標的78 白蘭と真6弔花
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話がひと段落したので、魅真達は箱の中から出してもらった。
「さあ、怪我人を緊急用ベッドへ」
「みんな、大丈夫!?」
「10代目!!おケガは!?」
正一は緊急用ベッドを2つ用意し、山本と了平をかついでいる草壁は、2人をベッドの上にのせ、ツナは魅真達のもとへ走っていく。
「!! ランボさん!!」
正一はツナが走っていった方へ目を向けると、クロームが抱きかかえているランボに目がいった。
「(この姿…10年ぶりだ…) だ…大丈夫なのかい?」
「この子、寝てる…」
この時代から10年前、中学生だった頃にランボと会っている正一は、小さい頃のランボを見てなつかしんでいた。
「おい入江、一発なぐらせろ。ワケありだったとしても、腹の虫がおさまらねえ!」
「僕が先だよ」
「い゙っ」
その後ろでは、獄寺は拳を、雲雀はトンファーを構えていたので、正一はギクッとなり、冷や汗をかく。
「ちょっ、君達?」
「まあ待て、お前達。入江には、まだ聞かなくちゃなんねーことがあるだろ?」
「?」
正一が焦っていると、リボーンが助け舟を出すように、間に入った。
「白蘭の能力ってのは何なんだ?」
「!」
「………………うん。一言で説明するのは難しいが、能力自体は、極めて限定的な状況でしか使えないものなんだ……………。だが、この時代に起きているありえないことの多くが、白蘭サンのその能力に起因している」
「(ありえないこと…?)」
山本と了平の介抱をしていたツナだが、白蘭の能力というのが気になり、正一の方に目を向けた。
標的78 白蘭と真6弔花
「ありえないことだと?」
「うん。でも、これは長くなるから、いつ連絡がくるかわからないし、また今度話すよ」
リボーンが、そのありえないことについて聞くが、正一がどこか不安そうにしているので、今はそれ以上はつっこまないことにした。
「魅真」
「何?隼人君」
魅真は雲雀と獄寺の近くに立っていると、突然獄寺に声をかけられたので、魅真は獄寺に顔を向けた。
「お前、大丈夫か?そのケガ…」
獄寺が魅真に声をかけたのは、誰が見ても大ケガを負っていたからだった。
「え?ああ、大丈夫よ。見た目ほど大したケガじゃないし」
魅真は幻騎士と戦った時に、腹を剣で斬られたので、その際に服が破れ、血が流れ、その血が服やスカートにまでしみついてしまった。
けど、血の量が多かっただけで、傷はそれほど深くはなく、血ももう止まっているので、魅真は大して気にしていなかった。
「お前な…。それでも、ケガを負ったことには変わりねえだろ。こっちこい。手当てすっからよ」
「え?うん…」
獄寺は魅真の肩に手をまわすと、ツナがいる方へ歩き出した。
雲雀は魅真に、少しだけ手を伸ばしかけたが、すぐにやめたので、魅真が気付くことはなかった。
そして獄寺は、雲雀が手をひっこめると、歩きながら、肩越しに、後ろにいる雲雀を、鋭い目で睨みつける。
獄寺が睨みつけると、雲雀もまた、獄寺を睨みつけた。
獄寺が魅真をそこから連れ出したのは、もちろん魅真のケガを心配してのことだが、久しぶりに自分の時代の雲雀と会い、気まずいだろうから…。あとは、単に雲雀が許せないから…だった。
「魅真ちゃん!大丈夫!?」
「ツナ君!」
ツナのもとへ行くと、山本と了平を介抱しているツナが、魅真を心配した。
「ひどいケガじゃないか。早く手当てをしないと!」
魅真のケガを見ると、ツナはあわてだした。
「大丈夫だよ。もう血は止まっているし。それより、私よりも、ツナ君や隼人君の方が重傷でしょ?たくさんケガしてるし…」
「バーーカ。オレは男だから、このくらい平気なんだよ」
「魅真ちゃんは女の子なんだから、傷痕が残ったら大変だろ?」
心配され、女扱いされると、魅真はうれしそうだが、少しだけ不満そうな顔をする。
「ケガに男も女もないでしょう?2人だって、すぐに手当てしないと!」
「う……」
「まあ…ね…」
けど、それは一瞬のことで、ツナと獄寺に詰め寄って心配すると、正論なだけに、2人は何も言い返せなくなった。
「それに、私は戦闘員なんだから。このくらいのケガは覚悟の上よ」
けど、どうということはないと言うように、明るい顔で笑いかけられると、ツナと獄寺は、複雑そうな顔をした。
「魅真さん、これを……」
そこへ正一がやって来て、持ってきた救急箱を魅真の前に置いた。
「あ……ありがとうございます、入江さん」
「いや、いいんだよ」
魅真がそのことに対するお礼を言うと、正一は笑顔を浮かべる。
「それより、お腹は大丈夫かい?」
魅真に返すと、今度は魅真の心配をした。
「はい。血はもう止まってますし、見た目ほど深い傷ではないので、大丈夫です」
「そっか。よかった」
魅真の口から大丈夫という言葉が出ると、正一はほっとした。
「じゃあ、僕は他のことをやってるけど、何かあったら声をかけてくれ」
「はい。ありがとうございます」
もう一度お礼を言うと、正一はそこから離れていった。
「よし。それじゃあ手当てすっから、ちょっと腹を見せろ」
「え…うん…」
獄寺は、魅真のケガの手当てをするために、救急箱をあけた。
魅真は、獄寺はケガの手当てをしてくれるだけで、何もやましい気持ちはないとわかっているが、それでも、やはり異性にお腹を見られるのははずかしかった。
それでも、手当てをしてくれるのだからと、はずかしさをこらえて、頬を赤くしながらも、獄寺が手当てをしやすいようにと、服をもちあげた。
獄寺は、ここには水道がないため、傷口を洗うことができないので、そこは省略し、とりあえずゴミとかがついてないかを確認し、消毒をした後にガーゼを傷口にあてて、包帯を巻いた。
「これで終わりだ」
「ありがとう、隼人君」
「いいっつの…」
手当てが終わると魅真はお礼を言い、お礼を言われると、獄寺は頬を赤くする。
「じゃあ、次はツナ君と隼人君の手当てをするから、2人とも服をぬいで」
「えぇっ!!」
「んなあっ!!」
変な意味で言ったのではなくても、年頃の女の子に手当てすると言われたので、ツナと獄寺は声をあげて、顔を真っ赤にした。
手当てをする場所にもよるが、今回の場合は、上半身をケガしたために、上半身裸にならなければならないからだ。
特に獄寺の場合は、好きな子に裸を見られることになるので、ツナ以上に顔を赤くしていた。
「て……手当て…するの?魅真ちゃんが、オレと獄寺君の!?」
「そうだけど」
ツナはかなりあわてているが、魅真は、何故ツナがあわてているのかわからなかった。
「で……でもよぉ、お前……女が男の裸を見るっつーのは……やっぱ…その……」
今度は獄寺が顔を赤くして、言いにくそうに口をもごもごとさせていた。
「別に、上半身くらいだったら平気よ。それにこれは手当てであって、何もやましい気持ちなんてないし」
「「うっ…」」
平然とした顔で言われると、ツナと獄寺は、これ以上は何も言えなくなった。
「それじゃあ、ツナ君からやるから、ケガしたところ見せて」
強制的ではあるが、手当てをしないと傷口から菌が入ってひどいことになるかもしれないし、魅真が厚意でやろうとしてくれているのはわかっているので、ツナは渋々だが服をぬいだ。
ツナは幻騎士との戦いで、頬や背中をやられ、特に背中はひどいものだったが、それでも魅真は、何も言わずにツナの手当てをした。
そして、ツナが終わると、今度は獄寺の手当てをすることになり、魅真はツナと同じように手当てをした。
「よしっ。これで終わり!」
「あ、ありがとう。魅真ちゃん」
「サンキュ…」
手当てが終わると、ツナと獄寺は、着替えながら魅真にお礼を言う。
お礼を言われ、2人が着替え終わると、魅真は突然2人の間にわって入り、右手を獄寺の、左手をツナの肩にまわし、2人を抱きよせた。
「ちょっ、魅真ちゃん!?」
「お、おい!」
突然抱きつかれたので、2人は顔を赤くする。
「2人とも無事でよかった…」
「「!!」」
「途中ではなればなれになっちゃうし、通信は使えなくて、安否もわからないし…。こうしてまた会えて、本当によかった」
2人に抱きつくと、魅真は安堵の息をもらした。
「2人ともケガしてるけど、命に別状はないみたいだし、それに、他のみんなも無事だし。なんだかほっとして、力がぬけちゃった」
途中でツナと分かれ、更に、獄寺と了平とは意図せず離れてしまい、ラルはツナと分かれてから気を失い、他の者達も、少なからず危険な目にあっていたので、不安になったり心配したりしていた。
けど、ケガはしているものの、またこうして、みんな無事に再会できたので、魅真はとても安心した。
魅真の言葉に、ツナと獄寺も笑顔になり、それぞれ腕を、魅真の背中にまわした。
「それはオレもだよ。オレも、魅真ちゃんが…みんなが無事でよかったよ」
「オレもだ。まあ、ケガは負っちまったが、10代目もお前も、みんなもこうして無事だったわけだしな」
魅真がツナと獄寺のことを心配してたように、ツナと獄寺もまた、魅真が心配だった。もちろん3人とも、心配していたのは、目の前にいる相手だけではないが、それでも、魅真はツナと獄寺を前にして、その思いが一気にはじけ、ツナと獄寺もまた、魅真のことを心配してたので、その思いを魅真に告げたのだった。
全員が思いを吐き出すと、3人はどちらからともなく離れた。
離れると、獄寺は名残惜しそうにしながら、手当てが終わった際に一度着た上着をぬいだ。
「魅真、ほら」
「え?」
そして、その上着を魅真に差し出した。
「服、ボロボロになってんだろ。ここにゃヤローの方が多いし、帰る時にも困んだろうが」
魅真は、幻騎士にお腹を縦と横に剣で斬られたため、制服は十字に切れた状態となっており、胸の下がほとんど見えている状態だった。
あの時は、戦いに集中していたのであまり気にならなかったが、状況が落ちつき、獄寺に指摘されると、そのことが気になりはじめ、段々と顔を赤くした。
故意でないとはいえ、不特定多数の男性に、お腹を…ヘタしたら、胸も見られてしまったかもしれないからだ。
「あ……ありがと……」
女性に指摘されるだけでもはずかしいのだが、男性…しかも、同い年の男の子に指摘されたので、はずかしさも精神的ダメージも倍となった魅真は、顔をうつむかせながら、獄寺の上着を受け取った。
本当は、大きな声で言わないでほしかったし、男性なので、できれば指摘してほしくなかったが、別に変な意味で言ってるわけではなく、むしろ親切で言ってくれたのがわかってるのと、はっきり物事を言うようになったといっても、あまりガツガツしたタイプでもないので、獄寺を責めることはできず、魅真は小さくなった。
「真田、大丈夫か?」
魅真は獄寺から上着を受け取ると、さっそく上着を着た。
そして、服のファスナーをあげていると、そこへラルがやって来て、魅真の前にしゃがみ、魅真の心配をした。
「はい、大丈夫です。心配してくださって、ありがとうございます」
めずらしい…と思ったが、心配をしてくれたので、魅真は笑顔で答えた。
「とはいっても、幻騎士に剣で斬られてしまいましたし、結局倒すことはできませんでしたけど…」
だが、幻騎士に剣で斬られるし、倒せなかったしで、魅真は落ちこんだ。
「だが、先程腹の傷が見えたが、あまり深い傷には見えなかった。幻騎士を相手にして、その程度の傷ですんだということは、お前が成長したということだろう」
けど、ラルにはげまされて、魅真は目を丸くしたが、次第に笑顔になった。
「ありがとうございます、ラルさん」
歴戦の猛者であり、きびしくて、他者をほめることのないラルにほめられたので、魅真はくすぐったい気持ちになったが、それでもうれしかったので、笑顔でお礼を言った。
「それより、ラルさんも無事でよかったです」
「は?」
「まだ辛そうですし、ケガもしてますけど、それでも無事なので、ほっとしました。心配してたんですよ。警備システムを破壊した後、気を失ってしまったので」
ラルも魅真を心配したが、魅真もラルが心配だったので、胸の内を打ち明けると、ラルは目を丸くした。
「それよりもラルさん、顔色もまだよくないみたいなので、休んだ方がいいですよ」
「なっ、何を…バカな…!!」
本気で、心の底から心配しているのがわかったので、ラルはここまで心配されたこともなかったので、あまりなれておらず、顔を赤くした。
「でも、本当に……」
「バカバカしい。そんなことあるわけ…」
ラルは照れながら立ちあがろうとしたが、足に力をいれた時、ふらついてしまった。
「ラルさん!」
「ラル!」
「おい、大丈夫かよ!?」
ふらついたラルはそのまま倒れていくが、途中で魅真が受け止めた。
ラルが倒れると、心配になった魅真、ツナ、獄寺は、あわててラルの顔をのぞきこんだ。
「気を失っただけみたい」
「そうか」
「よかった」
ラルを見ると、ただ気を失っただけで、それ以外は特に苦しそうにはしていなかったので、3人はほっとした。
「魅真さん!」
「あ、入江さん」
ほっとしていると、そこへ再び正一がやって来た。
「緊急用ベッドを、もう一つ持ってきたよ」
「あ…。ありがとうございます」
正一が来たのは、ラルが倒れたのを見て、ラルの分の緊急用ベッドを持ってきたからだった。
緊急用ベッドを、山本が寝ているベッドの隣にならべると、ツナと獄寺が、ラルをベッドに寝かせた。
「本当にありがとうございます、入江さん。助かりました」
「いや、いいんだよ」
再度正一にお礼を言うが、正一は特に気にしてないようだった。
魅真はお礼を言う時にさげた頭をあげた時、正一の顔をじっと見た。
「…な、なんだい?」
いきなり顔を凝視されたので、正一はびっくりした。
「いえ……入江さんを消すことにならなくて、よかったな…と思いまして…」
「え…?」
「当初の目的は、主要施設の破壊と、入江さんへの奇襲だったんです。でも、いくら敵といっても、消すのはなんか気がひけたので…。なので、そんなことにならなくて、本当によかったです」
心から安心して、笑顔で話す魅真を見て、正一は頬を赤くした。
「…君は……昔から変わらないんだね」
「え?」
「この時代の君も、僕がこの作戦を実行しようとした時に、今みたいに、僕を心配してくれたんだよ。ウソじゃない、本当の笑顔を浮かべてね。君の優しさは、10年前から、ずっとそうだったんだね」
「え?あ……いや……そんな…。や、優しいだなんて……」
おだやかな顔で話す正一にほめられると、魅真は顔を赤くして、あたふたとした。
少し離れたところでは、今までの、魅真と、ツナ、獄寺、ラル、正一とのやりとりを、雲雀が不機嫌そうな顔で見ていた。
そして雲雀の後ろでは、そんな雲雀を、微笑ましそうに見ている草壁がいた。
それから、ツナはラルを介抱し、魅真は休むためにベッドの近くにすわり、獄寺は正一とともに、救急箱をとりに行った。
アジトにいるリボーンは、コーヒーを淹れて一休みしており、他の者達も、思い思いに過ごしていた。
「!! たった今、ジャンニーニから、イタリアの主力戦の情報が入ったぞ」
しばらくすると、突然リボーンが口を開いたので、全員リボーンに注目した。
「XANXUSが、敵の大将を倒したらしい」
「!!」
「マジっスか!?」
それは、みんなにとって明るいニュースだったので、一部をのぞいて全員が喜んだ。
「(XANXUS……………。あの、XANXUSが!!)」
ツナもラルに水を飲ませながら、リボーンの話に耳を傾けていた。
「せっかくのニュースに水をさすようだが、喜ぶのはまだ早いな」
それでも、まだ不安がぬぐいきれていない正一が、痛むお腹をおさえながら話を遮る。
「大将を討っても、兵力に圧倒的な差がある。ミルフィオーレが新しい大将をたて、長期戦になれば…」
「その心配もねーぞ」
けど、今度はリボーンが正一の不安をかき消すように、話を遮った。
「敵は撤退をしはじめたそーだ」
「おおっ」
「え!?ってことは!勝利じゃないか!」
「まーな」
「これならいける!!ボンゴレの戦力は想像以上だ!!主力部隊を追い込むなんて!」
「急に興奮しやがって…」
「……」
不安はなくなったので、正一は突然興奮して、饒舌になる。
「(すごい…!!さすがヴァリアー…。さすがXANXUSだ!!あとは、白蘭を倒すだけ)」
正一の様子を見ていたツナも、正一ほどではないが、これならいけるかもしれないと、少しだけ興奮していた。
《いいや、ただの小休止だよ》
みんなが喜んでいると、突然白蘭の声が聞こえてきた。
その声は、ツナ達がいる日本のメローネ基地にも、ヴァリアーが戦っているイタリアにも聞こえていた。
《イタリアの主力戦も日本のメローネ基地も》
イタリアにいるXANXUSや、ヴァリアーの幹部達、メローネ基地にいる、ツナ達全員の耳に届く声。
《すんごい楽しかった》
更には、ツナ達の前に、白蘭のホログラムが現れる。
「!!」
「わあっ」
突然現れたホログラムに、ツナ達はびっくりした。
「…こ…こいつが…」
「白蘭サン!!」
《ボンゴレの誇る、最強部隊の本気が見れちゃったりして、前哨戦としては、相当有意義だったよね♪メローネ基地で、僕を欺こうと、必死に演技する正チャンも、面白かったなぁ》
「!! じゃあ、僕が騙してたのを…」
今の白蘭の言葉で、正一は顔が青ざめ、冷や汗をかく。
《うん。バレバレだよ》
そんな正一とは対照的に、白蘭は軽い調子で返事をしたので、正一の顔には、どこか不安の色が見えた。
《確かに、この戦いを逆に利用して、敵に寝返る計画はよくできていたし、正直ボンゴレと手を組むなんて思ってなかったけど、正チャンがいつか敵になるのは、想定の範囲内だったからね。だって、昔からずーっと、正チャン、僕のすることなすこと、いつも否定的な目で見てたもん》
「!!………あなたは…………間違ってる!」
《ほーらきた。まあ、好きにすればいいよ。どちらが正しいかは、今にわかるし。しっかし、正チャンも、つくづくもの好きだよね。まだケツの青いボンゴレ10代目なんかに、世界の命運をあずけちゃうなんてさ》
「(世界の命運…?)」
白蘭を倒して、ミルフィオーレファミリーを壊滅させるだけのはずが、急に規模が大きくなったので、ツナは目を大きく見開いた。
《本当は、このまま息つく暇なく戦力を投入して、ボンゴレを消すのは簡単なんだ。でも、ここまで楽しませてもらったのは確かだし。それに、信頼してた副官に裏切られたとあっちゃ、リーダーとしての、プライドにかかわっちゃうだろ?》
白蘭はわざと言っているようで、そのことを指摘されると、正一は固まってしまう。
《だから、そろそろちゃんとやろーと思って》
けど、そんな正一の心境をよそに、白蘭は続けた。
《沢田綱吉クン率いるボンゴレファミリーと、僕のミルフィオーレファミリーとの、正式な力比べをね》
「(力比べ…?)」
《もちろん、7³をかけて。時期的にもぴったりなんだ。正チャンや、この古い世界とのお別れ会と、新世界を祝うセレモニーにさ♪》
「待ってください、白蘭サン!そう簡単にいくでしょうか!?」
《お。元気だなー、正チャン》
「あなたは、この日本のメローネ基地に4人。イタリアに1人。計5人の6弔花を送り込み、7つのうち、5つのマーレリングを失っている。もはやあなたは、翼をもがれた鳥だ」
《う~ん。ま、それが本物ならね》
「!」
そう言われて、正一は手を見てみると、指につけていたマーレリングが壊れてしまった。
「!!」
これには、ツナもリボーンも驚いた。
そして、マーレリングが壊れたのは、正一だけでなく、他の者のリングもだった。
「ニセモノ!!」
まさかニセモノとは思わず、正一は驚愕した。
《もちろんそれも、ランクAのスゲー石なんだけどね。7³は、もっと特別なの》
「だけど…」
《悪いけど、正チャンには秘密で、他に組織してあるんだ》
「「「「!?」」」」
《正チャンに会わすには、刺激が強すぎると思ったから、伏せといたんだけど、もう敵同士だからいいよね。紹介するね》
白蘭がそう言うと、白蘭の後ろにモニターが出現した。
《彼らが本物の、ミルフィオーレファミリー6人の守護者、真(リアル)6弔花♪》
モニターに映ったのは、白蘭を守護する、本物の守護者達…。
化粧をして、長い髪の毛を後頭部で一つにたばねている男。
顔に傷があり、顔色が悪そうな長髪の男。
裸でフード付きのマントをはおって寝ている、長い髪の少女。
復讐者にとらわれている骸と同じ状態になっている、長髪の…恐らく男。
短髪で、無精ひげをはやした男。
フードを深くかぶり、鬼の仮面をつけているので、性別はわからないが、雰囲気からして恐らく男の、計6人の人間が映っていた。
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