#7 1年生対2・3年生 後編
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試合は続き、今は上級生側のオフェンスとなっており、木暮がシュートを打った。
しかし、シュートははずれ、赤木と流川がリバウンドをとろうとしていた。
わずかながら赤木の方が高かったが、リバウンドは流川がとった。
「流川君!!」
「ホーラ、気合入ってる!!」
「野郎!! (ハルコさんの前で、ヤツにいいかっこされてたまるか!!負けずぎらいかなんかしらねーが!!オレだって、負けずぎらいさじゃ負けねーぞ!?)」
流川の活躍に、晴子はうれしそうにするが、晴子がうれしそうにしたので、花道は腹を立てていた。
#7 1年生対2・3年生 後編
「ルカワを止めろーーーーーーっ!!つぶせ!!ホラ、そこだ!!」
しかし、負けずぎらいといっても、試合に出れない花道にできるのは、これが精一杯だった。
「そこだ、押せ!!」
けど、そんな汚いヤジをとばされても、流川は動じることなく安田をぬいた。
「殴れ!!」
そして、更に角田をぬく。
「最後の手段!!足ひっかけろ!!」
「ぜーーんぶファウルだ!」
とてもバスケの応援とは思えない汚いヤジに、彩子はハリセンで、花道の頭をたたく。
「12番プッシング!!フリースロー!!」
そのすぐ後に、潮崎がプッシングをしてしまったため、流川にフリースローが与えられた。
「みにくいヤジはやめなさい」
「アマイよ。もっとガーッと当たんなくちゃよ~」
「ガーッと当たったらファウルになるんだってば」
魅真と彩子は花道のヤジにあきれているが、それでも花道はブツブツと言っていた。
「今の…ファウルしなきゃ、完全にやられてたぜ。ナイスファウルだ、潮崎」
「だけど、あいつのリバウンド力と突破力は本物ですよ、木暮さん。まったく、どえらい奴が入ってきたもんだ」
潮崎が流川をほめると、晴子は表情が明るくなった。
「フッ。なにいってんだ、おまえら。このくらいやってもらわんと、こっちも張り合いがないわい」
「赤木さん」
「なーー流川」
「(む……)」
しかし、赤木は素直に認めたりはせず、流川を挑発する。
挑発され、何気に自分の方が上だと言われたので、流川は赤木を肩越しに見た。
「ツーショーッ!!」
流川はフリースローをうつために、フリースローラインの前に立ち、ボールを2回ついた。
「お…アヤコさん、なんすかこれは?」
「ん…。これはフリースローっていってね。さっきのように、シュート体勢に入ってる時にファウルされたりするともらえるのよ。フリースローだけは、だれにもジャマされずに打てるようになってるの」
彩子が花道に説明していると、流川はシュートを打ち、あたり前のように決める。
「きゃ…さすが…」
あたり前のように決めたので、晴子は頬を赤くして称賛した。
「なるほど…」
「「ん」」
「だれにもジャマされずにね………」
彩子に説明されると、花道は何かを企んでる目になった。
流川は1投目と同じように、ボールを床に2回つくと、シュートを打とうとした。
だが、その瞬間、花道は頭に日本の旗を3つつけて、自分の顔を、両手で横にひっぱって変顔をした。
その花道を見た、フリースローレーンに立っていた選手達はぎょっとしたが、流川は冷静なままシュートを打ち、表情も、眉一つ動かしていなかった。
しかも決まってしまったので、花道はショックをうける。
「(何考えてんだ、あのあほう…)」
その上、心の中でだが、バカにされる始末だった。
「(くそう…)」
「あんた、何考えてんのよ?」
「うるせえな…」
集中力を乱そうと思ってやったことだが、それが通じなかったので、さすがに花道もはずかしくなり、体を震わせて顔を赤くした。
「このたわけ!!そんなのは集中力のない奴にしか通じやしねーんだ!!おまえのよーなな!こっちまで恥ずかしくなるわい!!まったく」
「…………」
流川に冷ややかな目で見られ、魅真に軽く説教され、その上赤木にバカにされたので、花道は苛ついていた。
「ちきしょう。ルカワにばかり、いいかっこはさせねーぞ!!」
試合といっても、ほとんどが流川の独壇場で、流川が活躍するたびに晴子が喜ぶしで、ガマンできなくなった花道は、安西のもとへ歩いていく。
「オヤジオヤジ、カントクの権力で、オレを試合に出してくれよ」
「「あっ」」
花道は安西の肩に、なれなれしく手をおいて、試合に出してくれるよう頼んだ。
「なにをかくそう。オレは、あの赤木主将(キャプテン)に勝った男なんスよ。ルカワなんかより…」
「むむ…!!」
それだけでなく、あごの下の脂肪をリズミカルに下からたたくという、かなり失礼な行為をしていた。
どこからどう見ても、人にものを頼む態度ではなかったのもあり、彩子に再びハリセンでたたかれた。
「先生、スイマセン。この超問題児には、よくいってきかせますから!!」
「はっはっ。まあまあ、彩子君」
「(なんて心のひろい人だ…)」
普通なら、文句の一つも言いそうなものだが、逆に彩子をなだめたので、魅真はとても感心していた。
「ねえねえ、桜木君も1年生だから、1年生チームを応援しよ?」
「ハイ」
彩子にハリセンでたたかれて不機嫌そうだったが、晴子に話しかけられたとたんに、顔を赤くして頬が緩み、態度が180度変わったので、魅真と彩子はあきれていた。
「イ、イヤ!!それはダメ!!それだけは!!ルカワの応エンなど!!」
「ええー」
しかし、我にかえった花道は、晴子が言ったことを拒否した。
「もう…。桜木君と流川君て、どうしてあんなに仲悪いのかしら…」
「(あんたが原因よ、あんたが。ニブいわねー、このコは…。ボーっとして…)」
「(あんなに、花道にわかりやすい態度をとられてるのに、ここまでされても気づかないこもめずらしいな…)」
晴子は納得がいかなそうに頬をふくらませていたが、原因は、花道が好きな晴子が流川を好きだからなのだが、それに気づいてない晴子に、魅真と彩子はあきれていた。
そして花道は、先程のようにヤジをとばしたり妨害したりできないように、すみっこにつれていかれた。
「いい?あんたは、ここでしっかり見てんのよ!!人のプレイを見るのも、勉強のうちよ」
「そうよ。試合に早く出たいんなら、人の技をぬすんで、自分のものにしなさい。とにかく練習よ」
「(くそう。また人をこんなスミッコに…)」
花道はすみっこの方で、体育座りをして試合を見ていた。
「フン、まーいーや。オレは、あの主将(キャプテン)に勝った男だからな。そう!!いわば、タカミの見物ってとこだな!!へっへっ、そーだぜ。ルカワなんてメじゃねー!!へっへっ、そうそう」
自分に都合のいい解釈をして、一人でつぶやいている花道の姿は、傍目から見るとかなり痛々しいものがあったが、魅真も彩子も、そこにはふれないでいた。
コートでは赤木がパスをもらい、そのままシュートを打とうとした。
佐々岡が止めようとするも、身長差もジャンプ力の差もあり、止めることができなかったが、佐々岡の後ろで流川がジャンプをして、ボールをブロックした。
「!!」
「「「あっ!!」」」
赤木のシュートを流川がブロックしたので、花道も、安西も、魅真も、晴子も、彩子も、試合を観戦している全員が目を見張った。
ブロックされ、下に落ちたボールを桑田がとると、流川が自分に寄こすように声をかけ、桑田は言われるがままに、横に走ってきた流川にパスをした。
ボールをとると、流川は反対側のゴールへと、ドリブルをしながら走っていった。
早いスピードで、あっというまに前にいた安田をぬかし、ドリブルを使って体を半回転させ、潮崎をぬいていく。
その先にいた木暮は、ファウルしてでも止めてやると思っていたが、流川は木暮の目の前で止まり、顔を少しそらせると、木暮の足の間にボールをバウンドさせ、バウンドさせたボールをとると、そこからジャンプをしてダンクを決めた。
流川のプレイに、思わず立ちあがった花道は、目を見張った。
「(本物だ……!!流川楓…!!奴はまぎれもなく本物!!)」
それは花道だけでなく、赤木もで、赤木は流川の実力を本物だと確信した。
そして花道は、ほんの数秒の間だけだったが、流川のプレイに目を奪われていたことに、自分自身気づいていたのだった。
当然今のプレイで、親衛隊の三人は黄色い叫び声をあげ、感動の涙を流しながら喜んでいた。
しかし、またしても花道に閉められたので、扉をたたきながら文句を言っていた。
「(ちくしょうちくしょう…。ルカワめ…)」
流川が活躍したことが悔しい花道は、敵対心を燃やしていた。
「(はっ…。ハルコさん…)」
流川が活躍して親衛隊が叫んだということは、同じく流川を好きな晴子も、同じようになったのではないかと思った花道は、そーっと晴子の顔を見てみた。
「ああ!!」
思った通り、晴子も今の流川のプレイを見て、目がハートになって頬を赤くしており、もう今は、流川以外目に入らないといった感じになっていた。
「め、目がハートになっているう!!イヤな予感はこれだったのかーーっ!!」
「どーどー、花道!」
「お…おちつきなさい、桜木花道!!」
頭を抱えてなげいて暴れていると、魅真と彩子がなだめた。
「ハルコさん~」
花道は涙を流しながら晴子の頬を軽くたたき、目をさまさせようとするが、赤木に頭を殴られた。
「ウチの妹にさわるな」
「でえい。くそ!」
しかも、間に立たれて、ガードまでされてしまう。
晴子の目をさますことができなかった花道は、悔しそうな顔で目に涙を浮かべ、コートに歩いていく。
「コラおまえ、もう疲れただろ。オレと替われよ、お?」
「え…」
「なに脅してんだ、コラ!!」
コートに行くと、佐々岡のあごをつかみ、自分と交代するように脅していた。
「だしてくれ~ゴリ~~~~。オレもだしてくれ~~」
「泣くな!!」
赤木の方へふりむくと、今度は泣きながら頼みこんだ。
「赤木先輩、こういってるし出してあげたら?残り時間も少ないし。それにほら、これは1年生の力を見るためでしょ?桜木花道も、もうれっきとしたバスケ部員だし…」
「アヤコさん…」
「何事も経験ですよ。試合に出ることで、何かつかめるものもあるかもしれませんし」
「魅真…」
「少しくらいいいんじゃないか、赤木」
「メガネ君」
「木暮だ」
「コグレ君」
赤木は出すつもりはないようだったが、そこへ彩子、魅真、木暮が助け舟を出した。
その後で、花道は再び、佐々岡を脅すようにじーっと見た。
「あ…あの、ボク交替したいなー…なんて…」
「ちっ…」
無言の圧力に負けて佐々岡が挙手をすると、赤木は舌打ちをした。
「安西先生、あの男なんですが…」
ここまで言われては、何もしないわけにもいかず、赤木は安西に話をしに行った。
「まだバスケット始めたばかりですし、人間的にも少々問題がありまして…」
花道は赤木が頼んでいる後ろで、ボールハンドリングをして、安西に必死にアピールをしていた。
「ホッホッホッ!!おもしろそうじゃないですか。出してあげなさい、赤木君」
許可がおりると、花道の顔は明るくなった。
「おおっしゃ!!」
安西から許可が出たなら出さないわけにもいかず、花道は佐々岡と交替をして、ユニフォームをつけるとコートに入った。
花道がコートに入ると、流川と赤木は花道を見た。
「コラ!!おまえら、仲間だって事を忘れるな!!まったく」
しかし、流川の前までくると、流川にガンをとばして火花を散らせ、流川も同じように、花道にガンをとばして火花を散らしていた。
「はっはっ。おもしろそうなコンビじゃないか」
「…………」
と言いつつも、どこか不安がぬぐいきれず、顔がひきつっている木暮だった。
「はっ!!ああっ、桜木君がでてる!?」
「「…………」」
ここで正気に戻った晴子は、ようやく花道がコートに立っていることに気づき、魅真と彩子はあきれ顔で晴子を見た。
「さあ、残り2分。気合いれていくぞ!!」
「「「「おう!!」」」」
「おおっしゃあ!!」
花道がコートに立つと、試合は再開された。
「さあ、こいやあ!!」
初めての試合だが、ようやく出れるので、花道はドキドキしながらも、気合充分だった。
「おお。でかいのが二人になると、やっぱり威圧感がちがうな…!!」
「ああ!!」
潮崎と角田は、背が高い花道と流川がならんでいるので、二人の威圧感を感じていた。
「スゴイワ!!流川君と桜木君のコンビが、こんなに早く見られるなんて!!」
こんなにも早く、この二人のコンビが見れるので、晴子はわくわくしながら試合を見ていた。
「あっ、でも桜木君、まだバスケ始めて間もないから、ミスとかしないかしら…」
「そりゃするわよ。だけどまあ、残り時間も少ないし、ほとんど何もできずに終わるでしょ。経験よ、経験」
しかし、何もできないということはなかった。
潮崎から木暮にパスが出されたが、花道は持ち前の運動能力で、ボールをカットした。
「げっ!?」
「ナイスカット!!花道っ」
「桜木君!!」
活躍とまではいかないが、いきなり動けていたので、彩子も晴子も驚いていた。
その瞬発力に、石井と桑田は称賛し、安西も注目した。
ボールをとってうれしくなった花道は、ドリブルをしてゴールまで走っていく。
意外とスムーズなので、潮崎と安田は驚き、練習の成果が出ているので、花道はまたうれしくなった。
「基礎練習のたまものだわ!!」
「うわ…桜木君」
「よしっ。いけェ、花道!!」
花道の上達に驚いてるのは、潮崎と安田だけでなく、彩子と晴子、それに赤木もだった。
そこへ、花道の横に流川が走ってきて、ボールを渡すように左手をあげる。
桑田も流川にボールをパスするように言うが、花道はパスをせず、そのままドリブルをしていた。
なんでパスしないのかと思った桑田は、再度パスするように言うが、それでも花道はパスをせずにドリブルを続ける。
パスをしない花道に、流川は腹を立て、ワンマンプレイに走る花道に、赤木は自分が思った通りになったので、やっぱりと思うと、花道に怒鳴り、迎えうとうとしていた。
「花道…」
「ああ…桜木君…」
「まったくもう、あの子は…」
コートの外では、魅真も晴子も彩子もあきれていた。
目立って、晴子にいいところを見せようとしていることしか考えていない花道は、赤木の上からダンクを決めようと、ジャンプをした。
当然赤木は止めようとする。
だが、ダンクはリングではなく赤木の頭に決まり、赤木は床にたたきつけられた。
「げっ!!」
それを見た花道は、マズイと思い、大量の冷や汗をかいた。
「ゴリ…イヤ!赤木主将(キャプテン)…一つだけ言っておきたいことが…」
「………」
花道は赤木の横に立ち、声をかけるが、赤木からはなんの反応もなかった。
「ワザとじゃないよ」
「………」
もう一度話しかけるが、それでも反応はない。
「………」
「………」
なので、気絶しているかどうかを確かめるために、赤木の背中を、指の先でつついた。
「だーーーーこのクソガキャア!!」
「わっ」
すると、突然赤木が起き上がったので、花道は驚いた。
「キサマ、今度という今度は、もう許さんぞ!!」
「ぐあっ、ワ、ワザとじゃないっつってんだろ!!」
「いい気味だ」
「ぐあ。ルカワ、てめーーーっ!!」
あたり前だが、怒り心頭な赤木は、花道にヘッドロックをかました。
「やっぱり、出さない方がよかったかな、アイツ…。赤木の奴、先生がいることを完全に忘れてるぞ」
「どーもそうみたい」
「メチャクチャだ!!」
「やっぱこうなるのね」
魅真達は止めることはできないので、その様子を遠巻きに見ているだけだった。
「…………」
魅真以外の全員がおたおたとしているが、唯一安西だけは、その様子を見て、にっこりと笑っていた。
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