標的66 決断
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「中止の場合は、首脳にオレが伝えにいく。しっかり頼んだぞ、沢田」
「なっ、ちょっと」
肩に両手を置き、笑顔で責任重大なことを頼む了平に、ツナは顔が青くなり、うまく返せなかった。
「師匠の話はまた……」
「!」
ツナに決断をゆだねると、真剣な顔をラルに向け、ラルに一声かけた。
「さーて、オレは極限メシ食って寝るっ!!!」
「そんな!困ります!待ってください!!」
けど、すぐにいつもの調子に戻って、ここから去っていった。
言うだけ言って、どこか行こうとしているのでツナは止めようとするが、了平は聞いちゃいなかった。
「どうしよう、リボーン!!責任重すぎるよーーーーー!!」
了平がいなくなると、ツナはオタオタして、ビアンキのひざにすわっているリボーンに助けを求める。
「ボスが情けねー声出すんじゃねえ。まずは、5日後に、お前の納得できる戦力を確保できるか考えるんだ」
「5日後に予想される、クローム髑髏の状態と、お前達の修業の仕上がりだな」
「そ…そーだよね…。戦いに…なるんだもんな…」
リボーンとラルが言うことに、獄寺は目を横にそらし、ツナはあまり気がすすまないといった感じで、表情が沈んでいた。
「なーに。修業についちゃ、オレ達がなんとかするって!なーー魅真っ!獄寺っ!」
「そうだよ。安心して、ツナ君!」
山本が明るい顔でツナに言うと、魅真は山本が言うことに同意するが、獄寺は一瞬固まった。
「あ…ああ。任せてください、10代目!!」
けど、獄寺も一瞬遅れて同意をした。
だが獄寺は、同意はするものの、どこか沈んでおり、そんな獄寺を、ビアンキはきびしい顔で見ていた。
その後、少し話をすると解散し、魅真、ツナ、獄寺、山本は、それぞれ修業をする場所へと移動をした。
ツナ、獄寺、山本はボンゴレのアジトで修業をしているが、魅真は雲雀のアジトで修業をするので、草壁とともに雲雀のアジトへ向かった。
「それでは魅真さん。自分は、恭さんに先程のことを報告してきますので、先にトレーニングルームへ行っててください」
「わかりました」
途中までは一緒に歩いていたが、草壁は雲雀に報告があるので、魅真に先にトレーニングルームに行くように言い、魅真は返事をすると、1人トレーニングルームへと足を進めていった。
魅真と別行動をとった草壁は、雲雀がいる部屋へ行き、ボンゴレアジトで話したことを、雲雀に伝えた。
「私見ですが、クロームが黒曜ランドにいるという情報は、六道骸からヴァリアーへもたらされたものかと。笹川了平は、沢田の決断後にここへ来ます。その前に、クローム髑髏に会っておきますか?」
「いいよ。骸はそこにはもういないんだろ?」
「へい、おそらく…。それと恭さん。クロームとイタリアで接触していた、例の男の身元が割れました。名は、グイド・グレコ。17歳。イタリア人。15人を殺した凶悪犯で、一年前に脱獄したらしいです」
「ふうん。それってまるで」
「へい…。かつての骸そのものです」
ボンゴレのアジトで話したことと例の男のことを話すと、雲雀は少し考えごとをする。
「もしかしたら、近いうちに、骸からなんらかのアクションがあるかもね。注意しておいて」
「へい!」
草壁にそう言うと、雲雀はその場を立ち上がった。
同じ頃、トレーニングルームでは、魅真が個人練習をしていたが、途中で手を止めた。
「(ツナ君に、安心してとは言ったものの………全然自信ないなぁ……)」
手を止めると、深く大きなため息をつく。
「(私……本当に、強くなってるのかな?そりゃあ、そんな簡単に、強くなれるわけないのはわかってるけど…。相変わらず雲雀さんにはやられっぱなしだし、まったく実感わかない…)」
手を止めたのは、修業をしていても、本当に強くなってるかどうかわからず、不安だったからだ。雲雀のような猛者相手では、感じられないのも無理ないし、すぐに強くなるなんて、現実的に考えてありえないのもわかってるが、相手は強大な力をもつミルフィオーレ。しかも、戦いは5日後にせまっている。応接室では、ツナに安心してと言ったものの、自信なんてまるでなかった。
「(5日後…。作戦が決行されるとして……本当に戦えるのかな。また、足手まといになったりしないかな…)」
「何考えてるんだい?」
弱気になっていると、後ろから雲雀の声が聞こえてきたので、魅真はそちらに顔を向けた。
「雲雀さん…」
ふり向くと、雲雀は扉の前に立って、魅真を見据えていた。
「ぼーっとしてないで、手を動かしなよ。時間はあと5日しかないんだからね」
「えっ!はい……」
何もしていない魅真を目にした雲雀は、魅真を叱責すると、魅真は落ちこんだ。
「……また、余計なことを考えてたの?」
「えっ………あ………」
「やっぱりね……」
気のない返事が返ってきたので確信をつくと、魅真のその反応で、自分が言ったことが図星だとわかった雲雀はため息をついた。
「すみません…」
ため息をついただけだが、雲雀が呆れているとわかった魅真は、また落ちこんだ。
「でも、全然手応えを感じられないので、本当に修業の成果が出てるかどうか、すごく不安なんです…」
「つまらないことを考えてないで、1秒でも多く修業をするよ。強くなりたいなら、あれこれ余計なことを考えないで、少しでも多く戦う。それが強くなる近道だ。手応えを感じられないのは、この僕が相手だからだ。そんな悲観することないよ」
再び叱責するが、あまりなぐさめになってないので、魅真は元気がないままだったが、雲雀が来て修業の時間になったので、武器を構えて修業を始めた。
それから、魅真と雲雀は3時間ほど戦った。
しかし、なかなかうまくいかないので、雲雀にため息をつかれる。
雲雀のため息に、魅真はビクッとなった。修業がうまくいかないのと、雲雀に対しての気まずさがあるからだ。
「全然ダメだよ。まったく進歩してないね」
その上、自分が思ってた通り進歩していないようなので、魅真は落ちこんだ。
この時代の自分は、雲雀のおメガネに叶うくらいの強さを手に入れてるからなのと、一朝一夕じゃ強くなれないことを知ってるからだ。
「早く、この時代の君に追いつきなよ」
確かに、強くなる決意や雲雀に追いつく決意はしたが、たった数日間で追いつくなんて、さすがにムチャだと思った。
しかし、何もしなくては強くなれないのも知っているので、魅真は引き続き、雲雀との修業にはげんだ。
けど、やはり進展はなく、何も得るものがないまま休憩となり、午後にツナとの修業があるのもあり、雲雀は去っていった。
雲雀がそこからいなくなると、魅真はトレーニングルームの床に寝転んだ。本来なら、もうすぐお昼ご飯の時間だが、どうしてもそんな気にはなれず、心の中で京子とハルに謝って、天井を見ていた。
そこへ、羽根の音が聞こえてきたので、音がする方を見てみると、出入口からヒバードがやってきた。
「ヒバードちゃん」
突然やって来た、小さな来訪者を目にすると、魅真は上半身を起こした。
魅真が起き上がると、ヒバードは魅真の肩に止まり、自身の頭を魅真の顔にすりつけて、愛情表現をした。
それがかわいくなった魅真は、ヒバードがつぶれないように、自分の顔をヒバードの頭にすりつけて、愛情表現をして、少しすると顔を離した。
魅真が顔を離すと、ヒバードは魅真の手のひらに移動をしたので、魅真は今度は、親指の腹でヒバードの頭をなでたので、ヒバードは気持ちよさそうに目を細めた。
「ヒバードちゃんはいいな…。雲雀さんと一緒にいられて…」
ヒバードとたわむれていると、魅真の口から思わず本音がこぼれた。
魅真の声にヒバードは反応を示すと、魅真の顔を見上げる。
「京子ちゃんが外に行っちゃった日、伝達係のような役割で雲雀さんの役にたってたし…。いつでも雲雀さんの隣にいられるもの」
前向きに行こうとあの時決意したものの、問題が解決していないので、不安ばかりが押し寄せてきて、どうしても暗くなってしまった。
「(この時代の雲雀さんは、10年前の雲雀さんよりも優しいし、顔つきもどこかやわらかい。でも……優しいのはきっと、感情だけで物事を判断してるわけじゃないから……。ミルフィオーレファミリーを倒すための戦力を、一人でも多く育てるためなんだろうな…。でなきゃ、10年前の事情を知ってるだろうこの時代の雲雀さんが、私に優しいわけないし、修業の相手を申し出るわけないもんね)」
この考えには、魅真は自分でも、少しばかり違和感を感じていたが、これが一番合点がいくので、きっとそうなのだろうと、自分を納得させた。
魅真の気持ちを察したヒバードは、再び魅真の肩に止まって、魅真を慰めるように頭を魅真の顔にすりつけた。
そんなヒバードがかわいくて、小さく笑うと、魅真もまた、ヒバードの頭を指の腹でなでた。
それから魅真は、何分かヒバードとたわむれると、休憩がてら、気分転換にボンゴレのアジトに行った。
「あれ、ツナ君」
「魅真ちゃん」
雲雀のアジトからボンゴレのアジトへ足を踏み入れると、ちょうどボンゴレのアジトへ繋がる出入口のところでツナに会った。
「ひょっとして、ツナ君も休憩中?奇遇だね」
「う、うん。そうだね…」
「でも、こんなところにいるなんて…。もしかして、雲雀さんに用事?」
雲雀に対して畏怖の念を抱いているツナが、群れを嫌う雲雀のアジトへ行くことはないだろうが、修業の相手をしてもらってるので、まったくないとも言いきれず、ボンゴレのアジトと雲雀のアジトを繋ぐ出入口の前にいるということは、そういうことかと思った魅真は、ツナにそのことを聞いてみた。
「あ、いや……。ヒバリさんじゃなくて、魅真ちゃんを探してたんだ。そしたら偶然……」
「私に?どうしたの?ツナ君」
「あ………いや………修業の調子はどうかなって思って………」
ツナは少々聞きにくそうに、魅真に修業の調子を聞くと、魅真は固まってしまう。
「え……………あーーー………しゅ、修業?修業は………あんまり………」
そして、ツナから目をそらして、かなり答えにくそうに質問に答えた。
「えっと……。具体的に……どのくらい?」
曖昧な返事だったので、具体的にどのくらい進んでいるのか聞いたが、魅真はまた固まり、答えにくそうにした。
「………雲雀さんに……まったく進歩してないって言われるくらい……」
あまり言いたくはないが、ツナに聞かれたし、大事なことなので、魅真は質問に答えた。
「あっ…。そっ、そうなんだ。わかった。じゃあね!!」
「あっ!」
それだけ言うと、ツナはそこから逃げるように去っていった。
その場に残された魅真は、ツナの去り際に伸ばした手をそのままに、呆然としてそこに立っていた。
ツナは魅真のもとを去ると、エレベーターで下の階に移動していた。
「(困ったな~。あの調子じゃ、山本も獄寺君も魅真ちゃんも、5日で修業が完成するとは思えない……)」
ツナはエレベーターの中で悩んでいた。自分以外の戦闘員の、魅真、獄寺、山本の修業の様子を見たり聞いたりしてきたが、とてもではないが、5日後の作戦に参加できるような戦力を、確保できるとは思えないからだ。
何故ツナがそんなことをしているかというと、修業の途中で、いきなりラルに、5日後戦力になるかどうか、他の連中を見てこいと言われたからだった。
しかし、魅真も山本もうまくいってないようだし、獄寺に至っては修業から逃げたので、誰の様子を見ても、修業の完成はほど遠いと思ったツナは、そのことで思い悩んでいた。
「(リボーンは山本との修業が忙しそうだし、ラル・ミルチに相談してみよう…)」
そう考えていると、目的の階につき、エレベーターの扉が開いた。
「!! ラル・ミルチ!!」
扉が開くと、目の前では、ラルが床にすわりこみ、荒い息をして壁にもたれかかっていた。
「どーしたの、ラル!?大丈夫!?」
ただごとではない様子に、ツナはあわててラルのもとへ駆け寄った。
「ん……」
「!」
ツナがラルの隣まで来ると、ラルはうっすらと目をあける。
「……………………誰だ……?」
「え!?」
目をあけるとツナの方へ顔を向けるが、そこにいるのが誰かわかっていなかった。
視界に入っているのに、相手の姿を認識できていなかったので、ツナはふしぎに思った。
「沢田か……。少し…ふらついただけだ」
「…………」
けど、もう少し顔をツナの方に動かすと、自分に話しかけた人物がツナだと認識する。
「ラル…目…」
「以前から右目は弱いんだ。そのためのゴーグルだ…。もう、必要なさそうだがな…」
必要なさそう。その意味がわかったツナは、一瞬固まってしまう。
「オレ……誰か呼んでくるよ」
「その必要はない」
「でも…」
「余計なことをするな!!」
気分が悪そうなラルを気遣ってのことだが、ラルは頑なに拒んだ。
「5日後の作戦で、オレが足をひっぱるわけにはいかない。このことは、誰にも言うな!!」
ラルは余計な情報を周りに知らせないようにするためだが、無理をしているのは目に見えてわかるので、ツナはまた固まる。
「でも……無理することないよ!!お兄さんだって、作戦は、断っていいって言ってくれたんだ」
「!!」
「それに、本当はオレ…こんな、戦争みたいな作戦に参加するの…あんまり乗り気じゃないっていうか…」
ツナが弱気な発言をすると、ラルは突然、ツナの胸ぐらをつかんだ。
「本当に、そう思っているのか!!」
「!」
「笹川はお前に甘いが、ハッキリ言っておく。ミルフィオーレとボンゴレの戦力差は、圧倒的だ。参加しようが、引き延ばそうが、ここにいる多くの人間は死ぬんだ!!おまえに委ねられているのは、生きるか死ぬかの選択ではなく…どちらの地獄を選ぶかだ。甘い考えを捨てろ。少しでもマシな…0.01%でも生存確率の高い選択をするのが、おまえの義務だ。それだけを考えろ」
あまりに過酷で、あまりに残酷な現実と真実をつきつけられたツナは、また固まってしまい、ラルは話し終えると、ツナの胸ぐらをつかんでいる手を離した。
「う…」
「ラル…」
「大丈夫だ…」
ツナに現実を話したラルは、そこから去ろうと立ち上がるが、それだけで痛みを覚え、ツナが心配するが、またツナの優しさを拒んだ。
そして、マントをひるがえして、ツナを置いてそこから去っていった。
ラルが去っていくと、ツナはラルにつかまれたところをおさえた。
一方で、ラルが去っていった方向とは反対の場所には、魅真がいた。
あの後、ツナを追いかけていった魅真は、偶然にもツナとラルが話しているところに遭遇したのだが、どこか話しかけづらい雰囲気だったので、曲がり角に隠れて、二人の話を聞いていたのだった。その話の内容が、あまりにも過酷で残酷なものだったので、魅真は顔が真っ青になり、ツナ同様に胸が痛んだのだった。
魅真はあの場所から移動しながら、先程のツナとラルの会話を思い出し、ラルの口から出た、残酷な言葉に沈んでいた。
「(ラルさん……。いつも、気丈にふるまっていたからわからなかったけど、あんなに体調悪かったんだ。全然気づかなかった。それにツナ君も、あんなに重いものを、一人で背負っていたんだ。私は漠然と、敵のアジトにのりこむかどうかを決めるだけかと思ってたけど、そうじゃなかった。それに私自身、前に、京子ちゃんとハルちゃんに真実を話すかどうか決めるのを、ツナ君に委ねちゃったことがあるし……。私、知らないうちに、ツナ君にプレッシャーをかけてたんだな……)」
ラルの体調が悪いのと、知らず知らずのうちにツナを追いつめていたのとで、魅真は落ちこんだ。
その時、目の前から雲雀がやってきた。
「雲雀さん…」
名前を呼ばれるが、雲雀は何も反応せずに、魅真のもとに歩いてくる。
「めずらしいですね。雲雀さんがここに来るなんて…。あ!ひょっとして、ツナ君の修業ですか?」
午後から、ツナとの修業があるのは知っているので、そのことを話題にして、無理に明るくふるまった。
けど、それでも雲雀は何も答えなかった。
「草壁さんは……
!」
そこまで言いかけると、魅真は驚いて口をとざす。
「ひっ……雲雀…さん!?」
それは、雲雀が自分の頬にふれて、顔を近づけていたからだった。
魅真の右頬に右手をそえた雲雀が、お互いの鼻が、あと少しでくっつくというくらいに近づけていたので、魅真は顔を真っ赤にして、ドキドキしていた。
「何かあったの?」
「え!?」
そのままの状態で声をかけられると、雲雀のほのかにあたたかい吐息が、魅真の顔にかかり、魅真は更に顔を赤くする。
「いつもよりも沈んでる」
「………………………」
「僕には言えないの?」
「……すみません…」
赤かった顔は、雲雀の質問の内容で暗くなり、答えたくない魅真は、ただ小さく謝った。
「君が言いたくないならいいよ。無理に言わなくて…」
「えっ?」
いつもなら強引に聞き出す雲雀だが、この時はそれをしなかったので、魅真は驚いた。
そして、雲雀は魅真から顔を離してまっすぐ立つと、今度は魅真の頭をなでた。
「ひっ!!雲雀……さっ…!!」
顔を近づけるのをやめたと思ったら、頭をなでてきたので、魅真は再び顔を赤くする。
「いつもの君だね」
「え……」
「大丈夫かい?」
「え?は、はい!」
ツナやラルのことが心配ではあるが、それでも雲雀になぐさめられたので、先程よりは、だいぶ気持ちが楽になったのを感じた。
「それじゃあ、そろそろ行くよ」
「行くって、どこにですか?雲雀さん……」
話しかけたと思ったら、突然早足で歩き出したので、魅真は雲雀を追いかけた。
「医療室だよ」
「医療室?何故……」
「僕のアジトのサーバーに、六道骸から、データが定期的に送られてきていたんだ」
「骸から!?」
「でも、それがさっき途絶えた」
「ひょっとして、骸に何か……。…あっ!それじゃあ、クロームちゃん…!!」
「その可能性は高い…」
「私も行きます!」
魅真は、何故雲雀が、ツナの修業の時間でもないのに、ここに来たのかを理解した。
群れるのを嫌う雲雀が、他人を気にかけるなんて変だと思ったが、クロームのことが気になったので、魅真は雲雀のあとを追いかけた。
その途中で草壁に会い、草壁も雲雀と魅真のあとに続いて、一緒に医務室へ向かった。
医療室に近づくと、ツナとビアンキの叫び声が聞こえてきた。
その声に、魅真は少々あわてたが、雲雀はまったくあわてる様子もなく、平然とした顔で医療室の扉を開けた。
その先には、内臓を失ったクロームが血を吐いていたので、魅真は顔を青くした。
「ヒバリさん!魅真ちゃんも!」
「邪魔だよ」
雲雀は、クロームが寝ているベッドの前まで行き、青い顔でうろたえているツナをつきとばすと、クロームの後頭部に手をそえて、上半身を抱き起こした。
「死んでもらっては困る」
うつろな目をしたクロームを見ながら、らしくないことを言う雲雀に、魅真は呆然とし、ツナは尻もちをついたまま、その光景を見ていた。
「沢田さん、外で待ちましょう」
そこへ草壁がやって来て、ひざをついてツナの目線に合わせると、ツナに外に出るように促した。
草壁がツナを外へ出るよう促すと、そこにいた魅真、ツナ、リボーン、ビアンキも、医療室の外に出た。
一同は作戦室に移動をした。そこには、医療室にはいなかった、獄寺、山本、了平、フゥ太、ラル、ジャンニーニも集まっていた。
全員一言もしゃべらず、雲雀と草壁が来るのを待っていると、扉が開く機械音が聞こえた。
「クローム髑髏は、一命をとりとめました」
「!!」
入ってきたのは草壁で、魅真達にクロームの容態を知らせに来たのだった。
「本当!?よかったー!!」
一時はどうなることかと思ったが、無事なようなので、魅真、ツナ、山本はほっとした。
「どーやってあの状態から持ち直したんだ?」
「ボンゴレリングです。雲雀がクロームに促したのは、ボンゴレリングそのものの力を引き出し、己の力で生きること。現在クロームは、自分の幻覚で、失われた内臓を補ってます」
「そっ、そんなこと…可能なのかよ!?」
「ですが、今の彼女の力では、幻覚は不完全……………。生命維持がやっとの状態だ…」
「あの…。じゃあ…骸は、どーなっちゃったの!?」
クロームが、自分自身で内臓を補わなければならないということは、骸はもしかしたら……。そう思ったツナは、草壁に聞いてみるが、草壁は沈んだ顔で、頭を横にふった。
「骸の行動については、我々よりも、ヴァリアーにいた笹川氏の方が詳しいのでは?」
「骸からヴァリアーへの指示は、一方的なものだったと聞いている。オレはその指示を信じ、行動したが、骸がどこで何をしているのかはわからんのだ」
「クロームへの力が、一切途絶えたのよ。最悪の事態も考えるべきだわ」
「!!」
「そんなぁ!!」
その可能性は否定できず、魅真もツナも顔が青くなり、獄寺は小さく舌打ちをした。
「10代目!あのしぶとい骸です。まだわかりませんって」
「だが、どっちみち、5日後にクロームは戦えそうにないな」
「…痛いな」
骸の安否がどうなってるかはわからないが、クロームの容態からして、まず戦うのは無理だというのは、目に見えて明らかで、状況は悪くなるばかりだった。
「心配するな。クロームの不足分は、オレが補う」
「!! (ラル……)」
「(ラルさん…)」
ラルの容態や事情を知っている魅真とツナは、ラルがクロームの分も戦うと知り、それだけで心配になった。
「そんなこと任せられるわけねーだろ。お前、今座ってんのもしんどそうじゃねーか」
「「「「「「「!!」」」」」」」
その時、魅真とツナの心を代弁するように、ラルの容態を見抜いたリボーンが指摘し、リボーンの言葉に全員が反応を示した。
「リボーンッ」
「何を言っている!!」
「無理すんな。顔を見れば、お前の体調ぐらいわかる。お前の体は、非7³線(ノン・トゥリニセッテ)を浴びすぎて、ボロボロなんだろ?」
「!? (ノン・トゥリニセッテ…?)」
「黙れ!過去から来たお前に、何がわかる!」
「オレだって、地上に充満してる非7³線(ノン・トゥリニセッテ)を肌で感じたんだ。お前のやろうとしてることの無謀さぐらいわかるぞ」
「だが、非7³線(ノン・トゥリニセッテ)を放出してるのは、ミルフィオーレだ!!奴らを倒さなければ、この世界は正常には戻らない!!」
立ち上がり、リボーンに向かって大きな声で話すラルのその迫力に、魅真達は思わず黙りこんでしまい、ただラルを凝視するだけだった。
「え~と、それについてなのですが…。どうして非7³線(ノン・トゥリニセッテ)が地上に漂っているのか、まだ原因は特定できていません…。ミルフィオーレとの因果関係は恐らくあると思われるのですが、決定打がなく…」
「我々も同じく…」
「いや!!奴らの仕業だ!!」
おそるおそるジャンニーニが、自分が調査してることを話し、そのあとに草壁も同意するが、ラルは頭から決めつけた。
いつもとは違う、興奮しきっているラルに、ツナ、魅真、獄寺、山本は、思わず黙りこんでしまう。
「コロネロもバイパーもスカルも…。奴らに殺されたんだ!!」
殺された。その言葉を聞いただけで、魅真とツナは、顔を青くする。
「ぐっ」
その時、痛みがラルの体を襲った。
「う」
そしてラルは、痛みに耐えきれずに、床に倒れた。
「ラル・ミルチ!!」
「大丈夫ですか!」
「さわるな!!立てるっ」
近くにいたビアンキや草壁やジャンニーニ、反対側にいた魅真やツナが心配そうに駆け寄り、手を差し伸べようとするが、ラルはそれを拒んだ。
体がボロボロのはずなのに、それなのに、頑なに人の助けを拒むラルを見て、魅真とツナは顔をゆがめた。
「沢田…」
「!」
「5日後だが…。これだけ戦力に悪条件がそろっては、おまえが何というか、見当がつく…。作戦中止は、オレが上に伝えに行こう」
そこへ了平がツナの隣にやって来て、午前中に話したことを話した。
「ただの貧血だ!!」
了平が話している時も、ラルは周りの助けを拒み、強がっていた。
そんなラルを見て、魅真とツナは大きく目を見開く。
「無理するな、ラル……」
強がっていても、体調が悪いのがわかるので、了平はラルを落ちつかせようとした。
「いえ、やりましょう」
その時、ツナは了平に委ねられた決断の答えを出した。
ツナが答えを出したことで、全員ツナに注目した。
「敵のアジトに行けば、過去に戻ることだけじゃなくって、骸の手がかりも、何かつかめると思うんです」
ツナが話していると、医療室からやって来た雲雀が、無言で中に入ってきた。
「それに、そのノン・トゥリニセッテのこともわかるかもしれないし…。……………でも、どっちもゆっくりしてると、手遅れになっちゃう気がして」
中に入ってきた雲雀は、マイペースにブラインドによりかかる。
「うむ」
「それに、やっぱりオレ…こんな状況(とこ)に一秒でも長くいて欲しくないんだ。並盛の仲間はもちろんだし、クロームやラル・ミルチだって……………こんな状況(とこ)、全然似合わないよ!!」
決断したのは、仲間のため…自分を思いやってくれていたのだと知ると、ラルの表情はゆるんだ。
そして、ツナは全部言った後、はっとなり、はずかしくなったのか、顔が赤くなった。
「えと…あのっ。オレは、そんな感じです……けど…」
「よく言ったぞ!男だ、沢田!!」
ツナの決断を聞くと、魅真も獄寺も山本も笑っていた。
「………ガキが」
一方で、ラルは照れてしまったのか、顔をそらした。
「とにかく」
5日後に殴りこむことを決意したツナは、しゃべりながら、手袋をつけて、死ぬ気丸を飲んだ。
すると、いつものように、額に死ぬ気の炎が灯る。
「5日しか時間がない。一刻も無駄にはできないぞ」
「ええ!!」
「はい!!」
「だな!!」
ハイパー死ぬ気モードになったツナは、修業を再開するために、その部屋から出ようと壁に手をかけ、殴りこみに行くメンバーの、魅真、獄寺、山本に顔を向けながら声をかけた。
やる気になったツナに、リボーンは笑みを浮かべ、魅真、獄寺、山本も、やる気に満ちた表情で返事をした。
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