標的79 仲間との再会
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「リ…真6弔花!?」
突然告げられた真実と、白蘭の後ろにある、モニターに映っている人物達を見て、ツナ達は驚いた。
標的79 仲間との再会
《んん。彼らこそが、僕が新世界を創るために選んだ、真のマーレリング保持者(ホルダー)にして、僕の本当の守護者達だよ》
「そんな…。じゃあ、今までのは…」
「だ…誰なんですか!?知らないぞ!!僕が知らない人間が、ミルフィオーレにいるなんて!!」
ツナがショックを受けていると、正一が興奮して白蘭に問う。
《正チャンに心配事増やすと、メンドくさいからね》
「……」
《僕はこう考えたんだ。ただ腕っぷしの強い人間を選んでも、たかがしれてる。なぜなら、リングの力の要は、より強い"覚悟"だからね。
そこで、強い上に常人離れした"覚悟"を持った人間を、マフィアといわず、世界中から探しまわったんだ。しかも、その「覚悟」が僕への「忠誠」になりうる人間をね。
世界は広いよねー。おかげで彼らと会えたよ。例えば彼は…》
そこまで話すと、画面は変わり、右上に映っていた、短髪で無精ひげをはやした男だけが映った。
《ご覧のように、大自然に恵まれた、大変美しい故郷の出身なんだけど、「覚悟を見せてくれないか?」って言ったとたん》
そして次に、青い空の下に、たくさんの山と森と湖があり、山の麓にある小さな村が映った。
《故郷を捨ててくれたよ》
けど、その次に映ったのは、綺麗な大自然とはまったく逆の世界。
周りにあるすべての山と大地が噴火し、マグマが流れ、煙があがり、湖は枯渇し、村にある家はすべて破壊された、まさに地獄絵図ともいえる画像に切り替わった。
「なにこれ!?」
「まるで地獄絵図だな」
「こんなことが……………」
覚悟一つでこんなことになるのかと、全員が驚き、一部をのぞいて顔を青くしていた。
《怖いよねー。ここまでアッという間だよ。まさか、僕への忠誠を示すために、生まれ育った木も山も村も村人も、全部消してくるとは思わないじゃん》
「…!! (そんな…。メチャクチャだ…)」
「!? 噴き出したマグマの中に、何かいるぞ!?」
ツナが呆然としてると、突然獄寺が声をあげ、そのことに白蘭は笑った。
「何だ?」
「動物…?」
獄寺に言われて、マグマに注目してみると、中に何か小さなものがいたが、画面に対してあまりにも小さいので、すぐには何かわからなかった。
「!!」
けど、よく目をこらして見てみると、それがなんなのかわかった。
それは、今映っている画面の、前の前の画面に映っていた、あの短髪で無精ひげをはやした男だった。
なんと彼は、マグマの風呂に入っていたのだ。
「奴だ!!」
しかも、炎がついているタオルを頭にのせ、口笛まで吹くほどの余裕を見せている。
「口笛を吹いてる!!」
「マ…マグマの風呂に入っているというのか!!」
普通なら、溶けてなくなりそうなものだが、彼は全然平気そうだった。
「ありえない…」
「つか、人間じゃねえ!!」
この異様な光景に、獄寺も草壁も、大きく口をあけて呆然としていた。
《フフフ。真6弔花の異常な戦闘能力も、これでわかったかな?更に彼らには、1人につき5000名の部下と、選りすぐりのAランク兵士(ソルジャー)を、100名与えてるからね》
「Aランクが100人!?Aランクは、今までの6弔花、6人しかいなかったはずだ…」
「(なに…?何なんだ?)」
《僕らを倒したら、今度こそ君達の勝利だ。ミルフィオーレはボンゴレに、全面降伏するよ》
「白蘭サン!!力比べって…一体何を企んでるんですか!!」
《昔、正チャンとよくやった、"チョイス"って遊び、覚えてるかい?》
「!!」
白蘭の口からチョイスという言葉が出ると、覚えのある正一は、強く反応を示した。
「「「?」」」
《あれを現実にやるつもりだよ♪》
「! (現実に…!?)」
《細かいことは10日後に発表するから、楽しみにしててね♪それまで一切手は出さないから、のんびり休むといい》
「無茶言うな。あんな怪物見せられて、のんびりできるわけねーだろ?」
《お、君はアルコバレーノリボーン!んー、もっと話したいなー。でも、君達はもう逃げないとね》
「?」
「君達のいるメローネ基地は、もうすぐ消えるからさ》
驚くべきことを言うと、今言ったことを表すように、突然白蘭のホログラムが光り出した。
「!?」
「消える?」
《正しくは、基地に仕込まれた、超炎リング転送システムによって、移動するんだけどね》
「! それって、リングの炎を使ったテレポーテーションシステム…?完成…してたのか?」
《まだ、この規模の物体じゃなきゃムリなんだけどね。すさまじいエネルギーと時間がかかるから、一生に一度見られるかどうかだよ。
じゃあ、楽しみだね、10日後♪》
「!!」
そこまで言うと、白蘭のホログラムとモニターは姿を消して、その2つがあった場所が光りだした。
「な!?一体どうなるんだ!?」
「テレポーテーションだ。この基地は、どこかへ飛ばされる!」
「な…なんだって!?」
「どうすればいいの!?」
「大丈夫だ!!何かにつかまれ!!」
「!? 大丈夫って!?………」
基地がなくなると言ってたのに、今にも何か起こりそうなくらいに光っているのに、正一が大丈夫と言ったのでふしぎに思ったが、とりあえず、全員正一に言われた通りに、近くにあるものにつかまったり、地面に伏せたりした。
「(時間だ…。来てくれよ…!!)」
一方正一は、時計を手にして、時間を気にしていた。
そしてその直後、間欠泉のように高く大きな、街中を包みこむほどに強く光ると、基地は下から上に登っていき、少しするとそれはおさまった。
「いつつ…」
「…っ…」
「うぅ…」
もう、光と振動はおさまったので、大丈夫だと判断すると、全員起き上がった。
「大丈夫スか、10代目!!」
「う…うん…」
「どうやらまだ、並盛の地下にいます…」
「!!」
草壁がそう言うと、ツナは目の前の床の切れ目をのぞきこんだ。
「基地がっ…メローネ基地が消えた!!!」
下をのぞいてみると、そこにあったはずのメローネ基地が、今ツナ達がいる、正一の部屋を残して、すべて消えてなくなっていた。
「こ…こんなことが!!」
「本当にテレポーテーションなんて…」
底が見えないくらい深く、あんなに大きなものが一瞬にしてなくなったので、ツナと草壁は驚いていた。
「でもなんで…オレ達だけ残れたんだろう?」
「彼が晴のボンゴレリングと共に来たからさ」
「!」
正一に説明されると、ツナ達は緊急用ベッドへ顔を向けた。
「極限に、ここはどこだー!!?」
そこには、この時代の了平と入れ替わった、自分達の時代の了平がいた。
「!」
「あれは…」
「10年前の…お兄さん!!」
「我々が移動しなかったのは、彼が過去から来て、ボンゴレリングがそろったからだ。7つのリングがそろったことにより、結界ができて、我々と装置は守られたんだ!」
「お前、こうなることを読んでたのか?」
「ああ、白蘭サンのやりそうなことの、何割かはね」
「お兄さん!!」
「生きてたか、沢田!!!」
ツナは了平の姿を見ると、うれしそうに了平のもとへ駆け寄っていった。
ツナだけでなく、魅真と獄寺も了平のもとへ行くと、了平はベッドから降りた。
「お前達も、行方不明で心配しとっ…」
「しぃっ」
「?」
「あとで説明してやるから静かにしてろ!!」
相変わらず大きな声でしゃべる了平に、どこに敵がひそんでいたり、どのような手段でここを偵察されているかわからないので、ツナと獄寺は、了平に静かにするように言った。
「10年前の笹川氏が、ボンゴレリングと共に来たことは、我々にとって、間違いなくプラスですが…。…しかし、大変なことになりましたね…。あの6弔花より、更に上がいるとは……………。この戦力で、この先一体どう戦えと………………」
了平と晴のボンゴレリングが来て、ボンゴレリングがすべてそろったのはいいが、先程の白蘭の説明を思い出した草壁は、たくさんの冷や汗をかいていた。
「そりゃ、やるっきゃないっスよ」
けど、草壁の不安をかき消すように、実は白蘭のホログラムが現れた時に目を覚ましていた山本が、明るい顔で笑いながら言い放った。
「や…山本!!いつから!?」
「ったく、心配かけやがって」
「よかった…。武君」
山本が無事に目覚めたので、ツナと獄寺と、特に目の前で山本が気絶したのを見た魅真は、ほっとしていた。
「でも、どう考えても無謀な戦いだ。ミルフィオーレの戦力にかなうはずがない」
「んだ、てめーは!」
だが、横からスパナが割って入ってきて、水さすようなことを口にする。
しかしこれは、いじわるとか後ろ向きとかではなく、現実であり、ミルフィオーレファミリーの一員だからこそわかる事実でもあった。
「スパナの言うことは、間違ってないぞ」
そのことに獄寺は怒るが、リボーンも追い打ちをかけるように、現実をつきつける。
「リボーンさん…」
「…………たしかに…」
「そうかも……しれないけど…」
言われてみると、確かにその通りなので、獄寺の勢いはなくなった。
「いいや、できるさ!!」
だが、その時正一が、スパナとリボーンが言うことを否定するように、強く断言した。
「成長した君達なら、奴らと渡りあえるさ!!僕達だって、ただ君達をイジメてきたわけじゃない」
正一は、しゃべりながら装置の方へと歩いていく。
「君達を鍛えることは、この新たな戦力を解き放つことでもあったんだ!君達の成長なくしては使いこなせない、新たな力…」
そして、装置の下の方にある、小さな扉を開くと、スイッチを押した。
「今こそ託そう」
すると、装置の中心が開き、真ん中の、円がいくつも重なっている部分が光ると、そこには8つの光り輝くものがあった。
「ああ!装置の中心が開く……!!」
「この時代のボンゴレのボスから、君達への贈り物だ。心して受けとってくれ!!」
その光ってるところからは、7つの属性の炎をまとった小さなものが8つとび出し、魅真、雲雀、ツナ、獄寺、山本、了平、ランボ、クロームの手の中におさまった。
それは、それぞれの属性の炎をまとった、それぞれの属性の炎の色の、ボンゴレの紋章がきざまれた匣だった。
「(ボンゴレの…紋章!?)」
自分達の手に渡った匣を、全員がジッとみつめた。
「この時代のボンゴレ10代目より、君達に託された、"ボンゴレ匣"だ」
「オ…オレが…?」
10代目からの…と聞くと、獄寺は目が光り、何やら感動していた。
「サイコロ!!」
「………ちがう」
獄寺の隣では、どこか的外れなことを言うランボに、クロームが静かにつっこんでいた。
「(雲のボンゴレ匣…。雲雀さんだけでなく、私も……)」
雲のボンゴレリングは雲雀が持っているが、それでも、ボンゴレ匣は自分の分もあることに、魅真は感動していた。
「極限に、この黄色いハコは何だあ!?」
「しっ」
「?」
「あとで説明してやっから!!」
そして了平は、今さっきこの時代に来たばかりなので、当然匣のことは知らず、渡されたこの小さな箱がなんなのか、まったくわかっていなかった。
「(オレのは、大空の炎と同じ、オレンジ色の匣だ…。オレの、初めての匣兵器…?これを使って、さっきの奴らと戦うの…?)」
ツナはツナで、今まで匣を持っていなかったので、ボンゴレ匣を、ぼんやりとして見ていた。
《ゔお゙ぉい!!》
「んなっ!?」
その時、突然スクアーロの声が聞こえてきたので、ツナはびっくりした。
《ヴァリアーから、通信をつなげとの要請です…。ミルフィオーレに盗聴される恐れがありますが………》
《いいからつなげぇ!!》
スクアーロの声が聞こえると、ジャンニーニが事情を説明する。
ミルフィオーレに盗聴されると言われようが、スクアーロはおかまいなしだった。
《怖いからつなぎますよ!ヘッドホンの音量に気をつけてください》
《てめーらぁ、生きてんだろーなぁ!!!》
ジャンニーニが注意を促すと、スクアーロのバカデカい声が、辺りに響いた。
「スクアーロ!!」
「っるせーぞ!!」
「(もう少し静かにしゃべれないんだろうか、この人…)」
ヘッドホンをしていなくとも響き渡るスクアーロの声に、山本はうれしそうにしていたが、あまりの大きさに獄寺は怒鳴り、魅真は苦痛の表情を浮かべて、ヘッドホンを、思わず耳からはずしてしまった。
《いいかぁ!!こうなっちまった以上、ボンゴレは一蓮托生だ。てめーらがガキだろーと……………》
そこまでしゃべると、スクアーロの声が一旦途切れた。
それは、スクアーロの後ろにすわっていたXANXUSが、スクアーロに、6弔花との戦いの際にできた城の瓦礫を投げつけて、頭にぶつけたからだった。
《てめっ》
当然スクアーロは、抗議しようと、XANXUSがいる後ろの方へ顔を向ける。
《沢田綱吉》
けど、XANXUSはスクアーロを無視して、ツナに話しかけた。
「!」
「この声は…」
わずかな変化こそあるが、聞き覚えのある声にびっくりした。
「(XANXUS!!)」
《乳臭さはぬけたか》
「!!」
《10日後に、ボンゴレが最強だと、証明してみせろ》
めずらしく激励するXANXUSに、ツナは頬を赤くした。
「えっ…。 ?」
けど、ツナが何か返そうとすると、そこで通信は切れてしまった。
それは、XANXUSが無線機を壊してしまったからだった。
「…切れちまったな…」
「あんにゃろう。好きなことだけ言いやがって!!」
「まあ、どっちにしろ、奴ら、今回は味方みてーだな」
「そ…そうだけど… (色んなことがありすぎて…素直に喜んでいいのか…)」
XANXUS達ヴァリアーが、今回は味方になるとわかり、ツナはどこか複雑な思いをしていた。
「…あの」
その時、クロームが正一に話しかけた。
「骸様は…六道骸は、今…どうなっているんですか…?」
クロームが正一に声をかけたのは、骸の安否が気になってるからだった。
「え」
「………!」
クロームが言ったことに、何も言わないが、魅真も、雲雀も、ツナも気になって、反応を示した。
「………………白蘭サンの話では、骸は、ミルフィオーレの兵士に憑依していた所を、白蘭サンの手で殺されたらしい」
正一の口から出てきた骸の行方は、とても衝撃的で、残酷なものだった。
「(そんな!!)」
真実を話されると、魅真とツナとクロームは固まってしまった。
「だが、僕はそう思っていない。なぜなら、復讐者の牢獄の死亡者リストに、彼の名前はあがってこなかったからね」
「………ってことは…」
「生きてるよ。それは間違いない…」
「よかったぁ」
骸が生きてると知って、魅真はほっとしていたが、雲雀も、ほっとしてはいるものの、魅真の反応にむっとしていた。
その後すぐに、クロームが倒れた。
「!!」
「おい君!!」
「クロームさん!!」
「…よかった……………」
クロームが倒れると、正一はクロームのもとへ行き、クロームを抱きおこした。
骸が無事だと知ってほっとしたのはクロームもで、安堵の表情を浮かべた。
「ところで、一つ気になっていたのですが、入江さん」
「はい?」
「あの装置の中にいるこの時代のボンゴレファミリーを、出すことはできないのですか?彼らが加われば、すごい戦力になるはずです!」
「ああ…。残念だけど、それは絶対にあってはならないんだ。過去から来た綱吉君達と、この時代の綱吉君達が、同時に出現すれば、時空が壊れて、世界が消えてしまう可能性がある」
「な…なんと!!」
「ひいっ」
「だからこそ、僕らは君達にかけたんだ。ボンゴレリングの正式な保持者である君達に、がんばってもらうしかないんだよ」
「かけるとか…急にそんなこと言われても…」
「ツナ、正一にまだ大事なこと聞いてねーぞ」
「え?」
「?」
結構重たいことを言われて戸惑っていると、突然リボーンが話しかけてきた。
「入江正一。お前、オレ達のファミリーになるのか?」
ツナはわかっていなさそうなので、リボーンが代わりに、その大事なことを正一に問う。
「へ?ダメかい?」
もう入る気満々だった正一は、リボーンに問われると、あっけらかんとした雰囲気で返した。
「がっ。あっさり…。っつーか、ヌケヌケとー!!」
正一があっさりと言い放ったので、獄寺は気がぬけた。
「ウチも行くところがない。雇ってくれ、ボンゴレ」
「…スパナ!!」
正一だけでなく、スパナもあっさりとボンゴレに入ろうとしていた。
「どうするんだ?ツナ」
「こういう時、いつもオレだな!」
「ボスのおまえが決めるに決まってんだろ」
「心のままに言ってやってください!!イヤならイヤと。10代目!!」
「ツナ君、もし悩んでるんなら、話してくれれば力になるよ!」
本当は自分が嫌なのか、獄寺は横から茶々を入れるように話しかけ、魅真は純粋にツナの力になろうとしていた。
「えっ…あ…。だからオレ、マフィアとかのつもりないし…。それに…正直、入江さんにはいろいろされたから…迷うんだよな…」
悩んでいるツナの姿に、正一は緊張してお腹の調子が悪くなり、生つばを飲みこんだ。
「でも、すごく大変なことをしてきてくれたと思うんだ。…世界とか…話が大きすぎて…まだよくわからないこともあるけど、これからも、力を貸してください!」
けど、なんだかんだいっても受け入れてくれたので、正一はほっとしており、この決定に不服な獄寺は舌打ちをしていた。
「スパナも頼むよ」
「んん」
ツナは正一だけでなく、雇ってほしいと言ってきたスパナのことも受け入れた。
すると、正一がツナの前にやって来た。
「こちらこそヨロシク!!」
そして、ツナの手を両手でにぎりしめた。
「そうと決まれば、僕には、やらなきゃならないことが山程ある!君達とも、もっと話さなくちゃいけないが、先にこの装置を隠して、保護する方法を考えないと…」
「正一、技術的な話なら手伝う」
「ありがとう、スパナ!さあ、忙しい10日間になるぞ!!」
「あ…あの…なんか手伝った方がいいんでしょうか?」
「ん?無理するなよ、綱吉君!」
「え?」
スパナだけでなく、ツナも正一の手伝いを申し出るが、正一はやんわりと断った。
「本当は、一刻も早くアジトの仲間の元へ帰りたいだろ?10日後の、白蘭サンとの戦いのことは、また話し合うとして、一時解散しよう。後で、僕らもお邪魔していいかい?」
正一がツナの申し出を断ったのは、ツナの心を見抜いていたからという、正一の優しさと気遣いだった。
「え…あ…もちろんです!」
ツナは正一の気遣いに甘えることにして、アジトに帰ることにした。
そうして、ツナ達は正一の部屋から出て、アジトに帰るために上にあがっていった。
そして、並盛駅の地下ショッピングモールの裏口から、ツナ達は出てきた。
「ミルフィオーレの連中…。本当に襲ってこないかな?」
白蘭がああ言っていたものの、やはり心配なツナは、扉を半分開けて、顔をのぞかせていた。
「ボンゴレのアジトからもモニターしてるが、並盛に、敵のカゲも、リングの炎の反応も、全くなくなっちまってる。大丈夫だ」
けど、ツナの隣にいるリボーンが、安心させるように言った。
「よしっ」
リボーンがそう言うと、ツナ達は一気に外に出た。
「ふー。久しぶりの外の空気だ」
裏口から、建物と建物の間の、細い裏路地を通り抜けて、表の通りに出てきた。
「さ…帰りましょう、10代目」
「……うん」
獄寺に促されると、ツナはどこか不安そうな表情で返事をして、アジトへと歩き出した。
アジトへ帰る時は、全員無言で、重い足取りで歩いていた。
それは、傷の痛みや疲れもあったが、精神的なものもあった。
作戦は成功したわけではなく、目的の入江正一に辿り着くことはできたが、すぐに過去に帰ることはできないので、待ってるみんなにどんな顔をすればいいのかわからず、アジトに帰りづらい気持ちがあったからだ。
だけど、その気持ちはすぐになくなった。
そんな心配はいらなかったからだ。
信号を待っている時に、うつむかせていた顔をあげると、向かい側には、京子、ハル、ビアンキ、フゥ太、ジャンニーニの姿があった。
信号が青に変わると、ツナ達と京子達は、お互いがお互いのもとへ走っていった。
また会えてうれしい。そんな思いが、全員の胸にこみあげたのだった。
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