを倒すだって……!?」
自分達のとこのエースである仙道を倒すと宣言してきたので、当然彼らはざわつく。
「桜木さん!!」
そこへ、角刈り頭の背の低い男が、何やら親しげに、花道に声をかけながらやって来た。
「桜木さん。今日は、いい試合をしましょう!!」
「おーーーヒコイチ。ハッハッ。センドーはオレが倒す」
しかも、花道も相手のことを知ってるようで、あいさつになっていないあいさつをした。
「ん?」
花道と話している男は彦一といい、この陵南バスケ部の部員だった。
花道と話していた彦一だが、ふいに、花道の隣にいる魅真の方へ顔を向けると、目を見張る。
「何か…?」
知らない人物に、急に凝視されたので、魅真はふしぎに思い、彦一に話しかけた。
「いや……あんさん、どっかで会ったことあります?」
「へ…?」
彦一が頭を悩ませながら魅真に問うと、魅真は間のぬけた声を出した。
「いやーね。それ、口説き文句?」
「え?あ…いや…」
「そんな言葉にひっかかる女の子、いないと思うわよ」
「そ…そうですか。すんません。たぶん、わいのカンチガイですわ」
魅真の返しに、彦一はそれ以上強く出れず、頭を下げ、彦一が頭を下げると、魅真は彦一から離れた。
「なんだ、ヒコイチ。ひょっとして、愛の告白か?」
「ちゃいますて!けど、ほんまに、どっかで見たことがあるんや」
「ふーーん」
花道はからかうように彦一に指摘すると、彦一は否定するが、やはりどこかで見たことがある魅真の顔に、頭を悩ませた。
「安西先生!!申し訳ございません!!遠い所をわざわざ!!」
「イヤイヤ、近いよ」
一方で、安西のところへは、一人の男性があわてて走ってきた。
「おい彦一!!イスをお持ちしろ!!」
「は…はい!!」
安西のところに来た男は、彦一にイスを持ってくるように言い、彦一は男に言われると、即座に折りたたみ式のイスを持ってきた。
「バカ者。もっとデカいイスだ!!ハバのあるのを!!」
「は…はばですか!?」
「ホッホッ。まあまあ、田岡君」
言われた通りにイスを持ってきたのに、安西に田岡と呼ばれた男は、彦一の頭を殴りながらダメ出しをしたが、安西は気にした様子もなく、田岡をなだめた。
「本来ならこちらから伺うべきところを!!わざわざおこしいただいて、申し訳ありません、安西先生!!」
田岡はこの陵南高校バスケ部の監督で、安西に対してすごい腰が低く、ペコペコと頭をさげながら謝罪していた。
「なんだ!?湘北(ウチ)のオヤジはそんなにエライオヤジだったのか!?敵のオヤジがペコペコしてる!!」
「まあ、元全日本選手だって言ってたからね」
「スゴイ人だったんだな……!!」
普段の言動からは、とてもそうは見えないが、相手側の監督の態度で、相当にすごい人なのだということが、花道にもわかった。
「湘北の主将(キャプテン)赤木です。ヨロシクお願いします!!」
「おう、赤木くん!!ヨロシク!!」
そこへ、赤木が田岡の前までやって来て、あいさつをしながらあくしゅを交わした。
「ウチの魚住も、君を倒すことだけを目標に、ここまでやってきたようだ。まあ、胸を貸してやってくれ」
「……………」
「陵南主将(キャプテン)魚住です!!ヨロシクお願いします!!」
「ホッホッ。よろしく、魚住君」
「!!」
田岡がそう言うと、赤木の後ろでは、その魚住が、赤木と同じように、安西にあいさつをしていた。
あいさつをした後に、赤木の方へふり向いた魚住は、全体的に赤木と似たような風貌をしており、体格がよく、赤木よりも背が高かった。
「おお、あれがウオズミ!!」
「でっ…でかい!!」
「赤木さんよりでかいぞ!!」
「バカモノ!!いちいちうろたえるな。大したことねえ、あんなの!!」
「そ…そーかな…」
「あいつもオレが倒す!!」
「…………」
花道は魚住を目にすると闘志を燃やすが、他の1年生達は、魚住の大きさにうろたえており、流川はただジッと見ていた。
そんな中、赤木は魚住の前に歩いていき、手を差し出す。
「ヨロシク」
「…………」
あいさつをしながら、あくしゅを交わそうとしたのだ。
「オレが勝つ」
しかし魚住は、赤木の横を通りぬけながら、宣戦布告をして、あくしゅを交わすことはしなかった。
「生意気な…」
けど、赤木は大して気にする様子もなく、不敵な笑みを浮かべた。
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