標的72 晴の守護者の使命
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「何だ、あいつは!?」
奥にいたターバンを巻いた男は、絨毯に乗って宙に浮いていた。
「我、汝らの血と肉を、所望す」
「じゅ…絨毯で浮いてる!」
「あの人もミルフィオーレ?ミルフィオーレの人が、ミルフィオーレの人間を…?」
「つーか、なんでミルフィオーレの奴がやられてんだよ!!」
「こいつは鬼熊使いの、ニゲラ・ベアバンクル。熊の匣兵器を使う、相当な猛者だときく…」
了平が、やられたミルフィオーレ隊員の確認をしていると、突然パネルの向こう側から、何か固いものを折る音や、飲みくだす音が聞こえてきた。
「「「「(パネルの向こうに何かいる…!!)」」」」
その音に、全員が警戒した。
更に、噛みくだくような音や、水分をすするような音が聞こえてくる。
「(何だ………。この気味悪い音は…)」
すると、突然黒いかたまりが落ちてきた。
「何か落ちたぜ」
「何あれ。手……?」
「……………!! なっ。まさか、あの爪は…!!」
了平はその黒いかたまりを見て、もしやと思った。
「く……熊の手!!!」
それは熊の手だった。
了平がそう言った時、パネルの向こうから、パネルを壊しながら、もう一つの巨大な影が姿を見せた。
「何がいるんだ!?」
「でかいぜ!!」
「一体なんなの!?」
パネルを壊しながらこちらに来ようとしているその影に、魅真達は更に警戒をする。
「!!」
大きくうねるその影は、更にパネルを砕いていった。
「ぐっ」
その影は、パネルを押しつぶし、その巨体を魅真達の前に見せる。
「「「「!!」」」」
パネルの向こうからこちらに姿を見せたのは、嵐属性の炎をまとった、巨大な蛇だった。
標的72 晴の守護者の使命
「大蛇!?」
「なんて大きいの…」
「あの炎は…匣兵器だ!!」
「……!!」
その姿に、魅真、山本、了平は驚いていたが、獄寺は急に黙りこんでしまった。
「ほほう。そうか、嵐蛇(セルペ・テンペスタ)。その満足げな顔付き。ニゲラの鬼熊は、なかなか食いでがあったと見える」
「!!」
「ま…まさか、アレがニゲラの匣兵器を…」
「さよう。我が匣、嵐蛇は、匣職人ケーニッヒの新作なり。他の匣兵器を捕食することで成長し、戦闘力を高める能力を持っておる」
「! 匣がモノを食うってのか?」
「でも、匣は人のものを食べないって…」
「ありうる話だ。タコ頭のネコ助も食うしな。
? どうしたのだ、タコ頭!?」
獄寺は、黙りこんだだけでなく、どこか興奮している様子だったので、了平は獄寺に声をかける。
「ど………どうしたじゃねぇよ………!」
「?」
「気づかねえのか!?あのフォルムは、ただの大蛇なんかじゃねえ!!俺の遭遇したい生物ベスト8!!日本が誇る幻の聖獣!!
ツチノコだ!!!」
獄寺が興奮していたのは、獄寺がふしぎ大好きで、目の前にいるのが、自分が遭遇したい生物の一つだったからだ。
「ああ、ツチノコなら、3年前に発見されたぞ」
「マジかよっ!!!」
けど、この時代では、もう幻でもなんでもないので、獄寺はドキッとした。
「やはり、最新の匣か」
「我、汝らの血と肉を、所望す」
「ちっ」
それはつまり、魅真達の死を望むということなので、魅真、山本、獄寺は、それぞれ武器を構える。
「理屈はわかったが、どうして仲間の匣兵器を食わせたんだ?」
「あなた達、同じミルフィオーレファミリーなんでしょう?」
「仲間割れでもしたのか?」
「フォハハハハ!!仲間とは片腹痛し!!」
「「「「!!」」」」
ニゲラと仲間扱いされたので、バイシャナが笑うと、魅真達は驚いた。
バイシャナのそばには、嵐蛇が、バイシャナを守ろうと、バイシャナの近くまで来ていた。
「我らホワイトスペルとブラックスペルを、同等と見るべからず。ホワイトスペルは未来を摑む、優れた選ばれし光。ブラックスペルは、腐った過去の、愚かな遺物よ!!劣る者が優るる者に搾取されるは、世の理。古く黴臭い貴様らボンゴレも、我らの餌にすぎぬ」
「………………」
「んだと!!」
ボンゴレをバカにされ、今のバイシャナの言葉に、獄寺は激怒した。
魅真と山本の何も言わないが、その顔に怒りを露わにしている。
「どうやらミルフィオーレ内部も、相当イザコザってるらしいな…」
「イザコザってるって…」
「だが、いかなる理由があろうと、共に戦う者を食いものにしようなど、許されることではない」
了平は至って冷静に話しながら、後ろの壁へ行くと、背負ってるラルを、壁にもたれかけさせた。
「なっ、お前戦う気かよ!!ここはオレにやらせろ!!」
「悪いな、タコ頭」
ボンゴレをバカにされて黙って見てるわけにいかないので、獄寺は自分が戦おうとした。
「もう遅い」
けど、了平も自分が戦う気満々で、獄寺と話している間に、匣を開匣させた。
「「「!!」」」
すると、匣の中から出てきたものが、獄寺と山本の間をすごい勢いで通過し、嵐蛇の前で床を一回蹴って、嵐蛇よりも高くジャンプすると、嵐蛇の脳天に蹴りを食らわせた。
その、強烈な一撃に、嵐蛇はうめき声をあげると、仰向けに倒れて、パネルに体をぶつけた。
嵐蛇を蹴ったものは、姿をとらえることはできなかったが、嵐蛇とくらべるとそう大きくは見えなかったのに、巨大な嵐蛇を蹴りとばしてしまったので、魅真達は口をあけて驚いていた。
そして、その嵐蛇を蹴りとばしたものは、回転をしながら了平のもとへ戻っていき、大きな音をたてて着地した。
「お…おい…」
「あ…」
「あれって…」
「あれが…先輩の…」
「アニマルタイプの匣兵器…」
「そうだ。こいつこそが、我が道を貫く、漢の匣兵器。極限無比なその名を!!」
匣兵器が降り立つと、了平はその匣兵器の体に手をそえた。
「漢我流!!!!」
「やっぱあれ、カンガルーか!!イカスなっ」
「(個人の名前っていうか、動物の種類の名前だわ…)」
「(思ったよりノーマルなネーミングだったな)」
「貴様の相手は、このオレだ!!バイシャナ!!」
「ほほう。ボンゴレの晴の守護者の匣兵器は、飛んで跳ねるカンガルーか。限りなくあわれなり。汝の匣兵器で、嵐蛇を倒そうなどと、千年早し」
今しがた、嵐蛇がやられたばかりなのに、バイシャナは余裕だった。
「何!?」
「わからぬか?嵐蛇は、技をくらったのではなく、わざと受けたのだ。匣兵器を見るがよい」
「!!」
余裕だったのはそれで、了平は言われた通りに我流を見てみると、突然我流の体から、嵐属性の炎が燃えあがり、我流はうめき声をあげて倒れた。
「我流!!」
「我が嵐蛇のウロコからは、嵐属性の炎が吹き出しておる。汝らも知っておろう?嵐属性の特徴は」
そこまで言われると、同じ嵐属性の獄寺ははっとなる。
「分解!!!」
「さよう。ウロコに触れただけで、その物質は砕け、破壊されるのだ。汝のカンガルーは、もう動けまい」
もう、勝負は決まったようにバイシャナが言うと、了平は奥歯を噛みしめる。
「ミルフィオーレには、「晴は引いて、照らすが徳なり」という格言がある。晴の匣は、活性などという、およそ、攻撃的でない能力のために、先頭に立って戦うなという意味よ。晴では嵐には勝てぬ」
「まずいぜ」
「さがれ芝生!!おまえの匣は相性がわりーんだ!!」
「私達が代わりに戦います!!」
「何を勘違いしている。何年経とうが、オレはボクサーなのだ。トレーナーをリングに送り出すボクサーがどこにいる?はなから、我流で倒すつもりなどない」
状況が悪くなっているのに、それでも了平はあわてず、右手にテーピングをした。
「!?」
「「「!!?」」」
「第一ミルフィオーレの格言など、オレには無駄な説法だ」
「なぬ?」
「ボンゴレにはボンゴレの、守護者の使命があるんでな!!」
どこか怒っているようにも見える、覇気みなぎる顔。了平から放たれる威圧感。魅真達はその了平から放たれる気に、背筋が凍った。
「真田…獄寺…山本…いつ何時も忘れるなよ。リング争奪戦で体現し、初代ファミリーより脈々と受け継がれてきた、オレ達のその使命を。行くぞ、我流」
了平はネクタイを緩めると、我流の名前を呼んだ。
すると、先程まで嵐の炎で苦しんでいた我流は起き上がり、鳴き声をあげると、口から晴属性の炎を出した。
更には、お腹の袋が光り出す。
「腹の袋が光ってやがる!!」
「射出!!」
そして、了平の合図とともに、お腹の袋から、晴の炎を帯びた何かが二つ飛び出てきて、了平の拳に装着された。
「我が匣漢我流は、二段式の支援型匣(サポートがたボックス)。そして、ボンゴレ晴の守護者、笹川了平…。その使命は…」
それは、手の甲に晴のボンゴレリングのエンブレムが刻まれ、晴の炎が出ているグローブで、了平は戦うために、上着をぬいで、後ろに放った。
「ファミリーを襲う逆境を自らの肉体で砕き、明るく照らす日輪!!!!」
そして、力強い瞳で前を見据え、拳を構え、目の前にいる嵐蛇とバイシャナと対峙した。
「ぬう?」
「あれがセンパイの武器?」
「カンガルーの腹からグローブが!?」
「ってことは、メスだったのかよ!!」
「漢我流は、オレをサポートする匣兵器。そして、貴様を砕くのは、この拳だ」
「フォホホ。救いようもなく愚かなり。よりによって、拳闘で挑んでくるとはな。汝の拳は、嵐蛇に少しでも触れた時点で、分解されるのだぞ!!」
我流は倒れなかったが、それでもバイシャナは余裕で、変わらずバカにしたように笑うが、了平は相手を倒すためにステップをふんだ。
「御託はいい。かかってこんか」
ステップをふむと残像ができ、了平が何人もいるように見えた。
「センパイが、何人もいるように見える…」
「あのフットワーク!!」
「ありゃあ…ルッスーリアのステップだ!!」
それは、リング争奪戦で、了平の対戦相手のルッスーリアが使っていたものだった。
「スピードで翻弄するつもりか。だが、我が嵐蛇が、今まで素早い相手を餌食にできなかったとでも思うか?見せてやれ!!」
バイシャナの合図で、嵐蛇は体を了平の方へ向けた。
「!?」
そして、頭が大きなお腹にめりこんで、体に半分かくれるくらいまでしずめると、バネのように勢いをつけてとび出し、了平に向かっていった。
「!!」
「速え!!」
「大きな体なのに、すごい身のこなしだわ」
嵐蛇が了平に向かっていくと、了平も嵐蛇にまっすぐに向かっていき、嵐蛇が目の前まで来ると、了平は、嵐蛇の口の先を右の拳で殴った。
「(真正面から!!)」
「(あれじゃあ分解されちゃう!!)」
「(あのバカ…!!)」
「(フォホホ。分解の炎に触れてしまったな)」
真正面から向かっていき、触れてしまえば分解されてしまうというのに、直接殴ったので、魅真達はぎょっとし、バイシャナはニヤリと笑った。
だが、思っていたのとは逆で、嵐蛇の口の真ん中にひびが入った。
「「「!!」」」
「!! 何!?」
それには全員が驚き、嵐蛇は血しぶきをあげ、うめき声をあげた。
「おっと、言い忘れておったな。この拳には、触れぬ方がいい」
嵐蛇のウロコにふれた了平の右拳も、多少傷ついたが、それでも嵐蛇ほどではなかった。
嵐蛇は、うめき声をあげながら仰向けに倒れると壁にぶつかり、その衝撃で壁は破壊された。
「バカな!嵐蛇のウロコが砕かれるなど!!」
「すげえ!あの炎をモノともしてないぜ」
「本当…。なんで砕けたんだろう…」
「………一体…どうなってんだ?」
「なあ、カンガルー!おまえ何か知ってんじゃねーか?」
「なっ。バカかおまえは!!匣兵器に聞いてどーすんだ!!」
「なんかあいつ、知ってそうな気がしてさ」
「このっバーカ!!野球っバーカ!!」
「(武君て、意外とメルヘンチック?)」
「フ。たしかに、我流も知っておるぞ」
「!」
「ハハッ。ほらな!」
「我流の腹の袋には、晴の"活性"の力をチャージする能力があってな」
知っていても、しゃべることはできないので、了平は我流を親指でさしながら説明をする。
「そこから射出される武器は、特殊な植物で編みこまれ、ものすごい勢いで、新しい細胞を次々と生み出すことができる。言いかえれば、この晴(セレーノ)グローブは」
説明していると、傷ついた右の拳は、晴の活性で治っていった。
「高速自己治癒能力を備えている!!」
今説明した通り、了平の傷は一瞬のうちに治ってしまい、嵐蛇の分解能力などものともしておらず、不敵な笑みを浮かべた。
「(拳の傷が…!!) では、嵐蛇の炎が効かなかったのは…!!」
「そうだ。嵐蛇の炎の分解を、上回るスピードで、細胞を再生したためだ」
「ぐっ」
「砕けぬ拳…」
「晴の炎ってすごいのね…」
「やるな!先輩もカンガルーも!」
「……なるほど。後方支援向きの軟弱な能力も使いようというわけか。下等なボンゴレ風情にしてはよくやった。だが、すでに汝の攻略法、見つけたり」
嵐蛇はやられたが、それでもバイシャナはものともしておらず、不敵な笑みを浮かべ、リングに炎を灯した。
それでも了平は冷静で、あわてず焦らず、バイシャナを見据える。
「所望!!」
バイシャナは、リングに灯した炎を、首飾りのようにつけていた8つの匣の穴に差し込んだ。
そして、持っていた笛を吹くと、8つの匣がいっせいに開匣され、中から匣兵器のクワガタが、合計で8匹とび出した。
「虫…?」
「ま、また虫…?」
「クワガタだ!!アゴに、嵐の炎が灯ってやがる!!」
「さよう。この、嵐クワガタ(C・V・テンペスタ)のアゴにも、嵐蛇のウロコと同様の分解能力がある。たしかに嵐蛇より、火力も破壊力も劣るが、汝の能力の泣き所をつくのには、こやつらが、むしろ好都合なり」
「何?」
「自慢のフットワークは通用せぬ。くらうがよい!!8連クワガタ(チェルヴォ・ヴォランテ・ベル・オット)!!」
バイシャナがまた笛を吹くと、嵐クワガタはいっせいに了平に向かっていく。
「フッ」
了平は素早く左の拳をつくが、嵐クワガタはその拳を、あたる寸前でよけ、少しかするだけだった。
「!」
更に別の嵐クワガタが、右から襲いかかってきたので、右拳で殴るが、その嵐クワガタも、右の拳を少しかするだけだった。
今度は、2匹の嵐クワガタが、1匹は左から、もう1匹は正面から襲ってきたが、またしてもかするだけ。
そして次に、左右から2匹の嵐クワガタが襲いかかるも、嵐クワガタは了平の拳にかすかに触れるだけで、倒れたりはしなかった。
了平も嵐クワガタをよけてはいるが、攻撃をしてもダメージを与えられておらず、それどころか、とらえることすらできていなかった。
「とらえきれてない!!」
「あのクワガタ共、調教されてやがんだ!!」
「それに、さっきの蛇と違って、的が小さい上に8匹もいるから、とてもとらえにくいわ」
「(絶妙な時間差で突っ込んできやがるから、一匹に集中できず、大振りも許されねえ…。やべえぞ!!)」
「フォホホホ。どうした?汝の退路は、徐々に絶たれておるぞ」
バイシャナの言う通り、嵐クワガタは、上からも了平に襲いかかっていく。
「我流ゥ!!!」
了平が再び我流の名前を呼ぶと、我流は鳴き、口から炎を出すと、またお腹の袋から、二つの光るものを出した。
それは、了平の両足に装着される。
そして、左右から嵐クワガタが襲ってくると、了平はその攻撃をよけた。
「!!」
よけたのは、了平が飛んだからだった。
「!!」
「あいつ…飛んでやがる!!」
「ツナ君のグローブみたい…」
了平の足に装着されたのは、γや太猿や野猿がつけているのと、同じようなものだった。
「ほう、飛べたか。だが、汝、我が術中にあること、何ら変わらず」
「!」
バイシャナがそう言うと、今度は嵐蛇が、了平に巻きつくように襲いかかってきた。
「!!」
「あの蛇まだ!!」
「まだやられていなかったんだ」
了平は嵐蛇に囲われるような形になった。
「フォホホ。いよいよ準備は整った。この時を待っておったぞ。汝のたった2つの拳では、嵐蛇の炎の壁と、嵐クワガタの8点同時攻撃を、同時に防ぐ術はなし!!!」
嵐蛇だけでなく、嵐クワガタも、八方から襲いかかってきた。
「全部一斉に!!」
「あれじゃかわしきれねえ!!」
「笹川センパイ!!」
「死せよ、晴の守護者!!」
バイシャナのその言葉が合図のように、嵐クワガタは、了平にまっすぐに向かってきた。
しかし、2匹の嵐クワガタが、了平にあたる直前に、いきなり自爆をした。
「なっ!!」
更に他の嵐クワガタも、了平にあたる直前に、同じように自爆をする。
けど、嵐クワガタの後に、嵐蛇も大きな口をあけて襲いかかってきた。
「おっと」
だが、了平はあっさりとよける。
「バ…バカな!!嵐クワガタが、全機堕とされるなど…!!そんなバカな!!」
「触れてもねーのに…」
「どうなってるの?」
「あのクワガタ…。自らの炎で自爆したように見えたぜ」
「その通りだ、タコ頭」
「!」
「奴らのアゴの炎は暴走したのだ。晴の"活性"の力によってな」
「(活性し、制御不能!?だが、一撃もくらっては…!! ハッ!まさかあの時!!)」
攻撃はされてないのに、晴の炎に触れていたので、ふしぎに思っていると、先程嵐クワガタが了平を襲っていた時に、かすかに了平の拳に触れていたのを思い出す。
「そうだ。とうの昔に、クワガタとの勝負はついていた。オレが翔んだのは、貴様とツチノコに、とどめを刺すためだ」
「(この男…。つ…強い!!)」
嵐クワガタは倒したので、あとはバイシャナと嵐蛇だけとなった。
形勢逆転したので、バイシャナはたくさんの冷や汗をかく。
同じ頃、司令室では……。
「入江様!」
「やっとバイシャナ氏が見つかりました。展示室より通信です」
「開いてくれ」
正一の指示が出ると、通信が開かれた。
《我、救援を所望す!!》
通信を開くと、いきなりバイシャナがアップで映り、助けを求めてきた。
「!! 何!?敵か!?もう、展示室にまで来ているのか!?バイシャナ…
!!」
救援を要請してきたということは、敵がいるということなので、正一はバイシャナに問いかけるのだが、途中で砂嵐となり、モニターが切れてしまった。
「ニゲラはどうした!!」
「ハッ。未だ連絡がありません。幻騎士殿もまだ……あっ。まずいです!!この地点には、現在味方がおりません!!」
「なんだって!!」
「入江様…!!」
「……」
ニゲラの行方もわからず、幻騎士もまだ来ていない。他の味方も誰一人いない。この悪い状況に、正一は呆然とした。
「くっ」
状況が悪くなると、急にお腹の調子が悪くなったので、正一はお腹をおさえた。
「(まずい…まずいぞ…)」
そして、歯を強く噛みしめる。
「このままでは、奴らが研究所に!!」
おそらくは、このままではバイシャナもやられてしまうだろう…。正一は冷や汗をかいた。
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