標的59 交戦
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ツナとラルが京子の捜索に、魅真と獄寺と山本がヒバードの探索に出てから少し経った頃…。
「γ隊長!」
工場跡地では、γが部下から、報告をうけていた。
「ほう、そいつは朗報だ。すぐに向かうと伝えてくれ」
γは吸っていたタバコを口からとると、うれしそうな顔で部下に伝えた。
標的59 交戦
「アニキ!!」
部下の報告が終わると、野猿と太猿が、γのところまでやって来た。
「ウサギが網にかかったらしい」
「オイラ達もいくよ!」
「いいや、オレ1人で充分だ。別命あるまで、現状維持」
野猿の申し出を断ったγは、タバコを地面に放った。
そのあとで、雷が走る。
「こういう時は、他のウサギもかかりやすい」
その雷は、γの足もとから出ていた。
γがはいているのは、野猿と太猿がはいているのと同じものだったのだ。
アジトから出てしばらくすると、魅真、獄寺、山本の三人は、並盛神社についた。
「ここくると、思い出すよなー、夏祭り!!」
三人は今、境内へ続く階段の横にある、林の中にいた。
「あん時ゃ、魅真ともだが、ヒバリとも初めて一緒に戦ったっけな。そう思うと、つくづくこの神社って、ヒバリと縁があんのかもな」
それは、黒曜戦が起こるちょっと前の、夏休みの出来事だった。
山本が夏祭りのことを話すと、魅真も夏祭りの時に、雲雀と一緒に花火を見た時のことを思い出し、少しだけ寂しそうな、それでいて不安そうな顔になった。
「!」
山本が話していると、急に獄寺は、上の方へ走り出した。
なので、魅真と山本も、獄寺のあとを追った。
獄寺は少し走ると、また先程と同じように木にかくれて、階段の方を見張った。
「なぁ、もしラル・ミルチの言ってた、戦闘回避不能状態になったらどーする?」
あとを追ってきた魅真と山本も、獄寺の隣に来て、同じように木にかくれて表の様子をうかがい、山本は獄寺の態度を気にすることなく、獄寺に話しかける。
「そん時ゃ、魅真も一緒に、連携プレイ決めよーぜ」
だが、獄寺は何も返すことなく、不機嫌そうにしていた。
そして、再び上の方へ走り出す。
「やっぱ武器からして、オレと魅真前衛かな」
けど、魅真と山本もまた、再びあとを追った。
「オレと魅真がまずつっこむから、おまえそのスキに………」
走りながらしゃべっていると、突然獄寺が山本がいる後ろの方へふり向き、山本の前まで来ると、山本の胸ぐらをつかんだ。
「勘違いしてんじゃねーぞ」
「!」
「今まで、なーなーでやってたのは、10代目のためだからだ。他の目的で、てめーと手を組む気はねぇ!!」
強く拒絶する言葉と態度と表情に、山本は一瞬固まる。
「想像以上に嫌われてんのな」
「ったりめーだ」
自覚はあったが、思ったよりもずっとひどかったので、山本は苦笑いを浮かべる。
「おめーみてーな悩みのねぇ能天気な野球バカは、一生口をきくはずのねえ種類の人間だ。同じ空間にいるのも嫌だね!」
「………おまえなぁ…」
「ちょっと……やめてよ、隼人君。今はそんな場合じゃないじゃないの。武君のことを嫌いだとしても、今こんな時に、そんなことしてる場合じゃ…」
さすがに言いすぎな獄寺を、魅真が止めようとした時、三人は近くに気配を感じとった。
「んじゃ、三人ともやりてーよーにやってみっか」
「………………」
山本の言葉が合図のように、魅真は薙刀を構えて、リングを持っている獄寺と山本は、リングからマモンチェーンをはずした。
そのすぐ後に、三人の上から木のはっぱがこすれる音がすると、ブラックスペルの人間が、三人同時に現れた。
彼らは、野猿と太猿のようなくつに炎を灯して飛んでおり、さすまたのような形をした武器を構えていた。
「フゥン!!」
その中の一人が、野猿のように、武器から死ぬ気の炎をとばすが、三人は微動だにせず、そこに立っていた。
炎が地面に当たると爆風が起こる。
「……!」
だが、そこには、魅真の姿も、獄寺の姿も、山本の姿もなかった。
「消えた?」
確かにそこにいたはずの魅真達がいなかったので、ふしぎそうにしていた。
「ぐっ」
だがその時、突然下の方から、攻撃した男を何かが襲い、顔をかすめた。
「ツバメ!?」
それは、山本の匣兵器のツバメだった。
「今いちツバメ(そいつ)の使い方わかんねーけど、まっいっか」
ツバメが飛んでくると、今度は山本が、彼らのそばの木を台にして跳び、竹刀を刀に変形させて、彼らのもとへ向かっていく。
「ぐはぁ!!」
そして、攻撃をした男の前まで来ると、刀を横にふって一撃で倒してしまい、男は地面に落ちていく。
「おっ、おい!!」
彼の隣にいた男は、やられた男の心配をしてると、今度は魅真が山本のように跳んできて、下から上へ、薙刀をふりあげた。
「ぐあぁっ」
その男は、魅真の薙刀で倒され、先程の男と同様に地面に落ちていった。
「なっ」
最後に残った一人が驚いていると、今度は獣の鳴き声のようなものが聞こえてきたので、その声に反応して下の方を見た。
「そうだ、こっちだ」
そこでは獄寺が匣を開匣しており、野猿を倒した時の、あの武器を構えていた。
そして、よける間もなく赤炎の矢(フレイムアロー)をくらってしまった。
「がっ…」
最後の一人も獄寺に倒され、地面に落ち、三人の敵はあっさりと全員倒された。
「ついこないだまで、リング戦で、アホみたいに鍛えられてんだ。リングを持つ同じ条件なら負けねーぜ」
「今のは、ちょっとした連携プレイだな!」
「そうだね」
「よけーなことすんじゃねぇ!オレ一人で充分だ!!」
魅真は山本が言ったことに同意するが、獄寺はまだ山本に反発していた。
その時、上の方から、電気の音がした。
「ボンゴレの守護者ってのは、腰を抜かして、方々へ逃げたって聞いたが」
雷の音がすると、その後で、先程の男達とはまた別の男の声が、電気の音がする方から聞こえてきた。
「こりゃまた、かわいいのが来たな」
「(電撃……!?)」
そこにいたのは、あのγだった。
「雨の守護者と嵐の守護者と雲の守護者にはちがいないようだが、随分と写真より若い……若すぎるな………。 (もしや、入江が欲しがってる情報ってのは……)」
魅真達を、ボンゴレの守護者とは認識したが、γはどこかひっかかっている様子だった。
「ボンゴレってのは、若返りの水でも飲んでんのか?」
「……」
γがくつから出している電気を止め、地面に降り立つと、三人は身構えた。
「まあいい。おまえらとやり合うと、戦闘ってより、お仕置きになっちまいそうだな」
「このへらず口はオレが倒す。おまえらは手ー出すなよ」
「へいへい」
「え…でも」
「さっきの連中への貯金もある」
魅真は、三人一緒に戦った方がいいのではないかと思っているが、獄寺は一人で突っ走っていった。
「「……貯金?」」
γの隣の木には導火線があり、導火線には火がついていた。
火は段々と地面に向かっていき、地面に置いてあるダイナマイトに引火し、爆発を起こした。
「ほう」
けど、γは余裕の笑みを浮かべてよけた。
「行き止まりだぜ」
「!」
「果てな」
だが、獄寺はγの後ろにまわりこみ、武器で死ぬ気の炎を撃った。
攻撃は命中し、あたりには煙が舞う。
「ピュー」
「すごい……」
獄寺の戦いに、山本は感心して口笛をふき、魅真は称賛した。
「(手応えあり)」
そして、獄寺は獄寺で、γをやったので、うれしそうな顔をしていた。
「「「!?」」」
けど、煙の中から電気が走ったので、何事かと思った。
「なかなか」
それは、γがまとっている電気だった。
γはまったくの無傷で、しかも余裕の笑みまで浮かべている。
「なに!?」
「無傷!?」
「効いてねえ!!」
確かに命中したのに、ケガ一つ負っておらず、汚れ一つないので、三人は驚く。
「そーいや、自己紹介まだだったよな…。
オレはγってんだ。よろしくな」
その聞き覚えのある名前に、三人は反応を示した。
「(こいつが!)」
「(ラル・ミルチの言ってた、激強っていう…)」
「(電光の…γ…!!)」
自分達の前に現れたこの人物が、ラルが言っていたあのγだと知り、三人は大きく目を開く。
「獄寺、ここは手ぇ組んだ方がよさそうだな」
「そうだね。みんなで戦わないと…」
「っるせぇ」
だが、獄寺はそれを拒むように、山本に武器の銃口を向けた。
「隼人君!?」
「獄寺…おまえ」
「組む気はねぇって言ってんだろ。すっこんでろ」
「そーかよ!!」
どこまでも冷たく突き放され、銃口まで向けられたので、さすがの山本も怒り、獄寺を強く睨みつけ、冷たい目を向けた。
「なら、おまえ一人で勝手にすりゃあいい」
「はなっからそのつもりだ。ひっこめ」
「ちょ…ちょっと待ってよ!!」
山本は戦線から離脱し、獄寺一人で戦おうとしているところを、魅真が止めた。
魅真に止められると、獄寺と山本の二人は、魅真の方に顔を向ける。
「相手は激強って言われてる、あのγって奴なんだよ!!一人でなんて、敵うわけないじゃないの。みんなで力をあわせなきゃ!!」
「嫌だね」
「無理だな」
「なんでよ!?」
「しょーがねーだろ。獄寺の奴が、一人でやるっつってんだからな」
「でもっ…」
山本は魅真が言うことに耳をかさず、魅真に背を向けた。
「隼人君!」
「うるせえな。お前もひっこめよ」
「なっ」
獄寺は魅真も冷たく突き放す。
その冷たい言い方に、さすがの魅真もカチンときたが、獄寺はまったく気にとめていない様子だった。
「ほっとけるわけないでしょ!!だって……」
「うるせえ」
「あっ」
まだ魅真は何かを言おうとしていたが、獄寺は魅真を突き飛ばし、そのせいでよろめいた魅真は、尻もちをついてしまった。
「おまえはそこで見てやがれ。助けなんかいらねぇ」
山本だけでなく、魅真のことも拒絶すると、獄寺はγと向き合った。
「仲間割れか?」
「逃げやしねーから安心しろ。おまえの相手はオレがする」
どうあっても一人で戦おうとする獄寺を背に、山本は後ろにある木の裏に行き、魅真は尻もちをついたまま、獄寺を見ていた。
「なら、遠慮なく行かせてもらおうかな」
二人が離れると、戦闘再開というように、γは獄寺に戦いを挑んだ。
「もう、とっくに戦いは始まってるけどな」
「……ああ、わかってる。だが、この手はくどいな」
そう言ったγの隣の木の死角には、先程のように導火線がはられており、火がダイナマイトがあるところにせまっていた。
死角にあるというのに、γはこれを見抜いていたのだ。
そしてダイナマイトは、γがそう言った数秒後に爆発した。
「なんとかの一つ覚えか?」
だが、γは空中に飛んであっさりとよけた。
「どーかな」
それでも獄寺は焦っておらず、ダイナマイトをγに向けて放った。
「赤炎の矢!!(フレイムアロー)」
ダイナマイトを放つと、続けてフレイムアローを撃った。
フレイムアローがあたったダイナマイトは、いつもよりも威力があがっていた。
「威力倍増か」
けど、それでもγはあわててはおらず、自分の横にあるダイナマイトにフレイムアローの炎が届きそうになっても、爆発する前に指輪から電気を出して防御した。
しかも、その顔に笑みまで浮かべるほどの余裕である。
「電磁バリアだと……?リングそのものの力なのか!?」
「それほど驚くこともないだろう。こいつはおまえらが破棄した、ボンゴレリングと同等の力を持つ、マーレリングだ」
「(マーレリング!?)」
γの口から出た言葉に、魅真も山本も獄寺も反応を示す。
「じゃあそろそろ」
γは自分のリングについて説明をすると、リングを匣の穴に差しこんだ。
すると匣が開き、中から、匣にしまわれていたものが飛び出した。
「しめていくぜ」
それは、電気をまとった、ビリヤードの球だった。
「んだありゃ!?……球!?」
γはキューを構え、球の前までもってくると、球をついた。
ついた球は、その先にあった別の球にあたり、獄寺の近くの地面に落ちた。
続いて、他の球も複数落ちてくる。
獄寺の周りに球が落ちると、電気が大きくなって、獄寺を襲った。
「がはっ」
今の攻撃で体が数か所傷つき、獄寺は血を吐いた。
「どうだ?ショットプラズマの味は…。天国の扉は見えたか?」
「ぐぁ…」
今の、たった一回の攻撃でやられてしまい、獄寺は地面に倒れてしまい、獄寺が倒れると、球はまた宙に浮かぶ。
その様子に、魅真と山本は、眉間にしわをよせて立っているだけだった。
「く…」
獄寺はかなりのダメージを負ったが、やられてはおらず、倒れたままだが、なんとか顔だけあげた。
「球に帯電させた電気を、地中でスパークさせたのか?」
「正確には、電気の性質と極めて酷似した、死ぬ気の炎だ。純度を増すほどに、切れ味が鋭くなるのが、雷属性の炎の特徴でね」
獄寺の問いに、γはあっさりと答え、簡単に技の説明をした。
「そこんとこ、しっかり味わって」
説明を終えると、再びキューを構え、球をつく体勢になった。
「召されな」
γは先程のように球をついた。
先程のように、ついた球が別の球にあたって二手にわかれ、そのわかれた球の一つが、更にもう一つの球にあたり、地面に落ちてくる。
「(そう何度も!!)」
一回くらっただけで結構ダメージを負ってしまうので、獄寺は跳んで球をよけた。
「(ゲタもねーのに飛んじまったな。おしまいだ)」
「(しまっ)」
だが、跳んだ先では、γがまたキューを構えて球をつこうとしていたので、獄寺は絶体絶命のピンチに陥った。
「!!」
その時、魅真と山本の二人が、獄寺の前に立ちはだかった。
「(助っ人か……)」
「てめーらっ、何しに」
一人で戦うと言ったはずなのに、二人が出てきたので、獄寺は文句を言おうとした。
けど、魅真と山本は、助っ人にきたのかと思いきや、持ってる武器で獄寺を殴りとばした。
殴りとばされた獄寺は後ろにふっとんでいき、地面に仰向けになって倒れる。
「?」
それを見たγは疑問に思った。
一方獄寺は、二人に殴られたことで、微量だが口から血を吐きだした。
「てめーら……何の…マネだ」
二人が間に入った上、殴りとばしてきたので、獄寺は上体を起こしながら文句を言った。
「おまえの腐った根性叩き直しにきた。どーにも腹の虫がおさまんねーからな」
「私も……」
「んだと!?」
「ん……?なんだこりゃ…?」
助けにきたわけではなく、殴りとばし、それどころか獄寺に説教までしていたので、γは疑問に思い、構えをといた。
「おまえ、日本に来てツナに会うまで、一匹狼で誰も信用してなかったんだってな。だからこそ、初めて心を開いたツナに忠実なのは、わかる気がする。だけど、ツナにしか心を開かねーのは、ツナへの押しつけにしかなってねーぜ」
「なっ、何言ってやがる!!てめー!!」
「だいたい右腕ってのは」
山本が言ったことに、獄寺は抗議するが、山本はかまわず続けた。
「ボスが、一番頼りにする、守護者のリーダーじゃねーのか?守護者をまとめてひっぱってかなきゃなんねー奴が、そっぽ向いてんじゃ、話にならねぇ!今のおまえに、右腕の資格はねーよ」
獄寺の目標を全否定するような言葉に、獄寺は目を見開き、口をあけて、山本を凝視した。
「隼人君…」
すると、今度は魅真が声をかけてきたので、獄寺は魅真の方へ顔を向けた。
「私…隼人君のことは好きだけど、今の隼人君は嫌い」
「えっ…」
恋心を抱いてる魅真に、嫌いと言われたので、獄寺は固まった。
「意地はって、強がって、無理して、私達のことをジャマ者扱いして……。そんなに私達が信用できないの?そんなんじゃ、武君も言ったけど、ツナ君の本当の右腕にはなれないよ」
「何ぃ?」
「だってそうじゃない。ボスであるツナ君だけでなく、私達守護者とも信頼関係がなければ、これからどんな敵がきても、すぐにやられちゃうもの。ツナ君を守ることなんて、到底できやしないわ。私はそんなのは嫌。私が守りたいって思ってるのは、雲雀さんだけじゃない。私の大切な人、全員なの。隼人君だって、そのうちの一人なんだから。だから、誰一人かけちゃダメなの」
「魅真……」
「隼人君、昨日言ってくれたよね。私がいなくなるのは嫌だって。私も同じよ」
そこまで言うと、魅真は獄寺の方に顔だけ向ける。
「私だって、隼人君がいなくなるのは……嫌だから」
獄寺は、山本の時と同じように、魅真の言葉に目を見開いて、口をあけたまま固まった。
その後で、歯を強く嚙みしめる。
魅真と山本は、言いたいことを言ったので、獄寺に向けていた顔をγの方へ向け、睨むように見た。
「そういうわけで、ここからは私達が相手よ」
「選手交代だ。わりーな、またせちまって」
「いいや、なかなか甘酸っぱくて、楽しかったぜ。
そらぁ、若い頃は、有無を言わさず瞬殺決めてきたけどな。年をとると、敵(あいて)の話を聞くのも、悪くないと思えてくる」
γは話しながら、キューの先端にチョークをこすりつける。
「じゃねぇと、殺った奴を忘れちまうだろ?」
そして、チョークで磨き終えると、再びキューを構えた。
「(余裕かよ……)」
「(全然ひるんでない)」
その顔にも行動にも、余裕があった。
γが攻撃をせず、だまって待っていたのは、自分の力に自信をもち、余裕があるからだった。
そんな余裕の顔と態度γに、魅真と山本は、少しだけ背筋が凍った。
「お前達(ら)のことは、忘れないといいな」
もうすでに、勝ちが決まってるような言い方だった。
γはキューを後ろに少し引くと、その後素早く球をつき、その球は別の球をはじいた。
「(斬る!!)」
球が向かってくると、山本は冷や汗をかきながらも、竹刀を変形させ、時雨蒼燕流で戦おうとした。
そして、魅真もまた、薙刀を構えて戦おうとする。
「「!!」」
だがその時、獄寺が山本に蹴りをいれてきた。山本だけでなく、山本の隣にいた魅真も、まきこまれる形で地面に倒れた。
魅真と山本だけでなく、山本に蹴りをいれた獄寺も、そのまま受け身をとれず、地面に倒れてしまう。
「わりっ」
倒れた時、魅真を下敷きにしてしまったので、山本はすぐに魅真の上からどいた。
「獄寺っ、おまえ!!」
「いきなり何するのよ!!」
「感電して、死にてーのか!おめーらが死んだら、10代目が悲しむだろーが!」
「「!!」」
けど今の蹴りは、先程のように、γと一人で戦うという無謀なものではなく、二人を助けただけだった。
「おいおい、ハーフタイムは一回きりだぜ。もう諦めな。おまえらはここで死ぬんだ」
「確かに……オレ達は一度ずつ死んでた。一人だったらな」
「「!」」
「だからこそ、10代目は3人を組ませたんだ。まぁ、オレが魅真と山本の面倒をまかせられたんだがな」
「隼人君…」
「…獄寺」
二人よりも、早く起き上がった獄寺が言うことは、前と変わらないように聞こえるが、明らかに変わっており、顔つきも、今までと全然違っていた。
それがわかった魅真と山本は、軽く笑みを浮かべた。
「いつまで寝てやがる、山本、魅真。連携であいつを叩くぞ」
「ええ!」
「ああ、待ってたぜ!!」
獄寺は、今度は無謀に一人で立ち向かっていくなんてことはせず、魅真と山本と一緒に、γと戦おうとしていた。
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