標的86 チョイスバトル
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「ヘルリング!!」
ヘルリングから出た霧の炎が幻騎士を包みこむと、幻騎士は、以前メローネ基地でツナと戦った時のような、牛のツノのような兜に、ミルフィオーレの隊服を模した西洋風の鎧をまとい、本人は骸骨のような見た目になった。
「「キャアッ」」
「あれが、ヘルリングの戦力倍加!!」
「メローネ基地で、私や武君が戦った時と、見た目が全然違う…」
ヘルリングを使った幻騎士は知らないので、魅真は目を見張る。
幻騎士は、ヘルリングで戦力倍加すると、急におかしくなり、ベラベラと話しはじめた。
なぜ、これほどの力をもつ自分を認めてくれないのかと、なぜ自分の方が優れているのに、トリカブトが霧の真6弔花なのかと…。白蘭を守る霧の守護者は、誰よりも自分が適任なのだと、呪いのように叫びはじめた。
「何だ奴は?急にベラベラ話しだしたぞ!!」
それは、ヘルリングに精神を喰われて、理性を失っているからだった。
怒りを露わにした幻騎士は、虫のいどころが悪いので、ギッタギタにぶっ殺してやると山本に宣言し、更には、以前ツナに負けたのは実力ではなく、あの時はツナの瞳(め)に惑わされて力の半分も出していないとまで話した。
「まんざら、ウソじゃねーぞ。あん時の幻騎士は、明らかに動きがおかしかったからな」
「ということは、沢田殿が戦った時の幻騎士より、レベルが上…」
それはリボーンも認めていた。
だが、山本は意にも介さず、不敵な笑みを浮かべた。
そのことに、幻騎士はますます腹を立てて、攻撃の構えをとった。
幻騎士が攻撃をしてくる前に、山本が次郎を匣に戻すと、その直後に、幻騎士は幻剣舞(ダンツァ・スペットロ・スパダ)という、三日月の刃をいくつも放つ技と一緒に、幻覚のミサイルも放った。
「何て剣撃だ!!しかも、幻覚のミサイルまで!!」
よけるのが難しい、広範囲の技だが、山本は冷静で、左手に持っている3本の小刀に雨の炎を灯し、時雨蒼燕流守式四の型 五風十雨という技を出して、幻騎士の技を、目にも止まらぬ速さでよけていた。
「山本さんが消えた!!」
「いや、超高速でかわしている」
「五風十雨は、敵の呼吸に合わせて剣をかわす回避奥義だ。それにボンゴレ匣の推進力が足されたんだ。当たるものかぁ」
山本は攻撃をすべてかわしていたが、幻騎士は10人に分裂すると、今度は、究極幻剣舞(エクストラ・ダンツァ・スペットロ・スパダ)という技を出す。
それは、ビルすらも破壊してしまうほどの大きさと威力だったが、山本は攻撃をよけていた。
「なんという!」
「炎エネルギーのかたまりだ!!」
「(いまだ、カス!!)」
了平とバジルは幻騎士の技に驚いた。
そして、スクアーロが心の中で山本に合図を出すと、山本はそれに答えるかのように、時雨蒼燕流総集奥義を出そうとした。
「総集?」
「すべての…まとめだな」
目の前には、幻騎士の技の剣撃とミサイルが、網のようにはりめぐらされているというのに、山本はつっこんでいった。
「つっ込む気か!!」
自殺行為ともいえるこの行動に、了平はまた驚く。
けど、山本はおかまいなしにつっこんでいき、時雨之化という技を出した。
長刀から放たれた雨の炎は、幻騎士の技のすべての剣撃とすべてのミサイルにあたった。
「攻撃が…止まった!?」
「いいや、よく見ると、スローモーションのように、限りなく動きが抑制されている。…なるほどな」
「雨の"鎮静"の炎を、剣撃と幻覚すべてにぶつけて、攻撃そのものの動きを、停止に近づけたんだな」
「ですが、いくら匣兵器が優れていても、すべてに当てるなど…」
「何言ってんの?」
「!?」
「あれが、山本武だよ」
幻騎士は、出した技がすべて停止に近い状態になり、山本が見えなくなったので、更に腹を立てて剣をふるが、自分自身が出した剣撃が邪魔になっており、分裂していてはパワーが足りないので、1人に戻った。
そして山本は、刀を構えながら、3本の小刀を使って、幻騎士に向かって、真正面からまっすぐつっこんでいく。
自分の方へ向かってくる山本は速かったが、それは、山本が速いのではなく、自分の動きが鈍いのだとわかり、更には剣撃をつたって、雨の炎が幻騎士の足にふれた。
その頃には、山本は目の前まで来ており、時雨蒼燕流攻式八の型 篠突く雨を出した。
幻騎士は今の攻撃で倒され、力なく下に落ちていき、幻騎士が倒されたことで、幻騎士の技も消えた。
「おお!!」
「やったあ。武君!!」
「やったな」
「山本も、確実にメローネ基地ん時より、パワーアップしてんな」
幻騎士が倒れて地面に落ちると、小次郎は分離して、刀は時雨金時に戻った。
その時、下から幻騎士の疑問の声があがった。ツナだけでなく、山本も、何故、トドメをささないのかと…。
その疑問に山本は、オレ達は人殺しじゃないからと答えた。
「(ったく、あのカス!!)」
山本の答えに、ツナは笑っていたが、スクアーロは納得できず、腹を立てていた。
幻騎士は、倒されはしたが、まだ戦う気力があり、後悔すると、白蘭のために、いずれ必ず目的は遂行すると、執念を見せた。
それでも山本は、望むところだと笑っていた。
その時、通信で桔梗が話しかけてきて、幻騎士のことを語りだした。白蘭がもっとも頼りにする男だと…。
桔梗の話を幻騎士は肯定し、白蘭は全てを見通しているので、だから自分に奇跡を与えた。誰よりも、自分を奇跡に値する人間として信頼しているのだと話した。
すると、幻騎士の体から、突然植物のつるが出てきた。それも、一本だけでなく、何本も…。
それは、雲属性の炎をまとった、桔梗の葉だった。桔梗の技の一つ、雲桔梗(カンパヌラ・ディ・ヌーヴォラ)で、白蘭の命で鎧に仕込んでおいたのだという…。
幻騎士は驚愕したが、桔梗の言うことを否定した。
だが桔梗は、それを否定し、白蘭の考えで、猿として扱う時から指示されていたと話す。
けど、それでも幻騎士は否定し、白蘭と話したいので通信をつなぐように叫ぶが、そこへ、チェルベッロが山本の前に飛んできて、幻騎士の要求を拒否した。
桔梗は続けて、白蘭の捨て駒にすぎないと話すが、それでも幻騎士は否定した。
自分を絶望の淵から…死の恐怖から救ってくれた白蘭が、桔梗に自分を消すように指示していたなど、信じられなかったのだ。
数年前、幻騎士はある国まで来ていたが、ワクチンのない不治の病にかかり、全身に包帯を巻かれ、白いベッドには、幻騎士の全身からにじみ出ている血でそまっていた。
そこへ、防菌スーツを着なきゃいけない、隔離された部屋に、白蘭がやって来て、そこにいた二人の医師を剣で刺して殺すと、幻騎士に話しかけた。幻騎士の弱っている心につけこむように……。
その後白蘭は、幻騎士の病を治すと、姿を消した。病を治してくれた白蘭を、幻騎士は神とあがめ、力の全てをささげることを誓った。
なので、見捨てるはずはないと思ったが、無情にも、桔梗の花はどんどん成長していき、大きくなって幻騎士の体を蝕み、花まで咲かせた。
嫌な音をたてて成長する雲桔梗に、幻騎士は悲鳴をあげる。山本が話しかけるが、返事はなかった。
そして、その悲惨な光景を、京子、ハル、裏世界に身を置くビアンキですら、呆然として画面を見ており、京子とハルは恐怖して、顔が青ざめていた。
「毒サソリ。何か飲みたい…」
「…!」
そこへディーノが、京子とハルに、この悲惨な光景をこれ以上見せないようにと、2人の前に立った。
「オーケー!向こうに冷蔵庫があったわ。行きましょう!」
ディーノの意図を理解したビアンキは、京子とハルの頭を自分の体の方によせ、なるべく画面が見えないようにした。
幻騎士に仕込まれた雲桔梗は、更に成長していき、つるは長く太くなった。それは真実だというのに、それでも幻騎士は、桔梗が言うことを認めようとせず、すべては桔梗の図りごとなのだと叫んだ。
そして、白蘭はまた自分を救ってくれる。自分こそが、白蘭の最も忠実な僕なのだと叫ぶが、純粋すぎるので、これには桔梗も、哀れみを抱いた。
その時、更に太くなったつるに、幻騎士は苦しみ、口から血を吐きだした。
しかし、自分には神がついているのだと、おだやかな笑みを浮かべ、山本が駆けつけようとした時に、全身から血しぶきをあげて、散っていった。
この時、山本は呆然とし、リボーンとディーノは暗い影を落とし、雲雀は眉ひとつ動かさないが、魅真、了平、バジルは、この悲惨な光景に恐怖し、顔は青ざめ、体が震えていた。
雲雀は平然として画面を見ていたが、魅真の方に顔を向けた。体を震わせ、顔に恐怖の色を浮かべる魅真に、雲雀は手を伸ばそうとしたが、腰のあたりまであげたところで止めて、再び画面に顔を向けると、手を下におろした。
幻騎士が亡くなると山本は幻騎士の名を叫び、この悲惨な事態を知り、ツナは驚愕し、獄寺もあまりいい顔はしていなかった。
けどツナは、正一に、これが白蘭の正体だと言われると、勝とうと小さくつぶやいた後、白蘭がみんなをひどい目に遭わせているのはまちがいないと言った。
ツナが言ったことにリボーンはニッと笑い、正一は一気にたたみかけようと指示を出した。
この戦いは、標的を先に倒せば勝ちだった。正一は現在の状況を確認する意味で、ボンゴレとミルフィオーレの参加メンバーの数の把握と、桔梗が今どういう状況なのかを伝えた。
「これなら!」
「勝てるかも…」
「大チャンスだな」
ボンゴレ側は一人も倒されておらず、桔梗はまだ囮に翻弄されて正一をみつけることができていないので、参加していない魅真達も、戦いに勝てると思い、リボーンは目が光った。
状況確認をした正一は、獄寺は守備を続行し、ツナと山本で一気に空中から敵ターゲットを撃破するように指示する。
正一から指示が入ると、ツナはハイパー化して空を飛び、山本はそのまま空を飛んで、2人は敵のユニットに向かい、獄寺はその場に残った。
だが、飛んでいる途中で、ツナはさっきから同じ場所をぐるぐると回っていることに気づく。だが、「気がする」なので、確信はなかった。
一方山本は、ミルフィオーレの基地ユニットまで、あと数十メートルといったところで、正一に攻撃していいかどうか聞くが、ツナのコンタクトの調子がおかしいので、修復するまで待機するように指示を出すと、山本はその指示に従って、その場で止まった。
だが、スパナに囮が次々と破壊されていることを報告されると、桔梗の仕業だとわかり、嫌な感じがするので、やはり攻撃するように山本に指示を出すと、山本は再び、ミルフィオーレの基地ユニットへ飛んでいき、右手に持っている刀を、小刀から時雨金時に持ちかえて、刀に変化させ、炎を灯した。
同じ頃、ボンゴレの基地ユニットでは、スパナが囮が残り3つになったのと、桔梗との距離が2kmを切ったのを確認した。
正一が獄寺に、桔梗が防衛ラインを越えて攻めてくると報告をするが、獄寺には、すでに爆発が見えていた。
そして、桔梗を足止めするよう指示するが、獄寺はわかっており、一歩も通さずに倒すと宣言した。
だが、目の前にいる桔梗は、急に消えたと思ったら、いきなり獄寺の目の前に現れた。消えたのではなく、すごい速さで移動していただけだった。
桔梗は獄寺に近づくと、手刀で獄寺を攻撃するが、獄寺は後ろに跳んでよけて、ボンゴレ匣を開匣する。
開匣すると、瓜がとびだし、腰にはSISTEMAC.A.Iの匣がついたベルトが装着された。
獄寺と瓜は後ろにさがるが、桔梗は獄寺を追いかけてきて、瓜を手刀ではじきとばした。
「よそ見すんなぁ!!」
瓜がはじきとばされたことで、獄寺が顔を瓜の方へ向けたので、スクアーロは画面ごしに注意をする。
瓜をはじきとばした桔梗は、そのままリングを光らせると、リングをつけた方の手で、手刀で獄寺を攻撃しようとするが、獄寺は腕でガードして、そのまま後ろに倒れ、仰向けになると、桔梗の腹を蹴りあげるが、桔梗は宙で回転すると、足に炎を灯して宙に浮いた。
そこへ、瓜が獄寺のもとへ歩いてきて、鼻が赤くなっているが、とりあえずは無事のようだった。
獄寺は瓜をほめながら手を出すが、瓜は獄寺の手に噛みつくという、いつものパターンになった。
けど、気をとりなおして、桔梗を鋭い目で見ると、ここは通さないと宣言するが、桔梗は標的の正一のもとへ向かうと宣言をした。
獄寺は5つのリングに、嵐、雷、雲、晴、雨の5つの属性の炎を灯し、NewSISTEMA C.A.I.の匣を開匣しようとしたが、桔梗の植物のつるで匣をがんじがらめにされ、開かないようにされてしまう。
「何かが匣をふさいでる!!あれでは開匣できない!!」
「獄寺のボンゴレ匣は、SISTEMA C.A.I.の延長線上にあるんだ。あれじゃ、ボンゴレ匣を封じられたも同じだ」
獄寺の匣を封じると、桔梗は獄寺のもとを去って、正一のもとへ飛んでいった。獄寺はくやしそうに叫び、正一に謝るが、正一はツナのナビが直ったので大丈夫だと、少し焦った顔で返した。
その時、ツナから通信がきて、ナビが壊れたのではなく、トリカブトの幻覚空間の中にいるのだと告げられる。
一方山本は、ミルフィオーレの基地ユニットのすぐ目の前までせまって来ており、炎を灯した刀をふるが、基地ユニットにはバリアがほどこされていたので、それ以上進むことができなかった。
「!!」
「!!」
「バリアか!!」
そのバリアは、山本が何度か刀で攻撃しても壊れないほどに固く、破壊できないほどだった。
一方、ボンゴレの基地ユニットでは、桔梗が接近してきたが、基地ユニットの手前の両側のビルに、小さな四角いロボットを使って取りつけた、迎撃用のレーザートラップを発射して、撃退しようとした。
だが、桔梗は炎のバリアで防ぎ、更には、両手に出した植物のつるを四方八方に投げて、レーザートラップをすべて破壊してしまった。
あっさりと破壊されてしまったが、少しでも時間をかせぐため、基地に備わっているキャタピラを出して、基地を走行させた。
その時ツナから通信が入り、ツナと正一はお互いに現状を報告しあった。ツナはトリカブトの幻覚空間を脱出できず、それを聞いた正一は、悔しそうに機械をたたいた。
そうこうしているうちに、桔梗が距離を詰めていた。
「マズイ!!」
「リングも匣兵器もない入江さん達では…!!」
絶体絶命のピンチかと思われたが、その時、たくさんのダイナマイトがとんできて、桔梗の後ろで爆発した。
それはロケットボムで、放ったのは、もちろんバイクで追いかけてきた獄寺だった。
「おおっ、タコヘッド!!」
「ロケットボムで!?」
だが、桔梗にケガはなく、余裕の笑みを浮かべて、炎をまとった植物のつるを獄寺に投げた。
植物のつるはバイクにあたると爆発し、桔梗は続いて、基地ユニットに植物のつるを投げて、基地ユニットの一部を破壊した。
爆発が起こった衝撃で、キャタピラの一部が破壊され、基地ユニットは大きく傾くと、その勢いのまま、目の前にあるビルにつっこみ、停止した。
「ああ」
「な…!!」
中では、スパナは頭から血を流して気絶してしまったが、なんとか無事で、正一もボロボロの状態だったが無事で、スパナと違い、意識を失っていなかった。
そして、正一はスパナをこれ以上危険な状況にさらさないために、基地ユニットから出て、走って桔梗から逃げだした。
「!!」
「正一さん!?」
「走る気!?」
ツナと山本はおらず、獄寺もどうなったかわからない。戦う術をもたない、ボロボロの状態の正一が、戦いを専門とする、真6弔花のリーダーの桔梗から逃げられるかどうかなど、火を見るよりも明らかだったが、それでも正一は走り続けた。
その時無線から、途切れ途切れのツナの声が聞こえた。
荒い息をくり返し、目はうつろで、微量だが口から血を流しても、それでも、勝利への執念を燃やし、走り続ける。
「入江!!」
そんな正一を見た桔梗は、とどめをさそうとリングを光らせた。
その時、そこからそんなに遠くない場所から、とてつもない轟音とともに大きな光が見えた。
「なんだ、今の地ひびきは……!」
轟音や光だけでなく、地響きまで感じとり、それは魅真達がいる観覧席にまで伝わってきた。
《異空間を脱出した》
すると、ツナの声が聞こえてきた。
「ツナか!!」
もしや…と思い、ディーノは顔を上のモニターに向ける。
「あ…。あれは…あの破壊力は…間違いない!!」
「ツナ君の…X BURNERだわ!」
「異空間ごと吹きとばしたんだな」
ツナはX BURNERで、トリカブトの幻覚空間を吹きとばした。目の前のビルだけでなく、その後ろにある何棟ものビルがほぼ全壊し、周りにあるビルも、この攻撃でえぐられていた。
ツナが脱出すると、正一は山本と標的のデイジーを倒すように言うが、ツナは山本に敵の標的を頼み、自分は正一のいる基地に戻るように言う。
正一はかなり疲弊しており、山本と敵の標的を倒すように言った後、ふらついて倒れたというのに、それでも、先に敵の標的を倒すように、走りながらツナに指示した。
それでもツナは、仲間を見捨てるわけにはいかないと言い、それを聞いた山本は、基地に戻るように言い、敵の標的は自分1人で倒すことを宣言した。
山本にもおされると、ツナは急いで基地に向かっていき、今ツナがどうしているのかは桔梗にもわかった。
桔梗は様子を見るように、空中で止まっていたが、いよいよ正一を倒すべく動きだし、右手をかまえ、リングを光らせた。
同じ頃、ミルフィオーレの基地ユニットでは、今の一撃で、バリアに大きくひびが入った。
そして、とどめをさすように、特式十の型 燕特攻でバリアを突き破り、そのままイスにすわっているデイジーに向かっていく。
だが同時に、正一も桔梗の植物のつるで、心臓の下の腹をつらぬかれた。
つらぬかれたところからは血が流れ、正一はうつぶせに倒れ、その衝撃でヘッドセットがはずれ、地面をこすって前に移動した。
ちょうどその時、ツナが到着し、やられて血を流している正一を見て驚愕していると、後ろに桔梗が現れたので、桔梗に襲いかかるが、桔梗は腕を縦にして防御をした。
そして、桔梗に冷静に、闘う理由はないと言われると、急いで正一のもとへ飛んでいくが、途中でチェルベッロが現れて、正一のもとへ行くのを止められた。
それは、正一の標的の炎のチェックをするためだった。
その時、山本からデイジーを倒したという報告を受けた。あの時の燕特攻で、デイジーは倒されたのだ。
「敵の標的(ターゲット)も」
「同時に…倒れてる!!」
「まさか…ドロー、引き分けか!?」
チェルベッロが確認をしていると、獄寺がやって来たので、ツナは地面に降り立った。
地面に降りると、通常のツナに戻り、獄寺の無事を喜ぶが、獄寺は謝罪した後、正一の安否を気にした。
標的の炎は、体内の全生命エネルギーが2%以下になると消滅するという仕組みで、正一の標的の炎は2%を大きく下回り、下降し続けているので、消滅と認められた。
そして、デイジーもまた、消滅と認められた。
「では、やはり…」
「引き分け(ドロー)か…」
引き分け…そう思われたが、デイジーはうなり声をあげると起きあがり、同時に、標的の炎にも、再び死ぬ気の炎が灯った。
「わっ!!」
「!!」
「ひゃあっ!」
「蘇った!!!」
「そんなっ!!」
この事態に、ボンゴレ側は驚き、背筋が凍り、顔が青ざめた。
何故、デイジーが蘇ったかというと、デイジーは不死身の肉体(アンデッドボディ)をもっており、死ねないのが悩みという男だからだった。
「不死身だなんて…そんなバカなこと!!」
「ありえねーな」
普通に考えて、死なないなんてことはありえなかった。
けど、信じられないが、デイジーは蘇った。
ミルフィオーレ側にいるチェルベッロが、ボンゴレ側にいるチェルベッロに話していると、ボンゴレ側のチェルベッロは、無言でうなずく。
《これにより、チョイスバトルの勝者が決まりました》
ボンゴレ側にいるチェルベッロは、ミルフィオーレ側にいるチェルベッロとの話が終わると、その場を立ち上がり、このチョイス会場にいる全員に聞こえるように話しはじめた。
《勝者は――》
それは、勝敗を告げるための通信だった。
デイジーが蘇ったことで引き分けにもならず、もう、チェルベッロが宣言せずとも、勝敗は明らかだった。
《ミルフィオーレファミリーです!!》
チェルベッロの口から、ミルフィオーレの勝利が宣言されると、ミルフィオーレは喜んだが、ボンゴレは苦い顔をしていた。
「正一君、しっかりして…!!」
デイジーが蘇っても、正一は目を閉じたままだった。
「正一君…!?」
ピクリとも動かないので、ツナは顔が真っ青になる。
「正一君―――!!!」
ツナが必死に呼びかけるも、正一は目を覚まさなかった。
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