標的58 覚悟の炎
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「えーと…つまり、どーいうことだ?」
「途中からさっぱり…」
「これだけは忘れるな。波動とリングと匣。この3つの属性が合致しなくては、匣は開匣されない」
「「「「…………」」」」
「とにかく、属性を揃えりゃいーんだな」
「それなら…なんとなく…。ってことは、その匣は、嵐の属性でも、雨の属性でも、雲の属性でもないってこと?」
「オレの霧の属性のリングでも開かなかった。次は沢田の番だ」
「え!?」
「結局あてずっぽじゃねーか!」
「それに、その匣が、大空の属性でもなかったら?」
「その心配はない。7種の属性の中で、大空は唯一、すべての匣を開匣できる」
今のラルの説明に、全員が目を丸くする。
「それが大空の長所だ。大空の波動を有する者は、ごく僅かしかいない」
「やっぱり10代目は特別なんスよ!!さすがっス!」
「すごいよ、ツナ君!」
「やるな、ツナ」
「ええ!?」
「さあ、やってみろ」
「う…うん」
ラルに言われると、ツナは、リングに炎を灯した。
「こう?」
そして、三人と同じように、匣にリングを差し込む。
すると、匣から光が放たれた。
「あ!!」
そして、匣は光ると、今度はひびが入った。
「(崩れる…!!保存用の匣が…)」
「わあ!!」
ひびが入ると、匣は爆発するように、粉々に砕けた。
「え!?」
「!!」
「!!」
匣が砕け、ツナの手の上に出てきたのは、鎖でしばられた、ぼろぼろのおしゃぶりだった。
「おっ、おしゃぶりだ!!」
「!?」
「おしゃぶり?なんでそんなものが?」
「武器じゃ…ねーのか?」
中に入っている物に四人は驚いており、そのおしゃぶりを見たラルは、どこか悲しそうな顔になった。
「このおしゃぶりって…あっ」
ふしぎそうにしてると、ラルがツナの前まで歩いてきて、いきなりおしゃぶりを奪いとった。
ラルは震えており、おしゃぶりを見た時も、ツナからおしゃぶりを奪いとる時も、何もしゃべらなかった。
「今日はここまでだ。メシにしろ」
それだけを言うと、ツナ達に背を向けて、先に戻っていった。
「おい!……んだありゃ?」
「なんか……中の物を見た途端に、様子がおかしくなったけど…」
「あ……」
それ以外は何も言わずに、無言で立ち去り、先に一人でエレベーターに乗って行ってしまったので、わけがわからなかった。
「…どーなってんだ?」
「リボーン、あれってアルコバレーノのおしゃぶりじゃ…」
「あの戦闘痕…。戦いの末、強引に摘出されたな」
「?」
ツナ達は、何がなんだかわからなかったが、リボーンは一人納得しているようにしゃべった。
「とにかくメシにするぞ。ハラへったな」
ラルももう終わりと言ったので、リボーンのその一言で、魅真達も上に戻り、食堂へ行った。
食堂に行くと、もうすでにご飯の用意がされていたので、みんなでご飯を食べた。
「うまい!!」
今日の晩ご飯はカレーで、ツナは食べると二人の料理を絶賛した。
「本当に、すごくおいしいよ!!」
「本当ね」
「だな!」
「よかったです」
「はい、イーピンにニンジン」
「@□■!!」
ツナが絶賛すると、魅真と山本も同じように絶賛し、ツナ達の前では、ランボが嫌いな食べ物だからか、イーピンの皿にニンジンを入れているが、イーピンはそれを嫌がっていた。
「私と京子ちゃんが、腕によりをかけましたからね」
「カレーなんて誰が作ってもかわんねーだろ」
「おかわりよそいませんよ!!」
けど、その中でただ一人、獄寺だけは悪態をついていた。当然ながらハルは怒り、ツナは気まずそうだった。
そして、獄寺の隣では、その二人のやりとりを見ていた魅真が、クスクスと笑った。
「よかったです」
「え、何が?ハルちゃん」
「魅真ちゃん、あの女の人と下に行く前は、すごく落ちこんでて、元気なかったので」
「そうね。元気になってよかった」
「ありがとう。ごめんね、二人とも。心配かけて」
「ううん、いいよ」
「魅真ちゃんが元気になってくれれば、ハルはベリーハッピーです」
ツナ達だけでなく、ハルと京子も、自分を心配して気づかってくれたので、魅真はうれしくなり、満面の笑顔になる。
そんな魅真の笑顔を獄寺が見ていたが、ほんの数秒だけで、すぐにまた視線をそらした。
「鬼教官、結局来なかったな……」
「ああ」
ラルの分も用意していたのだが、ラルはここに姿を見せることはなかった。
「おやつぅ!!」
山本とリボーンが話していると、ツナの足もとでランボが叫んだ。
「ランボさん、もーおやつにする~~~!!」
「そんなものないよ!ガマンしろよ」
「プリンは?アメは~!?」
「ないって!!」
食事を作るための材料や器具はあるが、菓子類はどこにも見当たらないので、ツナはランボに我慢するように言うが、ランボは聞き分けることができなかった。
「……」
リボーンの隣で、ツナとランボのやりとりを京子は見ていたが、突然沈んだ顔になった。
そして就寝時間となり、魅真は部屋に戻り、ハル、京子、イーピンは、別に用意された部屋で眠った。
「(今日は、私達の時代のだけど、京子ちゃんもハルちゃんもみつかってよかった。それに、武君も、ランボ君も、イーピンちゃんも無事だったし。みんながみつかって、無事で、本当によかった)」
魅真は昨夜と同じように、二段ベッドの下の方におり、キャミソール姿で、ひざを抱えてすわっており、みんなが無事だったことにほっとしていた。
「(フゥ太君とビアンキさんの安否はまだわからないけど、きっと無事だよね)」
フゥ太とビアンキはどうなってるかわからないが、それでも二人は無事だと信じた。
「(あと守護者でみつかっていないのは、骸……は、復讐者の牢獄から抜け出したかわからないけど、あとクロームちゃんもか。それに、笹川センパイに………雲雀さん……)」
みつかっていない守護者のことを考え、最後に雲雀のことを考えると、自分の時代の雲雀の顔が思い浮かんだ。
「雲雀さん……。絶対…無事だよね。雲雀さんは、誰よりも強いんだから」
まだまだ不安ではあるが、それでも雲雀が無事であることを信じた。
「(まだ不安だけど、みんなとがんばろう。がんばって、過去に戻るの。それで、過去に帰れたら、雲雀さんを探して、とにかく許してもらうまで謝るの。無視されても、殴られても、雲雀さんのあとについてって、謝って、土下座でもなんでもして、また並盛町に…雲雀さんの家にいさせてもらうんだ。それに、いらないって言われたのがショックで、ちょっとだけ忘れてたけど……。私は、どんなに冷たくされても、どこまでも、雲雀さんについていくって決めたじゃない!私は、生半可な気持ちで、雲雀さんを好きになったんじゃない。
雲雀さんにもう一度会いたい…。会って話したい…。そして、雲雀さんが許してくれたら、いつか…告白したい…)」
そして、過去に戻れた時のことを考え、雲雀のことを想った。
「雲雀さん……」
その顔には、修業を始める前とは違って生気がやどっており、昨日の夜と違い、雲雀を想う、恋する乙女の顔をしていた。
翌朝…。
魅真は起きると、ロープに干しておいた下着を身につけ、壁にかけられている制服を着はじめた。
「(ん~~…。なんか、3日も連続で、同じ下着に同じ制服ってのもなぁ…)」
スカートをはいていると、3日連続で、まったく着替えずに同じものを着続けているので、少々不快感を感じていた。
「(でも、だからといって、他に着るものもないし…。でも、せめて下着だけでもな…)」
食料はあるが、さすがに女性用の服や下着はないだろうと、頭を悩ませながら、スカーフをつける。
「(だけど、お金もそんなにないし、あっても、守護者探し以外じゃ外には行けないしな…。止められるだろうし、行くには当然みんなに言わなきゃいけないし、それだと理由を聞かれるだろうし。守護者探しの時に行ってもいいけど、それでも、理由は話さなきゃいけないしな。女の子ならともかく、男の子に言うのはちょっとな……)」
そして、くつ下とくつをはき、机の上に置いておいた風紀委員の腕章をつけると、壁の方まで歩いていく。
「(やっぱ、毎日洗うしかないのかな…。なんだか、そのうちネックになりそう)」
壁まで歩いていくと、そこにたてかけておいた薙刀を持って、扉の方まで歩いていった。
扉の前まで来ると、扉は自動的に開いたので、開いた瞬間に外に出た。
「(んーー。京子ちゃんとハルちゃんに相談してみようかな)」
同じ女である京子とハルなら話しやすいし、同じ境遇なので、あとでこのことを話してみようと思い、部屋の外に出ると、廊下を歩き出す。
「あ!」
しばらく歩いていくと、目の前をツナが歩いているのを目にした。
「ツナ君、おはよう」
「あ、魅真ちゃん。おはよう」
魅真は小走りでツナのもとへ行くと、あいさつをした。
魅真があいさつをすると、ツナも同じようにあいさつをする。
「もうすっかり元気みたいだね」
「えへへ。その節は、大変心配をおかけしまして…」
「いいよ。魅真ちゃんが元気になってくれてよかった」
昨日のことを言われると、魅真は少しだけ気まずそうにしたが、それでもツナは気にしておらず、逆にほっとしていた。
ツナの笑顔を見ると、魅真もほっとして笑顔になる。
「あ」
「え?」
話をしていると、まだ朝早いのに、すでに扉が開いていて、明かりがついている部屋を発見したので、ツナと魅真は、その部屋まで行ってみた。
「ジャンニーニさん。リボーンも」
「おはようございます、ジャンニーニさん。リボーン君も」
「おはよーございます、10代目、魅真さん」
「ちゃおっス」
ツナと魅真が入ると、部屋の中にいたリボーンとジャンニーニは、二人にあいさつをした。
「朝一番のグッドニュースだぞ」
「え!?何?」
「どんなことなの?」
「外に、ミルフィオーレのブラックスペルがウジャウジャいる。こりゃ、外に出たら、戦闘は免れねーな」
「どこがいいニュースだよ!!」
「(やっぱ敵がいるのか。そりゃそうだよね。昨日も出くわしたし。これは、ますます外に出たいとか言えないな…)」
平然として言うリボーンに、ツナは激しくつっこみ、魅真は昨日のこともあるし、余計に外に出たいと言いづらくなっていた。
その時、大きな音がモニターから鳴り、モニターには「S7S」の文字が縦と横にたくさんならんでいた。
「「!!?」」
「何これ!?」
「なんの音なの?」
「救難信号をキャッチ!!味方からのSOSです!!」
「味方って…!?」
「ひょっとして、守護者の誰かなの?」
「ボンゴレ内で取り決めた秘密信号なんです。信号の発信源を捕捉しました!モニターに映しますよ!!」
ジャンニーニはしゃべりながら、パソコンを操作した。
「あ!!」
「!! あれは、ヒバリさんの!!」
モニターに映ったのは、昨日、この時代の山本から、雲雀の手がかりとして見せてもらった写真に写っていた、ヒバードという鳥だった。
「ヒバードだ!!!」
「発信機を取り付けられてんだな」
「まずいですよ!信号が弱まってます!!」
「「え!?」」
「旋回するぞ」
「定点カメラより、フレームアウト!!モニターをレーダーに切り換えます!!」
ジャンニーニが、またパソコンを操作しはじめると、廊下から複数の足音が聞こえてきた。
「何スか、今の音は!?」
「何があった!!」
「「みんな!!」」
「大変だよ!!ヒバリさんの鳥から、SOSが!!」
「なに!?あの、ヒバードとかっていう?」
「場所は」
「現在、7丁目を、時速37km/hで移動中!高度下がります。25…20…
!!」
パソコンを操作してると、突然モニターから、ヒバードの信号が消えてしまった。
「き…消えました!!」
突然消えてしまったので、全員呆然としてモニターを見た。
「消滅した場所には、何があるんだ?」
「待ってください。今出しますんで」
リボーンに聞かれると、今度は消えた場所を確かめるため、パソコンを操作する。
「出ました!神社です!!」
「並盛神社?ヒバリの奴、あんなところで何してんだ?」
「信号が弱まってましたし…。単に発信機のバッテリーが切れただけかもしれません」
「そんなっ。バッテリー切れ?」
「もしくは、敵に撃ち落とされたかもな」
「えっ!!」
「!!」
「「(敵!!)」」
リボーンの発言に、魅真とツナは顔が真っ青になり、山本と獄寺は真剣な顔になった。
「敵の罠だという線もある」
「罠ー!?ちょ、じゃあ、一体どうすればいいの!?」
ラルの言葉に、ツナは頭を抱えた。
「どっちみち、ヒバリの唯一の手掛かりだ。指をくわえてるわけにはいかねーだろーな」
「ですが、見てください」
そう言ってジャンニーニは、パソコンのキーを押す。
「あの点が、現在確認できるリングです。つまり、少なくとも、地上(うえ)にはこれだけの敵がいるわけです」
「なに!」
「あんなに!?」
「(雲雀さんっ…)」
モニターをざっと見ただけでも、たくさんの点が確認できた。しかも、「現在確認できるリング」と、「少なくとも」なので、リングを持っていない者が、そのモニターの範囲内にいる可能性も、モニターに映っていないところにも敵がいる可能性も、これから他の敵がやってくる可能性も十分にあった。
もしも、ヒバードが現れた場所のそば…もしくは、敵がうろついてるそばに雲雀がいたら?魅真は、雲雀の身が余計に心配になった。
「その中で、ひときわ強いリングが1つ。恐らく隊長クラス…。精製度はA以上…」
「γだな」
「ガンマ…?」
「お前達の戦った、第3アフェランドラ隊隊長…電光のγ。名のある殺し屋とマフィア幹部を、何人も葬った男だ」
「そんなにやばい奴が…!?」
ラルの話を聞いたツナと魅真は、更に顔を青くする。
「へっ。ガマだかサンマだか知らねーが、心配いりませんよ、10代目。昨日あれから自主練して、いろいろ試して、パワーアップしまくりましたから」
「だなっ」
「えぇ!?オレ聞いてないよ!!ふつーに寝てたし!!」
「私も……」
まさか、獄寺と山本が、自分の知らないところで、そんなことをしてるとは思わなかったツナと魅真は、とても驚いていた。
「10代目はおケガをしてるんです!当然っス」
「いや、私はケガしてないから、誘ってくれてもよかったんじゃ…」
「魅真は匣ないかんな」
「いや…そういう問題じゃなくて…」
「そーいや獄寺、自主練の後、1人で何作ってたんだ?」
「「作ってた……?」」
「昨日、お貸しした工具でできましたか?獄寺様」
「おお、バッチリだぜ。
10代目!見てください」
「?」
獄寺はしゃべりながら、ズボンのポケットを探った。
「マイ匣のカスタマイズも、完璧です!」
得意気に、うれしそうな顔で出したのは、髑髏の装飾がほどこされた、昨日野猿との戦いで使っていた匣だった。
「(この人、こーゆーのこるんだよねー)」
「これは、匣の強度のためにも、必要なことなんスよ!!みんなやってるんス!!」
カスタマイズした匣をツナに見せると、ツナは見るからにひいており、獄寺は焦って言い訳をした。
その時、廊下から足音が聞こえてきた。
「ツナさん!!」
「ハル!」
「おはよう、ハルちゃん」
「よっ」
「今頃おせえっつの」
あわてて中に入ってきたのはハルだった。
「大変なんです!!」
「わーってるぜ」
「ヒバードのことを、今話しあってて…」
「違います!!」
てっきりヒバードのことかと思ったが、ハルは強く否定する。
「京子ちゃんがいないんです!!!」
「えぇ!?」
「な!?なんだって!?」
「ちゃんと探したのか?」
「トイレ行ってんじゃねーのか?」
「書き置きがあったんです!!」
アジト内は広いので、単に部屋で見なかっただけでは?と思っていたが、ハルはそれも否定した。
「一度家に行ってきます。ランボ君達のおやつをもらってくるね…………って…」
「!!」
紙に書いてあることをハルが読みあげると、ツナはヒバードの話をしていた時以上に顔が真っ青になった。
「あの笹川が…」
「なんで京子ちゃん、一人で…」
「無茶する奴には見えねーのに」
「よほど了平のことが心配だったんだな」
京子が一人で地上に行った理由は、魅真達にはわからなかったが、リボーンにはその理由がわかった。
「今思えば京子ちゃん…。昨日、途中から、急に元気なくなって………」
「(き…気づかなかった…)」
ハルはなんとなく気づいていたが、ツナは気づいていなかったので、そのことにショックをうける。
「しかし、このアジトから、黙って地上へ出るのは不可能ですよ」
「え!?」
「6つある出入口(ハッチ)にはすべて、声紋・指紋ロックが施されているのですから。一応、開閉記録をチェックしてみますが……」
記録をチェックするため、ジャンニーニはパソコンを操作する。
「あ……」
チェックすると、ジャンニーニは固まり、冷や汗をかいた。
「私、D出入口(ハッチ)の、内側からのロックを修理中でした…。開いた形跡が…」
「なんでそんな大事なこと!!つか、どどど、どーしよう!?」
「落ちつけ、沢田」
京子のことなので、余計に取り乱したツナを、ラルは冷静に声をかける。
「もう一人の雲の守護者の鳥からの、救難信号の件もある。今はどうするべきか、総合的に判断すべきだ」
「総合的…?」
ラルが話しかけると、ハルはどこか警戒したように、横に移動してラルから離れ、ツナにぴったりとくっつく。
「この場合、最優先事項は、京子を連れ戻すことだな。次に、ヒバードの探索及び調査だ」
「笹川了平の妹が、まだ敵に捕まっていないと仮定して…できれば、まだ戦闘は避けたい。敵にみつからぬよう、少数で連れ戻すのがベターだな」
「それは、ヒバード探索にも言える。少人数で動いた方がいいっス」
「そうね。あまり人数が多いと、敵にみつかる可能性があるものね」
「んじゃ、いっそのこと二手に別れて、両方いっぺんにやるってのはどーだ?」
「そーうまくいくか、ドシロウト!!10代目はケガしてんだ!!」
「………そっか」
「だが、SOSが、本当にヒバリからのだった場合、のんびりしてらんねぇのも確かだ」
「………! そりゃあ、そースけど……」
リボーンに的確な指摘をされると、獄寺は大人しくなった。
山本の隣にいる魅真は、もし雲雀がそこにいるなら、安否を確認しに行きたいと思っていた。
「(すごいや…。本当の作戦会議みたいだ…)」
「どーしましょうか、10代目」
「どうしたらいいの?」
「決めてくれよ、ツナ!」
「ええ!?オ…オレ!?」
どこかぼんやりと考えていると、急に自分に決定をゆだねられたので、ツナはあわてた。
「当然だ」
「ボスはおまえだ」
「さっ、ツナさん」
「え…えと…」
ジャンニーニ以外の全員に促されると、ツナはどうしようか考える。
「じゃあ…オレも行く!京子ちゃんとヒバード両方一緒に進めよう!!」
「10代目のお考えなら賛成っス!!」
「そうと決まれば、準備開始だな!!」
「だね」
ツナが指示を出すと、魅真達三人は賛同した。
「あの…細かい作戦とか…一緒に考えてくれませんか?」
「よかろう」
なんの作戦もなしに行っては返り討ちにあうだろうし、だからといって、自分はそういった経験はないので、経験豊富なラルに頼むが、そのことにハルは、どこかムッとしていた。
「山本」
「!」
「おまえ、武器持ってねーだろ」
「まーな。今あんのは、10年後のオレが使ってた匣が2つ。一つはまだ開かねーけど…。それと練習用の刀が一振りだ」
「こいつを見つけたぞ」
リボーンは山本に、あるものを投げて渡した。
「時雨金時!!」
それは、10年前の時代でも使っていた、時雨蒼燕流専用の竹刀だった。
「10年後の山本が使っていた雨系リングとは、相性が悪かったらしくてな。奴は変形しない刀を使っていたんだ。だが、時雨金時とボンゴレリングとの相性は、まだ未知数だ。使うかどうかは、おまえが決めろ」
「………そっか」
リボーンに説明されると、山本は軽く口角をあげ、笑みを浮かべた。
「連れてくわ。オレはオヤジの…時雨蒼燕流の後継者だからな」
「(山本…)」
この時代の剛は亡くなってるので、どんな気持ちで山本がそう言ったのかを理解したツナは、複雑そうな顔をしていた。
「皆に説明しろ、沢田」
「!」
作戦たてるのが終わったので、隣からラルが、ツナに全員に説明するように促す。
「うん…。それじゃあ分担を言うね。オレとラル・ミルチで京子ちゃんを追う。魅真ちゃんと獄寺君と山本でヒバードを探してほしいんだ」
「! わかった。ありがとう、ツナ君!」
自分の心を気づかってくれたのか、それとも偶然なのかはわからないが、それでも、偶然でもなんでもヒバードの探索に行けるので、魅真は喜んだ。
「山本とスか…?じゅ……10代目の命令とあれば、喜んで!!」
「顔が喜んでねーぞ………」
喜んでと言う獄寺だが、誰がどこからどう見ても喜んでおらず、無理をしているのが丸わかりだった。
「真田と獄寺と山本は、B出入口(ハッチ)より神社へ。オレと沢田は、D出入口(ハッチ)より、笹川宅へ向かう。通信機は、この時代のお前達と共に失われた。そのため、今回はお互いの連絡がとれない。原則として、戦闘は回避しろ。それでも、もし回避不能な事態が起きた場合は、それぞれの判断で対処しろ」
ラルの説明が終わると、ミッションをスタートさせることになり、魅真、獄寺、山本は、B出入口(ハッチ)へ、ツナとラルは、D出入口(ハッチ)へ向かって走り出した。
「これでうまくいきゃあ、ヒバリが仲間になるな」
「………うるせえ」
山本が獄寺に話しかけると、獄寺は冷たく返した。いつも山本につっかかっているが、それとはまた、別の感じだった。
どこか話しかけづらい雰囲気だったので、魅真は何も言わなかったが、少し心配そうな顔をしていた。
三人は階段を上がっていき、B出入口(ハッチ)から並盛神社に、ヒバードの探索に向かっていった。
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