標的56 過去への道
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野猿と対峙する獄寺。
山本にアドバイスをされた通り、覚悟を炎に変えるイメージをすると、ボンゴレリングには赤い炎が灯った。
「こ……これが、死ぬ気の…炎か!!」
「(これが……隼人君の……)」
獄寺だけでなく、隣にいる魅真も、獄寺が灯した死ぬ気の炎を凝視していた。
「ん……?あの炎…。オイラと同じ嵐の……」
獄寺が灯した赤い炎が、自分が灯している炎と同じ色なので、野猿も獄寺が灯した炎を凝視した。
「これで、この匣ってのを開けられるはず…」
獄寺は再び、匣を取り出す。
「魅真」
「何?隼人君」
「いいか、お前は手出しすんなよ」
「え…」
「お前はリングも匣も持ってねえだろーが。いいからさがってろ」
「でも……」
確かに、今持ってる武器と自分の実力では、野猿を倒すことなどできないだろうが、それでも獄寺一人だけを戦わせるのは気がひけるし、心配だった。
「おまえは……オレが守ってやるからよ。だからさがってろ」
まさか、獄寺が自分にそんなことを言うとは思わず、魅真は頬を赤くして獄寺を凝視した。そして、それ以上は何も言うことはなかった。
「………… (何が入ってんだ…?たいした武器なんだろーな…)」
死ぬ気の炎を灯せたし、匣はあるが、中に何が入ってるかわからないので、内心ドキドキしていた。
「へっ、まるでパンドラの匣だな。だが、やるしかねえ!」
けど、匣を開ける意外に選択肢がないので、獄寺は意を決して開けることにした。
「鬼が出るか!!蛇が出るか!!」
決意を固めると、獄寺は炎が灯っているボンゴレリングを、匣の穴にさしこんだ。
すると、匣は開き、中からは赤い炎がとび出すとともに、何やら獣の叫び声のようなものが聞こえてきた。
「ん?」
「な…」
「あ……」
中から出てきたのは、髑髏の形をした砲台だった。
標的56 過去への道
「重っ!!んだこりゃ!?ド…ドクロー!!?」
獄寺の左腕に装着されたそれは、結構な重さがあり、腕が下にさがるほどだった。
「………………イ……イカスぜ」
出てきた匣兵器がどういう力を持ってるかは不明だが、見た目が気にいった獄寺は、うれしそうにつぶやく。
「あいつぅ~~。匣持ってやがったのか。妙なことされちゃまずい!!
速攻!!」
匣の武器を見ると、野猿は獄寺がその匣で攻撃をしてくる前に消そうと、勢いをつけて獄寺の方へ向かっていく。
「!! 来やがった!!
魅真、さがれ!!」
「う…うん…」
野猿が向かってきたので、獄寺は魅真に離れるように言い、魅真は言われた通りに獄寺から離れた。
「どーやって使うんだよコレ!!こうか!?」
匣を開けることができたのはいいが、使い方がわからないので、腕の上の、関節に近い方の髑髏の横についている、ボタンらしきものを連続で押した。
すると、手の甲の上にある髑髏に灯っている炎が、『Imbocco Proiettili(弾を食わせろ)』という文字を形づくった。
「んなっ!?弾を食わせろだーー!?たっ、弾ーーーー!!?オレは銃は使わねーんだ!!弾丸なんて持ってねーよ!!」
「死ね!!」
「こいつじゃダメか!?ええい!!」
獄寺は焦り、持っていたダイナマイトを、腕の上の髑髏の口にいれた。
すると、赤い炎が、手の上の髑髏の口から発射された。
その炎は野猿を包みこむほど大きく、野猿は炎をまともにくらってしまった。
「…………でた……」
適当にやってみただけだが、なんとかなったので、獄寺はどうなったのか気になり、野猿を凝視する。
「…………ん?何だ、今のは………?痛くもかゆくもねーぞ」
だが、まったく効いていなかった。
「き!!効いてねーのか!?」
見た目はあれだけすごいのに、ピンピンしているので、獄寺はショックをうける。
「へへへ、驚かしやがって…
!!」
余裕で笑い、獄寺をバカにする野猿。
だがそう言った瞬間、足の浮遊感がなくなり、体が下に落ちた。
「あっ!!炎が!!」
それは、足から出ていた死ぬ気の炎が消えていたからだった。
「わわわ!落ちる!落ちる!!」
死ぬ気の炎を足(正確にはくつ)に灯すことで宙に浮いていたので、支える力を失った野猿は、まっさかさまに下へ落ちていく。
「ぎゃ!!」
そして、野猿は地面に体をたたきつけた。
「!??」
「しゃらくせぇ!!てめー、炎を吹きとばすとは、ふざけたマネを!!」
けど、すぐに起き上がった。
「許さねーぞ!!」
そして、先程の攻撃で炎が消えた鎌に、再び死ぬ気の炎を灯す。
「な!!一瞬しか、役に立ってねーじゃねーか!」
ダメージを与えたわけでもなく、炎を消したといっても一瞬だけなので、獄寺は焦った。
「死にな!!」
野猿は足にも炎を灯すと、勢いをつけて獄寺に向かっていく。
「おい!!ハデなナリして!これだけかよ!何とか言えよ!!」
武器にそんなことを言っても仕方ないのに、八つ当たりのように叫ぶと、再び炎が文字を形づくり、今度は、『Bomba a dlffusione(拡散ボム)』と表示される。
「!! 拡散ボム!?そーか…。今のは、エネルギーが集束されてなかったのか…。っつうことは、こーやって…」
拡散ボムという単語が出ただけで、どういうことなのかわかった獄寺は、もう一度ボタンを押す。
「ショアア!!」
野猿は獄寺にとどめをさすため、鎌を大きくふりあげた。
獄寺の方は、先程のように、ダイナマイトを髑髏の口の中に入れると、下あごの部分を引き出した。
「口を絞れば!!」
そして、まっすぐに前を見据えると、銃口を野猿に向ける。
「果てろ!!」
武器は強く光ると、先程のように、広範囲のものではなく、一直線にのびる矢のように、赤い炎を放った。
「ギャアアア!!!」
それは野猿に直撃し、野猿はいずこかへふきとんでいった。
「隼人君!!」
「おう」
「大丈夫?隼人君」
「ったりめーだろ」
「よかった」
獄寺が無事なので、ほっとした魅真はにこっと笑い、その笑顔に、獄寺は顔を赤くする。
その時、近くの工場の屋根から、ものすごい破壊音とともに、人がふっとんできた。
「「!!」」
その音に二人は反応し、音がした方へ顔を向ける。
「が…」
「あれは……!」
「もう一人の敵だわ」
「やったんスね。さすがっス!10代目!!」
「よかった、ツナ君」
敵がやられたということは、ツナが無事だということなので、魅真はほっとし、獄寺は称賛した。
「ゴホ」
「う…」
「「!!」」
その時、後ろから山本のせきこむ声と、ハルのうめき声が聞こえてきた。
「おい、大丈夫か!?しっかりしろ!ハル!!イーピン!!アホ牛!!」
「みんな、大丈夫!?」
「くそっ、どーなってやがる!!」
自分達の方も、ツナの方もカタがついたので、山本達の安否を確認するため、魅真と獄寺は、四人のもとへ駆け寄った。
「何でおめーらまでこの時代に!!何があったか言え!!」
「う…」
「おい、野球バカ!!」
「うぅ…」
けど、意識をとり戻したばかりだし、何よりもまったく状況がつかめてないので、山本は頭をおさえて、うめき声をあげながら起き上がる。
「!! へっ……。ボンゴレリングは持ってきやがったか…。
!! (リング…)」
山本の首にさげられているボンゴレリングを見ると、獄寺はあることに気がついた。
「…………」
そして、ズボンのポケットの中から紙をとり出して、開いて中を見る。
「何?それ。何かの暗号?」
急に獄寺が紙をとり出したので、気になった魅真はのぞきこんだ。
見てみると、文字ではなく、ダイナマイトや髑髏といった絵が横にならべて書いてあるので、なんなのだろうと思った魅真は、獄寺に問う。
「まあな。こいつはG文字っていうんだ」
「G文字?」
「ゴクデラ文字といって、中一の時に、授業中にオレが考えだした暗号だ。昨日入れ替わった時、この時代のオレが持ってたから持ってきたんだ」
「(授業中に!?言っちゃなんだけど、こんな変な絵を!?)」
自分は授業中でも風紀委員に出てることがあるので、あまり人のことは言えないのだが、授業中に授業を聞かずに遊んでいたので、魅真は心の中でつっこむ。
「それ、なんて書いてあるの?」
「…………守護者は、集合…」
「守護者?集合?」
守護者はわかるが、集合というのはどこに集合なのだろうと、魅真は疑問に思った。
獄寺は、二枚目の紙を読んでみる。
「…………そういう…ことかよ」
全ての手紙を最後まで読み終えると、一人納得した。
魅真は手紙の続きが気になったが、またいつ新しい敵が来るかわからないし、いつ野猿と太猿が起きるかわからないし、ツナと京子の安否も気になるし、山本だけでなく、ランボ、ハル、イーピンも自分達の時代の彼らと入れ替わってしまい、襲われでもしたらひとたまりもないので、獄寺と話し合って、ここは一旦引き返すことにした。
その後、工場の中にいるツナと京子を探しにいくと、京子までも、自分達の時代の京子と入れ替わってしまったので、魅真と獄寺は驚いた。
京子はなんともなかったが、敵はしりぞけたものの、ツナが重傷を負ってしまったので、獄寺が背負い、山本達をつれて、アジトへ戻った。
アジトへ戻ると、山本、ランボ、イーピン、京子、ハルを、リボーンがいる部屋へとつれていき、ツナは第一医療室へつれていくと、魅真が手当てをした。
ツナは重傷ではあるが、命に別状はなかった。
手当てを終えると、ツナはベッドに寝かせられて、荒い呼吸をくり返していた。
魅真と獄寺は、ツナが寝ているベッドの前に、パイプ椅子を置いてすわり、ツナを心配していた。
「………10代目…」
「ツナ君…」
「くっそー。あのヒゲヤローめ…!」
「あっ」
二人が心配をしていると、ツナは突然目をあけた。
「あぶない!!」
「10代目!!」
「ツナ君!」
目をさますと、叫びながら、勢いよく起き上がる。
「いててっ」
「ダメだよツナ君。傷にさわるよ」
「そうっスよ。おケガをしてるんです!ムリしちゃダメっス!!」
「魅真ちゃん…獄寺君…。こ…ここは!?」
「アジトっス!!10代目は、敵を倒して、すぐに気を失ったんです!!」
「それで、隼人君が、ツナ君をおぶってここまでつれてきて、私がツナ君のケガの手当てをしたんだよ」
「そっか…。ありがと…」
「ううん。いいよ」
「! みんなは!?」
「大丈夫です。全員無事っスよ!」
「……き…来たんだよ………」
「来た?」
「来ちゃったんだ!!京子ちゃんが、過去から!!」
「……………………そのことなんですが…笹川だけじゃないんス…」
「うん……」
「え!?」
「武君も…ランボ君も…イーピンちゃんも…ハルちゃんも…過去から来ちゃったの……」
「そ……そんな…!!!みんなも10年前から!??」
魅真の話を聞くと、ツナは驚き、興奮した。
「それが、どーやって全員10年バズーカに当たったのか、今いちわからなくて…。どいつも背後からくらったらしいんですが…」
「そんな……!!た…大変だ!!ダメだよっ!!みんな、こんなとこにいちゃダメだ!!」
「「!」」
「こんな所にいたら、みんな…みんな、殺されちゃうよ!!!」
「じゅ…10代目!!おちついてください!!」
「そうだよ。また傷が」
「いつっ!!」
「ほらっ」
「! 大丈夫スか!?」
更に興奮すると、再び傷が痛み、二人は心配した。
「うえぇ~ん」
「「「!」」」
その時、ハルの泣き声が聞こえてきた。
「いやです、こんなの~~。10年後の世界が、こんなデストロイだなんて…」
「ハル……!」
扉の前にはハルが立っており、現状を知ったハルは、泣きながら、涙を手でぬぐっていた。
「ハルちゃん…」
「スイマセン」
そしてハルの隣には京子がおり、ハルをおちつかせていた。
「!! (京子ちゃんも…。顔が、まっ青だ…!!)」
京子もハルのように泣いてはいないが、どこか沈んでおり、顔色はよくなかった。
「………ツナく……」
「ツナさーん!!」
「!」
京子が何か言う前に、ハルがツナのもとへ走っていきながら、ツナの名前を呼んだ。
「ハルは、平和な並盛に帰りたいです!!」
そして、ツナの前まで来ると、ツナに抱きついて懇願した。
「……!!」
ハルが胸の内を叫ぶと、ツナは更に顔が青くなり、京子は目じりに涙を浮かべ、魅真と獄寺は沈んだ顔になった。
「……」
そこへ、カップを両手に持ったリボーンと、同じく現状を聞いて、おそらくは父親のことも聞いただろう山本が、どこか沈んだ顔で入ってきた。
「ハル・京子、こいつを飲め。おちつくぞ。特製ハーブティーだ」
「ありがとう、リボーン君」
「それと、さっき話した、おまえ達にまかせたいことだ。読んでおいてくれ」
「リボーン!!!」
リボーンが京子とハルに、ハーブティーと、まかせたいことが書いてある紙を渡すと、ツナが大きな声でリボーンを呼んだ。
そのことで、全員強く反応を示す。
「ハア ハア」
「お。もう立てるようになったか」
ツナは荒い息をして、足が震えながらも、ベッドからおりてリボーンの前に立った。
「オレ……」
「………………わかったぞ」
過呼吸をおこすのではないかというくらいに荒い呼吸をくり返し、何かを言おうとするが、ほんの少し口を開いただけで、リボーンは、ツナが何が言いたいのかを察した。
「ツナと魅真と獄寺と山本と話をする。ハルと京子は、席を外してくれ」
「…」
ハルと京子に、今から話すことを知られるわけにはいかないので、退室するように促すと、京子は何も言わずにうなずく。
「いこ…。ハルちゃん」
「はい」
そして、ハルをつれて、そこから退室していった。
「京子とハルには、今やばい状況にあるということだけ伝えたぞ。マフィアのことや、ボンゴレのことは、いっさい話してないからな」
二人がいなくなって少しすると、リボーンは京子とハルに説明したことを、四人に話した。
「…………帰さなきゃ…。みんなをこんな所にいさせられない!なんとしても、過去に帰さなきゃ!!もう生きのびるとか、そんな問題じゃないよ!!そんな問題じゃ!!」
「お…おい、ツナ!」
「ツナ君!」
「おちついてください、10代目!」
「だいぶ錯乱してるな…」
「ちっ、違うよ!!もう、ここで守護者を集めるとか!!そんな、のんびりしてる場合じゃないっていってんだ!!」
「そうやって、いちいち興奮するのがそーなんだ。それに、守護者を集めるのは、やはり避けて通れねえぞ」
「な!!なんでだよ!!もう、そんな根拠のない話はたくさんだよ!!お前の話はいつも…!!」
「根拠はあるぞ」
「え!?」
今まで興奮してたが、今のリボーンの言葉で、ツナは少しばかりおちついた。
「そーなんス、10代目!見つけたんスよ!過去に戻る方法を!」
自分が眠っている間に、まさかそんなものを見つけていたとは思わず、ツナは獄寺に顔を向ける。
「ヒントはこいつにあったんです。とにかく、もう一度読みますんで聞いてください」
「それは…G文字の………」
「守護者は集合……。ボンゴレリングにて白蘭を退け、写真の眼鏡の男、消すべし。全ては元に戻る。
以上です」
「でも、今の話って…」
「ええ。最初に10代目が、10年後のオレから聞いた内容と重なってる。なのでオレも、10年後のオレへの指令書だと思って、気にとめてなかったんです。
だが、今朝知った事実からすると、この時代には、あるはずのないものの名前が、手紙にはでてくるんです」
獄寺の説明に、リボーンは意味深にニ…ッと笑う。
「あ!」
そこまで言われると、ツナもそのことに気がついた。
「ボンゴレリング!!」
そう……それは、この時代に破棄してしまったはずの、ボンゴレリングだった。
「更にこの手紙には、過去で眼鏡の男を消せなんて、どこにも書いていない。むしろ、退けるべき白蘭がいるのは、この時代です…」
「わかるか?この手紙は、この時代にいて、リングをもつ者。つまり、過去から来たおまえ達に書かれてたんだ」
「え!!?」
「そして、文面通りならば、守護者を集めて眼鏡の男を消せば、全ては元に戻る。過去に帰れるととれる」
「か……過去に帰れる!?」
「幸いなことに、この眼鏡の男の目星はついてるぞ。ラル・ミルチが知っていてな。ミルフィオーレの隊長で、入江正一っていうらしい」
「(入江……正一?)」
同じ頃、日本のある場所では…。
「入江様」
二人の女性が、巨大な白くて丸い装置の前を歩いていた。
その装置の前には机が置いてあり、一人の男がすわっていた。
「失礼します」
女性はクスクスと笑うと、一言断りをいれ、男がつけているヘッドホンをとった。
「……あっ」
「研究、お疲れ様です」
「ごめん……。眠っちゃってたよ」
そこにいたのは、10年後の獄寺がツナに見せた写真に写っていた、そして、手紙にのっていた眼鏡の男…入江正一。
女の方は、あの…リング争奪戦でジャッジを務めていた、チェルベッロだった。
正一が目をさますと、正一のひざの上にのっていた資料やらCDやらが下におちる。
チェルベッロに起こされた正一は、隊服に着替えた。その隊服は、ツナ達が戦った野猿や太猿と同じデザインだが、色は黒ではなく白い隊服だった。
そして着替えると、チェルベッロをつれて廊下を歩き、どこか別の場所へ向かいながら、チェルベッロの用事を聞いていた。
「野猿と太猿?第3アフェランドラ隊の?」
「ええ…」
「負傷って、どういうことだい?」
「報告では、兄弟ゲンカをしたとのことです」
「…………なくもないだろう。野蛮な連中だよ…ブラックスペルは」
「処分はいかがなされますか?」
「彼ら、きっと外様の上官の言うことは聞き入れないだろう…。僕が直接、第3部隊の隊長と話をつけるよ」
とは言っても、どこか気が進まないといった感じにため息をつく。
「ところで君、白蘭サンから送られてきたもの見た?」
「ええ…。格納庫いっぱいに…。たしか花言葉は…」
「調べたさ。期待…だろ?プレッシャーで僕を殺す気なのさ、あの人は…」
場所はボンゴレのアジトに戻る。
「どーだ?だいぶ、過去に戻れるような気がしてきただろ?」
「で……でも…。その手紙を信じていいのかどうか…」
少しだけ兆しが見えたが、それでもツナは、どこか戸惑っていた。
「信じてください!」
「!」
その時、獄寺がツナに向かって、声をはりあげた。
「オレは10年…いや、100年経っても、10代目を惑わせるような手紙を、所持するつもりはありません!」
「ご…獄寺君………」
そう言い切るも、ツナはまだどこか迷ってる風だった。
「でも、人を消すなんて…!!」
「なら、こらしめる程度にしとけ」
「そーゆー問題なのか!?」
「まーツナ、落ちつけって。一人でしょいこむんじゃねーよ!みんなで解決してきゃいーじゃねーか!!」
「や…山本!!」
そこへ、山本がいつもの調子で、ツナを安心させるように笑顔で話しかけ、ツナの肩に腕をまわした。
「……! 山本…お父さんのこと…」
今の言葉で、きっと山本は、この時代の自分の父親のことを聞いたのだとわかったツナは、言いにくそうに山本に聞いた。
「オレは、ここに来れてよかったぜ」
「え!?」
「自分達の手でケリつけて、オレ達の未来を変えようぜ」
「山本…」
「てめー、カッコつけんな!!オレの言おうとしていたことを!!」
「右腕だからな」
「んだと!!てめーはごっこだろ!!」
「2人とも…」
ツナは山本が言ったことに、少しだけ気が楽になった。
「(でも、まだハルと京子ちゃんが…)」
けど、まだすべて解決したわけではないので、沈んだ顔をしていた。
「ガハハハ」
その時、ランボのけたたましい笑い声が聞こえてきた。
「コラーー!待ちなさーい!」
「ガハハハハ」
「ランボちゃ…」
ランボの笑い声がしたと思ったら、ランボが部屋に入ってきた。
「キャ」
そこへハルも入ってきて、中に入った途端に、床に落ちたジャガイモをふんずけてしまった。
「はひーー!」
「ハル!!」
ジャガイモをふんだせいで、足もとが不安定になってころんでしまい、持っていたジャガイモを落としてしまう。
「スイマセン!!イタズラしたランボちゃんをおいかけてまして!!」
「こ…これは…イ…イモ…?」
「ハルちゃん、大丈夫?」
そこへ、続いてイーピンをつれた京子も中に入ってきた。
「京子ちゃん!……と、玉ネギ?」
「非戦闘員の2人には、食事やチビの世話を頼んだんだ」
「えぇ!?」
「今日はカレーを作るんだよ」
「楽しみにしててください」
京子とハルは、ハルが落としたジャガイモをひろいながら話す。
「やり!!」
「あ…れ?何か2人とも元気になってる……?」
先程まで、顔色が悪く、沈んだ顔をしていたのに、明るくなっているので、ツナはふしぎに思った。
「当然です!こんな時だからこそ、いつまでもクヨクヨしてられません!」
「ツナ君達に負けないように、私達もがんばろうって決めたの!!」
明るくなったのは、京子達なりにがんばろうと決意したからだった。けど、そんな二人とは対照的に、魅真はまだ沈んだ顔をしていた。
「さー、キッチンに行きましょう!」
「うん!」
「え…」
ジャガイモをひろい終えた京子達は、そこから出ていった。
明るくなった京子とハルに、ツナは少しばかり呆然としていた。
「立ち直り早っ」
「女ってすげーのな…」
「…… (そーだ…。オレには…こんなにいい友達がいるんだ。一人であせったってしょーがないよな)」
獄寺にもとの時代に戻るヒントを教えられて、山本にはげまされて、京子とハルの明るい笑顔を見て、ツナは、ようやくおちつきをとり戻した。
「(今、この時代でやれることを、ちゃんとやっていくんだ!!)」
まだ少しだけ不安な心を抱えてはいるが、ツナはようやく、自分が何をするべきか、答えをみつけたのだった。
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