標的55 死ぬ気の炎
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工場跡を歩き、並中へ向かっている途中で、早々に敵と遭遇した魅真達。
魅真達の目の前に充満している煙。
そして、その煙が起こった原因の爆発を起こした、黒い服を着た二人の男は、ハイパー死ぬ気モードになったツナのように、炎を使って宙に浮いていた。
「ミルフィオーレのブラックスペル」
「!?」
「ブラック…スペル…?」
「何?それ」
「きょ…京子ちゃん達が!!」
京子達がいたところを攻撃されたので、ツナは心配になった。
「いくぜ!ボンゴレリングから、マモンチェーンをはずせ!」
「「「!!」」」
いきなり戦闘になったので、ツナと獄寺は不安になり、魅真は自分の指をみつめた後、悲しそうな顔をした。自分の指には、雲の守護者の証である、雲のボンゴレリングがないからだ。
それが、本当に雲雀と別れてしまったのだということを表しているようで、悲しくなったのだった。
「じゃあ、オイラがもらう!手ぇ出すなよ。太猿兄貴」
「しっかりやれよ、野猿」
上の方では、若い男の方が、京子達にとどめをさそうとしていた。
「くっ」
「うわああん!!」
そして下の方では、思わしくないこの状況に、イーピンは顔をゆがめ、ランボは泣きだしてしまった。
「うろたえないで、ランボ!!京子さんとハルさんをお願い!!」
「その体じゃ無茶だよ、イーピン!!」
こんな状況でもイーピンは冷静で、ランボに指示を出すが、ランボは涙を浮かべながらも、イーピンの身を心配した。
「へっへー」
一方上では、若い男…野猿が、何やら、腰につけた小さな箱に、にぎり拳をくっつけた。
すると箱があき、中からは、赤い炎がとびだした。
「じゃあ行くぜ!オイラの獲物達!!」
それは、褐色の肌の男…太猿が持ってるのと同じ、赤い炎をまとった、大きな鎌だった。
「ショアッ」
鎌を手にすると、野猿は鎌を勢いよく上から下にふり、赤い炎を、ランボ達に向けて放った。
炎は地面に直撃すると、先程のような爆発を起こす。
「弱ったところを狩ってくらあ!!」
野猿は足の炎を強くすると、勢いよく、煙の中にいる京子達のところに向かっていく。
「そこのカゲ
首いただき!!」
まっすぐに向かっていくと、目の前の煙の中に一つの人影が見えたので、野猿は鎌を勢いよくふる。
だが、その時鎌がぶつかる金属音が聞こえた。
「!!」
その人影は山本だった。
山本は、野猿の鎌の柄の部分を、刀で受け止めたのだった。
標的55 死ぬ気の炎
煙の中から現れた人物に、太猿、イーピン、ランボは驚き、目を見張った。
「兄貴、こいつ誰だ?」
「抹殺者リストに載ってたかもしんねーが、消えてく人間を、いちいち覚えちゃいねーな」
「だよな!!」
先程攻撃を山本に止められたが、それでも気にすることなく、楽しそうな笑みを浮かべた野猿は、鎌で山本を攻撃した。
その細身からは信じられないくらいの速さで、何度も大きな鎌をふって攻撃をするが、山本はそれをすべて防御する。
「なんだ、こいつ!?オイラの黒鎌(ダークサイズ)を!!」
自分の攻撃をすべて防御されたので、野猿は驚いていた。
「いくぜ…!」
山本が相手を見据えると、指にはめている二つの指輪が光った。
そして、指輪が光ると、今度は刀の刀身が青い炎で包まれた。
「時雨蒼燕流八の型…」
「はなれろ、野猿!!」
「!!」
山本の構えを見た太猿は、これはヤバいと判断し、野猿に声をかける。
「篠突く雨」
「ギャア!!」
山本の篠突く雨は、雨戦の時、スクアーロに放った時とは違い、水ではなく、四か所から青い炎が地面からふき出した。
「浅いか…」
攻撃をあてたのだが、太猿の注意の方が早かったので、あまりダメージを与えられなかった。
「いつつ」
それでも攻撃をくらったので、多少はダメージがあり、野猿は上の方に飛んだ。
「あっ…ぶねーっ」
まさに危機一髪。野猿は太猿が声をかけたことによって、なんとか無事だった。
「ボンゴレには、2大剣豪がいると聞く…。よもやあいつ…」
今の山本の技で、思いあたる節がある太猿は、一つの可能性が頭に浮かんだ。
「みんな、大丈夫!」
「イーピンちゃん!ランボ君!」
「しっかりしろ!!」
山本が野猿と戦っている間に、魅真、ツナ、獄寺の三人は、ランボ達のもとへ走っていき、安否を確認した。
「ボ……ボンゴレ!!魅真さんに獄寺氏も!」
三人が来たことで、ランボとイーピンはほっとしていた。
「だから言ったじゃないですか」
「!」
「絶対、ツナさん達が助けに来てくれるって」
そしてランボとイーピンの後ろには、10年後のハルがいた。
「「「(10年後のハル(ちゃん)ーー!?)」」」
「…………」
「(ハルちゃん、かわいい…)」
「(なんか…女っぽくなってる!)」
目の前のツナ達を、ハルはじっと見た。
ハルにじっと見られると、ツナはドキっとなった。
「はひ?なんだかハル…。急に背が伸びたみたいです!」
「(でもやっぱりハルちゃんだ…)」
「(中身変わってないー!!)」
10年経って、女性らしい顔つきになってはいるが、10年経っても、やはりハルはハルだった。
「しゃらくせぇ!!よくも、兄貴達とおそろいのスーツ破いたな!!」
一方野猿は、山本に攻撃をされ、そのせいで服が破けてしまったので怒っていた。
「ショアッ!!!」
そして、今度こそやっつけようと、先程のように、鎌を上から下にふりおろして、炎をとばした。
けど、山本は野猿が持っていたのと、デザインは違うが、同じ小さな箱を取り出すと、指で上にはじき、それを空中で受け取ると、野猿と同じように、拳を箱にくっつける。
すると、中からは水がとび出してきて、野猿の攻撃を防いだ。
「んだとぉ!!」
「水のバリア…!」
「おまえ達…よく覚えとけ」
「「「!」」」
「リングには、この匣(ボックス)ってのを開ける力がある」
「そ…そーか!!こいつに開いてる穴は、そーやって使うんだな」
「おまえ、それどこで…?」
10年前の獄寺が、何故か匣を持っていたので、山本は驚いた。
「10年後のオレのカバンに入ってた」
「そーいや、あいつ、スゲーの手に入れたって…」
「おまえばかりに、いいかっこはさせないぜ!!」
「!!」
獄寺は山本に対抗心を燃やして、自分も匣を開けようとした。
「! ひいっ」
「ん…………………?何も起きねーぞ」
何が出るかわからないので、ツナはびびり、魅真は興味津々で見てみるが、何も出てこなかった。
「ハハハ!」
何も起こらなかったので、山本は何故か笑い出した。
「人間の体ってのは、血液だけでなく、目に見えない生命エネルギーが、波動となって駆け巡ってるんだ」
「!」
「波動は7種類あって、リングは自分の素質と合致した波動が通過すると、それを高密度エネルギーに変換して、生成する…。
死ぬ気の炎をな」
山本が、先程とは違う匣の穴に、指につけているリングをくっつけると、匣が開き、今度は青い炎をまとった生き物が飛び出してきた。
「くっ。炎がっ!!」
匣から飛び出したモノは、野猿の炎を消していた。
「す…すごい!!」
「んだ、ありゃ…?」
「鳥?」
野猿を圧倒しているので、ツナと魅真は感心していた。
「こいつ!!炎を消しやがる!!」
「やはりあいつは………ボンゴレの雨の守護者だ」
持ってる武器が刀なのと、時雨蒼燕流を扱うこと、そして青い炎を使うので、太猿は相手が、ボンゴレの雨の守護者だという確信を得た。
「……………!
あれ…!?」
「どうしたの?イーピンちゃん」
山本が敵と交戦していると、急にイーピンが、辺りを見回した。
「た…大変!!京子さんがいない!!」
「!」
「え!!」
「もしかしたら………さっきの爆風で…!」
「そ……そんな…!!」
「大変だわ」
イーピンが辺りを見回したのは、一緒にいたはずの京子がいなくなっていたからで、その事実を知ったツナは、顔が青ざめた。
「まだ決まってねーぜ。探しにいけ、ツナ!敵はこっちで引き受けた!!」
「え?う…うん!わかった」
山本に言われると、ツナはそこから走り出し、京子を探しにいった。
「くそ。すばしっこい!!」
上の方では、野猿が山本が出した匣兵器に苦戦しており、何度も鎌をふるが、全然とらえることができないでいた。
「前言撤回だ、野猿。くだらん雑用任務に転がりこんだ、久々の大物だ。見逃す手はねえ」
最初は見てるつもりだったが、相手のスーツの男性が山本とわかると、太猿も参戦しようと、鎌をまとっている炎を強くした。
「手を貸すぞ」
太猿は野猿と同じように、鎌を上から下にふりおろし、赤い炎を放った。
「ぐあっ」
その炎は、ツナに直接あたりはしなかったものの、すぐ側の地面にあたってしまったので、ツナは爆風でとばされ、工場の窓ガラスを突き破って中に入ってしまい、太猿はツナの後を追った。
「ちっ。兄貴の炎もしのぎやがった!!くっそー!!あの刀さえいなけりゃ!!」
山本相手に歯がたたない状況なので、野猿は悔しそうにしていた。
「なんで何も起きねーんだ!!壊れてんじゃねーのか?」
獄寺は、持っている匣をなんとか開けようとするも、何度やっても匣が開かないのでふしぎに思っていた。
「炎をイメージしろ、獄寺」
「?」
「死ぬ気を炎にするイメージ。覚悟を炎に変えるイメージだ」
「覚悟を炎にだ?」
先程山本が笑ったのは、獄寺がリングに炎を灯して、匣の穴にリングを差しこんでいなかったから…。要はやり方が違ったからだった。
「おまえならできるさ。いや、できてたんだぜ!
ま……でも、今回はオレにまかせとけ。ツナも心配だしな……。さがってろ、獄寺」
「! てめ!」
ひよっこ扱いされたので、もともと山本に敵対心を抱いてる上に、負けず嫌いな性格なので、獄寺は額に青筋を浮かべる。
「くっそ、かっこつけやがって。10年のハンデがあるからってよ。
へっ。今回だけは、てめーにくれてやる。とりあえず見せてみろ」
「おーー」
とても悔しいが、匣を開けることができないどころか、リングに炎を灯すことすらできない今は、今のこの状況をどうにかすることはできないし、自分もツナのことが心配なので、ムカついてはいたが、仕方なしに山本にゆずった。
「こいつで決めるぜ」
山本は獄寺に返事をすると、二つの匣を指で上にはじいて、野猿を倒そうとした。
ところが、匣をはじいた瞬間、突然山本をピンク色の煙が覆った。
「ん?」
「なっ」
「えっ!」
ピンク色の煙の中から現れたのは、魅真達のいた時代の山本だった。
「なにーーーー!!?」
「えぇえええっ!?」
山本までも入れ替わってしまった上、しかもこんな最悪なタイミングなので、魅真と獄寺は顔が青ざめた。
それだけでなく、二人が驚いて大きな声をあげると、魅真と獄寺の後ろ…ランボ、イーピン、ハルがいたところから、同じようにピンク色の煙が起こった。
「はひ」
「?」
「?」
「「!!」」
煙の中から現れたのは、魅真達のいた時代の、ランボ、イーピン、ハルだった。
「はぁ!!?」
「えぇっ!?」
山本だけでなく、ランボ達までも入れ替わってしまったので、魅真と獄寺はわけがわからない状態だった。
「おっ。獄寺!!魅真!!何してんだ、こんなところで!!」
「あ!!魅真ちゃん!獄寺さん!探してたんですよ!!」
「………どーなってやがる……」
「な…なんで…」
「うそ…だろ…?よりによって、こんなやべぇ時に…」
獄寺は匣を開けることができないし、魅真に至っては、匣どころかリングすら持ってない。唯一、匣でまともに野猿と戦える山本は、今のこの状況すら知らない、自分の時代の山本と入れ替わってしまい、更には、ランボ、イーピン、ハルも、自分の時代にいた彼らと入れ替わってしまった。まさに、最悪ともいえる状況になってしまったのだ。
「ん?刀の奴のナリが変わった?」
一方野猿は、山本の格好が、スーツではなくラフな普段着になったので、ふしぎそうにしていた。
「いいか、おまえら。よく聞け!!とにかく逃げるんだ!!」
「ん?」
「はひ?」
「はひじゃねーんだよ、アホ女!!これしか道はねーんだ!!」
「アホって何ですか!!」
「隼人君!ハルちゃん!落ちついて!」
まったく状況がつかめていないのに、いきなり逃げろと言われたので、ふしぎそうにしていると、獄寺が怒鳴った上に悪態までついてきたので、ハルはいつものように口論になってしまった。山本は山本で、「どこだココ…?」と言いながら、辺りを見回していた。
「いいから走れ!!じゃねーと………」
とにかく今は、ここからみんなを逃がすことが先決なので、再度逃げるように言うが、獄寺は途中であるものに気づく。
上にいる野猿が、とどめをさそうと、鎌の炎を強くしたのだ。
「逃がさないね!!」
炎を強くすると、野猿は笑みを浮かべながら、鎌をふりあげた。
「ショア!!」
そして、下にふりおろして、炎をとばした。
「しまっ…!!」
もちろん敵が、待つわけも、手加減をするわけもなく、攻撃をしてきたので、獄寺は肝が冷えた。
山本達はわけがわかっておらず、魅真はこの時代の状況も、今の状況も理解しているが、炎が向かってくるのをみつめたまま、そこに微動だにせずに立っていた。
炎があたると爆風が起こり、ハルのカバンも、山本のバットも、イーピンの肉まんも、爆風でとんでいった。
「へへん」
これでもう生きちゃいないだろうと思った野猿は、うれしそうな笑みを浮かべた。
「………うぐ…」
下の方では、なんとか獄寺は生きていた。
「魅真とイーピンしか…救えねーとは……くっそー」
魅真とイーピンは獄寺に助けてもらったので、二人とも無事だった。
けど、魅真とイーピンを助けることはできたのだが、山本、ランボ、ハルは助けることができなかったので、獄寺は悔しそうにしていた。
「おい、魅真!!おまえ、なんで今の攻撃をよけようとしなかったんだ!?おまえは、今のこの状況を理解してんだろ?死にてえのか!!」
炎がとんできた時、魅真が微動だにしなかったのは見ていたので、何故よけたり逃げたりしなかったのか疑問に思った獄寺は、魅真を問いつめる。
「……別に……死んでもかまわなかった……」
「んなっ」
信じられない言葉に、獄寺はあいた口がふさがらないといった感じになる。
「バッカヤロウ!!何考えてんだ!!」
不謹慎なことを言う魅真を獄寺は怒鳴るが、魅真は少しびっくりしただけで、謝罪も撤回もしなかった。
「ぐ……」
その時、後ろから山本のうめき声が聞こえてきたので、魅真と獄寺は、後ろへふり向いた。
「ぴゃ…」
「「!!」」
「う~ん」
「ランボ!!」
「う…」
「ハル!!」
「(よかった。無事だ…)」
意識を失ってはいるが、山本、ランボ、ハルは無事だったので、魅真はほっとしていた。
「………あんの野球バカ…。わけもわからずかばいやがったのか………。へっ、まーまーやるじゃねーか…」
状況がわからないものの、危険を察知して、二人を守ったので、獄寺はいつもよりもやわらかい笑みを浮かべる。
「やりぃ!!刀の奴もぶっ倒したぜ!!」
「「くっ!!」」
更に窮地に追いこまれてしまい、もう戦えるのは自分達しかいなくなったので、魅真と獄寺は素早く起き上がった。
「やろう!!」
そして、魅真は薙刀を、獄寺はダイナマイトを構えた。
「なんだこいつら。男の方はダイナマイトで、女の方は薙刀。しかも木刀かよ!!なめてんのか?そんなもんでオイラに勝てるか!!」
けど、野猿は余裕の笑みを浮かべ、二人をバカにした。
「(確かにそうだわ。私は匣どころか、リングだってもってない。リングがあったとしても、覚悟だって……。薙刀は、さっきの攻撃で折れなかっただけ奇跡だけど……。どうしよう…)」
「(奴の言う通りだ……。ダイナマイト(こいつ)で歯が立つ相手じゃねぇ…)」
ただ、野猿の言ってることは間違いではないので、二人はどうしようかと悩んだ。
「!!」
その時、ふいに獄寺は、自分の右手につけているボンゴレリングに目がいった。
『炎をイメージしろ、獄寺……。覚悟を炎にするイメージだ』
そして、この時代の山本が言っていたことを思い出す。
「へっ、おまえに言われたかねーんだよ…。オレぁいつだって…
ギンギンに覚悟はできてんだ!!」
山本に対抗している風でもあったが、それでも獄寺は、まっすぐに前を見据える。
「(あとは炎だ!!)」
「さあ、死にな!!」
野猿は先程の技を出すために、今度は鎌が背中にくっつくのではないかというくらいに、思いっきり大きくふりかぶった。
「(覚悟を……炎に!!!炎に!!!!)」
獄寺が強く念じ、イメージをすると、ボンゴレリングからは、野猿と太猿と同じ、赤い炎が灯った。
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