標的88 大空のアルコバレーノ
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「ニュ…。動いてる…」
「ユニが…自ら口をきいた…」
ブルーベルも正一も、ユニが動いたりしゃべったりと、ごくあたり前のことをしてることに、とても驚いていた。
「えーー!?あの娘(こ)が、ミルフィオーレのもう一人のボスーー!?」
そしてツナは、ブルーベルと正一とは、別の意味で驚いた。
「やはりお前のことだったんだな。でかくなったな、ユニ」
「はい。リボーンおじさま」
リボーンとユニは知りあいのようで、二人は笑いながらあいさつをした。
「!! リボーンの知り合い!?っていうか…おじさまーー!!?」
どう見ても赤ん坊のリボーンを、おじさまと呼んだので、ツナはまた驚く。
「この赤ん坊のことを、おじさまーー!?」
「うるせーぞ」
とてもではないが信じられず、リボーンを指さすと、リボーンはツナを黙らせるように、指をひねった。
「いっで~!!だ…誰だよ、あの子!?」
今ので指は赤く腫れあがるが、それでもリボーンに疑問をぶつける。
「オレの知り合いの孫だ」
「ま……孫ーー!?」
疑問に答えてくれたが、知りあいではなく、その孫だというので、ツナだけでなく、獄寺も驚いた。
「あ…首におしゃぶりさげてる…。赤ん坊でもないのに??」
今までに会った、おしゃぶりをさげていた人物は、全員赤ん坊だったのに、大人と変わらないユニがおしゃぶりをさげているので、ツナはまた疑問に思った。
「はじめまして。ボンゴレのみなさん」
ユニは首をやや傾け、満面の笑顔でツナ達にあいさつをした。
その笑顔に、獄寺、了平、ツナ、山本、ランボですら頬を赤くした。
特に恋をしたわけではないが、相手が自分達(ランボ以外)とあまり年齢が変わらない、年頃の女の子だから…というのもあるのかもしれない。
標的88 大空のアルコバレーノ
「あーー!ツナさん赤くなってるーー!」
ハルは、他の女の子の笑顔を見て、頬を赤くしたツナを見て腹を立てており、京子も気になっているようだった。
魅真は、そんなことはないとは思うが、まさかと思い、雲雀の方へ顔を向けると、雲雀はいつものように無表情だったので、ほっとした。
「ハハハッ。これは一本とられたよ。いやあ、びっくりしたなー」
話がひと段落ついたところで、白蘭がユニに話しかけてきた。
「すっかり顔色もよくなっちゃって、元気を取り戻したみたいだね。ユニちゃん♪」
「?」
「……病気でもしていたのか?」
「ちがうよ……。白蘭サンの手によって……魂を壊されていたんだ」
「!!」
「たっ、魂って!!」
「白蘭サンは、ブラックスペルの指揮権を手に入れるため、彼女を口利けぬ体にしたんだ…」
「人聞きの悪いこと言うなよ、正チャン。ユニちゃんが怖がりだから、精神安定剤をあげてただけだよ」
「いいや。あなたは、ブラックスペルの前身である、ジッリョネロファミリーのボスだったユニとの会談で、無理矢理劇薬を投与して、彼女を操り人形にしたんだ。そうだろ?ユニさん…」
「……」
ユニは何も答えなかったが、ユニのその顔と、白蘭のその不気味な笑みが、そうだと肯定していた。
「そ…そんな…」
初めて会った相手だし、ブラックスペルのボスだが、とんでもない話に、ツナは驚愕し、顔が青ざめる。
「でもその間、私の魂は、ずっと遠くへ避難していたので、無事でした」
「?」
「?」
「遠く…?」
ユニのその言葉に、白蘭とツナと桔梗は、どういうことかと疑問に思った。
「白蘭、あなたと同じように、私も他の世界へ翔べるようです」
「!!」
「!?」
「??」
けど、次にユニが言った言葉で、白蘭はどういう意味かわかったようだが、他の者はわからなかった。
「話を戻します。私は、ミルフィオーレファミリーブラックスペルのボスとして、ボンゴレとの再戦に賛成です」
まさか、ブラックスペルのボスがそんなことを言うとは思わず、ツナ達は呆然とする。
「あの約束は…白蘭と入江さんとの再戦の約束は、本当にあったからです」
「なんでそんなことわかんのよ!」
「元気一杯になってくれたのは嬉しいんだけどユニちゃん、僕の決断に、君が口出しをする権利はないな」
「!」
「僕が迷った時は相談するけど、君はあくまでナンバー2だ。全ての最終決定権は、僕にあるんだ」
「………」
「この話は終わりだよ」
「…そうですね…。わかりました……」
白蘭が、話を強制的に終わらせると、再戦に賛成と言っていたのに、あっさりと納得をし、白蘭が言ったことを受け入れた。
「では私は、ミルフィオーレファミリーを脱会します」
「「!」」
「!!」
それはつまり、白蘭の敵になるということだった。
ツナ達や白蘭が驚いていると、ユニはツナの前まで歩いてきた。
「沢田綱吉さん…。お願いがあります」
「え!?お…お願い…!?」
そして、ツナの前まで来ると、ツナに話しかける。
「私を守ってください」
ユニはツナを見上げ、お祈りする時のように手を組むと、ハタから聞くと、すごく図々しいことを頼んできた。
「え゙ぇーーーーー!!?」
まさか、脱会したとはいえ、ブラックスペルのボスに守ってほしいと言われるとは思わず、ツナは驚愕のあまり大声で叫び、魅真、獄寺、山本、了平、クロームも、驚きで目を丸くした。
「ま…守るって…。ブラックスペルのボスなんじゃ…!?」
当然、ツナは戸惑いをかくせず、すごく動揺していた。
「私だけじゃありません。この――」
驚くツナをよそに、ユニは話しながら懐を探った。
「仲間のおしゃぶりと共に」
懐から取り出したもの…それは、4つのおしゃぶりだった。
「!!」
「それって…アルコバレーノの!?」
「勝手に持ち出しちゃだめじゃない、ユニちゃん。それは僕の7³コレクションだ」
「ちがいます…。これは、私が預かったものです…。それにあなたが持っていても、それは7³とは言えません」
「ん?」
「なぜなら」
ユニがそう言うと、突然おしゃぶりから、目がくらむほどにまぶしい光が放たれた。
「!!」
「!!!」
「わあ」
その輝きに、正一は驚き、白蘭は目を見張り、ツナはまぶしさで片目をつむった。
「おしゃぶりは、魂なくしては、存在意義を示さないのです」
「…あんなに!あんなに輝くものなのか!?」
「ど…どうなってんの?何であの子が光らせられるの!?」
「………なるほど…」
ツナは疑問に思っていたが、白蘭は光を見ただけで、あることがわかる。
「そういうわけか!!すごいよユニちゃん!やればできるじゃない!!」
そして、いきなりユニを称賛した。
「やはり僕には、君が必要だ。さあ、仲直りしよう、ユニちゃん」
先程まで、ユニに冷たかったのに、突然目を輝かせ、ユニを求めた。
「こないで!」
「?」
しかしユニは、白蘭を拒絶する。
と同時に、おしゃぶりから放たれていた光は、段々小さくなっていった。
「もうあなたには、私達の魂を預けるわけにはいきません」
「♪」
拒絶されたが、それでも白蘭は、笑みを浮かべた。
「なーに勝手なこと言ってんの?それ持って逃げるんなら、世界の果てまで追いかけて、奪うだけだよ」
けど、次の瞬間には、とても冷たい目になる。
その冷徹な目が、本気だと言ってるのがわかったユニは、恐怖を感じた。
「さぁ、帰ろう。僕のところへ戻っておいで」
今言ったことを実行に移すように、白蘭はユニのもとへ歩いていき、距離をつめていく。
「ほら♪」
更に手を伸ばすと、ユニは顔が青くなり、顔を後ろにそらした。
「ツナ君!!助けてあげて!!」
「えっ。でっ、でも…」
ユニがピンチになると、京子はツナに助けを求めるが、京子の頼みにも、ツナはびびり、戸惑っていた。
だがその時、一つの銃声が響き、白蘭のそでに穴をあけた。
「あ!!リボーン!!」
それは、リボーンが銃を撃ったからだった。
「おじさま!」
「図にのんなよ、白蘭。てめーが、誰で、どんな状況だろうと、アルコバレーノのボスに手を出すんなら、オレが黙っちゃいねーぞ」
「えーーー!?あの娘(こ)、アルコバレーノのボスなのーー!?」
ブラックスペルのボスなだけでなく、アルコバレーノのボスでもあるというので、ツナは驚いた。
「ナイト気取りかい?"最強の赤ん坊(アルコバレーノ)"リボーン」
「白蘭様、ご安心ください。ユニ様は、我々がすぐにお連れします」
桔梗のその言葉が合図となり、桔梗、ザクロ、トリカブトは、空中に飛んだ。
「ハハン」
空中に飛ぶなり、桔梗はたくさんの炎をまとった植物のつるを、罰点を描くように投げた。
だが、そこへスクアーロの火薬がとんできて、植物のつるにあたると爆発し、相殺した。
「!!」
「ゔお゙ぉいっ!!てめーの相手はオレだぁ!暴れたくてウズウズしてんだぁ!!」
「じゃまだよ」
スクアーロはユニの前に出て剣を構えており、見るからにやる気満々だが、隣に立っている雲雀は、スクアーロをどかすように、トンファーの先で、スクアーロの右腕を押した。
「スクアーロに……ヒバリさん!!」
雲雀とスクアーロが前に出てきたので、ツナは顔を青くし、魅真も戦う気満々な雲雀を見て、目を丸くした。
「んだ、てめーは!?」
「僕の獲物だ」
「ハハン。懲りない連中だ」
「ちょっ…みんな!!どうする気~~!?」
ツナはまごまごして頭を抱えていたが、スクアーロはすでに参戦しており、雲雀もやる気満々だった。
「きなよ」
「ハハン。いいでしょう」
雲雀、スクアーロ、桔梗、ザクロ、トリカブトは、お互いに睨みあい、今にもぶつかりあいそうだった。
そこへ魅真が走ってきて、雲雀の隣に来ると、匣を開匣して、薙刀を取り出した。
「!!」
「おや、あなたもやりますか」
魅真が隣に来たことに、雲雀は驚いて、目を大きく見開くが、桔梗は大歓迎といった様子だった。
「なにげにみんな闘う気になってるーー!!」
嫌な展開になってきたので、ツナは顔を青くして、絶叫した。
「まあ、落ちつこうよ、桔梗ちゃん。ユニちゃんは、病気でずっと眠っていたも同然だったんだ。急に目覚めて、気が動転してるんだよ」
「ハッ、白蘭様」
白蘭がらしくないことを言うと、桔梗は指示に従った。
「じゃあこうしよう、ユニちゃん」
「!」
「チョイスに勝利して、僕がもらえるはずの7³は、手に入れるまでに、とても苦労したし、すごく大事な物だよ。でも、もしユニちゃんが、ミルフィオーレに帰ってきてくれるんなら、ボンゴレリングは、ボンゴレファミリーに返してあげてもいい」
「!!」
「!!」
「え!?で…でも白蘭て、ボンゴレリング、メチャクチャ欲しがってたんじゃ!!」
あんなに欲しがっていたのに、白蘭がボンゴレリングを手に入れる権利を手放すというので、獄寺と山本は驚き、ツナは困惑した。
「(今はユニだ…。何としても、魂の戻った、あのユニが欲しい…。リングはその後だ…)」
だが、それはボンゴレリングをあきらめたわけではなく、後回しにして、ユニを手に入れるのを最優先としただけだった。
「(どうしたんだ!?おしゃぶりの光を見てから白蘭さんの態度がかわった…)」
けど、ユニがおしゃぶりを光らせることができた意味を知らない正一は、白蘭がボンゴレリングを返すと言ったことに、疑問を抱いた。
「白蘭、なぜあなたが、私を欲しているかはわかっています」
「?」
「?」
「?」
ツナやリボーンや正一にはわからなかったが、ユニには白蘭の心がわかっていた。
「わかっているからこそ、あなたの元へ帰るわけにはいきません」
「ふうん」
ユニが拒絶すると、とたんに白蘭の目が、冷たく、鋭くなる。
「じゃあ、やっぱり、ボンゴレリングは僕らのものだ。ユニちゃんが逃げ込もうとしてる連中に、ミスミス武器を渡すつもりはない。っといっても…かんじんの白馬の王子は、ユニちゃんの願いにビビってるけどね」
「い゙っ」
名前で呼んではいないが、自分のことだとわかったツナは、ドキッとした。
「ボンゴレリングは、あなたのものじゃないです。白蘭」
「ん?」
「おしゃぶりは、アルコバレーノのもの。ボンゴレリングは、ボンゴレファミリーのもの。それは、真理です。なのにあなたは、7³を手っ取り早く、安全に手に入れるために、無理矢理チョイスを開催し、7³を賞品にしました。私の魂があるかぎり、7³の一角をになう、大空のアルコバレーノとして、それは許しません。すなわち、7³争奪戦は認めません。チョイスは無効とします!!」
「む…無効!!」
「…って…」
「ボンゴレリングを渡さなくていいです!」
「プ。ハハハ!!」
ユニが強引に決定をすると、突然白蘭は笑い出す。
「確かに、大空のアルコバレーノには、7³の運用について特権が与えられているらしいけど、僕を怒らせるのはどうかと思うな。ボスのユニちゃんが裏切ったとして…残されたブラックスペルが、どうなってもいいのかい?」
「!!」
「まあ、奴らはユニちゃんにゾッコンみたいだから、煮られようが焼かれようが、大喜びかもしれないけどね」
白蘭に、ブラックスペルを人質にとられると、ユニの脳裏には、γ達ブラックスペルの顔が思い浮かんだ。
「な。それって…人質ってこと!?」
「………みんなは……」
白蘭の問いに、ユニは少しだけ間をあけると、静かに口を開く。
「わかってくれます」
それは、仲間を見捨てるということ…。ブラックスペルがどうなってもかまわないということだった。
けど、言葉とは裏腹に、ユニの顔は苦渋の色を浮かべていた。
「え。でも、それって……!!仲間を見殺しに…!?」
白蘭が人質をとったことにもだが、ユニが仲間のブラックスペルを見捨てることにも、ツナは驚く。
「あとはお前だけだぞ、ツナ」
「え!?」
「ユニに守ってほしいと頼まれたのはお前だ。どうするんだ?」
「だ…だって…この子の仲間が…」
ユニを守るというのは、それはつまり、ブラックスペルが殺されてしまうということなので、ツナは迷っていた。
「!!」
だが、ユニの方へ顔を向けると、目を大きく見開く。
「(…あの目……この子…)」
それは、ユニの目を見たからだった。
「(覚悟してる…。こうなるって、わかってたんだ…)」
ユニはブラックスペルのボスなので、白蘭を裏切ればどうなるのか、当然わかっていた。わかっていて脱会すると言っていた。その覚悟を、ユニの目を見ただけで、ツナは理解したのだった。
そしてツナは、顔を青くしながらも、唇を強く噛みしめると、ユニの腕をつかんだ。
「くるんだ!!オレ達と一緒に!!」
腕をつかまれると、ユニは目から涙をこぼしながら、ツナの方へふり向いた。
「みんな!!この子を守ろう!!」
ツナは魅真達の方を向いて、ユニを守るよう声をかけた。
「ツナ君!!」
「ツナさん!!」
「わかったわ!!」
「よし!!よく言ったぞ!!」
「ああ」
「ハイッ」
ボンゴレ側は、一部をのぞいて全員顔が明るくなり、リボーンはニッと笑っていた。
「ありがとうございます」
「え、いや…」
「あーー。またツナさん赤くなってる!!」
ユニに笑顔でお礼を言われると、ツナはまた顔を赤くし、ハルは怒った。
「白蘭様、ユニ様をつれ戻すための、攻撃許可を」
「……うん」
桔梗に許可を求められると、白蘭は冷たく鋭い目で、静かにうなずいた。
その直後、スクアーロの火薬がとんできて、桔梗達の前で爆発した。
「!!」
「ぐっ」
目の前で爆発したが、それでも桔梗達にケガはなかった。
けど、息つくひまもなく、爆発で起こった煙の中から、雨の炎をまとったサメが現れた。
「そうこなくちゃなあ!!」
「ちっ」
それはスクアーロの匣兵器で、サメと一緒に、スクアーロも剣を十字に斬って攻撃するが、桔梗達はその攻撃もよけた。
下の方では、先をこされたので、雲雀は不機嫌そうにしていた。
「シャケ!!」
「サメです!」
「スクアーロ!!」
「奴は時間をかせぐ気だ。ツナ、ここはいったん退いて、態勢を立て直した方がいい!」
ディーノは、いつ真6弔花が襲ってきてもいいようにムチを構え、ツナに退くように言った。
「えーー!?退くっていっても…。ここどこまでいってもビルなんじゃ!?」
「でしたら、みなさんをここへ運んだ、超炎リング転送システムが、近くにきてるはずです」
「え!?並盛からワープしてきた?」
「本当だ…。ボンゴレ基地上空に、金属反応がある」
「スパナ!!無事だったんだね」
「ん」
ユニが、超炎リング転送システムのことを言うと、山本にかつがれているスパナが、持っていたパソコンで、金属反応を探知した。
ツナはツナで、今更ながら、スパナの存在に気づく。
「転送システムを使えば、並盛町に帰れそうだな」
転送システムのことを聞くと、リボーンはいい顔で笑う。
一方、雲雀の隣にいる魅真は、戦うため、薙刀に炎を灯そうとした。
だが、隣にいた雲雀は、上にいる桔梗達を見ながら、魅真の肩をつきとばした。
「あっ…」
魅真はつきとばされた勢いで、地面に倒れてしまった。
「雲雀さん……」
つきとばされたことがショックで、魅真は顔が真っ青になり、雲雀を見るが、雲雀はいっさい魅真を見ようとはしなかったし、何もしゃべることはなかった。
すぐ近くでは、獄寺が、鋭い目で雲雀を見ていた。
「跳ね馬……」
「なんだ?」
「そこに倒れてるの、さっさとつれてってよ」
それでも雲雀は気にも止めず、ディーノに背中を向けたまま話しかけ、魅真をつれて離れるように言う。
そのことにも、魅真はショックを受けた。名前は呼んでくれないし、つきはなすし、つきとばされるし、会話もしてくれないし、足手まとい扱いされるしで、今にも泣きそうだった。
「……でないと…思いっきり暴れられない…」
けど、ディーノは雲雀が言わんとしていることがわかったので、ニッと笑う。
「魅真、いくぞ」
そして、魅真のもとまで行くと、魅真の腕をつかんで立たせた。
「え……。でも…ディーノさ……」
「いいから。恭弥は大丈夫だ。今は逃げることが先決だ」
つきはなされても、それでも雲雀を心配して残ろうとするが、ディーノは魅真を、強制的に雲雀から離して、基地ユニットへ連れて行こうとした。
「お゙ぉい!!」
「おっと」
上の方では、スクアーロが桔梗に向かって剣をふるが、桔梗はあっさりとよける。
「そうはいきません」
そして、ツナ達を止めるべく、ツナ達に両手で植物のつるを複数投げるが、今度は、獄寺のSISTEMAC.A.I.の盾に防がれた。
「!!」
「今度はぜってー止めてやるぜ」
先程のチョイスでは失敗したので、今度こそはとはりきる獄寺に、雲雀はまたしても先をこされたので、不機嫌になった。
「10代目!!今のうちに転送システムへ!!」
「わっ、わかった!!」
獄寺に促されると、ツナはうなずいた。
「ごめん獄寺君!!いこう、みんな!!」
ツナは獄寺に礼を言うと、他のみんなと一緒に走りだし、基地ユニットがある方へ向かっていった。
「いくぞ、魅真!!」
「でも……」
「いいから!!」
けど、魅真がまだ残ろうとしていたので、ディーノは強制的にひっぱっていき、基地ユニットへと走り出す。
力ではディーノに敵わないので、魅真は雲雀から離された。
こうなっては走るしかないので、ディーノに腕をひっぱられ、後ろ髪を引かれるように、雲雀に顔を向けながら走っていく。
「雲雀さんっ!!」
「……………」
先程つきとばされたが、それでも雲雀が心配なので、雲雀の名前を呼ぶが、雲雀は反応せず、ふり返ることもなかった。
「ニュニュウ~。なーにやってんのかしら、桔梗」
「バーロー。まどろっこしいビュンビュン草なんかじゃなくて、ここは一発よお!」
ザクロはリングに炎を灯し、何か大きな技を出そうとしていた。
「それは強すぎます、ザクロ。ユニ様に傷がつくことを、白蘭様は望んでいない」
「!!」
そこを桔梗に止められ、白蘭を見てみると、野心に満ちた鋭い目をしていた。
「わかりましたよ」
その目を見て納得したザクロは、口もとに笑みを浮かべる。
「よそ見すんなぁ!!」
「なっ、あぶねーな!!バーロー!!」
そこへスクアーロが斬りかかってきたが、ザクロと桔梗は分断するようによけた。
その頃ツナ達は、ビルの角をまがり、基地ユニットにたどりついた。
「入江は重傷だ!!極限に慎重に運べよ!!」
「はい!」
基地ユニットの前では、了平とバジルが、正一をストレッチャーにのせていた。
「見て!!転送システムよ!!あれに炎をぶつければ!!」
了平とバジルの前では、ビアンキが、上空に転送システムをみつけた。
「非戦闘員は中に入れ。基地の中は、アルコバレーノ用に非7³線対策もしてある」
「はい!」
「獄寺君達は…」
ツナは基地ユニットの前まで来ると、まだむこう側に残っている獄寺達を心配して、後ろへふり向いた。
「あっ」
「来ました!!」
ツナが後ろへふり向くとほぼ同時に、基地ユニットの中に入った京子とハルが、獄寺達の姿を確認した。
「よぉし!!出せぇ!!」
匣兵器のサメの上に立ったスクアーロが、基地ユニットの方へやって来て、転送システムを使うように指示を出した。
「やったんだね!獄寺君!!」
「オレじゃねーっス」
「?」
ツナは獄寺がやったのかと思ったが、スクアーロの後ろにすわっている獄寺が否定をした。
その獄寺の後ろには雲雀がすわっており、雲ハリネズミも、サメと同じ速度で、雲雀の後ろに浮いて進んでいた。
「ヒバリのバリネズミのトゲが増殖して、足止めしてるんス」
雲ハリネズミが匣から出ていたのは、そういう理由からだった。
先程まで雲雀達がいた場所では、真6弔花が、雲ハリネズミが増殖させた球針態で止められ、身動きがとれなくなっていた。
「ボス!」
「あっ」
「!!」
「白蘭!!」
だが、真6弔花を止めたはいいが、雲雀達が基地ユニットの前まで来た時、今度は白蘭自ら、足に炎を灯して飛んで追ってきた。
「ひいっ。あいつ!!」
「(なんて執念だぁ…)」
「お前達は先に行け。今度はオレが時間をかせぐ」
「でも、ディーノさんだけとり残されちゃうんじゃ!!」
「誰かがやんねーとな……。真6弔花もすぐ来るぜ!行け!」
「!?」
白蘭がすぐそこまでせまってきているし、真6弔花もすぐに来てしまうだろうから、ディーノはムチを構えて、ツナに先に行くように促していると、突然クロームが持つ槍から、霧の炎が放たれた。
「誰が相手だろうと、僕を止めることはできないよ!」
ツナとディーノの会話が聞こえていた白蘭は、余裕の笑みを浮かべ、どんどん近づいてきた。
「あっ」
一方、霧の炎が放たれた槍は、クロームがにぎっている部分を残して、どんどんひろがっていく。
「! (この感じ!!)」
その時、ツナは覚えのある気配を感じとった。
「クフフフフ…。それはどうでしょうねえ」
そして、再び槍が形づくられて、黒い革手袋をつけた、武骨な男性の手が槍をとり、独特の笑い声で笑った後、目が開かれる。
右目は赤く、「六」の数字が刻まれていた。
「僕に限って」
そこに現れたのは、骸だった。
「!!」
「……骸様」
骸の姿を見た、魅真、ツナ、雲雀、クローム、白蘭は、驚きのあまり、目を大きく見開いた。
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